JPH0222448Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は老朽化した金属製プールの改修構造に
関する。

〔従来技術及びその問題点〕

従来、金属製プールは長期間の使用によつてプ
ール水の消毒に用いられる塩素滅菌剤の影響や地
面との電位差との関係で局部腐蝕が起こり、特に
溶接部分ではその現象が激しい。

その際放置しておくと腐蝕現象が促進され、漏
水に至る為、早急な改修工事が必要となる。

改修法として従来、改修するプールの全体に亘
つて不飽和ポリエステルやエポキシ系の樹脂を塗
布し、この上にガラス繊維を敷いて脱泡し、また
上記の樹脂を塗布するという作業が何回も繰り返
される方法が主として行なわれている（これによ
り形成されるものが所謂FRPである）。

しかしこのような方法を用いると、作業が繁雑
で手間がかかり、従つて工期を要するためコスト
が高くなるという問題点がある。

また、金属製のプールのその底は底用パネル端
部相互を重ね継ぎしたり、突合せ継ぎすることに
よつて構成されており、起伏に富む実態形状にな
つている為、脱泡時の気泡抜きが不完全となり、
ひいては、耐久性の劣化を余儀なくされる問題点
さえ惹起させる。

〔技術的課題〕

本考案の技術的課題は、老朽化した金属製プー
ルの改修を、短い工期で、手間がかからず行なう
ことができるようにすることにある。

〔技術的手段〕

本考案の技術的手段は側壁用パネルを突合せ継
ぎすることによつて形成したプール側周壁下端
に、底用パネルを重ね継ぎ及び突合せ継ぎによつ
て形成したプール底壁を有する金属製プールの改
修構造であつて、プール側周壁下端とそれに連設
する底用パネルとの段差及び隣接する底用パネル
相互の段差を、夫々金属接着用パテを塗着するこ
とによつて閉塞して仮底面を形成し、該仮底面上
及びプール側周壁上に平面四角状を呈するFRP
等の合成樹脂製表面仕上パネルを、裏面にスペー
サーを介在させて平行に敷設固定し、該表面仕上
パネル相互間にFRP等の合成樹脂製ライニング
材を埋め込み固定したことである。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

図面はプールとしてアルミ製のプールを示して
いる。

この既設プールはアルミ製の側壁用パネルb′を
多数枚を突合せ継ぎすることによつて形成したプ
ール側周壁ｂの下端に、アルミ製の底用パネル
a′多数枚を敷設してプール底壁ａが形成されてい
る。

このプール底壁ａはプールの短手方向に中央に
向つて水深を漸増するように階段状に底用パネル
a′多数枚を重ね継ぎし、長手方向においてはその
底用パネルa′を突合せ継ぎ、即ち、いも継ぎする
ことによつて形成された周知の構造のものであ
る。

このプールは合成樹脂製の表面仕上パネル１ス
ペーサー２、合成樹脂製ライニング材３金属接着
用パテ４を使用して改修される。

表面仕上パネル１は、周縁に取付鍔部１１を残
して裏面に所定高さの凹部２１を設けることによ
つて周縁部に段部３１（間隙）を間接的に形成
し、プール底壁ａの短手幅に対して1/2の長さで
且つ横巾を2m等の所望の巾とする平面矩形状の
シート状物であり、第３図、第４図に示すように
凹部２１内にスペーサー２を収容した状態で、取
付鍔部１１を、ビス１００止めすることによつて
前記仮底面Ｘ及びプール側周壁ｂに夫々に平行に
敷設固定する。

金属接着用パテ４は、エポキシ系のもので、プ
ール側周壁ｂ下端と、それに連設する底用パネル
a′との段差５及びプールの短手方向に隣接する底
用パネルa′，a′との段差５にサンデイングした
後、塗着することによつてその段差５，５を閉塞
してプール底壁ａに仮底面Ｘを形成する。

