JPH026657B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は貨物自動車における荷受台昇降装置に
係り、詳しくは、貨物などを荷箱に積み卸しする
３段伸縮式昇降装置であつて、中間コラムの降下
位置を途中で規制できるようにした荷受台昇降装
置に関するものである。

〔従来技術〕

貨物自動車の荷箱へ貨物などを積み卸すため
に、荷箱の後部に荷受台昇降装置が装着されてい
ることが多い。荷受台は積荷を乗載して荷箱の床
面と地上との間を昇降するようになつていて、荷
受台を支持する部材が、車体構造に固定された部
材に案内されるようになつているのが一般的であ
る。荷受台は地上から荷箱床面までの例えば１ｍ
程度の昇降距離を必要とするので、荷受台を支持
する部材は長いものとなる。車両が走行するに先
立ち、水平状態にある荷受台が支持部材を介して
上昇されると共に、それが垂直に立て掛けられ、
走行に支障のないような格納状態とされる。その
際、上述したような昇降距離を必要とする支持部
材を案内する固定部材も長尺なものとなり、荷受
台昇降装置の一部が荷箱より上方に突出するなど
して嵩張つたものとなる。

そこで、荷受台昇降装置をコンパクトにする改
良がなされ、それを実現した３段伸縮形式の昇降
装置が提案されている。その例として特開昭57−
104431号公報や実開昭56−98746号公報、また特
公昭46−962号公報に記載されたような構造など
がある。それらの構造は、概略的に言つて、荷箱
の後部に取り付けられた固定コラム、その中を昇
降自在に摺動変位する中間コラム、中間コラムに
対して摺動方向に変位するスライダからなり、そ
れぞれが相互に変位することができる所謂３段伸
縮形式を採つている。これらの装置における中間
コラムはいずれも自ら変位する能力を有せず、ワ
イヤロープなどで変位されるスライダの動きに依
存して昇降するようになつている。すなわち、中
間コラムの上端部に設けられたストツパがスライ
ダの上端部に乗つた恰好となつており、スライダ
が降下するとそれに伴つて中間コラムも降下す
る。中間コラムの下端部が地上に接すると、中間
コラムの降下は停止する一方、降下を続けるスラ
イダは中間コラムのストツパから離れて所望の位
置まで降下する。荷受台はスライダに一体化され
ているので、積荷を乗載した状態の荷受台もスラ
イダの停止高さ位置を採り、スライダが下端まで
降下すれば、荷受台は地上に至る。

このような作動において、中間コラムの下端部
が地上に接するまではスライダと中間コラムは一
体的に降下し、その途中でスライダを停止させれ
ば、中間コラムの下端が地面に接触しない状態
で、荷受台も停止させることができる。しかし、
そのような場合の荷受台の停止位置は、スライダ
が中間コラムを支持している状態に限られるの
で、ある程度高い位置にならざるを得ない。例え
ば道路に線を描くためなどのラインマーカを荷受
台に乗載し、車両を走行させて線引き作業を連続
的に行おうとする場合、ラインマーカを地上近く
のかなり低い位置に保持しておく必要があり、上
述した荷受台を一層降下させなければならない。
スライダを所望の位置まで降下させようとする
と、荷受台が所定の位置に到達する前に、中間コ
ラムの下端が地面に接触することになる。荷受台
に乗載されたラインマーカを車両によつて移動さ
せれば、中間コラムの下端が路面を擦ることにな
り、もはやラインマーキング作業を連続的に行な
うことができなくなる。このように、従来から採
用されている３段伸縮式の荷受台昇降装置にあつ
ては、中間コラムの支持がスライダのみに頼つて
いるので、スライダがある程度の距離を降下した
時点で、中間コラムが地上に接してしまうことに
なり、３段伸縮式荷受台昇降装置を利用したマー
キング作業を行なうことができない問題がある。
もちろん、ラインマーカを乗載する場合に限ら
ず、積荷を荷箱に積み込むことなく荷受台に乗せ
たまま移動させたい場合などになつても同様であ
り、荷受台昇降装置の柔軟性のある作動の実現が
望まれている。

