JPH0311114Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は二人乗り用の自動二輪車に関し、特に
このような自動二輪車における後部シート搭乗者
のための肘掛けに関するものである。

従来技術とその問題点 ラジオ等の音響装置を装備した自動二輪車にお
いては、スピーカは通常車体をその前部から両側
部にわたつて囲繞するフエアリングの内側のほぼ
両端部に１個ずつ配置されている。このため搭乗
者が２名の場合、後部シート搭乗者は前部シート
搭乗者（運転者）に比べ、スピーカからより離れ
た場所に位置し、その上、運転者によつてスピー
カからの音が多少なりともさえぎられるので、ス
ピーカからの発生音を聞き取り難いという不具合
がある。従つて、後部にもスピーカを配置して、
後部シート搭乗者にも前部シート搭乗者と同程度
にスピーカからの発生音を開き取り易くすること
が望まれ、このため、本出願人はさきに実願昭60
−154443号により、後部シートの左右両側にそれ
ぞれ肘掛けを設け、該肘掛けの内部にスピーカを
配設することを提案した。

本考案は、このような内部にスピーカを配設し
た肘掛けのさらに新規な構造を提供しようとする
ものである。

問題点を解決するための手段および作用 すなわち、本考案においては前部シートおよび
後部シートを備え後部シートの後方にトランクを
配設した自動二輪車において、前記トランクの本
体部とこれを上方から覆う蓋部とを、前記トラン
クの前面に沿つて延び上端を前記蓋部に固定され
下端を前記本体部に枢着されたヒンジステーを介
して互いに開閉自在に連結し、前記ヒンジステー
の外面に箱状の肘掛けの底板面を当接させて固着
し、該肘掛けの内部にスピーカを配設する。

本考案によれば、肘掛けの底板面がヒンジステ
ーの板面に当接され、両者が強固に固定されるの
で、肘掛け特に該肘掛けのトランクに対する取付
部に充分な剛性を確保することができる。

実施例 以下、本考案を図示の実施例により説明する。
第１図は本考案を適用した自動二輪車の側面図
で、上部後寄りに前部シート１ａと後部シート１
ｂとから成る２人乗り用のシート１が設けられて
いる。車体の前部上方は前面から両側面へかけて
フエアリング２で覆われ、該フエアリング２と前
部シート１ａとの間の車体部分は、両側面をそれ
ぞれサイドシエルタ３で覆われ、上面をトツプシ
エルタ４で覆われている。サイドシエルタ３の後
方下部にサイドカバー５の前方上部が接続されて
おり、前部シート１ａの下方両側がこのサイドカ
バー５によつて覆われている。そしてサイドカバ
ー５の後方、後部シート１ｂの下方両側に、該サ
イドカバー５に接続してサドルバツグ６が配設さ
れている。サドルバツグ６は後輪７の左右両側に
側方へ張出して設けられており、その上方にトラ
ンク８が装着されている。このようにして、図示
の自動二輪車は、上述した各部材により車体上部
を全面に亘つて覆われ、優美な外観を呈してい
る。

トランク８はトランク本体部９とトランク蓋部
１０とから成り、トランク蓋部１０は後述するよ
うに前部に設けられたヒンジ部を介してトランク
本体部９に上下に揺動自在に取付けられている。
また、トランク蓋部１０の前部には、中央部に後
部シート１ｂに着座する搭乗者のための背もたれ
１１が形成されており、その左右両側に肘掛け１
２がそれぞれ前方へ突出させて設けられている。
運転者は前部シート１ａに跨つて着座し、足をス
テツプ１３に載せた姿勢で、ハンドル１４を操作
する。同乗者は同様にして後部シート１ｂに着座
し、足を足載せ台１５上に載置するが、背もたれ
１１に背をもたせ、肘掛け１２に肘をかけて安楽
な姿勢で搭乗することができる。

第２図はトランク８の前部を肘掛け１２を通る
前後面に沿つて切截した断面図で、第３図はトラ
ンク８の左半部の上面図である。前記トランク蓋
部１０の前面下端部の両側にそれぞれ前方へ突出
するフランジ部１０ａが形成されており、該フラ
ンジ部１０ａに或る巾を持つた板状もしくは枠状
のヒンジステー１６の前縁部がねじ１７によつて
固定されている。ヒンジステー１６はフランジ部
１０ａに沿つて前方へ延出した後、斜め下方へ屈
曲して、斜面部１６ａを形成している。一方、ト
ランク本体部９の前面には前記フランジ部１０ａ
の下方において前方へ突出するブラケツト１８が
ねじ１９によつて固定されており、ヒンジステー
１６の前記斜面部１６ａの下端がこのブラケツト
１８の前端部に枢軸２０を介して枢着されてい
る。従つてトランク蓋部１０は矢印ａで示すよう
に枢軸２０を中心にして上下に回動し、トランク
本体部９の開口部２１を開閉する。

