JPH0316773Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の利用分野］ 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置に用いられて、ウエビング中間部を車体へ支
持させるためのウエビング中間部支持装置に関す
る。

［背景技術］ シートベルト装置のうち、連続ウエビングを用
いたものにあつては、乗員の肩拘束部から巻取装
置へ至るウエビング中間部がスリツプジヨイント
で車体側壁へ支持されている。このスリツプジヨ
イントはウエビング中間部をその長手方向へ自由
に移動可能として乗員の運転姿勢変更に対処して
いる。

またこのスリツプジヨイントは車両緊急時に乗
員の慣性力でウエビングに生じる大きな張力を確
実に車体へ伝達させるために、強固な構造となつ
ており、車体側壁へ確実に取付けられている。

このため通常の体格よりも著しく小さな体格を
有する乗員、子供乗員等がウエビングを装着した
場合には、正規のウエビング装置位置へウエビン
グを装着させるために、不自然な姿勢となつた
り、乗員用シートを大きく移動させる必要があ
る。

［考案の目的］ 本考案は上記事実を考慮し、通常の体格より小
さい乗員が着座した場合にもこれに応じてウエビ
ングの肩拘束部のアンカーポイントを下方へ変更
すると共に、ウエビングをループ部に挿入する場
合の作業性を向上することができるウエビング中
間部支持装置を得ることが目的である。

［考案の構成］ 本考案に係るウエビング中間部支持装置では、
車体側壁へ軸支されてウエビング中間部を巻掛け
るスリツプジヨイントと、このスリツプジヨイン
トと同軸的に回転可能に軸支され先端部には前記
スリツプジヨイントから乗員の肩拘束部へ至るウ
エビング中間部を巻掛け可能とされウエビング巻
掛け時にウエビングの肩拘束部のアンカーポイン
トを下方へ変更するためのループ部が形成される
と共にウエビングに追従して車体前後方向に揺動
可能とされた長尺状のガイド部材とを有し、この
ガイド部材のループ部は一部が前記長手に対して
突出開放されその先端部が首部を介して拡開され
ウエビング挿入用の案内部とされており、乗員は
ウエビングを案内部へ当接させ、その後、この案
内部に沿つてウエビングをループ部へ挿入するこ
とによつて、極めて容易にウエビングをループ部
に挿入できる。これによつて、ウエビングの肩拘
束部のアンカーポイントを下方へ容易に変更でき
るようになつている。また、シートを前方へ移動
した場合等には、長尺状のガイド部がスリツプジ
ヨイントに対して回転することによつて、ウエビ
ングのバスに長尺状のガイド部が追従し、ウエビ
ングがループ部から外れ難くなると共によじれ難
くなる。かつ、シート移動時の乗員への圧迫感を
低減することができる。

［考案の実施例］ 第１図には本実施例に係るウエビング中間部支
持装置１０が適用されたシートベルト装置が示さ
れている。

このシートベルト装置では乗員拘束用ウエビン
グ１２でシート１４へ着座した乗員１６を車両緊
急時に拘束状態とするようになつている。このウ
エビング１２の一端は車体側壁１８へ固着された
アンカープレート２０へ係止されており、中間部
はタングプレート２２、ウエビング中間部支持装
置１０で折り返された後に巻取装置２４へ巻取ら
れている。この巻取装置２４は車体側壁１８へ取
付けられており、ウエビング１２の一端を付勢力
で巻取るが、車両緊急時にはウエビング１２の巻
出しを瞬時に停止させるイナーシヤロツク機構が
内蔵されている。

またタングプレート２２はバツクル装置２６へ
係合可能であり、このバツクル装置２６は車両略
中央部の床部から突出されるトンネル部２８へ固
着されてシート１４の側方に立設している。