また、この接着用パテ４の内、プール側周壁ｂ
下端とそれに連設する底用パネルa′との段差５内
に塗着するコーナー接着用パテ４−１は、第５図
に示すように段差５を埋める段差埋め部４−１′
と、その埋め部４−１′に一段高く突出しプール
側周壁ｂ下端における垂直面b″中途まで立上がる
延設部４−１″とからなつており、隣接する底用
パネルa′，a′間の段差５内に塗着する中間接着用
パテ４−２にあつては前記のようにスペーサー２
を介在した状態で表面仕上パネル１を敷設固定し
た際、隙間があかないように予め、プール底壁ａ
に塗着する。

スペーサー２は若干の弾力性を有する合成樹脂
等の発泡材料を用いて、上記凹部２１の高さと同
じかやや高い厚みを有するシート状に形成したも
ので、凹部２１内に接着収容するか或いは図示す
るように表面仕上パネル１が敷設される箇所、即
ち、表面仕上パネル１を前記仮底面Ｘに敷設した
際、自動的にその凹部２１内に収容できるように
する。

ライニング材３は従来周知の如く、硬化材促進
剤等の添加剤を含む不飽和ポリエステルやエポキ
シ系等の熱硬化性樹脂剤とガラス繊維より成つて
おり、この樹脂剤を上記段部３１の下部における
取付鍔部１１上に埋め込み、この上にガラス繊維
を載せて脱泡し、再び上記の樹脂剤を埋め込むと
いう操作を繰り返すことにより、前記段部３１上
及び上記パネル１端縁間の全てに埋め込み固定す
る。

このライニング材３が固化した後、サンデイン
グを施し、更に着色樹脂を塗布して表面色を形成
して改修壁Ｂを形成する。

詳細には仮底面Ｘに敷設する表面仕上パネル１
は、第３図で示すようにプール側周壁ｂとの境界
部においては取付鍔部１１を、前記延設部４−
１″の立上り面にその端面を面一に当接させるよ
うに位置させ、段差埋め部４−１との間に合成樹
脂等の発泡性のパツキン６を介在させた状態でビ
ス１００止めすることによつて固定し、プール側
周壁ｂに敷設する表面仕上パネル１にあつては取
付鍔部１１端面を延設部４−１″上端面に面一に
当接させた状態でその取付鍔部１１をビス１００
止めすることによつて固定する。

而して、本実施例における金属製プールの改修
構造の作用を説明する。

プール側周壁ｂと、その側周壁ｂ下端に連設す
る底用パネル１との段差５、底用パネルa′，a′相
互の段差５は塗着される接着用パテ４で塞がれ、
プール底壁ａに面一な仮底面Ｘを形作る。この状
態で表面仕上パネル１を接着用パテ４上にビス１
００止めした際、パツキン６の機能も相俟つて水
密な接続部（ビス止め部）を形成する。そして、
表面仕上パネル１周縁に露出する接着用パテ４，
取付鍔部１１，段部３１上に生じる間隙はライニ
ング材３で面一状に密封され、フラツトな改修壁
Ｂを構成すると同時に接続部（ビス止め部）を更
にプール用水から防護する。尚、第７図、第８
図、第９図はそれぞれプールにおけるデツキ部分
の改修構造の実例を示すものである。

第７図、第８図、第９図は共に表面仕上パネル
１の上端部にビス１００止め用の取付凹部７を凹
設しその取付凹部７をビス１００止めした後、そ
の取付凹部７内を前記と同様な合成樹脂製のライ
ニング材３を充填固化せしめたものであるが、第
７図、第８図、第９図は夫々デツキ部分の構造が
異なる。

即ち、第７図はデツキ部分が長尺な場合の対応
例であり、両端に取付凹部７を凹設したデツキボ
ーダー用長尺表面仕上パネル１（合成樹脂等の
FRP製）を、その取付凹部７をビス１００止め
した後、合成樹脂製のライニング材３で充填して
閉塞し、中間部に前記スペーサー２を介在し、こ
のデツキボーダー用の前記表面仕上パネル１前端
と、プール側周壁Ｂ用の表面仕上パネル１上端と
の間に同様に金属接着用パテ４を充填する。

