JPH0511095Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は乗員のウエビング装着操作を補助する
ためのウエビング装着補助装置に関する。

［従来の技術］ 車両用シートベルト装置としては、連続ウエビ
ングを用いて三点式シートベルト装置としたもの
がある。

この種のシートベルト装置では、ウエビングは
一端部が巻取装置へ係止され、他端部がスリツプ
ジヨイントを通つてアンカープレートに係止され
ている。このウエビングはウエビング非装着状態
では、一端部が巻取装置に巻き取られるので、他
端部付近はシートへ着座した乗員の側部後方で車
体に沿つて配置されることになる。

一方、このウエビングを装着する場合には乗員
がアンカープレートとスリツプジヨイントとの間
のウエビング中間部に配設されたタングプレート
をバツクル装置に係合することによりウエビング
中間部が巻取装置から引出されるようになつてい
る。

ところで、ウエビング非装着状態でウエビング
が乗員の側部後方に格納されていると、車種ある
いは乗員の着座位置によつては、着座した乗員と
この乗員が把持するウエビングとの間の距離が車
体前後方向に長くなる場合がある。この場合、乗
員はウエビング装着時に上体を大きく車両後方へ
捩つた状態でアンカープレートとスリツプジヨイ
ントとの間のウエビング中間部又は、タングプレ
ートをつかんでウエビング中間部を巻取装置から
引き出さなければならない。このため、従来で
は、ウエビングの引出操作を容易にするためのウ
エビング装着補助装置が考えられていた。

このウエビング装着補助装置では、一端部が車
体に揺動可能に支持され他端部にウエビング中間
部が挿通されてスライド可能に支持するベルトガ
イドを備えている。

乗員がウエビングを装着する際には、前記ベル
トガイドが車体前方側へ揺動した状態となること
によりウエビング中間部が乗員のドア側の腕近傍
に位置し、これによつて、乗員はウエビング中間
部を容易に握持して引き出しタングプレートをバ
ツクル装置に係合することができる。

ところで、このような従来のウエビング装着補
助装置では、乗員がウエビングを装着する際にウ
エビング中間部を乗員の腕近傍に位置させてウエ
ビング装着操作性をある程度は向上させることが
できるものの、ウエビング中間部を支持する前記
ベルトガイドが単に車体前後方側へ揺動可能とさ
れた構成であるため、乗員の体格やシート位置に
対応して前記ウエビング中間部の支持位置を設定
することができない欠点があつた。

すなわち、従来のウエビング装着補助装置で
は、車体前方側へ揺動した状態の前記ベルトガイ
ドによるウエビン中間部の支持位置が乗員の体格
やシート位置に拘わらず一定位置であつたため、
異なる体格の乗員が着座した場合やシート位置を
異ならせて位置決めした場合には、前記ベルトガ
イドによるウエビン中間部の支持位置が最適位置
とならない場合が生じた。

このように、従来のウエビング装着補助装置で
は、ウエビング装着操作性を乗員の体格やシート
位置に拘わらず向上させる、という点において
は、未だ不充分であつた。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案は上記事実を考慮し、ウエビング装着操
作性を乗員の体格やシート位置に拘わらず向上す
ることができ、かつこれを簡単な構成により実現
できるウエビング装着補助装置を得ることが目的
である。

［問題点を解決するための手段］ 本考案に係るウエビング挿着補助装置は、一端
部が車体に固定され乗員の側方へ向けて突出する
長さを調整可能なアームと、このアームの他端部
に揺動可能に取り付けられるとともにスリツプジ
ヨイントとアンカープレートとの間のウエビング
中間部が挿通されてウエビング中間部を長手方向
へスライド可能に常に支持するベルトガイドと、
を備えている。

［作用］ 上記構成のウエビング装着補助装置では、必要
に応じて乗員が手動操作することにより、アーム
を任意の長さに変更することができ、これによ
り、ベルトガイドが車体前後方向へ移動されて位
置決めされる。

この場合、アーム長を長くした場合には、ベル
トガイドは車体前方側に位置されることになり、
アンカープレートとベルトガイドとの間のウエビ
ング中間部も車体前方側で支持される。したがつ
て、小さな体格の乗員が着座した場合や車体前方
側へシートが位置決めされた場合に適しており、
ベルトガイドに支持されるウエビング中間部は乗
員のドア側の腕近傍に位置されることになり、乗
員はウエビング中間部を容易に握持して引き出し
タングプレートをバツクル装置に係合することが
できる。