ウエビング中間部支持装置１０について第２，
３図に従い詳細に説明する。このウエビング中間
部支持装置１０にはスリツプジヨイントを構成す
るウエビング巻掛リング３０及び接続板３２が車
体側壁１８へ取付けられている。すなわちウエビ
ング巻掛リング３０は断面円形の丸棒の軸線が長
円状に屈曲されており、その一辺はウエビング巻
掛部３０Ａとされている。また他の一辺は接続板
３２へ固着されており、この接続板３２がボルト
３４で車体側壁１８へ取付けられている。ボルト
３４にはスペーサ３６が取付けられており、これ
によつてウエビング巻掛リング３０、接続板３２
がボルト３４の軸心回りに回転可能となつてい
る。

スペーサ３６へは長尺状のガイド部材３８の一
端が係止されている。このガイド部材３８は断面
円形の丸棒から屈曲されており、一端部に形成さ
れる円形ループ部４０へはボルト３４が車体側壁
１８へ螺合される前に貫通されるようになつてお
り、これによつてガイド部材３８がボルト３４回
りに回転可能であり、これによつてウエビング巻
掛リング３０と同軸的に軸支されるようになつて
いる。

ガイド部材３８の先端部には長円ループ部４２
が形成されており、この長円ループ部４２の端部
に近い一辺はウエビング巻掛部４２Ａとなつてい
る。また長円ループ部４２は一部がガイド部材３
８の長手、即ちガイド部材３８の中間部の延長線
上に対して突出開放され、その先端部が首部４２
Ｂを介して拡開され、ウエビング挿入用の案内部
４２Ｃとされている。これによつてこの挿通開口
４４を通してウエビング１２の中間部が長円ルー
プ部４２内へ挿入されるようになつている。

この挿通開口４４はウエビング巻掛部４２Ａへ
巻掛けられるウエビング１２よりも車両後方に配
置されて不用意なウエビング離脱が防止されてい
る。

このように構成される本実施例では、巻取装置
２４から引出されたウエビング１２が第２図に示
される如くガイド部材３８よりも車内側を通過し
てウエビング巻掛部３０Ａへ巻掛けて折り返さ
れ、タングプレート２２へ至つている。従つて乗
員１６はシート１４へ着座した後にタングプレー
ト２２をバツクル装置２６へ係合させれば第１図
に示される如く３点式シートベルト装置の接着状
態となることができる。この場合タングプレート
２２とウエビング中間部支持装置１０との間のウ
エビング１２は肩拘束部として、タングプレート
２２とアンカープレート２０との間のウエビング
１２は腰拘束部として作用する。

車両緊急時には巻取装置２４がウエビング１２
の引出しを停止させるので、乗員１６はウエビン
グ１２によつて拘束状態となる。乗員１６の慣性
力によつてウエビング１２に生ずる大きな張力
は、ウエビング巻掛リング３０、接続板３２、ボ
ルト３４を介して車体側壁１８へ伝達されるの
で、乗員の拘束状態が維持される。

次に通常の体格よりも小さな体格を有する例え
ば子供乗員がシート１４へ着座した場合には、ウ
エビング１２の中間部を長円ループ部４２へ挿入
させることによりアンカーポイントを変更でき
る。すなわちウエビング巻掛リング３０とタング
プレート２２との間のウエビング１２の中間部又
はこれに加えてウエビング巻掛リング３０と巻取
装置２４との間のウエビング１２の中間部を第２
図２点鎖線で示される如く長円ループ部４２へ挿
入してウエビング巻掛部４２Ａへ巻掛ける。この
動作は挿通開口４４を通してウエビング１２を挿
入すると共に、ガイド部材３８をウエビング巻掛
リング３０に対して回転し、ガイド部材３８とウ
エビング巻掛リング３０との角度を広げることに
より容易に行なわれる。これによつて肩拘束部の
実質的な車体係止部は長円ループ部４２部分とな
り、小さな体格を有する乗員にも適切なウエビン
グ装着状態となる。

