JPH0746687Y2 - アルミ製プールにおける側壁の改修構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はアルミ製プールにおける側壁の改修構造に関す
るものである。

〔従来技術〕

アルミ製プールの側壁は、底部と相異して地面との電位
差の影響によって虫食状に腐蝕し遂には孔がいたる所に
開く孔食現象が生じないとされていたものの、塩素滅菌
剤の影響で退色する場合がある為、底部（プール底）と
一緒または別に改修を行なっている。

その先行技術は平面四角状を呈するFRP等の表面仕上パ
ネルを裏面にスペーサーを固着した状態でアルミ製プー
ル本体（既設プール）の側壁に夫々平行に敷設し、更に
パネル相互間の間隙にFRPのライニング材を埋め込み固
定することによって改修側壁を形成して、表面仕上パネ
ルの敷設作業を主体にすることによってライニング材の
塗布面積を小さくして短い工期で手間がかからないよう
にしている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、この先行技術でも改修側壁から水漏れが生じる
問題が発生した。

本来アルミ製のプール側壁には地面と接するプール底部
と同様な孔食現象が生じないとされていたが、人為的或
は自然的に付けられた傷部分から経時的に腐蝕が進行し
これが孔の形成の原因になっているものと想定される。

では何故に、改修側壁で被覆しているにも拘らずプール
側壁に形成された上記孔からプールの水が漏水するかで
あるが、この原因を追求した処、アルミ製のプール側壁
と改修側壁との接合部の内、水に常時接触したり或いは
水に断続的に接触している改修側壁の終端部の接合部分
下のアルミ内部が一定厚の表面層を残してまず空洞を形
成するように水によって腐蝕され、次にアルミの厚み方
向ではなく、表面層を残したまま浸入する水によって徐
々に空洞の面積は広がり、遂にはこの空洞がプール側壁
に形成された前記孔と連通するまでアルミ内部の腐蝕を
進行させることが経時的な追跡調査で明らかになった。

本考案は上記従来事情に鑑みてなされたもので、その技
術的課題は、従来のようなライニングを行わない乾式作
業で水漏れのない側壁にアルミ製のプール側壁を改修す
ることである。

〔技術的手段〕

上記技術的課題を達成する為に講じた技術的手段は、裏
面周端部に発泡性パッキンを周設した合成樹脂製の表面
仕上パネル必要枚を端面相互を近接もしくは当接させて
プール側壁全域に亘り発泡性パッキンを貫通するリベッ
トで各々固着することにより改修側壁を構成したことを
要旨とする。

〔作用〕

上記技術的手段によれば、合成樹脂製の表面仕上パネル
必要枚を近接または当接させた状態で発泡性パッキンを
貫通するリベットをプール側壁（既設プールの側壁）に
固着すると各表面仕上パネル周端部と既設プール側壁と
の間に介装されリベットで弾圧される発泡性パッキンが
形成される空洞に追随して弾性的に復元してその空洞を
塞いで水の浸入をストップしてそれ以上の空洞を形成さ
せず、また弾圧される発泡性パッキン自らがリベットの
貫通孔を水密状に塞ぐ。

従って、裏面周端部に発泡性パッキンを設けた表面仕上
パネルを近接または当接させてリベット止めするだけの
乾式作業で水漏れのない改修側壁を形成することができ
る。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように表面仕上パネルを近接または当接
させてリベットでプール側壁に固着させることで裏面周
端部に周設した発泡性パッキンを弾圧してアルミとの接
合部内に生じる空洞を塞ぎ、且つリベットの貫通孔を弾
圧される発泡性パッキンでシールするものであるから、
各パネル間にライニング材を充填する湿式作業を遂行す
ることなく乾式作業だけで水漏れのない側壁にアルミ製
のプール側壁を改修することができる。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

図面はアルミ製のプールを示している。

この既設プールはアルミ製の側壁用パネル（ｂ′）を多
数枚突き合せ継ぎすることによって形成したプール側壁
（ｂ）の下端にアルミ製の底用パネル（ａ′）多数枚を
敷設してプール底（ａ）を形成している。

このプール底（ａ）はプールの短手方向に中央に向って
水深を漸増するように段階状に底用パネル（ａ′）多数
枚を重ね継ぎし、長手方向においてはその底用パネル
（ａ′）を突き合せ継ぎ、即ちいも継ぎすることによっ
て形成された周知の構造のものである。

前記プール側壁（ｂ）は必要枚の合成樹脂製の表面仕上
パネル（１）…、各表面仕上パネル（１）裏面周端部に
周設した発泡率の小なる発泡性パッキン（100）、各表
面仕上パネル（１）…を固着するリベット（アルミ製リ
ベット）（200）を用いて形成された改修側壁（Ａ）で
その表面上が改修されている。

