JPH0263083B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の対象及び利用分野〕 本発明は、内燃エンジンのバルブ駆動装置に関
するもので、特にロツカアーム内に圧送式油圧リ
フタが収容される型式の内燃エンジンのバルブ駆
動装置に関するものである。

一般に内燃エンジンに於いては、主にシリンダ
ヘツド，シリンダブロツク等の熱による伸びとバ
ルブ駆動機構の伸びとの差を考慮し、所定のバル
ブクリアランスを設ける必要があるが、当該クリ
アランスが正しく保持されてないと、エンジン作
動中に騒音が発生したり生ガスの吹き抜けによる
出力ロス等が生じる。そこで動弁機構の作動中バ
ルブクリアランスを零に保ち、騒音を防止し出力
ロスを防止して安定した動弁機構の作動を計る油
圧リフタが既に知られている。この様な油圧リフ
タが使用される自動車エンジンの動弁機構に、本
発明装置が利用される。

〔従来技術〕

上記種類の油圧リフタを有する内燃エンジンの
バルブ駆動装置として、従来、例えば特開昭53−
16113号公報に記載されるものが既に知られてい
る。このものは、カムからの荷重を一端で受け他
端でバルブステムを作動させるロツカアーム内に
収容される油圧リフタを備え、該油圧リフタは、
ロツカアーム本体内に摺動可能に配設され、その
一端がバルブステム又はカムと連動し他端側に圧
力室を形成するプランジヤと、ロツカアームの本
体内に形成されるリザーバ室と、該リザーバから
圧力室側へのみ作動オイルの流通を許容するチエ
ツクバルブを有している。更に、ロツカアームを
揺動自在に枢支するロツカシヤフトの内部中空に
オイル通路が形成され、該オイル通路を介してオ
イルポンプから圧送されるエンジンオイル等の作
動オイルを、油圧リフタのリザーバ室に供給可能
となつている。

〔従来技術の問題点及びその技術的分析〕

しかしながら、上記した従来技術に於いては、
特にエンジン始動時、或いは急激にエンジン回転
数が増加又は減少した時、ロツカシヤフト及びロ
ツカアーム本体に形成されるオイル通路を介し
て、リザーバ室に供給される作動オイル中に多数
の気泡が混入される場合がある。この時、リザー
バ室の上部にたまるこの気泡が多量になるとリザ
ーバ室から圧力室に侵入し、油圧リフタ自体の剛
性が消失してしまう。その結果、プランジヤのス
トツパーとの当接音或いはバルブのシート面との
着座音等の打音が発生するという欠点があつた。

〔技術的課題〕

そこで本発明は、作動オイル中に混入される気
泡を外部へ排出し、もつて圧力室内への気泡の侵
入をできるだけ防止することを、その技術的課題
とする。

〔技術的手段〕

上記技術的課題を達成するために講じた技術的
手段は、リザーバ室に作動オイルを供給する第１
オイル通路をロツカシヤフトの内部中空に形成
し、該ロツカシヤフトの内部中空の上方部を外部
へ開放する空気抜け穴を設け、前記第１オイル通
路に作動オイルを供給する第２オイル通路をロツ
カサポート内に形成し、該第２オイル通路中に異
物除去用オイルフイルタを配設する、ことであ
る。

〔技術的手段の作用〕

ロツカシヤフト内の第１オイル通路とロツカサ
ポート内の第２オイル通路を介して、油圧リフタ
のリザーバ室に作動オイルが供給されるが、該作
動オイル中に気泡が混入されていても、該気泡は
ロツカシヤフトに形成される空気抜け穴から外部
へ排出される。従つて、気泡のリザーバ室から圧
力室への侵入が、できるだけ減少されることにな
る。また、第２オイル通路中に異物除去用のオイ
ルフイルタが配設されているので、作動オイル中
に含まれる異物により上記空気抜け穴が閉塞され
ることが防止される。オイルフイルタが第２オイ
ル通路中に配設されない場合には、作動オイル中
に含まれる空気抜け穴よりなる異物により該空気
抜け穴が閉塞され、作動オイル中の気泡が排出さ
れなくなり打音の発生が起きる結果となり、また
異物が空気抜け穴より小の場合でも、長期にわた
つて使用することにより異物が堆積して空気抜け
穴が徐々に閉塞され、ついには気泡の排出能力が
なくなるという不具合がある。しかしながら、本
発明によると異物除去用のフイルタを備えている
ので、この様な不具合が解消できる。

