JPH0314530Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は老朽化したプール底を改修する改修構
造に関するものである。

〔従来技術及びその問題点〕

従来、プールの材質はコンクリート製、金属
製、FRP製、に大別できるが、長期間の使用に
よりコンクリート製の場合はひび割れや、風化浸
食による表面の凹凸化が発生し使用不能となつた
り、金属製の場合はプールに使用される塩素滅菌
剤の影響も受け特に溶接部分で激しく局部腐食が
起ると共に、地面との電位差との関係で腐蝕が促
進され漏水を生じ、さらにFRP製の場合は前記
塩素滅菌剤や紫外線により表面色が退色したり、
傷や微細なひび割れが発生し、漏水はないものの
外観上見苦しいという問題があり、いずれの場合
も改修工事が必要となる。

これ等諸欠陥は主にプール底部分に発生する。

改修法として従来、改修するプール底の全体に
亘つて不飽和ポリエステルやエポキシ系の樹脂を
塗布し、この上にガラス繊維を敷いて脱泡し、ま
た上記の樹脂を塗布するという作業が何回も繰り
返される方法が主として行なわれている（これに
より形成されるものが所謂FRPである）。

しかしこのような方法を用いると、作業が繁雑
で手間がかかり、従つて工期を要するためコスト
が高くなるという問題点がある。

〔技術的課題〕

本考案の技術的課題は老朽化したプール底の改
修に際し、短い工期で手間のかからない経済的な
改修構造を供することにある。

〔技術的手段〕

上記技術的課題を達成する為に講じた技術的手
段は、平面四角状を呈するFRP製の表面仕上パ
ネルを、プール底に多数枚敷設固定すると共に、
隣設する表面仕上パネル端部に跨がつてFRPの
ライニング材を施層し、プール底における最外周
の上記FRPのライニング材と、プール側周壁下
端部との間に弾性シーリング材を充填しているこ
とを要旨とする。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図面は、既設プールとしてアルミ製のプールを
示している。このプールはアルミ製の側壁パネル
b′多数枚を接合することによつて形成した側周壁
ｂの下端に、アルミ製の底用パネルa′多数枚と敷
設してプール底ａが形成されている。

このプール底ａは短手方向に中央に向かつて水
深を漸増するように階段状に底用パネルa′を重ね
継ぎし、長手方向においてはその底用パネルa′を
突き合わせ継ぎことによつて形成された周知の構
造のものである。

このプール底ａはFRP製の表面仕上パネル１、
FRPのライニング材４、接着用パテ５、弾性シ
ーリング材６を使用して改修される。

表面仕上パネル１は周縁に取付鍔部１１を残し
て裏面方向から凹部２１を設けることによつて取
付鍔部１１上に段部３１を間接的に形成し、プー
ル底ａの短手幅に対して1/2の長さ、横幅を２ｍ
程度とする平面矩形状のFRP製のシート１′と、
そのシート１′の凹部２１内に収容されるスペー
サー５１とで構成してなり、第３図、第４図に示
すように、取付鍔部１１をプール底ａにビス１０
０止めしてプール底ａ全面に亘り多数枚敷設固定
してある。

スペーサー５１は若干の弾力性を有する合成樹
脂等の発泡材料を用いて前記凹部２１の高さと同
じかやや高い厚みを有するシート状に形成したも
ので、凹部２１裏面に粘着してある。

また、表面仕上パネル１を、FRP製のシート
１′と、スペーサー５１とに分離し、スペーサー
５１をシート１′が配設される箇所に予め載置し
ておき、シート１′が前記ビス１００で止着され
ると、凹部２１内に収容されるようにしても任意
である。

ライニング材４は硬化剤、促進剤等の添加剤を
含む不飽和ポリエステルやエポキシ系の熱硬化性
樹脂剤と、ガラス繊維より成つており、この樹脂
剤を、取付鍔部１１，１１上の隣接する段部３
１，３１内に跨がつて塗着し、この上にガラス繊
維をのせて脱泡し、再び上記樹脂剤を塗着すると
いう操作を繰り返すことにより、段部３１，３１
内に充填する。

このライニング材４が固化した後、サンデイン
グを施し、更に着色した樹脂を塗布して表面仕上
パネル１と同色の表面色を形成する。

接着用パテ５はエポキシ系のもので、プール側
周壁ｂ下端表面とそのプール側周壁ｂ下端表面上
に接合される底用パネルa′との段差a″を埋めて面
出しする部分５′と、プール底ａにおける最外周
の前記表面仕上パネル１端面とプール側周壁ｂの
境界部に亘つて設けられる部分５″とからなつて
いる。