〔発明の目的〕

本発明は上述の問題に鑑みなされたもので、そ
の目的は、３段伸縮式の荷受台昇降装置にあつ
て、その荷受台を任意の高さ位置に設定しても、
中間コラムが地上に接しない状態とすることがで
き、例えばラインマーカなどを所望の低い位置に
保持して車両を移動させながらマーキング作業な
どを連続して行なうことができる一方、荷受台を
格納状態にして車両を走行させる場合、昇降装置
のコンパクトな格納状態を維持できるようにした
貨物自動車における荷受台昇降装置を提供するこ
とである。

〔発明の構成〕

本発明の貨物自動車における荷受台昇降装置の
特徴を、第１図を参照して説明すると以下の通り
である。車体後部に設置された固定コラム２、そ
の固定コラム２に対して昇降可能な中間コラム
５、その中間コラム５を昇降させると共に中間コ
ラム５に対して昇降変位するスライダ７を備え、
そのスライダ７に取り付けられた荷受台１を、車
体荷箱と地上との間で昇降させることができるよ
うになつている荷受台昇降装置であつて、中間コ
ラム５の下端部近傍に係合ピン２２が突設され、
その係合ピン２２に係止して中間コラム５を支持
する係止フツク２３が、車体またはそれに一体化
した部材に設けられた支持ピン２４に回動可能に
取り付けられている。

〔作用〕

スライダ７を降下させると、中間コラム５も同
時に降下する。係止フツク２３を予め回動させて
おくと、中間コラム５に突設された係合ピン２２
が係止フツク２３に係合可能な状態となる。中間
コラム５が所定量降下すれば、係止フツク２３が
係合ピン２２に係止し、中間コラム５が吊られた
ような恰格となり、スライダ７がさらに降下して
も、中間コラム５は係止フツク２３に阻まれても
はや降下しない。スライダ７の上端部が中間コラ
ム５の上端部から離れ、スライダ７による中間コ
ラム５の支持は開放され、スライダ７のみが降下
を続ける。中間コラム５の下端が地面に接しない
状態で、スライダ７が所望の位置まで降下し、荷
受台１が所定の地面高さに設定される。荷受台１
に例えばラインマーカなどを乗載しておけば、車
両を動かすだけでラインマーカにより連続した所
定の線引き作業を行なうことができる。

一方、係合ピン２２を係止フツク２３に係合さ
せない場合には、通常の積み卸し作業ができる
し、荷受台昇降装置を格納するときには、スライ
ダ７が中間コラム５の上端部に戻り、中間コラム
５が固定コラム２内に収納されてコンパクトなも
のとなり、車両の走行を阻害したりすることはな
い。

〔実施例〕

以下、本発明をその実施例に基づいて詳細に説
明する。第２図は本発明が適用される３段伸縮式
の荷受台昇降装置の全体正面図で、貨物自動車の
後から前方を見たものである。この荷受台昇降装
置に取り付けられている荷受台１は、図示しない
車体の後部に設けられている荷箱の後面扉として
も機能するように、回動可能となつており、図で
は立て掛けられた状態にある。順に構成を説明す
ると、荷箱の後部左右に１対の固定コラム２Ａ，
２Ｂが立設されている。この固定コラム２は例え
ば矩形断面を有する筒状のもので、その後面には
上下方向に１本のスリツト３が設けられ、後述す
るスライダ７に取り付けられた荷受台１を支える
金具４（第３図参照）が通過できるようになつて
いる。このような固定コラム２に対して、その中
で昇降可能な中間コラム５Ａ，５Ｂが挿通され、
固定コラム２によつて上下方向の移動のみ許容さ
れるように案内される。この中間コラム５も図示
しないが固定コラム２とほぼ同形の矩形状の柱体
で、かつ、上述と同様なスリツト６が形成されて
いる。