一方、アーム長を短くした場合には、ベルトガ
イドは車体後方側に位置されることになり、アン
カープレートとベルトガイドとの間のウエビング
中間部は車体後方側で支持される。したがつて、
大きな体格の乗員が着座した場合や車体後方側へ
シートが位置決めされた場合に適しており、ベル
トガイドに支持されるウエビング中間部は、この
場合にも乗員のドア側の腕近傍に位置されること
になり、乗員はウエビング中間部を容易に握持し
て引き出しタングプレートをバツクル装置に係合
することができる。

さらに、最もアーム長を短くした場合には、ベ
ルトガイドは乗員（シート）の後方に格納される
こととなり、ウエビング中間部もシートの後方側
に位置される。したがつて、ウエビングを装着し
ない場合や後席乗員の乗降の際に適しており、後
席乗員の乗降性を阻害することがない。

このように、ウエビング装着操作性を乗員の体
格やシート位置に拘わらず向上することができ、
かつこれを簡単な構成により実現できる。

［実施例］ 第１図から第３図には、本考案に係るウエビン
グ装着補助装置の実施例が適用されたシートベル
ト装置が示されている。なお、このシートベルト
装置は所謂２ドアタイプの自動車に装備されてい
る。すなわち、この自動車では、前席のシート１
１のシートバツク１１Ａを前に倒すことで後席の
シートへの乗員の乗降が行われるようになつてい
る。

このシートベルト装置では、第１図に示される
ようにウエビング１０は一端がセンターピラー１
２の下端部に取り付けられたアンカープレート１
４へ係止されており、他端がタングプレート１
６、スリツプジヨイント１８の各開口を順次通つ
て巻取装置２０へ付勢力で巻き取られている。な
お、アンカープレート１４はボルト１３で揺動可
能にセンターピラー１２へ軸支されている。

タングプレート１６は車両略中央に立設された
バツクル装置２４へ係合可能でウエビング１０の
長手方向へ揺動可能とされている。

スリツプジヨイント１８はボルト２６でセンタ
ーピラー１２の上端部に取り付けられている。こ
のボルト２６には、第３図に示されるように軸部
に段差が形成されており、スリツプジヨイント１
８を揺動可能に軸支している。

巻取装置２０はセンターピラー１２の上下方向
中間部へ取り付けられている。この巻取装置２０
には、車両緊急時にウエビング１０の引き出しを
瞬時に停止させるイナーシヤロツク機構（図示省
略）が内蔵されている。

このように構成されているシートベルト装置に
は、ウエビング装着補助装置２８が取り付けられ
ている。このウエビング挿着補助装置２８は第３
図に示されるようにベルトガイド３０と、アーム
３２とを備え、アーム支持プレート３４を介して
車体に取り付けられている。

アーム支持プレート３４はスリツプジヨイント
１８とセンターピラー１２との間に配設されて、
ボルト２６を介してセンターピラー１２に取り付
けられている。このアーム支持プレート３４に
は、周縁部からセンターピラー１２側へ向つて突
出された嵌合突起３６が形成されている 嵌合突起３６はセンターピラー１２の上端部に
形成された図示しない嵌合孔に嵌合されて、アー
ム支持プレート３４の回転を阻止している。ま
た、アーム支持プレート３４には、軸線が車体前
後方向へ延びる軸受部３４Ａが形成されており、
アーム３２を支持している。