表面仕上パネル（１）…は周端部の100mm程度範囲を10m
m程度の厚みとする厚肉部（11）とすると共にその厚肉
部（11）に囲まれた中途部（21）を２〜3mm程度の厚み
として間接的にその中途部（21）下にクッション材
（２）の収容凹部（２′）とした平面四角形状を呈し、
FRP等の合成樹脂材を用いて成形され、厚肉部（11）に
適宜間隔をおいて凹窪部（31）内を挿通するリベット
（200）を利用して収容凹部（２′）内にクッション材
（２）を収容した状態でプール側壁（ｂ）全域に亘り近
接して夫々平行に固着されている。

クッション材（２）は若干の弾性力を有する合成樹脂等
の発泡材料を用いて、上記収容凹部（２′）の高さと同
じかやや高い厚みを有するシート状に形成したもので、
遊泳時の泳者の蹴込力の衝撃を緩和する役目をもつ。

発泡性パッキン（100）は、発泡率２〜10倍程度とする
塩化ビニール系のもので、表面仕上パネル（１）裏面周
端部に粘着材等を利用して貼着しておき、前記リベット
（200）止めによって各表面仕上パネル（１）周端部を
シールし、且つその弾性でリベット（200）の貫通孔を
シールするようになっている。

（３）はリベット（200）止め後凹窪部（31）を塞ぐゲ
ルコートペーストであり、（４）は厚肉部（11）上端と
プール側壁（ｂ）との小間隙及び各表面仕上パネル
（１）…間、更にはこの改修側壁（Ａ）とプール底
（ｂ）の改修底壁（Ｂ）との間を隠蔽する目地機能を備
えたコーキング材である。

上記実施例が、デッキ部分を改修しなかった例であるの
に対し、第７図はデッキ部分をも改修した例である。

周端部に厚肉部（11）を形成したデッキボーダー用の表
面仕上パネル（１′）（FRP等の合成樹脂製）を、前記
実施例と同様に長さ方向に適宜間隔をおいて凹設した凹
窪部（31）…を挿通してリベット（200）止めし、この
デッキボーダー用の表面仕上パネル（１′）と前記プー
ル側壁（ｂ）改修用の表面仕上パネル（１）との間を金
属接着用パテ（５）で被塞することによって形成した改
修側壁（Ａ）のデッキボーダー用の表面仕上パネル
（１′）…の厚肉部（11）裏面端部に粘着剤等を利用し
て発泡率を２〜10倍とする発泡性パッキン（100）を貼
着しておき、リベット（200）止めによってデッキ部分
を防水処理する。

尚、このデッキボーダー用の表面仕上パネル（１′）
（１′）相互間は前記コーキング材（図示せず）で隠蔽
する。

ちなみに、前記プール側壁（ｂ）を改修する表面仕上パ
ネル（１）の上端にデッキ部分を改修するパネル部を同
一体に成形した断面形の仕上パネル…を用い、プール
側壁（ｂ），デッキ部分を一緒に改修しても勿論任意で
ある。その際、裏面周端部に発泡率２〜10倍程度の発泡
性パッキン（100）を周設すること、リベット（200）止
めすること、各パネル間をコーキング材で隠蔽すること
同様である。

次に、プール側壁（ｂ）下端域、即ちプール底（ａ）と
の境界部及びプール底（ａ）を改修する改修底壁（Ｂ）
について説明する。

この改修底壁（Ｂ）は、合成樹脂製の表面仕上パネル
（１″），ライニング材（６），金属接着用パテ
（５），リベット（200）を用いてプール底（ａ）上及
びプール側壁（ｂ）との境界部上に施層する。

表面仕上パネル（１″）は、周縁に取付鍔部（７）を残
して裏面に所定高さの凹部８を設けることによって周縁
部に段部（９）（間隙）を間接的に形成し、プール底
（ａ）の短手巾に対して1/2の長さで且つ横巾を2m等の
所望巾とする平面四角形状のFRP製のシート状物であ
り、凹部（８）内にスペーサー（２）を収容した状態で
取付鍔部（７）をリベット（200）（アルミ製リベッ
ト）止めすることによってプール底（ａ）全面に、夫々
平行に敷設固定されている。

表面仕上パネル（１″）の内、プール底（ａ）において
最外周の表面仕上パネル（１″）はプール側壁（ｂ）側
の端部に湾曲面（10）を介して100mm程度高さの立上げ
面（12）を一体に延設して、この立上げ面（12）をプー
ル側壁（ｂ）下端域に固着することによってプール底
（ａ）のプール側壁（ｂ）との境界部を改修するように
なっている。

湾曲面（10）はあえて予め湾曲状に形成しておかずに立
上げ面（12）をプール側壁（ｂ）の下端域に当接させる
ことによって弾性変形して自動的に形成されるように構
成しても任意である。

立上げ面（12）は図示するように10mm程度の厚肉に形成
され、表面に適宜間隔をおいて凹設した凹窪部（31）内
を挿通するリベット（200）（アルミ製）を利用してプ
ール側壁（ｂ）下端域全周に亘って介装される帯状の発
泡性パッキイ（100）を押圧するようにリベット（200）
止めすることによって水密状に固着する。