このような体格の小さな乗員が装着した後に、
車両が緊急状態になると、ウエビング１２に生ず
る張力は長円ループ部４２を介して、又はこれと
ウエビング巻掛リング３０を介して車体側壁１８
へ伝達されることになるが、ガイド部材３８はボ
ルト３４で確実に車体側壁１８へ支持されている
ので、拘束状態が保証される。

また、ガイド部材３８はウエビング巻掛リング
３０と共にボルト３４の軸回りに回転可能である
ため、乗員がシートを前方へ移動した場合には、
長尺状のガイド部がスリツプジヨイントに対して
回転することによつて、ウエビングのバスに長尺
状のガイド部が追従し、ウエビングがループ部か
ら外れ難くなると共によじれ難くなる。かつ、シ
ート移動時の乗員への圧迫感を低減することがで
きる。

なお、上記実施例で長円ループ部４２の大きさ
を調節することにより、車両緊急時にウエビング
巻掛部４２Ａへの巻掛部分におけるウエビング相
互の摩擦力でウエビング１２の長手方向移動を阻
止することもできる。

［考案の効果］ 以上説明した如く本考案に係るウエビング中間
部支持装置は、乗員の肩拘束部から巻取装置へ至
るウエビング中間部を車体へ支持させるウエビン
グ中間部支持装置であつて、車体側壁へ軸支され
てウエビング中間部を巻掛けるスリツプジヨイン
トと、このスリツプジヨイントと同軸的に回転可
能に軸支され先端部には前記スリツプジヨイント
から乗員の肩拘束部へ至るウエビング中間部を巻
掛け可能とされたウエビング巻掛け時にウエビン
グの肩拘束部のアンカーポイントを下方へ変更す
るためのループ部が形成されると共にウエビング
に追従して車体前後方向に揺動可能とされた長尺
状のガイド部材とを有し、このガイド部材のルー
プ部は一部が前記長手に対して突出開放されその
先端部が首部を介して拡開されウエビング挿入用
の案内部とされる特有なものとなつている。

よつて、必要に応じて乗員が長尺状のガイド部
材のループ部へウエビングを挿入してウエビング
の肩拘束部のアンカーポイントを下方へ容易に変
更することが可能であり、また、乗員がシートを
前方へ移動した場合には、長尺状のガイド部がス
リツプジヨイントに対して回転することによつ
て、ウエビングのパスに長尺状のガイド部が追従
し、ウエビングがループ部から外れ難くなると共
によじれ難くなり、かつ、シート移動時の乗員へ
の圧迫感を低減することができる、という特有な
効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るウエビング中間部支持装
置の実施例が適用されたシートベルト装置を示す
車両側方から見た正面図、第２図は第１図−
線断面図、第３図はガイド部材を示す正面図であ
る。 １０……ウエビング中間部支持装置、１２……
ウエビング、１６……乗員、１８……車体側壁、
３０……ウエビング巻掛リング、３０Ａ……ウエ
ビング巻掛部、３８……ガイド部材、４２……長
円ループ部、４２Ａ……ウエビング巻掛部、４
４，４６……挿通開口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 乗員の肩拘束部から巻取装置へ至るウエビング
   中間部を車体へ支持させるウエビング中間部支持
   装置であつて、車体側壁へ軸支されてウエビング
   中間部を巻掛けるスリツプジヨイントと、このス
   リツプジヨイントと同軸的に回転可能に軸支され
   先端部には前記スリツプジヨイントから乗員の肩
   拘束部へ至るウエビング中間部を巻掛け可能とさ
   れウエビング巻掛け時にウエビングの肩拘束部の
   アンカーポイントを下方へ変更するためのループ
   部が形成されると共にウエビングに追従して車体
   前後方向に揺動可能とされた長尺状のガイド部材
   とを有し、このガイド部材のループ部は一部が前
   記長手に対して突出開放されその先端部が首部を
   介して拡開されウエビング挿入用の案内部とされ
   ることを特徴としたウエビング中間部支持装置。