JPH03217603A - 直打式バルブリフタの耐摩耗性処理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、内燃機関の動弁機構に使用される軽合金製の
直打式バルブリフタの耐摩耗性処理方法に関するもので
ある。

［従来の技術］ 現在、直打式バルブリフタの主要部であるチップ部とス
カート部とからなるボディをアルミニウム合金等の軽合
金材料で形成し、該チップ部の頂面に装着するシムや該
チップ部の下面に装着するインナーシム等のポイント部
のみを鋼、セラミックス等の高強度・耐牽耗性材料で形
成することにより、全体として軽量化を実現し、もって
内燃機関の高回転化への対応と燃費の向上とを図ろうと
する検討がなされている。

しかし、軽合金材料により形成したボティでは、特に下
記の二箇所の摺動面における耐摩耗性が不足するなめ、
これらの摺動向に何らかの耐摩耗性処理を施すことが必
要となる。

■スカート部の外周面・・・シリンダヘッドのガイド孔
に対して高速で摺動するため、特に高い耐摩耗性が要求
される。

■チップ部の頂面・・・シムが摺動するため耐摩耗性が
要求されるが、上記■ほどの高い耐摩耗性は要しない。

そこで、上記の耐摩耗性処理方法として種々の方法が検
討された結果、現状技術では、耐摩耗性材料のめつき（
例えば、Ｆｅ−Ｐ合金めつき、セラミックス粒子を含有
した複合めっき）と溶射（例えば、炭素鋼溶射）が有望
視されている。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、上記のめつき又は溶射にも次のような長所及
び短所があり、全ての条件を満たすものはなかった。

（１）無電解めっきは、めっき皮膜厚さが均一になるた
め、ボディの寸法精度は良好となる。しかし、めっき皮
膜とその下地であるボデイとの密着性が劣るため、該め
っき皮膜の剥離が発生しやすい欠点があり、従って、特
に摺動の激しいスカート部の外周面に適用することは難
しかった。また、セラミックス粒子を複合する場合には
、めっき皮膜中のセラミックス粒子の含有量にばらつき
が生じ、耐摩耗性もばらつくという問題があった。

（２）電気めっきは、めっき皮膜とボデイとの密着性が
強くなるため、該めっき皮膜の剥離は発生しにしくい。

また、セラミックス粒子を複合する場合には、めっき皮
膜中に多量のセラミック粒子を安定に含有し得るため、
耐摩耗性が特に良好となる。しかし、ボデイの各部間の
形状の差異や電極によってめっき時の電流密度が変わる
ため、めっき皮膜厚さが不均一になり、ボデイの寸法精
度も悪くなる欠点があった。そこで、めっき後にそのめ
っき皮膜を仕上げ加工する必要があり、スカート部の外
周面のめつき皮膜は容易に仕上げ加工できるが、チップ
部の頂面のめつき皮膜は該頂面が凹んだ形状をしている
ため仕上げ加工が非常に難しいという問題があった。

（３）溶射も、溶射皮膜とボデイとの密着性が強くなる
ため、該溶射皮膜の剥離は発生しにくい。しかし、溶射
皮膜厚さが不均一になるため、上記電気めっきと同様の
仕上げ加工における問題があった。

本発明の目的は、ボデイが軽合金により形成された直打
式バルブリフタにおいて、スカート部の外周面には高い
耐摩耗性と耐剥離性とを付与し、チップ部の頂面には適
当な耐摩耗性と仕上げ加工の不要性とを付与し、もって
軽量かつ高信頼性の直打式バルブリフタを容易に製造す
ることを可能にする新規な耐摩耗性処理方法を提供する
ことにある。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、本発明においては、軽合
金により形成されたチップ部とスカート部とからなるボ
デイと、前記チップ部の頂面に着脱自在に装着されるシ
ムとを備えた直打式バルブリフタに対して、前記スカー
ト部の外周面には高耐摩耗性材料の電気めっき又は溶射
を施し、前記チップ部の頂面には耐摩耗性材料の無電解
めっきを施し、前記スカート部の外周面に形成された電
気めっき皮膜又は溶射皮膜を仕上げ加工するという耐窄
耗性処理方法を構成した。これらの処理順序はその記載
順序に限定されず、適宜変更することかできる。

前記スカート部の外周面に施す電気めっき又は溶射のＥ
高耐摩耗性材料」とは、シリンダのガイド孔との激しい
摺動に耐え得る高い耐窄耗性を有する材料をいう。

いま、前記電気めっきについては、第２相粒子を含まな
い普通の電気めっきと、第２相粒子を含む電気複合めっ
きとに大別することができる。前者の普通の電気めっき
における高耐串耗性材料としては、Ｆｅ−Ｐ合金、Ｃｒ
等を例示することができる。後者の電気複合めっきにお
けるマトリックスとしては、Ｎｉ，Ｎｉ−Ｐ合金、Ｆｅ
−Ｐ合金等を例示することができる。また、その第２相
粒子としては、Ｓ　Ｉ　Ｃ　，　Ｓ　１　３　Ｎ４　、
Ｂ　Ｎ等の各種セラミックス、ポリテトラフルオ口エチ
レン（ＰＴＦＥ）等を例示することができる。