肘掛け１２は適度の硬度と触感を有する樹脂材
料を成型して作られ、下部の支持箱２２と該支持
箱２２上に載置固定された肘載せ板２３とから成
つている。そしてこの肘掛け１２は、支持箱２２
の平板状の底板部２２ａを前記ヒンジステー１６
の斜面部１６ａに沿わせて、ねじ２４で締着する
ことにより、ヒンジステー１６を介してトランク
蓋部１０に固着されている。

肘掛け１２の前記支持箱２２および肘載せ板２
３によつて囲まれた内部にはスピーカ２５が納め
られており、支持箱２２はこのスピーカ２５に対
するスピーカボツクスの役を果し、また肘載せ板
２３はスピーカ２５に対するスピーカグリルとな
つている。従つて肘載せ板２３には多数のスピー
カグリル孔２６が穿設されている。なお、第３図
に示すように、肘掛け１２の外側部をトランク蓋
部１０の側部から張り出させて肘を置く場所を広
くしてある。このようにして肘掛け１２内に納め
られたスピーカ２５は後部シート１ｂ上の同乗者
に近く、その発生音は該同乗者によく聞こえ、ま
た前部シート１ａ上の運転者にもよく聞こえる。
スピーカ２５に接続されたコード（図示してな
い）は、支持箱２２の底板部２２ａおよびヒンジ
ステー１６の斜面部１６ａを貫通して、ヒンジス
テー１６とブラケツト１８によつて囲まれた空間
部２７内に引き出された後、車体部分に沿わせて
前方へ配線されている。

肘掛け１２は前記のようにその底板部２２ａを
ヒンジステー１６の斜面部１６ａの外面に沿わ
せ、互いに面と面で接触した上でねじ２４により
固着されるているので、ヒンジステー１６を介し
てトランク蓋部１０に剛固に取付けられ、肘掛け
としての充分な剛性が確保される。しかも、この
肘掛け１２の取付位置はトランク蓋部１０の回動
中心である枢軸２０に近接しているので、トラン
ク蓋部１０を開閉する際、肘掛け１２はトランク
本体部９に相対的に大きく移動しない。従つて肘
掛け１２から引出した後トランク本体部９に沿わ
せて配線される前記スピーカコードに大きな余裕
長を持たせる必要がなく、該コードの配線が簡潔
になる。

考案の効果 以上の通り、本考案においては、前部シートお
よび後部シートを備え後部シートの後方にトラン
クを配設した自動二輪車において、前記トランク
の本体部とこれを上方から覆う蓋部とを、前記ト
ランクの前面に沿つて延び上端を前記蓋部に固定
され下端を前記本体部に枢着されたヒンジステー
を介して互いに開閉自在に連結し、前記ヒンジス
テーの外面に箱状の肘掛けの底板面を当接させて
固着し、該肘掛けの内部にスピーカを配設したの
で、後部シート搭乗者にスピーカの音が良く聞き
取れるとともに、肘掛け特に該肘掛けのトランク
に対する取付け部に充分な剛性を確保することが
でき、さらに、スピーカコードを過大な余裕長を
持たせることなく簡潔に配線することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用した自動二輪車の全体側
面図、第２図はトランクの前部を肘掛けを通る前
後面に沿つて切截した断面図、第３図はトランク
の左半部の上面図である。 １……シート、２……フエアリング、３……サ
イドシエルタ、４……トツプシエルタ、５……サ
イドカバー、６……サドルバツグ、７……後輪、
８……トランク、９……トランク本体部、１０…
…トランク蓋部、１１……背もたれ、１２……肘
掛け、１３……ステツプ、１４……ハンドル、１
５……足載せ台、１６……ヒンジステー、１７…
…ねじ、１８……ブラケツト、１９……ねじ、２
０……枢軸、２１……開口部、２２……支持箱、
２３……肘載せ板、２４……ねじ、２５……スピ
ーカ、２６……スピーカグリル孔、２７……空間
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 前部シートおよび後部シートを備え後部シート
   の後方にトランクを配設した自動二輪車におい
   て、前記トランクの本体部とこれを上方から覆う
   蓋部とを、前記トランクの前面に沿つて延び上端
   を前記蓋部に固定され下端を前記本体部に枢着さ
   れたヒンジステーを介して互いに開閉自在に連結
   し、前記ヒンジステーの外面に箱状の肘掛けの底
   板面を当接させて固着し、該肘掛けの内部にスピ
   ーカを配設したことを特徴とする自動二輪車の肘
   掛け。