発泡性パッキン（100）は前記プール側壁（ｂ）改修用
の改修側壁（Ａ）で使用される発泡率２〜10倍の塩化ビ
ニール系のものを使用し、予め粘着剤等を利用して表面
仕上パネル（１″）の立上げ面（12）と相対するプール
側壁（ｂ）下端に固定しておく。

（３）はリベット（200）止め後、凹窪部（31）を塞ぐ
ゲルコートペーストである。

ライニング材（６）は、従来周知の如く、硬化剤，促進
剤等の添加剤を含む不飽和ポリエステルやウレタン系等
の熱硬化性樹脂剤とガラス繊維より成っており、この樹
脂剤を前記段部（９）下部における取付鍔部（７）上に
埋め込み、この上にガラス繊維をのせて脱泡し、再び上
記樹脂剤を埋め込む操作を繰り返し、前記段部（９）に
埋め込むことによってパネル（１″）（１″）端部を接
続し且つパネル（１″）（１″）間を水密状に塞ぐ。

このライニング材（６）が固化した後、サンディングを
施し、更に、隣接する仕上パネル（１″）と同色に着色
した樹脂（６′）を塗布して表面色を形成する。

金属接着用パテ（５）はエポキシ系のもので、プール側
壁（ｂ）下端表面とそのプール側壁（ｂ）下端表面上に
接合される底用パネル（ａ′）との段差部（13）を埋め
て面出しをすべくプール側壁（ｂ）との境界部に亘って
設けられている。

この金属接着用パテ（５）はプール側壁（ｂ）下端面に
サンディングを施した後に塗着する。

ちなみに、本実施例に示す場合には表面仕上パネル
（１″）が、プール底（ａ）の短手巾に対して1/2の長
さであり、中央に向かって傾斜状となり、各底用パネル
（ａ′）…上を通過する部分において、スペーサ（２）
と底用パネル（ａ′）表面との間において生じる隙間
（14）にも前記金属接着剤パテ（５）で予め閉塞してい
る。

尚、（15）は湾曲面（10）裏の隙間をうめるウレタン系
のシーリング材である。

而して、本実施例におけるアルミ製プールの改修構造の
作用を説明する。

プール側壁（ｂ）において、その全面は裏面周端部に発
泡率２〜10倍とする発泡性パッキン（100）を周設し且
つリベット（200）止めによってそのパッキン（100）を
押圧するように固着された近接する表面仕上パネル
（１）（１′）…必要枚で被蓋される改修側壁（Ａ）で
改修され、水漏れはない。

プール底（ａ）において、平行に敷設固定される表面仕
上パネル（１″）（１″）個々間及びリベット（200）
止め部は段部（９）内に充填されるライニング材（６）
で改修され、プール底（ａ）とプール側壁（ｂ）との境
界部においては、最外周の表面仕上パネル（１″）から
立上げ形成し、発泡性パッキン（100）を介してリベッ
ト（200）止めされる立上げ面（12）に連設する下位の
湾曲面（10）及びパネル（１″）（１″）相互を接続す
るライニング材（６）で改修され、共に水漏れはない。

第８図及び第９図はプール側壁（ｂ）とプール底（ａ）
との境界部における改修部分の他の実施例である。

第８図はプール底（ａ）最外周の表面仕上パネル
（１″）に湾曲面（10），立上げ面（12）を立上形成し
ない場合の例であり、ライニング材（６）（FRP製）を
施層して最外周の取付鍔部（７）及びリベット（200）
止め部分を埋め込み固定し、そのライニング材（６）上
と、プール側壁（ｂ）の改修側壁（Ａ）最下端のパネル
（１）厚肉部（11）との間に亘って発泡率を２〜10倍程
度とする発泡性パッキン（100）を介装している。

第９図はプール底（ａ）最外周の表面仕上パネル
（１″）最外端に厚肉部（11）を形成した場合の例であ
り、プール側壁（ｂ）の改修側壁（Ａ）最下端のパネル
（１）厚肉部（11）との間に亘って発泡率を２〜10倍程
度とする発泡性パッキン（100）を介装している。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案アルミ製プールにおける側壁の改修構造の
実施例を示し、第１図は改修後におけるアルミ製プール
の概略図で短辺方向を縦断して示す、第２図は同状態の
概略図で長辺方向を縦断して示す、第３図は改修後にお
ける要部の斜視図、第４図は改修後における要部の拡大
断面図、第５図は（５）‐（５）断面図、第６図は
（６）‐（６）断面図、第７図は他例の実施例の要部の
拡大断面図、第８図及び第９図はプール側壁とプール底
との境界部における改修部分の他例を示す部分断面図で
ある。 尚図中、 （Ａ）：改修側壁（プール側壁） （Ｂ）：改修底壁（プール底） （１）：表面仕上パネル （１）：プール側壁 （100）：発泡性パッキン （ａ）：プール底 （200）：リベット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】裏面周端部に発泡性パッキンを周設した合
   成樹脂製の表面仕上パネル必要枚を端面相互を近接もし
   くは当接させてプール側壁全域に亘り発泡性パッキンを
   貫通するリベットで各々固着することにより改修側壁を
   構成したアルミ製プールの改修構造。