JPS6132103Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は強制空冷側弁エンジンの送風装置に関
し、エンジンのシリンダ及び吸排気ブロツクの全
体をバランスよく強力に冷却できるようにするこ
とを目的とする。

一般に、遠心式フアンで起した冷却風で側弁エ
ンジンのシリンダ及び吸排気ブロツクを冷却する
ものでは、フアンの回転下手側に冷却風が集中す
るので冷却のバラツツキがくずれ、シリンダ及び
吸排気ブロツクに冷却の過不足を生じ、シリンダ
が歪み、シリンダ・ピストン間の気密性・耐久性
を低下させたり、附属機器を過熱させたりするこ
とがあつた。

そこで本出願人は、上記欠点を解消するために
フアンで起風し、フアンケースで案内されて吸排
気ブロツク側からシリンダ側へ流れる冷却風の一
部を吸排気ブロツクに案内する仕切板を吸排気ブ
ロツクとシリンダとからなるシリンダブロツクの
前側に設けることを考えついたが、こうしたもの
では仕切板の下方を流れる冷却風がシリンダに流
れるため吸排気ブロツクの下方が冷却不足とな
り、シリンダ側に流れ込んだ冷却風はシリンダ上
方にまで届きにくくなり、シリンダの前面上部が
冷却不足になりやすいという問題点があつた。

本考案は上記問題点を解消するために提案され
たもので、フアンケース内に設けた仕切板の下方
の前寄分に分風バランス用通風口を形成し、仕切
板の下方の後寄部分で冷却風の一部を吸排気ブロ
ツクの下方に案内して冷却するとともに、分風バ
ランス用通風口を上方に向つて通過する冷却風で
シリンダの前面上部を冷却するようにして、エン
ジンのシリンダ及び吸排気ブロツクの全体のバラ
ンスよく強力に冷却するようにしたものである。

以下、本考案の実施例を図面に基き説明する。

第１図は強制空冷側弁エンジンの正面図を示
し、第２図及び第３図はそれぞれ第１図の−
線、−線断面図を示す。

このエンジン１は、クランクケース２の上方
に、シリンダ３と吸排気ブロツク４とを左右に並
べた状態で一体にダイキヤスト鋳造してある。

クランクケース２及びシリンダ３の前面にはフ
アンケース取付板５が形成されており、このフア
ンケース取付板５の前面に突出するクランク軸６
にフライホイルフアン７が固着され、フライホイ
ルフアン７で起風された冷却風を、シリンダ３及
び吸排気ブロツク４と、これらの上面に亘つて固
着したヘツドブロツク８とに送風案内するフアン
ケース９が、フアンケース取付板５にボルト１０
で固定される。

図中符号１１は、フアンケース９の前面に固着
したコイルスタータで、フライホイルフアン７に
固定の回転伝導具１２を介してフライホイルフア
ン７に始動回転を与える。

フアンケース９の上方内面９ａには板状の仕切
板１３が垂下してあり、この仕切板１３は第２図
及び第３図に示すように、その上辺を折曲げて取
付片１４を形成するとともに、下寄部の前寄の偶
部を切欠いてある。そして吸排気ブロツク４とシ
リンダ３とからなるシリンダブロツクの前側に仕
切板１３が位置するようにフアンケース９の上部
内面９ａに取付けると、仕切板１３に設けた前記
切欠が分風バランス用通風口１５を形成する。

以上のようにエンジンの送風装置を構成する
と、第２図乃至第４図に示すように、フアン７で
起風された冷却風がフアンケース９に案内されて
フアンケース９の背面側の送風口１６に送られ、
吸排気ブロツク４側からシリンダ３側へ流れよう
とするときに、仕切板１３で吸排気ブロツク４を
冷却するものとシリンダ３を冷却するものとに大
きく二分され送風される。そして、そのとき、仕
切板１３の下寄部の前寄りに設けた分風バランス
用送風口１５を通る冷却風はフアンケース９の前
部の内面に沿つて上方へ向うような方向性をもつ
て流れており、分風バランス用送風口１５を通つ
た後も上方へ向う方向性が阻害されず、仕切板１
３の下部を通過してシリンダ３側に送風された冷
却風と相俟つて、シリンダ３の前部全面に過不足
なく良好に冷却風が送風されるようになる。

尚、仕切板１３に設ける分風バランス用通風口
１５は切欠きで形成するものに限られず、第５図
に示すように、透孔１７で形成するようにしても
よい。

本考案は、以上の述べたように、フアンで起風
し、フアンケースの送風口に案内されて吸排気ブ
ロツク側からシリンダ側に向つて流れる冷却風の
一部をフアンケース内のシリンダブロツク前側部
分に設けた仕切板で吸排気ブロツクに案内すると
ともに、仕切板の下方に前寄りに設けた分風バラ
ンス用通風口を通過する冷却風でシリンダの前面
上部を冷却するようにしてあるので、シリンダ及
び吸排気ブロツクをバランスよく、強力に冷却す
ることができる。これにより、シリンダの熱歪み
を小さくしてシリンダ・ピストン間の気密性、耐
摩耗性を高め、オイル上りによる潤滑油の消費量
を少なくできるとともに、潤滑油の温度を下げて
その耐久性を高められる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は強制空
冷側弁エンジンの正面図、第２図は第１図の−
線断面図、第３図は第２図−線断面図、第
４図は第３図の−線断面図、第５図は別の実
施例を示す要部斜視図である。 １……エンジン、２……クランクケース、３…
…シリンダ、４……吸排気ブロツク、７……フア
ン（フライホイルフアン）、９……フアンケー
ス、１３……仕切板、１５……分風バランス用通
風口、１６……送風口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 強制空冷側弁エンジン１のクランクケース２の
   前面に遠心式フアン７を配置し、フアン７のフア
   ンケース９の上部背面に送風口１６を左右に並ぶ
   シリンダ３及び吸排気ブロツク４の前面に向けて
   開口し、フアンケース９内で吸排気ブロツク４側
   からシリンダ３側に向つて流れようとする冷却風
   を仕切板１３で吸排気ブロツク４に案内するよう
   に構成するとともに、この仕切板１３はシリンダ
   ブロツクの前側でフアンケース９内に位置させ、
   仕切板１３の下寄部における前寄部に分風バラン
   ス用通風口１５を明け、この通風口１５により、
   冷却風を吸排気ブロツク４とシリンダ３とに送風
   する風量バランスをとるように構成した強制空冷
   側弁エンジンの送風装置。