JPS6337481Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンのインジエクシヨンポンプ
の最大燃料吐出量を、平地と山岳地帯等の高度変
化によつて気圧が変動した場合にそれに応じて適
正に調整する気圧補正装置に関し、更に詳しく
は、エンジン又は車体等による振動が装置に悪影
響を及ぼさないように改良したインジエクシヨン
ポンプの気圧補正装置に関するものである。

エンジンでは、燃料の量と空気量とのバランス
を図る必要があるが、ガソリンエンジンでは、あ
らゆる運転条件で常に略々一定の燃料−空気比に
なるように制御しているが、デイーゼルエンジン
では、吸入空気量が一定であることから負荷に応
じて燃料の量だけを制御するようにしている。

ところでデイーゼルエンジンにおいては、空気
の量は常に一定であるが、その中の含有酸素量は
気圧が低くなると減少するので、山岳地帯を走行
するような場合は、空気量が一定であつても酸素
量が減少していることから燃料の最大噴射量を絞
る必要がある。

燃料を絞るために気圧を検出して燃料制御系に
信号を送るセンサとして、伸縮ベローズ型気圧感
応部材がある。この伸縮ベローズ型気圧感応部材
は、その内部を所定圧力、例えば真空（あるいは
大気圧）に設定しておき、該気圧感応部材の外面
を外気圧下に置いて、外気圧が下つた時に気圧感
応部材が伸び、これにより燃料のコントロールレ
バーを作動させて燃料の噴射量を絞るようにして
いる。

従つて、前記気圧感応部材は、外気圧と基準の
圧力との差を伸縮量に変換でき、しかも、その伸
縮力によりコントロールレバーを作動させること
ができるので、簡単な構造にすることができる利
点を有する。

しかし、従来装置においては、エンジンの振動
あるいは車体の振動によつて、気圧感応部材のベ
ローズ部分が共振するので、該気圧感応部材と連
動する燃料制御系の各部品も共振して燃料制御位
置が定まらず、しかも、各部品の接触部分が摩耗
する等の問題があつた。

そこでベローズ部分の振動を抑制する手段とし
て、調速手段にニユーマチツク調速機を用いたイ
ンジエクシヨンポンプにおいて、前記ベローズ部
分を液面高さを一定にした油中に配置して振動を
緩衝するようにした特公昭31−2909号公報の発明
がある。

ところで、ベローズ型気圧感応部材は、内部に
一定量の気体を封入しているために、周囲の温度
が変化すると該気体が膨脹収縮するという問題が
ある。したがつて前記緩衝用油は、インジエクシ
ヨンポンプ内を流れる燃料温度やエンジン温度な
どの影響で温度が変化すると、前記公報に記載の
先行技術の気圧補正装置は気圧が変化しないでも
作動、即ち誤作動するという欠点がある。

そこで、燃料噴射量の気圧補正装置を行うベロ
ーズ型気圧感応部材をエンジン温度などの影響を
より受けにくい位置に配置し、熱を蓄積する振動
緩衝用油を使用しないで直接外気を導入すると、
ベローズ型気圧感応部材とバランスを保つために
設けた戻しスプリングが、エンジン、車体などの
振動の影響を受けて振動するようになるという問
題がある。

本考案は、以上の問題に着目して成されたもの
であり、前記外気圧室に配置したベローズ型気圧
感応部材に設ける前記戻しスプリングがエンジ
ン、車体などの振動で起る振動を抑制して、燃料
制御位置が安定し、且つ前記振動による各部品の
摩耗を抑制したインジエクシヨンポンプの気圧補
正装置を提供することを目的としている。

以上の目的を達成するための本考案のインジエ
クシヨンポンプの気圧補正装置の構成は、気圧に
応じて伸縮して燃料噴射量の気圧補正を行うベロ
ーズ型気圧感応部材をインジエクシヨンポンプ本
体から突設して設けた外気圧室内に配置し、該ベ
ローズに設けた戻しスプリングの伸縮方向に沿
い、且つ該スプリングに接触して振動を減衰させ
る摩擦部材を設けることを特徴としている。

前記のインジエクシヨンポンプ本体から突設し
て外気圧室を設け、該外気圧室内に前記気圧感応
部材を配置して直接外気圧を作用させることによ
り、可及的にインジエクシヨンポンプ内の燃料温
度ないしエンジンの温度の影響を抑制し、また前
記摩擦部材は、戻しスプリングがエンジンないし
車両の振動に誘発されて起る振動を抑制し、しか
も極めてゆつくり変化する外気圧の変動によるス
プリングの伸縮には影響を与えないで気圧補正動
作を円滑に動作させるように作用する。

次に図面により本考案の実施例を説明する。第
１図において、ポンプ本体１の上部には、ポンプ
カバー２が固定されており、該ポンプカバー２の
上部には、外気圧室３が形成されている。この外
気圧室３の上面の開口には、カバー４が配設され
ていて、このカバー４には、伸縮ベローズ型気圧
感応部材５が上下方向に調整できるようにして固
定されている。

