JPH0117500Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 自動車には、一般市街地走行のほか、悪路や山
間地帯など、すべての条件下での走行を可能とし
たものがある。この種の自動車は、屋根を金属板
とせず、幌布を用いて着脱自在ないしは折畳自在
に形成するのが普通である。そしてこの場合、フ
ロントウインドは車体に対して前方に傾斜できる
ようにし、幌布の屋根を取外し、あるいは折畳ん
だときに傾倒することにより、オープンカーとし
ての完全化を図ることが行なわれる。

この考案は、フロントウインドを車体に対して
前方に倒すようにした車体の補強装置に関するも
のである。

「従来の技術」 フロントウインドを前傾可能に枢着する部分の
車体にはベンチレータボツクスがあり、このため
に車体側のパネルは屈折が多く、したがつて１枚
ものの板材、あるいは複数の板材を平面的に接合
して用いて、複雑な形状に対応させている。この
ような従来の構造では、フロントウインドを前傾
させ、あるいは起立させるときの応力により、１
枚の板材からなるフロントウインド枢着部分に変
形を来たし、この部分に取付けるインストルメン
トパネルの取付け困難を生じ、また外観不良も生
じた。また、車体の横幅方向に延びるベンチレー
タボツクスが中央部でたれ下がり、その上部に位
置するカウルアツパパネルとの間に隙間が生じ
て、水密性が低下し、またこれに関連した変形が
生じた。

「考案が解決しようとする問題点」 この考案は、フロントウインドを車体に対して
前方に倒すようにした車体における前述の問題点
を改善し、フロントウインドの下方における車体
の剛性を向上し、フロントウインド枢着部分に変
形が生じないようにすると共に、ベンチレータボ
ツクスを変形しないように支持することを目的と
するものである。

「問題点を解決するための手段」 この考案の車体補強装置は、エンジンルーム後
部に起立するダツシユパネルの上端に前端が接合
され後部上端にヒンジを介してフロントウインド
パネルを前方へ傾斜可能に取付けたカウルアツパ
パネルと、該カウルアツパパネルの中間部に設け
た孔の周囲に下側から当接するベンチレータボツ
クスと、前記ダツシユパネルとカウルアツパパネ
ルの上端とにわたつて固着され前記ベンチレータ
ボツクスの下側を支持する断面Ｌ字形のリーンフ
オースメントパネルと、を備えたことを特徴とす
るものである。

「作用」 上記のように構成すれば、フロントウインドを
前傾させ、あるいは起立させるときに生ずる応力
が車体側部材、特にベンチレータボツクス等に変
形を来たすことがなく、またこれに関連して外観
の向上を図ることができる。

「実施例」 次に、この考案の一実施例を図について説明す
ると、第１図はフロントウインド傾倒式の自動車
のフロントウインドからインストルメントパネル
にわたつて切断したところを示すものであつて、
１はカウルアツパパネル、２はフロントウインド
である。カウルアツパパネル１の図示しない左側
にはエンジンフードが設けられ、その内部にエン
ジンが搭載されている。３はエンジンルームの後
部に位置するダツシユパネルであつて、上端が溶
接４によりカウルアツパパネル１の前端に接合さ
れている。

カウルアツパパネル１の中間部には孔５が設け
られており、その周囲の下側からは、ベンチレー
タボツクス６の上縁部がシールパツキン７を介し
て当接している。カウルアツパパネル１の上部は
車体の後方（図の右方）に向けて直角に曲げられ
ており、ここにエクステンシヨンパネル８，９が
溶接１０，１１で固定されている。エクステンシ
ヨンパネル９は上方に延びており、上端にはボル
ト１２とナツト１３により、インストルメントパ
ネル１４の上端が固定されている。

カウルアツパパネル１の後部上端には、アーム
１５，１６と軸１７によるヒンジ１８の下部がボ
ルト１９とナツト２０によつて取付けられてお
り、上部にボルト２１とナツト２２で固定された
フロントウインドパネル２３を支持している。フ
ロントウインドパネル２３はフロントパネル２４
とリアパネル２５の接合によつて箱状を成してお
り、上部においてウエザストリツプ２６を介して
フロントウインド２を支持している。２７はシー
ルパツキンである。

カウルアツパパネル１の上部内側には第２図に
示すようにＬ字形をしたステー２８が、前述の溶
接１０と、その近傍の溶接２９により取付けられ
ている。このステー２８にはナツト３０が溶接さ
れている。一方、ダツシユパネル３の下部内側に
は、第３図に示すようにＬ字形に折り曲げたブラ
ケツト３１が溶接３２によつて取付けられてい
る。ブラケツト３１にはナツト３３が溶接されて
いる。そしてステー２８とブラケツト３１の間に
は、第４図に示すように断面Ｌ字形に折曲げら
れ、上下端部に孔３４，３５を設けたリーンフオ
ースメントパネル３６が、孔３４，３５に挿通さ
れナツト３０，３３に螺合されるボルト３７，３
８によつて固着されている（第１図参照）。この
状態でリーンフオースメントパネル３６は、ベン
チレータボツクス６の下側を支えることになる。

「考案の効果」 この考案は断面Ｌ字形の剛性の強いリーンフオ
ースメントパネル３６をダツシユパネル３とカウ
ルアツパパネル１の上端にわたつて固着したの
で、フロントウインドパネル２３を支持している
カウルアツパパネル１の剛性が強化され、フロン
トウインド２を前方へ傾斜したときも変形を生ず
ることなく、前方へ傾斜したフロントウインド２
を支えることができる。

またベンチレータボツクス６は下側を剛性の高
いリーンフオースメントパネル３６によつて支え
られており、カウルアツパパネル１が変形しない
ことと相俟つて、ベンチレータボツクス６が変位
も変形もせず正しい姿勢に保持されるので、従来
は中間部分が垂下して水密性を損なつていたベン
チレータボツクス６も、カウルアツパパネル１と
の水密性を確実に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の縦断面図、第２
図はステーの斜視図、第３図はブラケツトの斜視
図、第４図はリーンフオースメントパネルの斜視
図である。 １……カウルアツパパネル、３……ダツシユパ
ネル、５……孔、６……ベンチレータボツクス、
１８……ヒンジ、２３……フロントウインドパネ
ル、３６……リーンフオースメントパネル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンルーム後部に起立するダツシユパネル
   の上端に前端が接合され後部上端にヒンジを介し
   てフロントウインドパネルを前方へ傾斜可能に取
   付けたカウルアツパパネルと、該カウルアツパパ
   ネルの中間部に設けた孔の周囲に下側から当接す
   るベンチレータボツクスと、前記ダツシユパネル
   とカウルアツパパネルの上端とにわたつて固着さ
   れ前記ベンチレータボツクスの下側を支持する断
   面Ｌ字形のリーンフオースメントパネルと、を備
   えたことを特徴とする車体の補強装置。