JPH029293B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はセンサ部に熱電変換素子を用いたデジ
タル表示式の電子体温計に関するものである。

この種の電子体温計は、水銀体温計などと違つ
て熱電変換素子が最高温度記録機能を持たないの
で、体温測定を終つてプローブを腋下から外すと
測温結果が残らず、したがつて測定中の表示を記
憶しておく必要があり、間違いを起こし易いとい
う欠点があつた。また測定中においてもプローブ
のセンサ部と皮膚との接触状態の変化などにより
温度が変動するので、測定終了後の温度降下と測
定中の温度変動とを区別することが、その後の温
度測定機能の停止あるいは測定経過時間を同時に
表示する場合には計時機能の停止などのために必
要であり、本発明は上記に鑑み、一定時間内に温
度降下幅がある設定値（例えば１℃）を超した場
合に、これを測定終了とみなして、温度記憶部に
記憶されている降下前の温度を測温結果として保
持せしめると共に他の機能を停止せしめ、読み違
いや読み忘れを防止すると共に、装置の誤動作の
防止やバツテリの消費電力の節減などに資するこ
とを目的とするものである。

以下実施例図によつて本発明の構成を詳述す
る。

第１図は本発明電子体温計の外観を示し、第２
図は使用状態を示すものである。先端のセンサ部
１にサーミスタなどの熱電変換素子を用いた棒状
プローブ２はコードおよびプラグ３によつて本体
ケース４の差込ソケツト５に着脱自在に接続され
る。ケース４内部には、第３図に示すように、電
源用電池６およびプリント配線板７が収納され、
プリント配線板には第４図に示すように、増幅回
路８、Ａ／Ｄ変換器９、CPU回路１０、表示部
１１が組込まれている。表示部１１には３桁の
LEDデイスプレイが用いられており、ケース４
の透明窓１２から透視される。１３は電源スイツ
チである。CPU回路１０はプログラムが書込ま
れたROM、温度データなどを記憶する記憶部、
演算回路、計時回路、入出力回路などからなり、
ワンチツプ型プロセツサICが用いられている。

次に本発明電子体温計の動作状態を第５図のフ
ローチヤートに従つて説明する。

プローブを装着してスイツチを入れると、先ず
温度測定のプログラムが実行され、一定時間（例
えば10秒）毎に温度が読取られる。(イ)において温
度が33℃を超えるまではドツト表示を点滅させ、
33℃を超えると時間測定を開始する。このときド
ツト点滅が所定回数を超えた場合にはプローブの
装着不良あるいは断線ということが判明する。(ロ)
および(ハ)において、温度が規定範囲35℃〜42.1
℃）に入つたことを確認して後、測定した温度と
経過時間を交互に表示し、(ニ)において、今測定し
た温度を記憶部に記憶されている前の温度と比較
し、今の温度が高ければ(ハ)に戻つて測定を繰り返
す。今の温度が前の温度より低い場合には、プロ
ーブの接触状態の変化などによる微少変化か、あ
るいは測定を完了してプローブを人体から外した
ことによるものかを区別するために、(ホ)におい
て、前記10秒間の温度降下幅が１℃以上かどうか
を判定し、１℃未満であれば前の温度を温度記憶
部に記憶させると共にこれを表示し、１℃以上で
あれば前の温度すなわち温度記憶部に記憶されて
いる測定値を体温測定結果として連続表示させる
のである。なお(ロ)および(ハ)において、測定した温
度が規定範囲に入つていない場合のエラー表示
は、規定値を超えた時にLEDの上部セグメント
の点滅、規定値未満の時に下部セグメントの点滅
で示している。また本実施例は、測定途中におい
て一時的に温度が下がつた場合にも常に最高温度
を表示することによつて、使用者に実際の体温に
一層近い値を示すようにしたものであるが、常に
今の温度を示すようにしてもよい。