また、前記溶射の高耐摩耗性材料としては、炭素鋼を例
示することができる。溶射の方法は特定のものに限定さ
れず、火炎溶射、爆発溶射、アーク溶射、プラズマ溶射
等の各種溶射法を適宜選択して行うことができる。

次に、前記チップ部の頂面に施す無電解めっきの「耐摩
耗性材料」とは、シムの摺動に耐え得る適当な耐摩耗性
を有するものをいう。この無電解めっきは、一般に第２
相粒子を含まない普通の無電解めっきで十分であるが、
勿論、第２相粒子を含む無電解複合めっきによることも
できる。前者の普通の無電解めっきにおける耐摩耗性材
料としては、一般的なＮｉ，Ｎｉ−Ｐ合金等を例示する
ことができる。後者の電気複合めっきにおけるマトリッ
クス及び第２相粒子としては、前記電気複合めっきで例
示したものを同様に例示することができる。

また、前記電気めつき戊膜又は溶射皮膜の仕上げ加工と
しては、センタレス外径研磨、円筒研磨等を例示するこ
とができる。

［作用］ ボディのスカート部の外周面には高耐摩耗性材料の電気
めっき又は溶射を施すので、シリンダヘッドのガイド孔
との摺動に耐え得る高い耐摩耗性を備えた電気めっき皮
膜又は溶射皮膜が形成される。これらの電気めっき皮膜
又は溶射皮膜はスカート部の外周面との密着性が強いた
め、高い耐剥離性も有する。なお、これらの皮膜厚さは
不均一になるため、仕上げ加工を行う必要があるが、ス
カート部の外周面であるために、前記センタレス外径研
磨等によって容易に仕上げ加工を行うことができる。仕
上げ加工後のこれらの皮膜は、表面が平滑になるため、
シリンダヘッドのガイド孔を摩耗させたり傷付けたりす
ることもない。

また、チップ部の頂面には耐摩耗性材料の無電解めっき
を施すので、シムの摺動に耐えうる適当な耐摩耗性を備
えた無電解めっき皮膜が形成される。なお、前述の通り
チップ部の頂面は仕上げ加工が難しいとされるが、この
無電解めっき皮膜は皮膜厚さが均一になるため、仕上げ
加工は不要である。

「実施例］ 以下、本発明を具体化した耐摩耗性処理方法の実施例に
ついて、第１図〜第４図を参照して説明する。

第１図に示すように、ここで耐摩耗性処理する直打式バ
ルブリフタ１は、軽合金により一体形成された円板状の
チップ部２とその周縁から下方へ連続する円筒状のスカ
ート部３とからなる倒立カップ状のボディ４を備えてい
る。また、前記チップ部２の上面に周壁を残して凹設さ
れた頂面２ａには、高強度・耐摩耗性材料により形成さ
れたシム５が着脱自在に装着され、該チップ部２の下面
の中央部に凹設された凹所２ｂには、同じく高強度・耐
摩耗性材料により形成されたインナーシム６が外れない
ように装着されている。

本明細書において前記ボデイ４を形成する「軽合金」と
は、ＦｅとＡＩの平均比重に近い５を基準にして比重が
それ以下の合金をいい、Ａ．ｌ！Ｓｉ合金、Ａ．ｌ！−
Ｃｕ合金、ＡＮ　−Ｃｕ−Ｍｇ合金（ジュラルミン、超
ジュラルミン）、Ａ１Ｚｎ−Ｍｇ合金、ＡＩ！　−Ｚｎ
−Ｍｇ−Ｃｕ合金（超々ジュラルミン）等の各種Ａ１合
金、Ｍｇ−Ａ［合金、Ｍｇ−Ｚｎ合金、Ｍｇ−ＡＩ！　
−Ｚｎ合金、Ｍｇ−Ｚｎ−Ｚｒ合金等の各種Ｍｇ合金、
Ｔｉ−ＡＪ！　−Ｖ合金等の各種Ｔｉ合金を例示するこ
とができる。これらの材料のうち、例えばＡ』−Ｚｎ−
Ｍｇ−Ｃｕ合金は、強度は高いけれども耐摩耗性が低い
ため、これまでボデイ４には適さないと考えられていた
合金である。しかし、本発明の耐摩耗性処理方法によれ
ば十分な耐牽耗性を保証することができるため、高強度
Ａ．ｌ！　−Ｚｎ　−Ｍｇ−Ｃｕ合金の使用が可能にな
る。