〔本発明によつて生じた特有の効果〕

本発明は上記の如く、先ず、ロツカシヤフトの
内部中空の上方部に空気抜け穴を設けるものであ
るので、ロツカシヤフト上に複数の油圧リフタが
配設される型式の内燃エンジンに於いても、夫々
の油圧リフタに対応して多数の空気抜け穴を設け
ることは必ずしも必要でないという効果がある。
次に、第２オイル通路中に配設されるオイルフイ
ルタにより、空気抜け穴への異物侵入が防止され
ることの二次的効果として、油圧リフタ内への異
物侵入をも同時に防止できることができ、従つて
異物による油圧リフタのプランジヤが作動ロツク
したり或いはチエツクバルブのシール不良等の不
具合を防止する効果がある。更に、油圧リフタ及
びロツカアームの潤滑に使用されるオイル量は、
エンジン全体の潤滑オイル量からみると少量であ
るので、第２オイル通路中にオイルフイルタを配
設する時、該フイルタの目を細かくしてもオイル
通路の抵抗となることが少ない。

〔実施例〕

以下、本発明を具体化した一実施例について、
添付図面に基づき説明する。

第１図は、本考案に従うオーバ・ヘツドカム・
タイプの内燃エンジンのバルブ駆動装置１０を示
す。エンジンのシリンダの上端部を形成するシリ
ンダヘツド１１によりエンジン燃焼室１２が形成
され、該燃焼室１２とシリンダヘツドポート１３
との間の連通は、エンジンバルブ１４によつて開
閉制御される。シリンダヘツド１１に植設される
バルブガイド１５には、バルブステム１６が摺動
可能に挿入されている。シリンダヘツド１１の上
端面に固定されたバネ座１７と、バルブステム１
６の上端に固定されたスプリングリテーナ１８と
の間にバルブスプリング１９が配設されている。
該バルブスプリング１９によつて、バルブ１４は
常時バルブシート２０に着座するように図示上方
に付勢されている。

ロツカアーム２１はロツカアームシヤフト２２
を支点として揺動自在に枢支され、一端でカム２
３から荷重を受け、他端で油圧リフタ３０を介し
てバルブステム１６に作動的に連結している。カ
ム２３はカムシヤフト２４と一体的に回転し、ク
ランクシヤフトと連動して回転する構成になつて
いる。カムシヤフト２４の回転運動によりロツカ
アーム２１及び油圧リフタ３０を介して、バルブ
ステム１６が上下方向に駆動されるバルブ１４が
開閉作動を繰り返すようになつている。

次に第２図に従つて、本発明装置の油圧リフタ
３０について詳細に説明する。ロツカアーム２１
の本体２１ａのバルブステム１６係合側内部にシ
リンダ３１が形成され、該シリンダの下方端は開
口している。該シリンダ３１内にプランジヤ３２
が摺動可能に配設され、該プランジヤ３２により
シリンダ３１の開口端が閉塞されている。プラン
ジヤ３２の下端面はバルブステム１６の上端部１
６ａに係合し、且つプランジヤ３２の係合面はバ
ルブステム１６を直接駆動させることが出来るよ
うに球面形状になつている。また、プランジヤ３
２の形状は簡素な円筒形状であり、通常の中実ピ
ンで十分であり、例えばローラベアリングのロー
ラを使用することが可能である。

プランジヤ３２の上方部の、シリンダ３１内壁
面にバルブシート部材３３が圧入固定され、該バ
ルブシート部材３３によりシリンダ内がプランジ
ヤ側の圧力室３４と上方側のリザーバ室３５との
二つの室に分離される。コストの低下を計るため
に通常、リザーバ室３５の加工はプランジヤ３２
が嵌合される方向から加工される。バルブシート
部材３３は耐摩耗性に優れた材料から成り、その
中心部には圧力室３４とリザーバ室３５とを連通
する軸穴３６が形成されている。同時に、リザー
バ室３５の容積の拡大及び組付時の識別用として
段差３３ａが形成されている。バルブシート部材
３３上の圧力室３４側にはボールチエツク弁３７
が配設され、該弁３７はリテーナ部材３８により
一端が保持された小荷重のスプリング３９の他端
により、図示上方につまりバルブシート部材３３
のシート面に当接する方向に付勢されている。即
ち、ボールチエツク弁３７はリザーバ室３５から
圧力室３４へのエンジンオイル等の作動油の流通
のみを許容するものである。更に圧力室３４内に
はリテーナ３８に一端が保持されたプランジヤリ
ターンスプリング４０が張設され、該スプリング
４０の他端によりプランジヤ３２は図示下方につ
まりバルブステム１６との係合方向に付勢され
る。プランジヤ３２の下方移動は、スナツプリン
グ４１により規制される。

