JPH0311399Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は自動車等のエンジンの、シリンダー
ブロツクの防振構造に関するものである。

従来、この種の装置については各種のものがあ
り、公知のため図示は省略するが、一例を挙げれ
ば、エンジンのシリンダーブロツクの下部に形成
されているスカート部の下端に、該スカート部の
巾方向の両側に跨つてビーム状のアンダーフレー
ムが設けられており、その両端部はボルトによつ
て固定されている。

エンジンが作動して、内部のピストンが上下動
すると、シリンダブロツクは、振動し、前記スカ
ート部も当然振動する。

そして、その振動はスカート部の巾が広げられ
るように振動する。

このため、その振動の抑制を目的として、前記
のようなアンダーフレームが設けられている。と
ころが、ここに問題がある。それは、前記のよう
にスカート部の下端部はアンダーフレームの両端
部に、ボルトによつて固定されて振動を抑制され
ているが、前記アンダーフレームはビーム状に形
成されており、スカート部との接触面積は比較的
少く、かつ摩擦係数も同様に小さいものであり、
上記固定を充分に達成し難い恐れがある。

この考案はこのような問題を解決するためにな
されたもので、その目的は、ビーム状のアンダー
フレームを用いて、前記従来例に述べたものより
も一層確実に、スカート部の巾方向の、ひいては
シリンダーブロツクの振動を抑制できる、エンジ
ンのシリンダーブロツクの防振構造を提供するこ
とである。

上記の目的を達成するこの考案について述べる
と、それは、シリンダーブロツクのスカート部
の、向い合う両側壁下端部の各係合部に、該両側
壁間に固定部材により固定するアンダーフレーム
の、両側の係止部を夫々外側から掛止させ、夫々
掛止部を形成し、該掛止部の少なくとも一方を傾
斜面により掛止させ、前記係止部相互間の間隔
を、前記係合部相互間の間隔より若干短く形成し
たエンジンのシリンダーブロツクの防振構造であ
る。

これを実施例を示す図面について詳述する。第
１図において、１はエンジンのシリンダーブロツ
クであり、２はその下部のスカート部を示す。３
はベアリングキヤツプ、４はピストンである。そ
して５はビーム状のアンダーフレームであつて、
前記スカート部２の下端部の、巾方向の両側に掛
止されると共に、固定部材６により固定されてい
る。

その詳細は第２図に示すように、アンダーフレ
ーム５の両端部にはそれぞれ係止部７，７ａが形
成されており、この係止部７，７ａは、それぞれ
スカート部２の下端部で、かつ巾方向の両側にそ
れぞれ形成した係合部８，８ａに掛止させられて
いる。そして前記掛止部の少なくとも一方は外方
に開くように、断面形状鈍角状に傾斜面を形成さ
せて掛止されている。なお他方の掛止部は図示の
ように直角状に掛止させられていてもよく、或は
図示は省略するが傾斜面により掛止させられてい
てもよい。

次に、前記固定部材６は一例としてボルトを用
いるものであり、アンダーフレーム５の両端部に
それぞれ形成した穴１０に挿入され、かつスカー
ト部２の下端部の、巾方向の両端部にそれぞれ形
成された螺孔１１に螺合させられている。そして
上記第２図に示すものは固定部材６による固定が
完了した状態を示すもので、その固定の完了する
以前の状態は第３図に示されている。

即ち、上記固定の完了以前の状態においては、
前記アンダーフレーム５の、両係止部７，７ａ間
の長さｌは、スカート部２の下端部に形成した両
係合部８，８ａ間の長さＬより若干短く形成され
ており、スカート部２とアンダーフレーム５と
を、固定部材６によつて固定させることにより、
第２図及び第４図に示すように固定及び掛止の両
方が行われる。従つて第３図及び第４図から容易
に理解されるように、スカート部２にはプレスト
レスが与えられた状態で、アンダーフレーム５に
固定されたことになる。この状態はスカート部２
の振動を防止するために好ましい。これはスカー
ト部２の、振動に伴う変位量が微小のためこのよ
うに形成することにより確実にスカート部２の巾
方向に起こる振動を防止することができるのであ
る。

エンジンが作動すると、シリンダー４は上下動
し、スカート部２は跨張して示せば第５図におけ
る一点鎖線に示すように、その巾方向において振
動しようとするが、スカート部２の巾方向の両端
部は、アンダーフレーム５の両端に固定されると
共に、プレストレスを与えて掛止させられている
ため、その振動は防止される。

次に、前記アンダーフレーム５は、第５図に示
すように一本でも差支えはないが、第６図に示す
ように複数本であつてもよい。そしてこれらは好
ましくは第５図及び第６図に示すようにスカート
部２の、長さ方向のほぼ中央部に設けられる。

この考案は前記のように構成され、シリンダー
ブロツクのスカート部の両係合部に、アンダーフ
レームの両側の係止部が夫々外側から掛止させら
れ、夫々掛止部が形成され、該掛止部の少なくと
も一方を傾斜面により掛止させ、かつ前記係止部
相互間の間隔を、前記係合部相互間の間隔より若
干短く形成させ、前記アンダーフレームを前記ス
カート部に固定具によつて固定させたことによ
り、きわめて簡単な構造にもかかわらず前記シリ
ンダーブロツクのスカート部に、プレストレスを
与えて、アンダーフレームを固定したことによ
り、きわめて簡単な構造によつて効果的にエンジ
ンのシリンダーブロツクの振動を防止することが
できる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例を示すもので、第１図
はエンジンの、シリンダーブロツクの防振構造の
一部断面図、第２図は第１図の部分の拡大図、第
３図は第２図と異る状態の、第２図に相当する
図、第４図は第２図に示す状態の、作用を示す説
明図、第５図はエンジンの、シリンダーブロツク
の防振構造の、作用を説明する同構造の下面図、
第６図はこの考案の他の実施例を示し、第５図に
相当する図である。 １……シリンダーブロツク、２……スカート
部、５……アンダーフレーム、６……固定部材、
７，７ａ……係止部、８，８ａ……係合部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダーブロツクのスカート部の、向い合う
   両側壁下端部の各係合部に、該両側壁間に固定部
   材により固定するアンダーフレームの両側の係止
   部を夫々外側から掛止させ、夫々掛止部を形成
   し、該掛止部の少なくとも一方を傾斜面により掛
   止させ、前記係止部相互間の間隔を、前記係合部
   相互間の間隔より若干短く形成したエンジンのシ
   リンダーブロツクの防振構造。