JPS595146Y2 - ソクベンシキクウレイエンジンノレイキヤクソウチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は側弁式空冷エンジンの冷却装置に係り、その
目的とするところは冷却ファンの駆動により起生じた冷
却風がファンカバーの内周に沿って上部に集まり易いこ
とを利用し、この上部に集まる冷却風の一部を吸・排気
弁部分の如く高温部分に送風せしめることにより、シリ
ンダ温度のアンバランスを従前以上に改善したものを提
供しようとするにある。

側弁式空冷エンジンでは、クランク軸に取付けた冷却フ
ァン（フライホイールファン）の駆動により冷却風を取
入れ、この冷却風をファンカバーおよびこのファンカバ
ーに延設したカウリング等で誘導して、シリンダ側面を
冷却しつつ裏側（冷却ファンと反対側）に至らしめ、吸
・排気弁座の付近を冷却しながら排出させるものである
が、従前の冷却手段ではシリンダ部分と吸・排気弁部分
とは冷却の程度に差違をもたせねばならないにも拘らず
、冷却ファンの回転方向によって、取入れられた冷却風
が専らシリンダヘッド側に集中的に案内され、その部分
が重点的に冷却されるようになっており、最も冷却を必
要とするシリンダの吸・排気弁部分にはその取入れられ
た冷却風が充分に行きわたらず、この結果としてシリン
ダの熱歪によるオイルアップ、ピストンリングのステッ
ク、ガス洩れ等を誘発し、性能を著しく低下している。

この考案は上記のような従前例の問題点を解消するため
になされたものでその特徴とするところは、エンジンの
一側部に、冷却ファンと、該ファンにて起生された冷却
風をシリンダとシリンダヘッド並びに吸排気弁の各外周
に導通するファンカバーとを備えた側弁式空冷エンジン
において、シリンダヘッド上に通風自在な空間を残すべ
くファンカバー内の空間中途付近へと張出す有底型底部
を、シリンダヘッドに形成し、該底部の平面的な張出状
態が、シリンダの吸排気弁部に対応する冷却風通路の入
口側上方部分において張出状とされていると共に、該底
部の上面にはその張出先端まで延びる縦フイン群が立設
されている点にある。

従って、この考案によると冷却ファンの駆動で取入れら
れた冷却風のうち、シリンダヘッドに向って多量に送風
されるものが底部に衝突し、その衝突した冷却風がシリ
ンダと吸・排気弁部分との間に形成した通路に誘導され
ることによって、高温部である吸・排気弁座付近を強制
的に空冷できる利点がある。

そして、上記庇部をシリンダヘッド自体より突出形成し
たため、シリンダヘッドの有効面積をそれだけ増長でき
るし、この有効面積の増長手段が側方への延設であるた
めにシリンダヘッドフィンの高さを低くしてシリンダヘ
ッドの有効面積を維持でき、この結果としてエンジン高
さを低くすることができる。

次に、この考案の一例を図面に従って詳述すると、１は
クランクケース、２はクランク軸１．３はクランク軸２
の一端に固設されたフライホイールファンで、実質的に
このファンが冷却ファンとされている。

４はファンカバーであり、前記ファン３の前面・上下面
および左右面の５面を覆う椀形状であって、クランクケ
ース１等にボルト等で取付けられている。

５はクランクケース１の上面に一体的として立設された
シリンダで、その外周に多数の横フイン群６が突設され
ている。

７および８はシリンダ５の側方に設けた吸・排気弁ポー
トであり、図例ではポート７が吸気とされ、ポート８が
排気とされ、それぞれ公知のように吸・排気弁が内装さ
れる。

９はシリンダ５の上面にスタッドボルト等により着設さ
れるシリンダヘッドであり、多数の縦フイン群１０を有
する。

１１はヘッドカバーであって、ファンカバー４より延設
状として取付けられている。

１２は吸・排気弁部分と反対側のシリンダ５側方を覆う
カウリングであって、第２図示のようにファンカバー４
より延設されて冷却ファン３と反対側までその自由端が
彎曲されている。

１３はシリンダ５と吸・排気弁部分との間に形成した冷
却風通路であって、第２図示のようにクランク軸２と並
行している。

而してこの考案では、シリンダヘッド９上に通風自在な
空間を残すべくファンカバー４内の空間中途付近へと張
出す庇部１４を、シリンダヘッド９に形成し、該庇部１
４の平面的な張出状態が、第２図示の如くシリンダ５の
吸排気弁部７，８に対応する冷却風通路１３の入口側上
方部分において張出状とされ、他の部分、即ちカウリン
グ１２を備えたシリンダ５側の外周には庇部１４のない
ことにより従前同様に冷却風の分配がなされるが、庇部
１４のある部分では後述の如く吸排気弁部７，８へと可
成り多量の冷却風が分配される。