前記伸縮ベローズ型気圧感応部材５は、ベロー
ズ部６と胴部７とから形成されており、この中に
は、所定圧力、例えば１気圧のガスが封入されて
いる。胴部７の下端部は、アジヤストピン８に連
結されていて、気圧感応部材５の上下方向の伸縮
により上下動するように成されている。このアジ
ヤストピン８は、ポンプカバー２に螺着したアジ
ヤストピンホルダ９内を上下動するように成され
ており、このアジヤストピンホルダ９はロツクナ
ツト１０によりポンプカバー２に対する位置を定
めた後固定するようにしている。また、前記アジ
ヤストピン８の頭部には、スプリング座金１１が
上方への動きを規制されて嵌合しており、このス
プリング座金１１とポンプカバー２との間には、
スプリング１２が縮設されて、気圧感応部材５及
びアジヤストピン８を上方に付勢している。

一方、前記アジヤストピン８の中間は、下方に
先細り状のテーパ部１３に形成されており、この
テーパ部１３に対向するアジヤストピン８と直交
した位置のポンプカバー２には、センサピン１４
が軸方向に移動自在に嵌合されていて、その先端
は、アジヤストピンホルダ９を貫通してアジヤス
トピン８のテーパ部１３に接触している。またセ
ンサピン１４の後端は、ポンプのガバナレバアツ
シの如き燃料制御系１５に噴射燃料の量を調節す
る信号を伝達するためのコントロールレバー１６
に接触している。

前記外気圧室３は、外気導入路１７を介して外
部と連通して、外部の気圧の変動に伴つて、外気
圧室３の気圧も変動するようにしている。

このように形成したインジエクシヨンポンプの
気圧補正装置の前記スプリング１２の内側には、
摩擦部材、例えば板状コイルスプリング１９がス
プリング１２の伸縮方向に接触するように配置さ
れていて、常時摩擦力によりスプリング１２が他
の振動に共振しないようにしている。

いま、外気圧が下ると、それに伴つて、外気圧
室３の気圧も下るので、内部が１気圧の気圧感応
部材５は、スプリング１２に抗して下方に伸び
る。これによりアジヤストピン８も下方に移動す
るので、テーパ部１３の作用によりセンサピン１
４は第１図左方へ移動してコントロールレバー１
６を作動させるので、この作動により燃料制御系
１５は噴射燃料の量を適正に絞る。従つて、車両
が山岳地帯等を走行しても酸素の減少量に比例し
て燃料流量を適正に絞ることができる。

なお、外気圧が上るとそれに伴つてスプリング
１２の力により気圧感応部材５及びアジヤストピ
ン８は上昇するのでコントロールレバー１６に押
されてセンサピン１４は、右方へ移動し、コント
ロールレバー１６の移動によつて燃料制御系１５
は噴射燃料の量を適正に増加させる。

さて、このような作動をするインジエクシヨン
ポンプの気圧補正装置は、エンジンは車体等の振
動に共振するが、スプリング１２に板状スプリン
グ１９を接触させたことにより、そのフリクシヨ
ンでスプリング１２及び板状スプリング１９の自
由振動を減衰させることができ、従つて、気圧感
応部材５及びアジヤストピン８の上下方向の振幅
を小さくすることができる。

その結果、アジヤストピン８と常時接触するセ
ンサピン１４の左右方向の動きを小さくできるの
で、燃料コントロールを安定して行うことがで
き、しかもベローズ部６同士等が衝突することを
防止できるので、ベローズ部６が損傷することが
ない。更に、アジヤストピン８とセンサピン１４
の摩耗も少なくすることができる。

なお、板状スプリング１９はスプリング１２の
外側に設けてもよく、また、板状スプリングに代
えて摩擦部材を例えば単なる板状に形成してもよ
く、いずれにしても、スプリング１２の自由振動
を規制しながらスプリング性能を損わないような
ものであればよい。

以上説明したように本考案のインジエクシヨン
ポンプの気圧補正装置は、気圧に応じて伸縮して
燃料噴射量の気圧補正を行うベローズ型気圧感応
部材をインジエクシヨンポンプ本体から突設して
設けた外気圧室内に配置し、該ベローズに設けた
戻しスプリングの伸縮方向に沿い、且つ該スプリ
ングに接触して振動を減衰させる摩擦部材を設け
る構成としたので、可及的にインジエクシヨンポ
ンプ内の燃料温度などによる温度変動によつて前
記ベローズ型気圧感応部材が伸縮して誤作動する
ことを抑制し、しかもエンジンや車両の振動の影
響で振動する前記戻しスプリングの振動を摩擦部
材により防止ないし抑制して燃料の制御位置を安
定させ、且つ各部品の振動による摩耗を抑制した
インジエクシヨンポンプの気圧補正装置を提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の実施例を示すものであつて、
第１図は、気圧補正装置の縦断面図、第２図は、
要部の縦断面図である。 １……ポンプ本体、３……外気圧室、５……気
圧感応部材、６……ベローズ部、１２……スプリ
ング、１９……板状スプリング（摩擦部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 気圧に応じて伸縮して燃料噴射量の気圧補正を
   行うベローズ型気圧感応部材をインジエクシヨン
   ポンプ本体から突設して設けた外気圧室内に配置
   し、該ベローズに設けた戻しスプリングの伸縮方
   向に沿い、且つ該スプリングに接触して振動を減
   衰させる摩擦部材を設けたインジエクシヨンポン
   プの気圧補正装置。