また、前記シム５及びインナーシム６を形成する「高強
度・耐摩耗性材料」とは、カム又はバルブの打接に耐え
得るだけの高強度と耐摩耗性を備えた材料をいい、炭素
鋼、合金鋼等の浸炭焼入焼戻材、Ｓｉ３　Ｎ４　、Ｓｉ
Ｃ、ａ　　Ａ．ｌ！２　０３　、安定化Ｚ　ｒ　０　２
等の各種セラミックスを例示することができる。

さて、上記直打式バルブリフタ１のボデイ４に対する本
実施例の耐摩耗性処理方法について、実施した工程順に
説明する。

（１）まず、スカート部３の外周面３ａ以外の部分をマ
スキングして、この外周面３ａに耐摩耗性材料の電気め
っき又は溶射を施した。

具体的には、第一実施例として、第２相粒子を含まない
電気Ｆｅ−Ｐ合金めつきを施し、第２図に鎖線で示すよ
うに厚さがやや不均一な電気めっき皮膜７を形成した。

また、第二実施例として、マトリックス金属としてのＮ
ｉ−Ｐ合金に第２相粒子としてのＳｉＣを分散させた電
気複合めっきを施し、第３図に鎖線で示すように厚さが
やや不均一な電気複合めっき皮膜８を形成した。

また、第三実施例として、炭素鋼溶射を施し、第４図に
鎖線で示すように表面の粗い溶射皮膜９を形成した。

（２）次に、上記第一〜第三実施例の各チップ部２の頂
面２ａ以外の部分をマスキングして、これらの頂面２ａ
に耐摩耗性を付与する無電解Ｎｉ−Ｐ合金めっきを施し
、厚さの均一な無電解めっき皮膜１０を形成した。

（３）次に、上記第一〜第三実施例の各スカート部３の
外周面に形成した電気めっき皮膜７、電気複合めっき皮
膜８及び溶射皮膜９に対してセンタレス外径研磨を行い
、第２図〜第４図に実線で示すように皮膜表面を平滑に
するとともに寸法精度を出した。

なお、上記の工程順序は（１）→（３）−（２）又は（
２）→（１）−（３）に変更してもよい。

以上のように耐摩耗性処理された直打式バルブリフタ１
を内燃機関の動弁機構に組み込んで、各種の耐久試験を
行ったところ、第一〜第三実施例の各スカート部３の外
周面３ａに形成した電気めっき皮膜７、電気複合めっき
皮膜８及び溶射皮膜９は、いずれも摩耗量がわずかで実
用上問題はなく、剥離も全く発生せず、シリンダのガイ
ド孔を摩耗させたり傷付けたりすることもなかった。ま
た、チップ部２の頂面２ａに形成した無電解めっき皮膜
１０も、摩耗量はわずかで実用上問題はなかった。

なお、本発明は前記実施例の構成に限定されるものでは
なく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で任意に変更して
具体化することもできる。

「発明の効果］ 本発明の直打式バルブリフタの耐摩耗性処理方法は、上
記の通り構成されているので、ボデイが軽合金により形
成された直打式バルブリフタに対し、スカート部の外周
面には高い耐摩耗性と耐剥離性とを付与し、チップ部の
頂面には適当な耐摩耗性と仕上げ加工の不要性とを付与
し、もって軽量かつ高信頼性の直打式バルブリフタを容
易に製造することを可能ならしめる優れた効果を奏する
。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る耐摩耗性処理を施した直打式バル
ブリフタの実施例を示す断面図、第２図は第一実施例に
おける第１図Ａ部の拡大断面図、第３図は第二実施例に
おける第１図Ａ部の拡大断面図、第４図は第三実施例に
おける第１図Ａ部の拡大断面図である。 １・・・直打式バルブリフタ、 ２・・・チップ部、　　　２ａ・・・頂面、３・・・ス
カート部、　　３ａ・・・外周面、４・・・ボディ、　
　　　　５・・・シム、７・・・電気めっき皮膜、 ８・・・電気複合めっき皮膜、 ９・・・溶射皮膜、 １０・・・無電解めっき皮膜。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １．軽合金により形成されたチップ部とスカート部とか
   らなるボディと、該チップ部の頂面に着脱自在に装着さ
   れるシムとを備えた直打式バルブリフタの耐摩耗性処理
   方法であって、前記スカート部の外周面には高耐摩耗性
   材料の電気めっき又は溶射を施し、前記チップ部の頂面
   には耐摩耗性材料の無電解めっきを施し、前記スカート
   部の外周面に形成された電気めっき皮膜又は溶射皮膜を
   仕上げ加工することを特徴とする直打式バルブリフタの
   耐摩耗性処理方法。