本発明は上述のように構成されたもので、第６
図の腋下温度特性図に示すように、一定時間（例
えば10秒）内の温度降下幅がある設定値（例えば
１℃）を超えた時に、降下前のＡ点を測定完了時
とみなし、前の測定値を体温測定結果として保持
せしめるものであるから、測定途中の温度変動と
測定完了による温度降下をプログラムによつて判
別させることができ、したがつて例えば患者が自
分で測定した体温が医師が確認する場合にも、読
み違いや覚え違いなどを防止して体温測定の信頼
性を高めることができるという利点があり、ま
た、予め設定した所定時間内における温度降下幅
が測定最小単位以上のある設定値を超えた時に、
センサ部が人体から外されて測定が完了したと判
断して温度記憶部に記憶されていた測定値を測定
結果として表示するようになつているので、測定
中においてセンサ部と皮膚との接触状態が変化す
ると測定値が変動しても、この接触状態による変
動幅に比べて上記設定値を大きくしておくことに
よりセンサ部と皮膚の接触状態の変動によつて測
定が誤つて終了されることがないという利点があ
る。つまり、本発明にあつては、温度降下幅が測
定最小単位以上の設定値を超えたときに測定を終
了するようにしているので、測定中にセンサ部の
皮膚への接触状態が変化したことによる比較的小
さい温度降下と、測定を終了してセンサ部を皮膚
から完全に離したことによる比較的大きな温度降
下とを明確に区別でき、測定者の意志に反して測
定が終了してしまうことがなく測定ミスが起き難
いという利点がある。また、測定者の意志によつ
て測定終了時点（センサ部を皮膚から離した時
点）が任意に設定できるので、測定時間を長くし
てより正確な体温を知りたい場合あるいはおよそ
の体温を早く知りたい場合などの状況に容易に対
応できるという利点があり、従来の体温計と同様
の機能を有するものである。さらにまた上記実施
例のように、測定途中でも常に最高温度を表示す
るようにした体温計においても、測定完了を検出
することによつて、CPU回路が他のプログラム
の実行に移ることができるという利点があり、例
えば測定完了と同時に表示を消し、必要に応じて
スイツチ操作により保持されている測定結果を表
示させることもでき、それによつて電池の寿命を
延ばすことができる。また温度と経過時間を交互
に表示させる場合にも、上記実施例のように、測
定完了後に温度のみを連続表示してもよいが、完
了時の経過時間を保持して温度と共に交互に表示
してもよく、あるいは温度のみを点滅表示して電
力消費を節減することも可能であるなどの利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す外観斜視図、
第２図は同上の使用状態を示す斜視図、第３図は
本体の切欠側面図、第４図は同上のブロツク回路
図、第５図は同上の動作状態を示すフローチヤー
ト、第６図は測定温度特性図である。 １……センサ部、２……プローブ、３……プラ
グ、４……本体ケース、５……差込ソケツト、６
……電池、７……プリント配線板、８……増幅回
路、９……Ａ／Ｄ変換器、１０……CPU回路、
１１……表示部、１２……透明窓、１３……電源
スイツチ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱電変換素子よりなるセンサ部と、センサ部
   の出力信号をデジタル信号に変換するＡ／Ｄ変換
   器と、上記デジタル信号を一定時間毎に読み取つ
   て測定値とする読み取り手段と、読み取られた測
   定値を記憶する温度記憶部と、今の測定値と温度
   記憶部に記憶されている前の測定値とを比較して
   今の測定値が前の測定値よりも大きいときに温度
   記憶部に今の測定値を記憶させる書き換え手段
   と、予め設定した所定時間内における温度降下幅
   が測定最小単位以上のある設定値を超えた時に、
   温度記憶部に記憶されていた測定値を測温結果と
   して保持する測温結果保持手段と、測温結果をデ
   ジタル表示するデジタル式表示部とを具備した電
   子体温計。 ２ 温度記憶部に記憶されている最高温度を上記
   デジタル表示部に常に表示させると共に、上記一
   定時間内における温度降下幅がある設定値を超え
   た時に、測温結果をデジタル表示部に表示させる
   ようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の電子体温計。 ３ 体温測定の経過時間を計時する計時装置を備
   えて、体温測定の経過時間と最高温度とを上記デ
   ジタル表示部に交互に表示せしめ、上記一定時間
   内の温度降下幅が設定値を超えた後は、最高温度
   のみを表示せしめることを特徴とする特許請求の
   範囲第２項記載の電子体温計。