JPH0319339B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、既設の縦葺屋根上を覆つて葺く葺替
縦葺屋根に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、第２図、第３図に示すように、母屋１上
にこれらと直交させて垂木２を固定し、垂木２上
に野地板３を敷設し、野地板３上に長尺の屋根板
４（後述の古い屋根板）を縦葺きした屋根が広く
用いられている。この縦葺屋根では、垂木２上に
野地板３を介して芯材５を設け、隣接する屋根板
４（後述の古い屋根板）の相対向する側縁立上り
部４ａとこれらの上端部間に介在させた包み板６
をはぜ継ぎして前記芯材５を覆う、瓦棒式と呼ば
れる構造によつて隣接する屋根板４（後述の古い
屋根板）を建物の間口方向に連結している。

そして、このような縦葺屋根が古くなつた場合
などにこの縦葺屋根上にこれをそのまま覆つて新
しい屋根を葺くことが、古い屋根板４を除去する
手数を省くためと、居住者がそのまま居住できる
ために、近時行われるようになつた。

また、例えば特願昭59−8520号（特開昭60−
152760号）の明細書および図面に記載したよう
に、新設の縦葺屋根として、母屋上に垂木を兼ね
た長尺の支持金具を固定し、この支持金具と押え
金具とで隣接する屋根板の側立上り部を嵌合支持
すると共に、これらを金属カバーで覆つたもの
を、発明の出願人は先に提案している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかし、前述した縦葺屋根の葺替には、各部材
を葺替用に別個に設計、製作しており、コスト高
になると共に、発注から葺替完了までに時日が長
くかかり、また葺替時の作業性が悪いという問題
点があつた。

本発明は、前述した問題点を解決して、新設の
縦葺屋根の部材、製作設備の利用と、作業性の向
上を図り、安価にし、また強風に耐えられるよう
にした葺替縦葺屋根を提供することを目的として
いる。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明は、隣接する古い屋根板の相対向する側
縁立上り部を包み板ではぜ継ぎした古い縦葺屋根
板上を覆つて葺く葺替縦葺屋根において、古い屋
根板の側縁立上り部および包み板上を覆う長尺の
支持金具を垂木に固定具で固定し、前記支持金具
の両側壁外側に突出させた突起部に古い屋根板上
を覆う新しい屋根板の側縁立上り部に形成した嵌
合部を外側から嵌合支持させ、支持金具の上壁両
側部に突出させた係合凸部に押え金具の係合凹部
を係合させ、支持金具の両側壁と押え金具の外側
壁との間に下面が開口する溝を形成し、これらの
溝に新しい屋根板の嵌合部より上方に形成した折
返し弯曲部を嵌めて溝の外側壁に支持し、前記押
え金具、支持金具および新しい屋根板の側縁立上
り部を金属カバーで覆い、このカバーの両側板下
端部を新しい屋根板の側縁立上り部の嵌合部より
下方に弾持させたものである。

〔作用〕

本発明の葺替縦葺屋根は、前述したように構成
したので、支持金具および押え金具を除き、新設
の縦葺屋根と同じ部材や新設の縦葺屋根の部材を
製作するものと同様な設備で製作でき、また縦葺
屋根を葺く作業に塑性変形作業をなくして作業性
をよくすることができると共に、新設の屋根を葺
くのに近似した作業で葺替屋根が得られるように
し、作業性の向上と、コストダウンを可能とし、
さらに支持金具と押え金具を別部材とし、これら
の間に新しい屋根板の側縁立上り部の上端部に設
けた折返し弯曲部を挾み込むことで、強風にも十
分に耐えられるようにしたものである。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例につき図を参照して説
明する。

第１図乃至第３図において、１は母屋、２は垂
木、３は野地板であり、４は古い屋根板、５は芯
材、６は包み板であり、これらは前述した通りの
構成であり、本実施例は屋根板４、芯材５および
包み板６が古くなつた場合などに、これらをその
まま除去せずに覆つて縦葺きする屋根である。

７，８はアルミニウムまたはアルミニウム合金
のような金属の押出型材からなる支持金具、押え
金具である。支持金具７は、上壁７ａの左、右両
側部上に断面Ｔ字型の係合凸部７ｂがそれぞれ突
設され、上壁７ａの中央部に凹溝７ｃが形成さ
れ、上壁７ａの両側端から側壁７ｄがそれぞれ垂
下され、両側壁７ｄの下端から外側にほぼ直角に
フランジ７ｅが突設され、両側壁７ｄの上下方向
中間部から斜め下方に突起部７ｆが突設された断
面形状に構成されている。支持金具７は、フラン
ジ７ｅを隣接する屋根板４上に支持して、これら
の側縁立上り部４ａおよび包み板６を覆い、上壁
７ａの凹溝７ｃの底上から包み板６、芯材５、野
地板３を貫通して垂木２に達する釘、木ねじのよ
うな固定具９によつて垂木２に固定する。