その中間コラム５内には、中間コラム５を昇降
させると共に中間コラム５に対して昇降変位する
スライダ７Ａ，７Ｂが備えられている。本例にお
けるスライダ７は、第３図および第４図に示すよ
うに、上下部にそれぞれローラ８ａ，８ｂおよび
８ｃ，８ｄを軸承していて、中間コラム５の内面
を転動するようになつている。なお、図示してい
ないが、スライダ７の上端部は、中間コラム５の
上端部の下面に当接して、スライダ７が中間コラ
ム５を乗載したような恰好で内部から支えてい
る。そのスライダ７には前述した荷受台１が取り
付けられ、荷受台１を荷箱の床面と地上との間で
昇降させることができるようになつている。荷受
台１は、上述した中間コラム５および固定コラム
２のスリツト６，３を挿通する金具４から張り出
しているブラケツト９に回動自在に支持され、車
両の走行中にあつては垂直な姿勢で荷箱の後面扉
を形成し、積荷の積み卸し時にあつては、水平状
態とされるものである。

このような固定コラム２、中間コラム５、スラ
イダ７からなる３段伸縮式の荷受台昇降装置は、
第２図に示す油圧などにより駆動されるシリンダ
１０の伸縮で、スライダ７を介して昇降するよう
になつている。シリンダのピストンロツド１１の
先端には、右および左のスライダ７Ａ，７Ｂのた
めのワイヤロープ１２ａ，１２ｂを２列に懸回し
たシーブ１３があり、例えぱ右側のスライダ７Ａ
のためには、ワイヤロープ１２ａの一端が固定具
１４ａに締結され、車体に取り付けられたフレー
ム１５内で摺動する摺動支持部材１６に軸承され
たシーブ１３や端部シーブ１７および１８に懸回
され、それが第３図に示すシーブ１９を経てスラ
イダ２の固定具２０に締結されている。なお、左
のスライダ７Ｂを昇降させるために採用されてい
るワイヤロープ１２ｂは、固定具１４ｂに締結さ
れ、シーブ１３，１７から第４図に示すシーブ２
１に懸回され、図示しない固定具を介してスライ
ダ７Ｂに固定されている。ちなみに、スライダ７
の昇降をモータで行なつたり、ワイヤロープを使
用することなく直接シリンダで作動させたり、ま
た、リンク機構などを介して行なうこともでき
る。

第２図に示す中間コラム５の下端部近傍の外側
面には、係合ピン２２が突設されている。そし
て、その係合ピン２２に係止して中間コラム５を
支持する係止フツク２３が、第１図に示すよう
に、車体に一体化された固定コラム２に取り付け
られた支持ピン２４に、回動可能に取り付けられ
ている。その係止フツク２３はスプリング２５に
より付勢状態に置かれ、初期状態としては第５図
のように、ストツパピン２６によりその姿勢が維
持される。手動操作などで係止フツク２３が思案
線Ｐを越えて回動されると、スプリング２５が係
止フツク２３の倒れ姿勢を助長するように作用
し、係合ピン２２との係止が図られるようになつ
ている。なお、スプリング２５は是非無ければな
らないものではないが、上述したような付勢力を
発生させることができ、係止フツク２３の動きを
確実なものとすることができて都合がよい。

このような荷受台昇降装置にあつては、次に説
明するようにして、荷受台１を所望の高さ位置に
設置した状態で車両を走行させることができる。
まず、第２図においてシリンダ１０を縮小して、
シーブ１３を位置Ｍから位置Ｎに向かわせる。そ
れぞれのワイヤロープ１２ａ，１２ｂはピストン
ロツド１１の縮小量の２倍のストロークで繰り出
され、スライダ２がそれぞれを支持する案内ロー
ラ８ａ〜８ｄによつて、中間コラム５内を降下す
る。中間コラム５は固定コラム２内に挿入されて
いる状態でスライダ７に支えられた状態にあるの
で、スライダ５の降下に伴つて中間コラム５も降
下する。前述した係止フツク２３を係合ピン２２
に係止させる必要がなければ、係止フツク２３の
姿勢は第５図に示すそのままの状態とされ、中間
コラム５はその下端が地面に接するまで降下す
る。スライダ７がさらに降下されると、スライダ
７の上端部が中間コラム５の上端部内面より離反
してスライダ７のみが降下し、それに一体化され
た荷受台１も、第４図の下部における仮想線で示
すように地上まで降ろされる。

