JPH0321669Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、棺を容易に安置及び搬出できる葬儀
用祭壇に関する。

〔従来の技術〕

従来、葬儀用祭壇は、葬祭具、装飾具等を支持
する階段状に形成された祭壇基礎部材と、棺を所
定位置に支持する棺支持部材とから基本的に構成
されている。そのような葬儀用祭壇では、葬儀に
際しての安置及び葬儀終了後の出棺に際しての棺
の搬出が全て手作業で行なわれていた。

ところが、最近の住宅事情では祭壇周囲のスペ
ースが十分に取れないことが多く、手作業による
棺の安置や搬出が困難になり、時には祭壇や供養
花等を取り壊しての出棺となるため、厳粛な葬儀
の雰囲気が損なわれることもあつた。

そこで、実開昭58−29385号公報や実開昭60−
126080号公報に開示されるように、棺を台車等に
載せて水平方向に人力で移動可能とし、棺の安置
及び搬出作業を比較的円滑に行なえるようにした
祭壇が提案された。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、前記の従来技術による祭壇では、いず
れの場合も、棺の水平移動は比較的容易である
が、棺が祭壇の上位ではなく祭壇底部、即ち祭壇
の最下位に納められることから、死者を敬い、手
厚く葬りたいとの遺族等の願いが必ずしも叶えら
れているとは言い難い面があつた。

本考案の課題は、比較的簡単な構造で、葬儀に
際して棺を祭壇の上位に円滑に安置でき、しかも
葬儀終了後の出棺に際して棺を円滑且つ丁重に搬
出できる葬儀用祭壇を提供することにある。

〔課題を解決するための技術手段〕

本考案に係る葬儀用祭壇は、階段状に形成され
た葬儀用祭壇において、祭壇底部に設けられると
共に棺を前後水平方向に移送する棺水平移動機構
と、棺水平移動機構の後方にそれと棺の受け渡し
可能に設けられると共に棺を垂直方向に移送する
棺垂直移動機構とからなる棺移送手段を備えたこ
とを特徴としている。

〔作用〕

葬儀に際して、棺は、棺水平移動機構により祭
壇前方から祭壇後方へと水平移送されると共にそ
の移送の終点において棺垂直移動機構に引き渡さ
れ、続いて棺垂直移動機構により祭壇底部から祭
壇上位へと垂直移送されると共にその移送の終点
においてそのまま安置され又は適当な棺支持部材
に移されて安置される。

また、葬儀終了後の出棺に際しては、上記と逆
の手順で、棺は、棺垂直移動機構により祭壇上位
から祭壇底部へと垂直移送されると共にその移送
の終点において棺水平移動機構に引き渡され、続
いて棺水平移動機構により祭壇後方から祭壇前方
へと水平移送されると共にその移送の終点におい
て祭壇から搬出可能とされる。

前記棺水平移動機構と棺垂直移動機構とからな
る棺移送手段については、必要に応じてその機械
的部分を祭壇基礎部材や布等で覆うと共に騒音の
少ない機構や装置を採用することが好ましい。

〔実施例〕

以下、本考案を実施例に基いて具体的に説明す
る。

第１図は本考案に係る葬儀用祭壇の一例の内部
側面図であり、同図において、板材や箱型材等に
より階段状に形成された祭壇基礎部材１の内部に
棺移送手段２が組み込まれると共に棺３の移送路
が確保され、祭壇基礎部材１の前端開口部に棺３
の搬入及び搬出用の前扉４が設けられている。

棺移送手段２は、葬儀場において組み立て及び
解体が容易に可能な棺垂直移動機構５と棺水平移
動機構６とから構成され、棺３は、常時、台車７
に載せられて移送される。

棺垂直移動機構５は、垂設されたマスト８と、
マスト８に昇降自在に案内されたフオーク９と、
マスト８の上部及び下部に夫々付設された定滑車
１０及び中間プーリ１１と、中間プーリ１１に隣
接して設置された垂直駆動モータ１２と、フオー
ク９に付設されたベルト固定軸１３に一端が固定
され、途中、定滑車１０及び中間プーリ１１を介
し、垂直駆動モータ１２の巻き取りプーリ１４に
他端が固定された吊りベルト１５とから構成さ
れ、フオーク９が棺３の安置位置を通る垂直方向
に昇降できるように配置されている。

前記構成において、垂直駆動モータ１２を正転
又は逆転させると、巻き取りプーリ１４による吊
りベルト１５の巻き取り又は巻き戻しが行なわれ
るのでフオーク９が上昇又は下降する。棺３を載
せた台車７の昇降に際して、台車７は、車輪１６
間に差し込まれたフオーク９によつて支持され、
昇降駆動される。

一方、棺水平移動機構６は、マスト８下端及び
前扉４付近に夫々設置された主動ギヤ１７及び従
動ギヤ１８と、主動ギヤ１７と従動ギヤ１８との
間にそれらと噛合するように掛けられた無端状の
タイミングベルト１９と、タイミングベルト１９
上に付設された押し板２０と、主動ギヤ１７と同
軸上に付設された従動プーリ２１と、従動プーリ
２１に隣接して設置された水平駆動モータ２２
と、水平駆動モータ２２の駆動プーリ２３と従動
プーリ２１との間に掛けられた無端状の伝動ベル
ト２４と、タイミングベルト１９を挟むように敷
設され、台車７をその車輪１６と係合するように
往復自在に案内する２条の案内レール２５とから
構成されている。

前記構成において、水平駆動モータ２２を正転
又は逆転させると、主動ギヤ１７の正転又は逆転
を介してタイミングベルト１９が正循環又は逆循
環し、その循環に伴なつて従動ギヤ１８も連動回
転するが、同時にタイミングベルト１９上の押し
板２０も正逆方向に循環移動する。