１０は亜鉛メツキ鋼板、塗装鋼板などの金属板
からなる屋根板であり、第４図、第５図にも示す
ように、左、右両側縁立上り部１０ａが形成さ
れ、これらの立上り部１０ａは斜め上方に傾斜す
る下部１０ｂ上に屋根板中央側に突出する嵌合部
１０ｃが形成され、嵌合部１０ｃ上の上端部に断
面ほぼ逆Ｕ字型の折返し弯曲部１０ｄが形成さ
れ、また棟軒方向の一端部１０ｅが上方に直角に
屈曲されてさらに外側に直角に屈曲され、他端部
１０ｆが斜め上方に屈曲されて下方に屈曲されさ
らに外側に屈曲されている。屋根板１０は古い屋
根板４上を覆つて、前記立上り部１０ａの嵌合部
１０ｃが支持金具７の両側壁７ｄ外側に突出させ
た突起部７ｆに外側から嵌合支持させてある。

前記押え金具８は、左、右両側に分けて２部材
によつて長尺または長手方向に分割して所要間隔
に配設され、また相対向する内側部８ａに逆Ｔ字
型の係合凹部８ｂが形成され、内側部８ａより長
く下方に突出した外側壁８ｃが上壁８ｄから垂下
された断面形状に構成されている。押え金具８
は、係合凹部８ｂを支持金具７の係合凸部７ｂに
上方または端面側からの圧入嵌合によつて係合さ
せ、支持金具７の両側壁７ｄと外側壁８ｃの間に
下面が開口する溝１１を形成させ、溝１１内に新
しい屋根板１０の折返し弯曲部１０ｄを嵌め、弯
曲部１０ｄを溝１１の側壁である側壁７ｄと外側
壁８ｃに左右各１個所ずつ弾性支持させてある。

１２は屋根板１０と同材質でこれらと同等以上
の厚さをもつ金属板からなる長尺の金属カバーで
あり、金属カバー１２は上板１２ａの幅方向中央
部に凹部１２ｂが形成され、上板１２ａの両側端
から垂下された側板１２ｃの下部に外側に膨出す
る膨出部１２ｄが形成され、膨出部１２ｄの下方
に外下方に拡がる下端部１２ｅが形成され、下端
部１２ｅには外側に折り重ねられたはぜ折り部が
設けられた断面形状に構成されている。金属カバ
ー１２は、上方から押し込まれて、押え金具８、
支持金具７および新しい屋根板１０の立上り部１
０ａを覆い、前記カバー１２の凹部１２ｂを、
左、右押え金具８間の隙間１３に嵌めて、凹部１
２ｂの上端部裏面を押え金具８の対向する内側上
隅部に支持させ、側板１２ｃを押え金具８の外側
壁８ｃ下端の外側に曲がつた部分に当接させて、
下端部１２ｅを屋根板１０の立上り部１０ａの傾
斜した下部１０ｂに弾持させてある。

なお、屋根板１０は、第３図、第５図に示すよ
うに、棟軒方向に複数板を用い、軒側の屋根板１
０の一端部１０ｅ上に棟側に隣接する屋根板１０
の他端部１０ｆに設けた傾斜部を支持して、他端
部１０ｆの先端フランジが軒側の屋根板１０上に
支持させてある。

本実施例の葺替縦葺屋根では、前述したように
構成した金属カバー１２が本発明の出願人が先に
提案したものと同様な部材でよく、屋根板１０も
先に提案したものと同じ断面形状であるために、
同様な設備で成形でき、支持金具７、押え金具８
を新設屋根用のものと変えればよい。

また、本実施例のものでは、支持金具７は固定
具９を用いて垂木２に固定するが、支持金具７に
対する押え金具８の取付は係合であり、これらと
屋根板１０とは圧入嵌合でよく、金属カバー１２
も圧入嵌合であり、かしめ機などを用いて塑性変
形させる部材がなく、また先に提案したものと近
似した作業で、古い屋根上に葺くことができるの
で作業性がよい。

さらに、本実施例のものは、支持金具７と押え
金具８を別部材とし、押え金具８も左右別部材と
しているので、屋根板１０の立上り部１０ａを支
持金具７と押え金具８で確実に弾性挾持でき、圧
入嵌合方式であつても強い風圧に十分に耐えられ
る。