８はゴム系のコーキング材、９はシール材、１
０は補強用FRP材である。

第８図、第９図は短寸なデツキボーダー用の表
面仕上パネル１であり、第８図において３，３は
ライニング材、８はゴム系のコーキング材、１０
０，１００はビス、４は金属用パテ、１３はパツ
キンであり、第９図において８はゴム系コーキン
グ材、１３はパツキンであり、１００，１００は
ビス、３はそのビス１００を取付ける取付凹部７
を閉塞するライニング材であり、４は金属接着用
パテである。ちなみに第３図乃至第６図に示すデ
ツキボーダー用の改修構造は前記第７図のものを
短寸化したものである。

〔考案の作用効果〕

本考案は以上のように側壁用パネルを突合せ継
ぎすることによつて形成したプール側周壁下端
に、底用パネルを重ね継ぎ及び突合せ継ぎによつ
て形成したプール底壁を敷設した金属製プールの
改修構造であつて、プール側周壁下端とそれに連
設する底用パネルとの段差及び隣接する底用パネ
ル相互の段差を、夫々金属接着用パテを塗着する
ことによつて閉塞して仮底面を形成し、該仮底面
上及びプール側周壁上に平面四角状を呈する
FRP等の合成樹脂製表面仕上パネルを、裏面に
スペーサーを介在させて平行に敷設固定し、該表
面仕上パネル相互間にFRP等の合成樹脂製ライ
ニング材を埋め込み固定したので、プール底壁に
段差が存在する金属製プールであつても、その段
差を金属接着用パテで吸収して表面仕上パネルと
の間に隙間を発生させずにプール底壁及びプール
側周壁に配設固定できるからライニング材の塗布
面積を極小に抑えて改修が可能となる。

従つて、段差が各所に存在する金属製のプール
であつても改修作業が容易であり、従来のように
脱泡操作を必要とするFRPライニング材の塗布
作業を繰り返して行なう作業をプール底壁及びプ
ール側周壁全体に亘つて施す繁雑な旧来構造に比
べて、手間がかからず、作業性が良く、経済的で
あり、脱泡不良に伴なう耐久性の劣化を招くおそ
れもない。

依つて、所期の目的を達成できる。

【図面の簡単な説明】

図面は金属製プールの改修構造における実施例
を示し、第１図は改修後における金属製プールの
概略図で短辺方向を縦断して示す、第２図は同状
態の概略図で長辺方向を縦断して示す、第３図は
改修後における要部の部分拡大断面図、第４図は
４−４断面図、第５図は表面仕上パネルを敷設す
る状態を示す要部の部分拡大断面図、第６図はビ
ス止めする状態を示す要部の部分拡大断面図、第
７図はデツキ部分の拡大断面図、第８図、第９図
は同デツキ部分における他例の部分拡大断面図で
ある。 尚、図中、ａ：プール底壁、ｂ：プール側周
壁、１：表面仕上パネル、２：スペーサー、３：
ライニング材、４：金属接着用パテ、５：段差。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側壁用パネルを突合せ継ぎすることによつて形
   成したプール側周壁下端に、底用パネルを重ね継
   ぎ及び突合せ継ぎによつて形成したプール底壁を
   敷設した金属製プールの改修構造であつて、プー
   ル側周壁下端とそれに連設する底用パネルとの段
   差及び隣接する底用パネル相互の段差を、夫々金
   属接着用パテを塗着することによつて閉塞して仮
   底面を形成し、該仮底面上及びプール側周壁上に
   平面四角状を呈するFRP等の合成樹脂製表面仕
   上パネルを、裏面にスペーサーを介在させて平行
   に敷設固定し、該表面仕上パネル相互間にFRP
   等の合成樹脂製ライニング材を埋め込み固定した
   ことを特徴とする金属製プールの改修構造。