さて、ロツカアーム２１の本体２１ａには更に
作動オイル供給通路４２が形成され、該通路４２
を介して作動油供給源例えばオイルポンプよりエ
ンジンオイルがリザーバ室３５に強制供給され
る。作動オイル供給通路４２はリザーバ室３５の
上方端部に開口している。従つて、エンジン停止
時に於いて、リザーバ室３５内の作動油が流出し
ない構造にして、リザーバ室３５に作動油を十分
に確保できるようにしてある。また、作動オイル
供給通路４２は、ロツカアーム２１の上方部から
ロツカアームシヤフト２２へ加工し、ロツカアー
ム２１上端部をめくら栓４３で塞いでいる。

第３図において明らかなように、ロツカアーム
シヤフト２２は、車軸の固定部に固定される複数
のロツカサポート４５によつて固定支持され、該
シヤフト２２上には既に詳述した如くロツカアー
ム２１が適宜複数揺動自在に枢支されている。ロ
ツカアーム２１内には油圧リフタ３０が夫々収容
されており、夫々のスプリング４６によつてロツ
カサポート４５に対して位置決めされる隣接した
油圧リフタ３０の一方は吸気用のバルブステム１
６に連動され、他方は排気用のバルブステム１６
に連動されるものである。

上記したロツカアーム２１の本体２１ａに形成
され、リザーバ室３５に至る夫々の作動オイル供
給通路４２は、その両端がめくら栓４７，４８に
よつて閉塞されるロツカアームシヤフト２２の中
空部によつて形成される作動オイル供給用第１オ
イル通路４９に連通する。

第５図に示される様に、ロツカサポート４５内
に形成される第２オイル通路５４は、ロツカサポ
ート４５とネジ部材５５との間の隙間通路５６を
介して、ロツカシヤフト２２内の上記第１オイル
通路４９に連通している。同時に第２オイル通路
５４は、シリンダヘツド１１内に形成されるオイ
ル通路５７を介してオイルポンプ（図示せず）等
の作動オイルに供給源に連通するものである。

第３図の実施例に於いては、めくら栓４７に空
気抜け穴５１が形成される。従つて、特にエンジ
ンの始動時或いは急激にエンジン回転数が増加ま
たは減少した時、作動オイル中に多数の気泡が混
入されても該気泡が空気抜け穴５１から外部へ排
出され、圧力室３４内への気泡の侵入が減少され
る。この空気抜け穴５１は第１，４図から明らか
なように、ロツカシヤフト２２の中空の上部の上
部に位置されるようにし、中空シヤフト２２内の
第１オイル通路４９とロツカアーム２１に形成さ
れるオイル供給通路４２とを連結するロツカアー
ム２１の外周での環状通路５２との連通は、上方
空気抜け穴５１と反対の下方部であつて、ロツカ
シヤフト２２に形成される通路５３によつてなさ
れる。従つて、第２オイル通路４９に至る作動オ
イル中に混入され上方にたまる気泡は、空気抜け
穴５１からの外部へ排出され易い。

また第５図に示される様に、ロツカサポート４
５内の第２オイル通路５４中には、つまり第２オ
イル通路５４のシリンダヘツド１１内のオイル通
路５７と連結する部分に、オイルポンプから圧送
される作動オイル中に含まれる異物を除去するた
めのオイルフイルタ５８が配設されている。該オ
イルフイルタ５８は金網，パンチングメタル，焼
結金属材等で製作され、少なくとも前記の空気抜
け穴５１よりも目の細かい部材が使用される。こ
れにより、空気抜け穴５１が異物により閉塞され
ることが阻止される。尚、ネジ部材５９はロツカ
サポート４５をシリンダヘツド１１に固定するた
めのものである。