アーム３２は太径部３２Ａと中径部３２Ｂと細
径部３２Ｃとからロツドアンナテ状に構成されて
いて、引張力又は圧縮力を受けて任意の長さとな
るようになつている。なお、太径部３２Ａ、中径
部３２Ｂ及び細径部３２Ｃには、それぞれ図示し
ないストツパーが設けられており、中径部３２Ｂ
の太径部３２Ａからの抜け出し及び細径部３２Ｃ
の中径部３２Ｃからの抜け出しを阻止している。
すなわち、アーム３２は細径部３２Ｃが中径部３
２Ｂから最大長さ突出されるとともに中径部３２
Ｂが太径部３２Ａから最大長さ突出されると、最
長長さとなり、細径部３２Ｃが中径部３２Ｂ内に
略全長収容されるとともに中径部３２Ｂが太径部
３２Ａ内に略全長収容されると最短長さとなる。
このアーム３２の太径部３２Ａはアーム支持プレ
ート３４の軸受部３４Ａにスライド可能に支持さ
れている。なお、太径部３２Ａ及び軸受部３４Ａ
には、それぞれ図示しないストツパーが設けられ
ており、太径部３２Ａの軸受部３４Ａからの抜け
出しを阻止している。すなわち、アーム３２の太
径部３２Ａは圧縮力により、中径部３２Ｂ及び細
径部３２Ｃとともに軸受部３４内に略全長格納可
能とされている。また、このアーム３２の太径部
３２Ａは引張力により、中径部３２Ｂ及び細径部
３２Ｃとともに軸受部３４内から略全長車体前方
へ向つて突出可能とされている。

このアーム３２の細径部３２Ｃ先端には、ベル
トガイド３０が球継手３１を介して揺動可能に取
り付けられている。球継手３１は球体３１Ａがベ
ルトガイド３０へ固着され、この球体３１Ａが緊
密に入り込むケース３１Ｂがアーム３２の細径部
３２Ｃ先端へ一体的に固着されている。

このベルトガイド３０には、スリツプジヨイン
ト１８とアンカープレート１４との間のウエビン
グ中間部が長手方向へスライド可能に挿通されて
いる。

次に本実施例の作用を説明する。

第１図に一点鎖線で示されているのは、乗員が
ウエビング１０を装着していない状態を示す図で
ある。この状態では、タングプレート１６はバツ
クル装置２４に係合されておらず、ウエビング１
０は巻取装置２０の付勢力で巻き取られてセンタ
ーピラー１２に沿つて上下方向に位置している。
アーム３２は太径部３２Ａが中径部３２Ｂ及び細
径部３２Ｃとともにアーム支持プレート３４の軸
受部３４Ａ内に略全長格納されていて、ベルトガ
イド３０をセンターピラー１２の近傍の位置に支
持している。

シート１１に着座した乗員がウエビング１０を
装着する場合には、始めに乗員によりベルトガイ
ド３０が車体前方へ引き出されて第１図に実線で
示されるように乗員の肩部近傍に位置される。こ
の際、アーム３２は引張力を受けてベルトガイド
３０の位置に応じた任意の長さとなる。

この操作により、ベルトガイド３０とアンカー
プレート１４との間のウエビング中間部は乗員の
ドア側の腕近傍に斜めに位置される。

この操作後、ベルトガイド３０とアンカープレ
ート１４との間のウエビング中間部は乗員により
バツクル装置側へ引出される。この際、ウエビン
グ１０は捩られながら引き出され、このウエビン
グ１０の捩れによりベルトガイド３０はウエビン
グ１０から揺動力を受け、この揺動力で、球継手
３を中心にウエビング１０に倣つて揺動される。

次に、乗員により、タングプレート１６がバツ
クル装置２４に係合される。これにより、ウエビ
ング１０は第２図に示されるようにスリツプジヨ
イント１８とタングプレート１６との間が乗員の
胸部に位置してシヨルダウエビングとして作用
し、タングプレート１６とアンカープレート１４
との間が乗員の腰部に位置してラツプウエビング
として作用する。この状態でのベルトガイド３０
は、球継手３１を中心にウエビング中間部がバツ
クル装置側へ引き出される前の状態から90°揺動
されている。

乗員がウエビング装着状態を解除する場合に
は、乗員により、タングプレート１６がバツクル
装置２４から取り外されて、アンカープレート１
４とスリツプジヨイント１８との間のウエビング
中間部が巻取装置２０の付勢力で巻き取られる。
この際、巻取装置２０の付勢力によりアーム３２
はベルトガイド３０を介してウエビング１０から
圧縮力を受けるが、この場合の圧縮力はアーム３
２の長さを短くするのに必要な所定の圧縮力より
も小さく、アーム３２の長さが短くなることはな
い。これにより、ウエビング１０は第１図に実線
で示されるように、アンカープレート１４とベル
トガイド３０との間のウエビング中間部が乗員の
ドア側の腕近傍に斜めに位置される。