そして、本実施例のものは、支持金具７、押え
金具８と屋根板１０の立上り部１０ａ、金属カバ
ー１２と押え金具８、屋根板１０との合計当接部
の数が多い上に、当接部間には毛細管現象を起さ
ない大きさの隙間があるために、雨水などの侵入
を確実に防止できる。

本発明において、屋根板は長尺にしてもよく、
このようにすれば先に提案した新設の縦葺屋根の
屋根板と共用でき、また支持金具の係合凸部はほ
ぼ二等辺三角形状の断面にすれば上方から押え金
具の係合凹部を圧入により係合させやすい。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明の葺替縦葺屋根は、
古い屋根板の側縁立上り部および包み板上を覆う
支持金具を固定具で垂木に固定し、前記支持金具
と係合した押え金具の側壁間に形成した溝に隣接
する新しい屋根板の側縁立上り部の折返し弯曲部
を嵌合支持させると共に、支持金具の両側壁に設
けた突起部に新しい屋根板の前記立上り部に設け
た嵌合部を外側から嵌め、さらにこれらを金属カ
バーで覆つて、このカバーの下端部を前記立上り
部に弾性支持させたので、かしめ機などで塑性変
形させる部材がなく、また先に提案した新設屋根
の場合と近似した作業で屋根を作業性よく葺替え
ることができると共に、先に提案した新設屋根と
同じ部材や同じ設備で製作できる部材を使用でき
ることにより、コストダウンが可能になる上に受
注から葺替完了までの工期を短縮することがで
き、さらに強風にも耐えられる縦葺屋根を提供で
きるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の要部を示す拡大垂
直断面図、第２図は同部分垂直断面図、第３図は
同一部を切欠いた概略斜視図、第４図は同屋根板
の連結状態を示す概略垂直断面側面図、第５図は
同屋根板の部分斜視図である。 ２……垂木、４……古い屋根板、４ａ……側縁
立上り部、６……包み板、７……支持金具、７ａ
……上壁、７ｂ……係合凸部、７ｄ……側壁、７
ｆ……突起部、８……押え金具、８ｂ……係合凹
部、８ｃ……外側壁、９……固定具、１０……新
しい屋根板、１０ａ……側縁立上り部、１０ｂ…
…下部、１０ｃ……嵌合部、１０ｄ……折返し弯
曲部、１１……溝、１２……金属カバー、１２ａ
……上板、１２ｂ……凹部、１２ｃ……側板、１
２ｄ……膨出部、１２ｅ……下端部、１３……隙
間。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 隣接する古い屋根板の相対向する側縁立上り
   部を包み板ではぜ継ぎした古い縦葺屋根板上を覆
   つて葺く葺替縦葺屋根において、古い屋根板の側
   縁立上り部および包み板上を覆う長尺の支持金具
   を垂木に固定具で固定し、前記支持金具の両側壁
   外側に突出させた突起部に古い屋根板上を覆う新
   しい屋根板の側縁立上り部に形成した嵌合部を外
   側から嵌合支持させ、支持金具の上壁両側部に突
   出させた係合凸部に押え金具の係合凹部を係合さ
   せ、支持金具の両側壁と押え金具の外側壁との間
   に下面が開口する溝を形成し、これらの溝に新し
   い屋根板の嵌合部より上方に形成した折返し弯曲
   部を嵌めて溝の外側壁に支持し、前記押え金具、
   支持金具および新しい屋根板の側縁立上り部を金
   属カバーで覆い、このカバーの両側板下端部を新
   しい屋根板の側縁立上り部の嵌合部より下方に弾
   持させたことを特徴とする葺替縦葺屋根。 ２ 支持金具および押え金具は、アルミニウムの
   押出型材で構成してある特許請求の範囲第１項に
   記載の葺替縦葺屋根。 ３ 押え金具は、互いに断面左右対称形状の２部
   材で構成され、これらの部材の対向部間に隙間を
   形成してある特許請求の範囲第１項または第２項
   に記載の葺替縦葺屋根。 ４ 金属カバーは、両側押え金具間の隙間に上板
   に形成した凹部を嵌めて押え金具に支持させると
   共に、両側板を押え金具の外側壁下端部に当接さ
   せ、これらの当接部下方に外側への膨出部を形成
   し、膨出部下方の下端部を新しい屋根板の側縁立
   上り部に弾持させてある特許請求の範囲第３項記
   載の葺替縦葺屋根。