JPH0310475Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、カムシヤフトがシリンダヘツドに設
けられたOHC方式のＶ型エンジンにおけるタイ
ミングベルトカバー装置に関するものである。

（従来技術） 従来、Ｖ型エンジンにおいて、例えば特開昭59
−134328号に見られるように、左右のバンクのシ
リンダヘツドにカムシヤフトをそれぞれ設けた
OHC方式で、該カムシヤフトをタイミングベル
トを介してクランクシヤフトによつて連係駆動す
るようにしたものが公知である。そして、上記タ
イミングベルトに水、ダスト等が付着すると、そ
の耐久性を損うことから、該タイミングベルトを
覆うカバーを配設する必要がある。

しかるに、上記タイミングベルトを完全にシー
ルすると、内部の換気が悪くなつて冷却性が低下
することから、タイミングベルトの温度上昇によ
り耐久性を損う恐れがある。

（考案の目的） 本考案は上記事情に鑑み、タイミングベルトを
覆うタイミングベルトケースを構成するについ
て、Ｖ型エンジン特有の構造を利用してタイミン
グベルトケース内の換気を促進するようにしたＶ
型エンジンのタイミングベルトカバー装置を提供
することを目的とするものである。

（考案の構成） 本考案のタイミングベルトカバー装置は、右左
バンクのカムシヤフトを駆動するタイミングベル
トの前方をカバー部材で覆い、該カバー部材、シ
リンダブロツクおよびシリンダヘツドとでタイミ
ングベルトケースを形成する一方、右左のバンク
間のシリンダブロツク上方で両シリンダヘツド間
におけるタイミングベルトケース背部に空気抜き
を開口するとともに、該空気抜きの前方に対向し
てカバー部材に空気導入口を設けて該空気導入口
から上記空気抜きに直線的に空気を流し、さら
に、上記空気導入口の直ぐ後方に前記タイミング
ベルトを走行させることを特徴とするものであ
る。

（考案の効果） 本考案によれば、タイミングベルトケースの右
左バンク間のシリンダブロツク上方の背部に空気
抜きを開口し、これと直線的に対向して前方のカ
バー部材に空気導入口を設けたことにより、この
空気導入口からはエンジンの冷却フアンによる風
等が導入され、その空気の流れは直線的でスムー
ズに空気抜きに流れて背部に抜けるものであつ
て、タイミングベルトケース内の空気の巻き込み
作用が良好でタイミングベルトケース内の積極的
な換気が十分に行え、しかも、空気導入口から流
入した空気が直ぐ後方を走行するタイミングベル
トに直接当ることで、このタイミングベルトの冷
却が効率よく行えて耐久性が向上できるものであ
る。また、Ｖ型エンジンの構造を利用して右左の
バンク間のシリンダブロツク上の空間に対して空
気抜きを設けたことで、空気抜きから流出する空
気の流れに抵抗がなく速やかに排出され、前記換
気性能がさらに良好なものとなつていると同時
に、上記バンク間の空間の上部には吸気系が配設
されることから、この部分に形成した空気抜きか
らは水等がケース内に浸入し難いものである。

（実施例） 以下、図面により本考案の実施例を説明する。
第１図はＶ型エンジンの概略正面図、第２図は要
部断面側面図である。

OHC方式のＶ型エンジン１は、Ｖ字状に右左
に配設された右バンク２および左バンク３を有
し、そのシリンダブロツク４の下面にオイルパン
５が取り付けられている。

右左のバンク２，３の、シリンダブロツク４上
面に接合されたシリンダヘツド８，９にはカムシ
ヤフト１０，１１がそれぞれ設けられ、該カムシ
ヤフト１０，１１がクランクシヤフト７に前端部
でタイミングベルト１５を介して連系され、カム
シヤフト１０，１１がクランクシヤフト７と同期
回転駆動される。すなわち、各カムシヤフト１
０，１１の端部に固定されているタイミングプー
リ１２，１３と、クランクシヤフト７の端部に固
定されているクランクプーリ１４と、アイドラ１
６，１７，１８にタイミングベルト１５が巻き掛
けられている。そして、上記タイミングベルト１
５がタイミングベルトケース１９によつて覆われ
ている。

一方、エンジン１の前面における右左のバンク
２，３間の中央部で、しかも前記タイミングベル
ト１５の内周側位置には、ウオータポンプ２０が
取り付けられている。このウオータポンプ２０
は、ウオータポンプケーシング２１がシリンダブ
ロツク４から両側のバンク２，３に延びるように
配設され、中央部にポンプシヤフト２２が設けら
れて構成されている。このウオータポンプケーシ
ング２１の外周部には、上記タイミングベルト１
５のフロント側を覆うカバー部材２３に対する内
周側のシール面２４を形成する周壁が全周に亘つ
て形成されている。また、上記ウオータポンプシ
ヤフト２２の前端部には冷却フアン２７が取付け
られている（第２図参照）。