棺３を載せた台車７の水平移動に際して、台車
７は、案内レール２５上にタイミングベルト１９
を架橋するように置かれ、タイミングベルト１９
と共に正逆方向に循環移動する押し板２０によつ
て押圧されながらマスト８方向又は前扉４方向に
水平駆動される。

また、前扉４は、案内レール２５前端付近に軸
架された扉回転軸２６に突設され、扉回転軸２６
は歯車箱２７を介して扉開閉駆動モータ２８に連
結されている。そこで、扉開閉駆動モータ２８を
正転又は逆転させると、前扉４は、扉閉鎖状態の
垂直位置と扉開放状態の水平位置との間で開閉駆
動され、特に水平位置をとるときは案内レール２
５と同一高さとなり、祭壇基礎部材１前部から突
出して、台車７の導入及び取り出し用の案内台を
形成する。

上記のような棺垂直移動機構５及び棺水平移動
機構６、さらには前扉４の開閉駆動機構を順次連
動的に作動させ、棺３を載せた台車７が所定の移
送路に沿つて移送されるように制御するために、
マスト８の上端及び下端に台車７の上限位置及び
下限位置を夫々検知する上端位置センサー２９及
び下端位置センサー３０が、またマスト８の下端
及び前扉４付近に台車７の左方向の制限位置及び
右方向の制限位置を夫々検知する左端位置センサ
ー３１及び右端位置センサー３２が、さらに前扉
４にその水平位置までの開放を検知する開扉位置
センサー３３が各々付設されている。

このような葬儀用祭壇において、先ず、棺３
を、水平状態の前扉４上に停止している台車７に
載せると共に台車７を案内レール２５に沿つて祭
壇基礎部材１内部に押し込むと、右端位置センサ
ー３２が台車７の押し込み位置を検知すると同時
に水平駆動モータ２２が起動し、タイミングベル
ト１９が反時計回りに循環を始め、その結果、押
し板２０が台車７をマスト８方向に水平移送す
る。前扉４からの台車７の投入後、開放状態の前
扉４は、上記動作と連動して、或は手動で起動さ
れた扉開閉駆動モータ２８により閉鎖される。

台車７が、マスト８下端に移送されると共にフ
オーク９上に載り上げると、左端位置センサー３
１が台車７の位置を検知すると同時に水平駆動モ
ータ２２が停止し、タイミングベルト１９の循環
も停止し、その結果、台車７の水平移送も停止さ
れる。それと同時に、垂直駆動モータ１２が起動
し、吊りベルト１５が巻き取られ、フオーク９が
上昇して台車７を棺３と共に上方へ垂直移送す
る。

台車７が上端に移送されると、上端位置センサ
ー２９がフオーク９の位置を検知すると同時に垂
直駆動モータ１２が停止し、その結果、台車７の
垂直移送も停止される。このとき、棺３は、フオ
ーク９及び台車７を棺支持部材３４として、葬儀
用祭壇における所定位置に安置されるように予め
調整されているので、葬儀中はこの状態に固定し
ておけばよく、要すれば、フオーク９が万一の事
故で昇降移動しないように、マスト８、又はマス
ト８及びフオーク９に固定ピン（図示を省略す
る）を差し込んでおいてもよい。

葬儀終了後の出棺に際して、垂直駆動モータ１
２を起動すると吊りベルト１５が巻き戻され、フ
オーク９が下降して台車７を棺３と共に下方へ垂
直移送する。台車７が下端に移送されると、下端
位置センサー３０がフオーク９の位置を検知する
と同時に垂直駆動モータ１２が停止し、その結
果、台車７の垂直移送も停止され、台車７は案内
レール２５上に置かれる。それと同時に、水平駆
動モータ２２が起動し、タイミングベルト１９が
時計回りに循環を始め、その結果、押し板２０が
台車７を前扉４方向に水平移送する。

台車７が、前扉４付近まで移送されると、右端
位置センサー３２が台車７の位置を検知すると同
時に水平駆動モータ２２が停止し、その結果、台
車７の水平移送も停止される。それと同時に、扉
開閉駆動モータ２８が起動し、前扉４が水平位置
まで完全に開いたところで開扉位置センサー３３
が前扉４の位置を検知すると同時に扉開閉駆動モ
ータ２８が停止し、その結果、前扉４が水平開放
状態に保持される。前扉４の完全開放と同時に水
平駆動モータ２２が再度起動し、台車７を水平状
態の前扉４上に押し出し、右端位置センサー３２
が台車７の押し出し位置を検知したところで水平
駆動モータ２２が停止し、台車７の水平移動も停
止される。

なお、上記の実施例は、本考案を制限するもの
ではなく、実用新案登録請求の範囲で限定され、
かつ本考案の目的を達成しうる範囲において、
種々の修正、変更、置換が可能であり、例えば棺
の移送手段や移送経路についても上記以外のもの
を適宜選択できる。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案に係る葬儀用祭壇では、
棺の受け渡しが可能なように互いに連絡された棺
水平移動機構と棺垂直移動機構とからなる棺移送
手段を備えているので、葬儀に際して棺を祭壇の
上位に円滑に安置でき、また葬儀終了後の出棺に
際して棺を円滑且つ丁重に搬出できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る葬儀用祭壇の一例の内部
側面図である。 主要符号の説明、２……棺移送手段、３……
棺、５……棺垂直移動機構、６……棺水平移動機
構。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 階段状に形成された葬儀用祭壇において、祭壇
   底部に設けられると共に棺を前後水平方向に移送
   する棺水平移動機構と、棺水平移動機構の後方に
   それと棺の受け渡し可能に設けられると共に棺を
   垂直方向に移送する棺垂直移動機構とからなる棺
   移送手段を備えたことを特徴とする葬儀用祭壇。