したがつて、アンカープレート１４とベルトガ
イド３０との間のウエビング中間部は２回目から
のウエビング装着前には、乗員のドア側の腕近傍
に位置されているので、乗員は状態を大きく捩る
必要がなく、従来の３点式シートベルト装置に比
べ、ウエビング１０の引き出し操作が容易にな
る。

一方、アーム３２の長さを上記状態よりも若干
短くした場合には、ベルトガイド３０は上記位置
よりも若干車体後方側に位置されることになり、
アンカープレート１４とベルトガイド３０との間
にウエビング中間部は上記位置よりも若干車体後
方側で支持される。したがつて、大きな体格の乗
員が着座した場合や車体後方側へシート１１が位
置決めされた場合に適しており、ベルトガイド３
０に支持されるウエビング中間部は、この場合に
も乗員のドア側の腕近傍に位置されることにな
り、乗員はウエビング中間部を容易に握持して引
き出しタングプレート１６をバツクル装置２４に
係合することができる。

さらに、上記各状態で乗員が前席のシートバツ
クル１１Ａを前に倒して後席へ乗車したり、後席
から降車する場合には、アーム３２に圧縮力を与
えてアーム３２を第１図に一点鎖線で示される格
納状態（最も短い状態）に戻せばよい。この操作
により、ベルトガイド３０とともにウエビング１
０も移動されて第１図に一点鎖線で示される状態
に戻るので、ウエビング１０及びアーム３２が乗
員の後席への昇降動作を妨げることはない。

このように本実施例では、必要に応じて乗員が
手動操作することにより、アーム３２を任意の長
さに変更することができ、これにより、ベルトガ
イド３０が車体前後方向へ移動されて位置決めさ
れてウエビング中間部の支持位置を変更すること
ができる。したがつて、乗員の体格やシート位置
に拘わらずウエビング装着操作性を向上すること
ができ、また、乗員の乗降動作を妨げることもな
い。さらに、複雑な駆動装置等を用いることなく
簡単な構成とされているため、コストの低減も図
ることができる。

また、本実施例では、ベルトガイド３０はアー
ム３２に揺動可能に取り付けられているので、ウ
エビング装着状態の乗員が着座姿勢を変えた場合
でもウエビング１０の移動に追従して揺動され
る。したがつて、ウエビング１０はベルトガイド
３０の部分で捩れることがなく、乗員に常にフイ
ツトし、快適なウエビング装着感を得ることがで
きる。

また、アーム３２内に圧縮コイルばねを装着
し、圧縮コイルばねの付勢力でアーム３２を常に
最長長さに支持するようにしてもよい。この場合
には、ベルトガイド３０は常に乗員の肩部近傍に
位置されるので、ウエビング装着操作時のベルト
ガイド３０の引き出し操作が省略される。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案に係るウエビング装
着補助装置では、一端部が車体に固定され乗員の
側方へ向けて突出する長さを調整可能なアーム
と、このアームの他端部に揺動可能に取り付けら
れるとともにスリツプジヨイントとアンカープレ
ートとの間のウエビング中間部が挿通されてウエ
ビング中間部を長手方向へスライド可能に常に支
持するベルトガイドと、を備えているので、ウエ
ビング装着操作性を乗員の体格やシート位置に拘
わらず向上することができ、かつこれを簡単な構
成により実現できる優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るウエビング装着補助装置
の実施例が適用されたシートベルト装置の非装着
状態を示す説明図、第２図は第１図のシートベル
ト装置の装着状態を示す説明図、第３図は第１図
の要部分解斜視図である。 １０……ウエビング、１４……アンカープレー
ト、１６……タングプレート、１８……スリツプ
ジヨイント、２８……ウエビング装着補助装置、
３０……ベルトガイド、３２……アーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端部が巻取装置に係止され他端部がスリツプ
   ジヨイントを通つてアンカープレートに係止され
   たウエビングの中間部が乗員へ装着されるシート
   ベルト装置に適用されるウエビング装着補助装置
   であつて、一端部が車体に固定され乗員の側方へ
   向けて突出する長さを調整可能なアームと、この
   アームの他端部に揺動可能に取り付けられるとと
   もにスリツプジヨイントとアンカープレートとの
   間のウエビング中間部が挿通されてウエビング中
   間部を長手方向へスライド可能に常に支持するベ
   ルトガイドと、を備えるウエビング装着補助装
   置。