さらに、シリンダブロツク４および右左のシリ
ンダヘツド８，９の前面の外周部には、前記タイ
ミングベルト１５の外周側を包囲して上記カバー
部材２３に対する外周側のシール面２５が連続形
成されている。なお、外側シール面２５はその全
周域において内側シール面２４よりも低く形成さ
れている。

上記カバー部材２３は前記タイミングベルト１
５の前側を覆つて、該タイミングベルト１５を雨
水あるいはダストの付着から保護するためのもの
であり、前記内側シール面２４と外側シール面２
５の間に形成される部分の内の前記クランクシヤ
フト７の外周部を除く他の全域を覆うものであ
り、中央部に前記内側シール面２４の平面形状に
対応する開口部分を有し、取付ボルト２６により
取り付けられている。また、両側のバンク２，３
間のカバー部材２３の背部には背面プレート２８
が設けられている。そして、このカバー部材２
３、背面プレート２８とシリンダブロツク４およ
びシリンダヘツド８，９の前面とによつて、上記
タイミングベルト１５の全体を覆うタイミングベ
ルトケース１９が構成されている。

上記右左のバンク２，３の間には、上方に吸気
マニホールド３０（第１図では図示省略）が配設
される一方、両側のバンク２，３におけるシリン
ダブロツク４の左右トツプデツキ部分が水平方向
の壁部材３１で連結され、この壁部材３１の下部
に空間部３２が形成され、該空間部３２は、例え
ばブローバイガスのオイルの分離性を向上する緩
衝室、オイルパンへのオイルリターン通路もしく
は冷却水ジヤケツトの分配通路などに使用される
ものである。

また、上記タイミングベルトケース１９におい
て、右左のバンク２，３の間の壁部材３１より上
方の背面プレート２８の一部分が開放され、空気
抜き３３が開口されている。さらに、上記空気抜
き３３と対向する位置のカバー部材２３には、空
気導入口３４が開設されている。この空気導入口
３４にはルーバー３５が配設されて水等の侵入を
阻止するように構成されるとともに、背部の前記
壁部材３１の前端には上方に突出したリブ３６が
設けられ、壁部材３１の上に流れ落ちた水が上記
空気抜き３３からタイミングベルトケース１９内
に流入するのを阻止している。

上記のような実施例の構造によれば、冷却フア
ン２７による冷却風もしくは走行風が、タイミン
グベルトケース１９の前端面のカバー部材２３の
空気導入口３４からタイミングベルトケース１９
内に流入し、このケース１９内を直線的に流れて
背部の空気抜き３３から流出し、この空気流れに
応じて下方のタイミングベルトケース１９内の空
気が合流して排出され、タイミングベルトケース
１９全体が換気され、タイミングベルト１５の冷
却を図るとともに、タイミングベルトケース１９
によつてタイミングベルト１５を覆つて、このタ
イミングベルト１５に水等が付着するのを防止す
るものである。また、空気抜き３３および空気導
入口３４は、水、ダスト等が侵入し難い位置もし
くは構造に設けられ、全体的にタイミングベルト
の耐久性が向上するものである。

なお、上記実施例のタイミングベルトケース１
９においては、バンク間の背部には背面プレート
２８を配設して、この背面プレート２８に空気抜
き３３を形成しているが、背面プレート２８を配
設することなくバンク間の背面全体を空気抜きと
してもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例におけるＶ型エンジ
ンをカバー部材の一部を切除して示す概略正面
図、第２図は要部断面側面図である。 １……Ｖ型エンジン、２，３……バンク、４…
…シリンダブロツク、７……クランクシヤフト、
８，９……シリンダヘツド、１０，１１……カム
シヤフト、１２，１３……タイミングプーリ、１
５……タイミングベルト、１９……タイミングベ
ルトケース、２３……カバー部材、２８……背面
プレート、３１……壁部材、３３……空気抜き、
３４……空気導入口、３５……ルーバー、３６…
…リブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 右左のバンクのシリンダヘツドにそれぞれ設け
   られたカムシヤフトをタイミングベルトで駆動す
   るＶ型エンジンにおいて、上記タイミングベルト
   の前方がカバー部材で覆われ、該カバー部材、シ
   リンダブロツクおよびシリンダヘツドとでタイミ
   ングベルトケースが形成される一方、前記右左の
   バンク間のシリンダブロツク上方で両シリンダヘ
   ツド間におけるタイミングベルトケース背部に空
   気抜きが開口されるとともに、該空気抜きの前方
   に対向してカバー部材に空気導入口が設けられて
   該空気導入口から上記空気抜きに直線的に空気が
   流れ、さらに、上記空気導入口の直ぐ後方に前記
   タイミングベルトが走行することを特徴とするＶ
   型エンジンのタイミングベルトカバー装置。