JPH0320223Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、フロントウインドを車体に対して
前方に倒すようにした可倒式フロントウインド車
の補強装置に関するものである。

（従来の技術」 自動車には、一般市街地走行のほか悪路ま山間
地帯など、すべての条件下での走行を可能とした
ものである。この種の自動車は、屋根を金属板と
せず、幌布を用いて着脱自在ないしは折畳自在に
形成するのが普通である。そしてこの場合、フロ
ントウインドは車体に対して前方傾倒できるよう
にし、幌布の屋根を取外し、あるいは折畳んだと
きに傾倒することにより、オープンカーとしての
完全化を図ることが行なわれる。

フロントウインドを前傾可能に枢着する部分の
車体にはベンチレータボツクスがあり、こおため
に車体側のパネルは屈折部が多く、したがつて１
枚ものの板材、あるいは複数の板材を平面的に接
合して用いて、複雑な形状に対応させている。

「考案が解決しようとする問題点」 このような従来の構造では、フロントウインド
を前傾させ、あるいは起立させるときの応力によ
り、１枚の板材からなるフロントウインド枢着部
分に変形を来たし、この部分に取付けるインスト
ルメントパネルの取付け困難を生じ、また外観不
良を生じたりしていた。

さらにカウルアツパパネルの横方向に延びるベ
ンチレータボツクスが中央部でたれ下り、ベンチ
レータボツクスの上部に位置するカウルアツパパ
ネルとの間に隙間が生じて、水密性が低下する問
題があつた。

この考案は、上記した従来の技術が有するイン
ストルメントパネルの取付け困難の解決と、外観
向上を図り、しかも剛性を高めることができるよ
うにした可倒式フロントウインド車の補強装置を
提供しようとするものである。

「問題点を解決するための手段」 この考案の可倒式フロントウインド車の補強装
置は、フロントウインドの下縁をカウルアツパパ
ネルの中間部に枢着して該フロントウインドを前
傾可能に設け、前記カウルアツパパネルの中間部
前方下面にベンチレータボツクスを取付けた車両
において、前記カウルアツパパネルの下方にブラ
ケツトを配設し、該ブラケツトの前端は前記カウ
ルアツパパネルの前端に固定し、該ブラケツトの
後端は前記カウルアツパパネルの中間部に固定し
て該ブラケツトと前記カウルアツパパネルとによ
り箱状断面を形成すると共に該ブラケツトによつ
て前記ベンチレータボツクスの両側を支持し、イ
ンストルメントパネルを取付けるエクステンシヨ
ンパネルを前記カウルアツパパネルの後端に固定
し、前記ブラケツトとエクステンシヨンパネルと
に補強板の両端を固定し、前記ブラケツトとカウ
ルアツパパネルとエクステンシヨンパネルと補強
板とにより箱状断面を形成したことを特徴とする
ものである。

「作用」 上記のように構成すれば、フロントウインドを
前傾させ、あるいは起立させるときに生ずる応力
でカウルアツパパネル及びエクステンシヨンパネ
ルに変形を来たすことがない。したがつてインス
トルメントパネルの取付けが容易となるほか、外
観を損なうこともない。

「実施例」 次に、この考案の一実施例を図について説明す
ると、第１図はフロントウインド傾倒式の自動車
のフロントウインドからインストルメントパネル
にわたつて切断したところを示すものであつて、
１はカウルアツパパネル、２はフロントウインド
である。カウルアツパパネル１の図示しない左側
にはエンジンフードが設けられ、その内部にエン
ジンが搭載されている。３はエンジンルームの後
部に位置するダツシユパネルであつて、ダツシユ
パネル３の上端には、カウルアツパパネル１の前
端が溶接４により接合されている。

カウルアツパパネル１は、溶接４がされている
前端から上方へ若干立上つた後、後方へ向つてほ
ぼ水平に延びており、中間部で再び上方に向い、
さらに後方に向けて直角に曲げられている。

カウルアツパパネル１の中間部前方のほぼ水平
に延びている箇所には孔５が設けられていて、そ
の下面にはベンチレータボツクス６が、上縁部に
シールパツキン７を介して取付けられている。カ
ウルアツパパネル１の下方には、第２図に示す板
状のブラケツト８が配設されていて、ブラケツト
８の前端は下方へ曲げられ、溶接９によりカウル
アツパパネル１の前端立上り部に固定されてい
る。ブラケツト８の後端は上方へ曲げられ、溶接
１０によりカウルアツパパネル１中間部の上方に
向いた箇所に固定されている。そしてブラケツト
８とカウルアツパパネル１とによつて箱状断面が
形成され、ブラケツト８はカウルアツパパネル１
の補強を行なうとともに、ベンチレータボツクス
６の両側を支持補強している。

