JPH0323635B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は各種の金属管材の内面を異種金属で
被覆するための処理方法に関するものである。

［従来の技術］ 従来の管材の内面被覆方法としては、次のよう
な方法があるが、夫々次のような欠点がある。

(1) 押出し法による方法 この方法は予め内層と外層とを組合せた複合
押出ビレツトを用いて押出成形により管内面を
異種金属で被覆した複合管（二重管）とする方
法である。この方法ではその製造工程が複合ビ
レツトの製造工程、押出工程、更に所定寸法に
減径する引抜工程と工程が多く、製造コストの
点で不利となる。また、内面を被覆する金属が
低融点金属の場合、押出成形時の変形熱により
溶融することもあり、正常な複合管が得られな
い。更に管母材と被覆材との押出時の変形抵抗
の差が大きい場合には正常な押出、引抜成形が
困難となる等の欠点がある。

(2) 内面メツキ方法 この方法は管内面に被覆すべき金属のメツキ
液を流して管内面に電気メツキを施すことで被
覆することも考えられるが、長尺の管材を処理
するにはメツキ液濃度の管理、電流密度の管理
等が複雑となり、工業生産には不向きである。

(3) 溶接方法 この方法は、管材と被覆材をクラツドしたも
のを被覆材側を内側にして管状にシーム溶接す
る方法があるが、溶接部では管材と被覆材が溶
融混合するため、正常な溶接が難しく、またシ
ーム溶接部で管外表面に被覆金属が露出し、管
内面の均一な被覆層が得られない等の欠点があ
る。

［発明が解決しようとする問題点］ 本発明の目的は前記した従来技術の欠点を解消
し、長尺の管材の内表面に均一に異種金属を被覆
することのできる、工業生産に適した処理方法を
提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 前記の目的を達成するため、本発明では次のよ
うな方策を採用した。

すなわち、管材より低融点の金属粉粒体とフラ
ツクス作用を有する粉末状の物質との混合物を管
材内に入れ、その管材をダイスとプラグを用いて
引抜加工することにより前記混合物を管材の内面
に塗布する工程と、その内面塗布された管材を前
記粉粒体の融点以上でかつ管材の融点以下の温度
で加熱する工程とを含む方法である。

金属管材料として、Cu、Al、Ti、Mg、Fe、
Ni、Zr、Nbおよびこれらの中の１種を主成分と
する合金、を対象とすると、粉粒体として実用上
有効な金属は、Sn、Pb、Zn、Al、Ni、Ag、
Au、Cuであるが、これらの中の１種又は２種以
上の成分の合計が50％以上含有されていれば、実
用上内面被覆の効果を発揮するので、これらの組
成物に他の金属が微量添加されたとしても同じ範
疇に入るものとして使用することができる。

このような金属粉粒体と混合する粉末状の物質
は、酸化皮膜を除去し、管材表面と溶融金属との
濡れ性を促進する機能を有する、いわゆるフラツ
クスが主として用いられるが、上記機能を阻害し
ないようなものであれば混合物の構成成分として
用いても差支えない。

加熱温度は、粉粒体の金属が溶融して流れ出す
温度以上が望ましい。上限は、理論的には管材の
融点以下であればよいが、実用的には管材の融点
より50℃程度低い温度以下であることが望まし
い。

雰囲気としては大気およびN₂、CO₂、CO、
H₂、Ar等のガス雰囲気が望ましい。

上記の条件下で加熱処理すれば、内面に合金被
覆が形成されると共に、一部拡散層も形成され
る。拡散を促進し表面の合金化をより進めるため
には別途加熱工程を付加することが有効である。

本発明の技術を用ることにより、管材内面の耐
食性を向上させたり、管状強度を向上させること
ができるので、例えば上下水道水、温水、海水、
油等の液体用供給管や、燃料ガス等のガス体用供
給管或いは管内外の熱伝達を利用する伝熱管や圧
力伝達管等の管材の内面処理方法として応用でき
る。なお、本発明にいうフラツクス作用とは、金
属表面の酸化膜を科学的に溶解又は還元すること
で金属表面を清浄化する作用と粉粒体金属の界面
張力を小さくする作用をいう。