以上の構成において、次にその作用について説
明する。オイルポンプから圧送されるオイルがリ
ザーバ室３５に供給されており、エンジンが始動
するとカムシヤフト２４が回転を開始し、プラン
ジヤ３２が図示下方に押し下げられる。その結
果、圧力室３４内のオイル圧力が上昇し、チエツ
クバルブ３７が軸穴３６を閉じる。この時、圧力
室３４内からのオイルシリンダ３１内壁面とプラ
ンジヤ３２との間のリーククリアランス４４を介
して外部に流出する。従つて、プランジヤ３２は
ロツカアーム２１に対してα寸法だけ沈むことに
なる。次に、カムシヤフト２４が更に回動する
と、プランジヤリターンスプリング４０の下方付
勢力により、プランジヤ３２がロツカアームに対
してα寸法押し下げられる。その結果圧力室３４
内のオイル圧力が下降し、チエツクバルブ３７が
軸穴３６を開く。この時、リザーバ室３５内のオ
イルが圧力室３４内に流入する。従つて、油圧リ
フタ３０全体としては、元の長さに戻ることにな
る。この様にして、通常油圧リフタ３０は、エン
ジン作動中常時前述のα寸法の伸縮を繰り返して
いる。

一方、クランクケースやシリンダ等の熱膨張に
より動弁機構にクリアランスが生じた場合には、
このクリアランスをゼロにするように、プランジ
ヤ２０がロツカアーム２１に対して相対的にプラ
ンジヤリターンスプリング４０の付勢力によつて
下方へ押し下げられる。次に上記と逆の状態に
て、動弁機構がβ寸法長くなつた場合には、油圧
リフタ３０はプランジヤ３２がα寸法縮んだ状態
からスプリング４０によつて下方へ押し戻される
時に、β寸法短くなつた寸法即ちｌ＝α−β寸法
のみ下方へ押し戻された動弁機構を円滑に動くゼ
ロラツシユとする。

尚、上記実施例では、一方めくら栓４７のみに
空気抜け穴を設けたが、他方めくら栓４８にも同
様の空気抜け穴を設けてもよい。

又、ロツカアームのバルブステム側に油圧リフ
タを組み込んだ構成を示したが、油圧リフタは上
記した特開昭53−16113号公報に開示されるよう
にロツカアームのカムシヤフト側に組み込まれて
もよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の内燃エンジンのバルブ駆動装
置の一実施例を示す断面図、第２図は第１図の油
圧リフタの拡大断面図、第３図は第１図の−
線に沿つた一部断面図、第４図は第３図の矢印Ａ
方向から見た図、及び第５図は第３図の−線
に沿つた断面図である。 １６……バルブステム、２１……ロツカアー
ム、２２……ロツカシヤフト、２３……カム、３
０……油圧リフタ、３２……プランジヤ、３４…
…圧力室、３５……リザーバ室、３７……ボール
チエツクバルブ、４９……第１オイル通路、５１
……空気抜け穴、５４……第２オイル通路、５８
……オイルフイルタ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ カムからの荷重を一端で受けて他端でバルブ
   ステムを作動させるロツカアーム内に油圧リフタ
   を収容し、該油圧リフタが、前記ロツカアームの
   本体内に摺動可能に配設されその一端が前記バル
   ブステム又はカムと連動し他端側に圧力室を形成
   するプランジヤと、前記ロツカアームの本体内に
   形成されるリザーバ室と、該リザーバ室から前記
   圧力室側へのみ作動オイルの流通を許容するチエ
   ツクバルブとを有する内燃エンジンのバルブ駆動
   装置に於いて、前記ロツカアームを揺動自在に枢
   支するロツカシヤフトの内部中空に、前記リザー
   バ室に作動オイルを供給するための第１オイル通
   路を形成し、前記ロツカシヤフトの内部中空の上
   方部を外部へ開放する空気抜け穴を設け、前記ロ
   ツカシヤフトを支持するロツカサポート内に、前
   記第１オイル通路に作動オイルを供給するための
   第２オイル通路を形成し、該第２オイル通路中に
   異物除去用オイルフイルタを配設した内燃エンジ
   ンのバルブ駆動装置。