カウルアツパパネル１の後方に向けて直角に曲
げられている後端には、エクステンシヨンパネル
１１が溶接１３によつて固定されており、エクス
テンシヨンパネル１１には、さらに別のエクステ
ンシヨンパネル１２が溶接１４によつて固定され
ている。エクステンシヨンパネル１２は上方に延
びており、上端にはボルト１５とナツト１６によ
り、インストルメントパネル１７の上端が固定さ
れるようになつている。インストルメントパネル
１７の下端にはステアリングホルダ１８がボルト
１９とナツト２０によつて取付けられている。

カウルアツパパネル１の中間部には、アーム２
１，２２と軸２３によつて形成されているヒンジ
２４の下部のアーム２１がボルト２５とナツト２
６によつて取付けられており、ヒンジ２４の上部
のアーム２２には、ボルト２７とナツト２８によ
つてフロントウインドパネル２９が固定されてい
る。フロントウインドパネル２９はフロントパネ
ル３０とリアパネル３１の接合によつて箱状を成
しており、上部においてウエザストリツプ３２を
介してフロントウインド２を支持し、ヒンジ２４
によりカウルアツパパネル１の中間部に枢着さ
れ、前方に傾倒できるようになつている。フロン
トウインドパネル２９の下側には、シールパツキ
ン３３が取付けられている。

カウルアツパパネル１とその下方のブラケツト
８とで箱状を形成しており、前述のように補強効
果を上げているが、このブラケツト８には第２図
に示すようにボルト３４が溶接により取付けられ
ており、このボルト３４とナツト３５により、ベ
ンチレータボツクス６の側縁を支持している。

ブラケツト８には、第３図に示す補強板３６の
前端が溶接３７によつて固定されており、補強板
３６の後端は、溶接１４によつてエクステンシヨ
ンパネル１１，１２に固定されている。そしてブ
ラケツト８と、カウルアツパパネル１と、エクス
テンシヨンパネル１１と、補強板３６とにより箱
状断面が形成され、ブラケツト８、カウルアツパ
パネル１、エクステンシヨンパネル１１，１２を
補強している。第３図に示すように補強板３６に
はリブ３８が設けられて補強を強化している。

「考案の効果」 この考案は、フロントウインド２の下方にある
カウルアツパパネル１、エクステンシヨンパネル
１１，１２がブラケツト８及び補強板３６により
補強されて剛性が高くなるので、フロントウイン
ド２を前傾させ、あるいは起立させたときに生ず
る応力でカウルアツパパネル１、エクステンシヨ
ンパネル１１，１２に変形をきたすことがなく、
従つてインストルメントパネル１７の取付けが容
易になり、外観の向上を図ることができる。

またベンチレータボツクス６が変位も変形もせ
ず正しい姿勢に保持されるので、カウルアツパパ
ネル１とベンチレータボツクス６との間の水密性
も向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の縦断面図、第２
図はブラケツトの斜視図、第３図は補強板の斜視
図である。 １……カウルアツパパネル、２……フロントウ
インド、６……ベンチレータボツクス、８……ブ
ラケツト、１１，１２……エクステンシヨンパネ
ル、１７……インストルメントパネル、２４……
ヒンジ、３６……補強板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フロントウインドの下縁をカウルアツパパネル
   の中間部に枢着して該フロントウインドを前傾可
   能に設け、前記カウルアツパパネルの中間部前方
   下面にベンチレータボツクスを取付けた車両にお
   いて、前記カウルアツパパネルの下方にブラケツ
   トを配設し、該ブラケツトの前端は前記カウルア
   ツパパネルの前端に固定し、該ブラケツトの後端
   は前記カウルアツパパネルの中間部に固定して該
   ブラケツトと前記カウルアツパパネルとにより箱
   状断面を形成すると共に該ブラケツトによつて前
   記ベンチレータボツクスの両側を支持し、インス
   トルメントパネルを取付けるエクステンシヨンパ
   ネルを前記カウルアツパパネルの後端に固定し、
   前記ブラケツトとエクステンシヨンパネルとに補
   強板の両端を固定し、前記ブラケツトとカウルア
   ツパパネルとエクステンシヨンパネルと補強板と
   により箱状断面を形成したことを特徴とする可倒
   式フロントウインド車の補強装置。