その他、図において、１５は吸気マニホールド、１６は
排気マニホールド、１７は点火プラグを示している。

上記のように構成されたこの考案の実施例によると、冷
却ファン３の回転によりファンカバー４の前面に開設し
た風取入口（図示せず）から冷却風が従前同様に取入れ
られる。

取入れられた冷却風はファンカバー４の内面および゛ヘ
ッドカバー１１の内面さらにはカウリング１２の内面に
よって誘導されながらそれぞれのフィン６．１０を介し
て各部を空冷しつつ冷却ファン３０反対側より排出され
る。

この際、冷却ファン３が左回転であるとすれば、同ファ
ン３はクランク軸２の一端に取付けた横軸廻りの回転で
あるため、取入れられた冷却風はカウリング１２イ則に
おけるシリンダヘッド９に集中的に送風されることにな
り、吸排気弁部分のように高温部分はその送風側と反対
側にあるため、最も冷却が必要であるにも拘らずその冷
却能が不足することになる。

しかし、この考案では冷却風の送風通路の一部を横切る
ようにして、シリンダヘッド９の一部を冷却ファン３に
向って突設して庇部１４を形成したため、シリンダヘッ
ド９に向って送気される冷却風の一部が、庇部１４に衝
突し、この庇部１４が吸排気弁部分にあるためその庇部
１４の下面にて誘導され吸排気弁部分を強制的に冷却で
きるのである。

また、庇部１４を冷却風通路１３の入口上側に位置せし
めているので、庇部１４にて案内された冷却風が通路１
３を通過し、この結果として最も高温部である吸排気弁
部分を冷却せしめ、エンジンシリンダ等の全域を均等に
冷却する。

即ち、庇部１４が存在することは単に分配がなされるだ
けでなくその分配された冷却風がシリンダヘッド９の底
面だけでなくシリンダ５の頂部外周囲へと水平に指向す
る流れとなり、従って一方では燃焼室を外周から効果的
に冷却しつつもその流れ下方の蓮排気弁部までも共に冷
却すると云った冷却の仕方をする。

特に吸排気弁部からは自然的に上昇する熱気が存在しこ
れに対して冷却風が作用することによって冷却速度が速
くなり、しかもこのことから内部排気ガスの熱が外部に
伝熱しやすいと云った特有な冷却作用がなされる。

又、この強制分配方式によれば機関回転数が上昇しても
それに適応した冷却を施すことができる。

また、庇部１４をシリンダヘッド９より直接延設するこ
とによって、シリンダヘッド９の縦フィン１０の有効面
積の増大が図れ、この結果として縦フィン１０の高さを
低くしても所期の有効面積が維持できて、これはエンジ
ン高さをそれだけ低くすることができる。

なお、庇部１４に代替して例えばファンカバー４の一部
をシリンダ５側に凹入せしめることによってもよいが、
これに従うとエンジンの外観体裁が悪くなって商品価値
が低下する。

しかし、本案ではシリンダヘッド９の一部を張出して庇
部１４となしているために、外観体裁には何等の支障が
ない。

さらに、本案の庇部１４に代替して導風部材を別途に付
設することも考えられるが、空間的スペースが狭いため
に実質的に困難であるのに対し、本案では在来通りに組
込むだけでよいために上記問題が解決できる。

この考案は以上の通りであって、この考案に従えば、吸
排気弁部分を強制的に冷却できる他、エンジン高さを低
くしてコンパクトにできる等の利点があり、所期目的を
有効に発揮できる。

特に本考案によれば、冷却風として未使用の新規冷却風
を予め強制分割し、ヘッド・シリンダとのバランスを考
慮しつつ吸排気弁部付近を効果的に冷却することができ
るものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一例を示し、第１図は一部を切欠した全
体外観図、第２図は第１図Ａ−Ａ線の断面図である。 ３・・・・・・冷却ファン、４・・・・・・ファンカバ
ー、５・・・・・・シリンダ、７，８・・・・・・吸排
気弁部分（ポート）、９・・・・・・シリンダヘッド、
１４・・・・・・庇部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの一側部に、冷却ファン３と、該ファン３にて
   起生された冷却風をシリンダ５とシリンダヘッド９並び
   に吸排気弁７，８の各外周に導通するファンカバー４と
   を備えた側弁式空冷エンジンにおいて、シリンダヘッド
   ９上に通風自在な空間に残すべくファンカバー４内の空
   間中途付近へと張出す有底型庇部１４を、シリンダヘッ
   ド９に形威し、該庇部１４の平面的な張出状態が、シリ
   ンダ５の吸排気弁部７，８に対応する冷却風通路１３の
   入口側上方部分において張出状とされていると共に、該
   庇部１４の上面にはその張出先端まで延びる縦フイン群
   １０が立設されていることを特徴とする側弁式空冷エン
   ジンの冷却装置。