［発明の実施例］ 以下に本発明の実施例を説明する。

図は金属管１の内面に、フラツクスと金属粉粒
体との混合物２の薄い層６を塗布する場合の例を
示しており、金属管１は内部にプラグ４と混合物
２とが入れられた状態で、定位置に固定されたダ
イス３を通して矢印の方向へ引抜かれる。この場
合、混合物２は管１の移動にともなつて前方へ運
ばれるが、その多くはダイス４部で管１とプラグ
４とによつてしごかれて後方に残る。混合物の薄
い層６の厚さの調整は、プラグ４を適宜選定する
ことによつて行うことができる。

ダイス３部で薄い層７が塗布された管５は、そ
の後薄い層６に混入している金属粉粒体を融点以
上で、かつ管材１の融点以下の温度に加熱され
る。これによつて薄い層６中のフラツクスが溶融
し、管内表面の酸化皮膜が除去され、溶融した金
属との濡れ性が促進され、管の内面に金属の薄い
被覆層が形成される。

次に具体例を説明する。

実施例 １ 外径9.52mm、底肉厚0.41mmの銅管の内面にSnを
薄く被覆するため、銅の半田付けに用いられる粉
末状フラツクスと、Sn粉末を、フラツクス：３、
Sn粉末：７割合で混合したものを銅管内に入れ、
ダイスとプラグを用いて外径8.8mmに減径するこ
とにより、銅管の内面にフラツクスとSn粉末の
混合物からなる薄い層を形成した。その後、この
銅管を260℃で10分間加熱した結果、内表面に薄
いSnの被覆層をもつた銅管が得られた。

実施例 ２ 実施例１と同様の銅管内に、Alのロウ付けに
用いられる粉末状のフラツクスと、Al−12％Si
合金の粉末を、フラツクス：３、合金粉末：７の
割合で混合したものを入れ、ダイスとプラグを用
いて銅管を外径8.8mmに減径した後、その銅管を
600℃で10分間加熱した結果、内表面にAl−12％
Si合金の薄い被覆層を有する銅管が得らえた。

実施例 ３ 外径22mm、肉厚２mmの鋼管と、実施例２と同様
の混合物とを用いて実施例２と同様に引抜加工し
銅管を外径20mmに仕上げた後、その銅管を600℃
で10分間加熱処理した。この結果、内表面にAl
−12％Si合金からなる薄い被覆層を有する鋼管が
得られた。

実施例 ４ 外径22mm、肉厚１mmの黄銅管を用いると共に、
実施例１と同様の混合物を用い、実施例１と同様
に引抜加工して管内面に混合物を塗布した。その
後、得られた黄銅管を260℃で10分間加熱した。
その結果、内表面にPb−Sn合金の薄い皮覆層を
もつた黄銅管が得られた。

実施例 ５ 外径12.7mm、肉厚0.64mmの銅管に深さ0.15mmの
溝を管長手方向と平行に60本加工した内面溝歩管
を用い、実施例１と同様の混合物を用いて外径
9.52mmに引抜加工することにより、管内面の溝内
に混合物を塗布した。その後、この銅管を260℃
で10分間加熱した結果、内表面に薄いSnの被覆
層をもつた銅管が得られた。

［発明の効果］ 以上の説明から明らかなように、本発明は管材
の内面に、粉末状のフラツクスと金属粉粒体の混
合物をダイスのプラグを用いて引抜加工しながら
塗布した後加熱する方法であるから、内面被覆管
を簡単な装置で連続的に製造でき、長尺物の加工
も容易である。また、金属粉粒体の種類を変える
だけで被覆する合金を変えることができ、少量多
品種の生産にも適している等の利点もある。

【図面の簡単な説明】

図は本発明に係る方法の混合物を塗布する方法
の一例を示す説明図である。 １及び５：管材、２：フラツクスと金属粉粒体
との混合物、３：ダイス、４：プラグ、６：混合
物の薄い層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金属管材の内表面を管材より低融点の金属で
   被覆する方法であつて、前記低融点金属の粉粒体
   とフラツクス作用を有する粉末状の物質との混合
   物を前記管材内に入れ、該管材をダイスとプラグ
   を用いて引抜加工することにより管材の内面に塗
   布する工程と、その内面塗布された管材を前記低
   融点金属の融点以上で、かつ前記管材の融点以下
   の範囲の温度で加熱する工程とを含むことを特徴
   とする金属管材の内面処理方法。