この接着用パテ５はプール側周壁ｂ下端表面に
サンデイングを施した後、塗着する。

尚、プール底ａにおいて、上記接着用パテ５に
載置される表面仕上パネル１の取付鍔部１１は、
合成樹脂等の発泡性のパツキン４１を介してビス
１００止め固定する。

弾性シーリング材６はポリサルフアイド系、シ
リコン系、ゴム系等のもので、上記接着用パテ５
上においてプール底ａ最外周のライニング材４
と、プール側周壁ｂ下端部とに亘つて充填する。

ちなみに本実施例に示す場合には、表面仕上パ
ネル１が、プール底ａの短手巾に対して1/2の長
さである為、第３図に示す如く中央に向かつて傾
斜状となり、各底用パネルa′…上を通過する部分
において、スペーサー２と底用パネルa′表面との
間において〓間２００が生じる箇所が存在する
が、その〓間２００は前記接着用パテ５で予め閉
塞しておく。

而して、本実施例におけるプール底の改修構造
の作用を説明する。

プール底ａにおいて、敷設固定される表面仕上
パネル１，１個々間及びビス止め部は段部３１，
３１内に充填されるライニング材４で埋設され、
水漏れを生ずることはない。一方、プール底ａと
プール側周壁ｂとの境界部においては、接着用パ
テ５が、底用パネルa′とプール側周壁ｂ下端上面
との間を塞ぐと共に、取付鍔部１１のビス１００
止め固定、パツキン４１の介在も相俟つて水密な
接続部を構成し、動水圧、キツク圧、地震等によ
る振動力は弾性シーリング材６で吸収してライニ
ング材４との接合部へ作用させず、漏水の原因と
なるライニング材４の剥離も生じさせない。

ちなみに第７図はプール底が平坦なプールとし
てコンクリート製プールの場合の改修構造を示す
ものであり、同一符号を付し、説明は省略する。

（考案の作用効果） 本考案は以上のように、平面四角状を呈する
FRP製の表面仕上パネルを、プール底に多数枚
敷設固定すると共に、隣設する表面仕上パネル端
部に跨がつてFRPのライニング材を塗着し、プ
ール底における最外周の上記FRPのライニング
材と、プール側周壁下端部との間に弾性シーリン
グ材を充填している。その為、表面仕上パネルの
敷設固定作業が主体となり、ライニング材の塗着
面積が少なくて済む。

従つて、改修作業が頗る容易であり、従来のよ
うに、脱泡操作を要するFRPのライニング材の
塗着作業を繰り返す作業をプール底全体に亘つて
行なう旧来構造に比べて、手間がかからず、作業
性が良く、経済的である。

しかも、プール底コーナーにおいても、プール
底における最外周のFRPのライニング材とプー
ル側周壁下端部とに亘つて弾性シーリング材を充
填したので、動水圧、キツク圧、地震の際の振動
力等の外圧がプール側周壁に作用してもその弾性
シーリング材で吸収してプール底に伝えず、ライ
ニング材の剥離等の漏水原因を発生させず、耐久
性の劣化も招かない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案プール底の改修構造の実施例を示
し、１図は改修後におけるプールの概略図で短辺
方向を縦断して示す、第２図は同状態の概略図で
長辺方向を縦断して示す、第３図は改修後におけ
る要部の部分拡大断面図、第４図は４−４断面
図、第５図は表面仕上パネルを敷設する状態を示
す要部の部分拡大断面図、第６図はビス止めする
状態を示す要部の部分拡大図、第７図は第２実施
例であるコンクリート製のプールにおける要部の
部分拡大断面図である。 尚、図中、ａ：プール底、ｂ：プール側周壁、
１：表面仕上パネル、２：スペーサー、４：ライ
ニング材、６：弾性シーリング材、５：接着用パ
テ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平面四角状を呈するFRP製の表面仕上パネル
   を、プール底に多数枚敷設固定すると共に、隣設
   する表面仕上パネル端部に跨がつてFRPのライ
   ニング材を施層し、プール底における最外周の上
   記FRPのライニング材と、プール側周壁下端部
   との間に弾性シーリング材を充填していることを
   特徴とするプール底の改修構造。