積荷を荷箱に積載するため、スライダ７が上昇
されると、荷受台１上の積荷も持ち上げられ、ス
ライダ７が中間コラム５の上端部内面に当接す
る。シリンダ１０が伸長してスライダ７がさらに
上昇すると中間コラム５も持ち上げられ、荷受台
１が荷箱の床面と同一高さになると、シリンダ１
０の駆動が停止される。積荷を荷箱を押し込むな
どして積載作業が完了すれば、荷受台１を第４図
に示すピン２７を中心に、仮想線で示す水平な状
態から垂直に立て掛けられ、フツク２８などでそ
の倒れが防止され、かつ、その荷受台１は荷箱の
後面扉として機能する。もちろん、荷受台１とは
別に扉が設けられていれば、荷受台１は立て掛け
られるだけである。このような作動において、中
間コラム５が固定コラム２内に収納されるので、
固定コラム２の高さを抑えることができ、荷受台
昇降装置の格納状態をコンパクトなものとするこ
とができる。

このような通常の作動に加えて、本例にあつて
は係止フツク２３を係合ピン２２に係止させ、中
間コラム５の降下を規制することができる。例え
ばラインマーカなどを荷受台１に乗載し、それを
地上近くに位置させ、かつ、車両を走行させるよ
うな場合には、第５図のような状態から、予め係
止フツク２３をスプリング２５に抗して回動さ
せ、思案線を通過させた第６図のような姿勢とす
る。係止フツク２３の腹部が中間コラム５の係合
ピン２２に当接するが、未だ係止状態とはならな
い。スライダ７がさらに降下すると中間コラム５
も降下して、第７図に示すような状態を経て、第
８図に示すように係止フツク２３が係合ピン２５
に係止される。この状態においてはスライダ７が
降下しても中間コラム５が係止フツク２３に支持
されることになるので、スライダ７の降下による
中間コラム５の接地は起こらない。スライダ７が
さらに降下されて荷受台１も降下し、第１図に示
すようなに位置に至ると、ラインマーカを荷受台
１に載せ、車両を走行させる。ラインマーカは地
面に接近した位置にあり、かつ中間コラム５が宙
に浮いたようにな状態に維持され、車両を走行さ
せても、中間コラム５が地面を擦るなどのことは
ない。したがつて、車両を走行させながら線引き
作業などを連続して行なうことができる。

〔発明の効果〕

本発明は以上の実施例の説明から判るように、
中間コラムの下端部近傍に係合ピンを突設し、車
体またはそれに一体化した部材に設けられた支持
ピンに、係止フツクを回動可能に取り付けたの
で、係止フツクを係合ピンに係止して中間コラム
を支持することができる。その結果、３段伸縮式
の荷受台昇降装置でありながら、荷受台を任意の
高さ位置に設定しても、中間コラムが地上に接触
しない状態とすることができ、例えばラインマー
カなどを所望の低い位置に保持してマーキング作
業などを、車両を走行させながら連続して行なう
ことができる。もちろん、３段伸縮式の構造は維
持されているので、積荷の積み卸し作業を行なう
ことができるし、通常走行などにおける荷受台昇
降装置の格納状態をコンパクトにしておくことも
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の貨物自動車における荷受台昇
降装置の１実施例における要部図、第２図は本発
明の装置が適用された車体後部における全体正面
図、第３図は第２図の右側面図、第４図は荷受台
の移動状態を含む第２図の左側面図、第５図〜第
８図は係止フツクが係合ピンに係止する手順を示
す作動説明図である。 １……荷受台、２……固定コラム、５……中間
コラム、７……スライダ、２２……係合ピン、２
３……係止フツク、２４……支持ピン。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車体後部に設置された固定コラム、その固定
   コラムに対して昇降可能な中間コラム、その中間
   コラムを昇降させると共に中間コラムに対して昇
   降変位するスライダを備え、そのスライダに取り
   付けられた荷受台を、車体荷箱と地上との間で昇
   降させることができるようになつている荷受台昇
   降装置において、 前記中間コラムの下端部近傍に係合ピンが突設
   され、その係合ピンに係止して中間コラムを支持
   する係止フツクが、車体またはそれに一体化した
   部材に設けられた支持ピンに、回動可能に取り付
   けられていることを特徴する貨物自動車における
   荷受台昇降装置。