JPH0259328B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、捩り振動吸収装置に関し、特に燃焼
機関のトルク変動を吸収するために、フライホイ
ール、クラツチデイスク又は駆動軸系中に用いら
れる振動緩衝装置に関するものである。

［従来の装置］ この種の装置としては、駆動源に連結されるド
ライブプレートと、被駆動部材に連結されるドリ
ブンプレートと、前記両プレート間に設けられた
弾性手段とから成り、前記弾性手段を弾縮して前
記両プレートが所定の相対回転を行うものが良く
知られており、特に自動車用クラツチのクラツチ
デイスクに適用されていることは周知である。

自動車の駆動系の各種構成部材が有する弾性の
影響を受ける動力伝達装置の伝達トルクと捩り角
との関係は、略直線的な相関関係で固有振動数を
有しており、所定の回転速度域で共振、鳴振を起
こし、好ましくない振動、騒音など発生する。

このため従来では摩擦式ダンパー装置を付加部
材としたり、弾性部材として異なる剛性のものを
適宜組合わせドライブプレートとドリブンプレー
トとの相対的回転変位に対する捩りトルクの特性
を相対的回転変位の度合に応じて変位させたりし
て、振動、騒音等の対策を講じていた。その一例
としては、弾性部材をコイルスプリングとこのコ
イルスプリングの内腔に配装したゴム弾性部材と
で形成すると共に、コイルスプリングの端部と両
プレートの弾性部材受支部との間にスプリングシ
ートを配設し、コイルスプリングの端部を着座さ
せ支持し、クツシヨンゴム弾性部材をスプリング
シートに強接着で固着し、コイルスプリングの内
胴壁部に当接しないよう遊挿支持した捩り振動吸
収装置がある。（特開昭59−200816号参照）。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら上記タイプの装置では、クツシヨ
ンゴム弾性部材の外側に位置するコイルスプリン
グの荷重が大きくなるにつれてスプリングシート
の強度が不足し、この強度不足を補うには厚み等
を大きくしなければならずスペース上不利であ
り、特にクラツチ等の小型化に十分対処できない
という問題がある。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は上記のような欠点を解決するためなさ
れたものであり、本発明によれば、ドライブプレ
ートとドリブンプレートとの間に配置される弾性
手段を相対回転方向に配置したコイルスプリング
と、該コイルスプリングの内腔内に遊嵌したクツ
シヨンゴム弾性部材とから形成し、クツシヨンゴ
ム弾性部材の両端に圧縮時のクツシヨンゴム弾性
部材の外径よりも大径の樹脂製シートを強接着で
固着すると共にコイルスプリング内腔に嵌合し、
前記コイルスプリングの内周部とクツシヨンゴム
弾性部材が接触しないよう支持したことを特徴と
する捩り振動吸収装置が提供される。

上記装置では、好ましくは相対捩り運動時にお
けるクツシヨンゴム弾性部材の作用開始時に樹脂
製シートの背面とドリブンプレートの窓部被駆動
側端面とが面接触するようにドライブプレート又
はドリブンプレートの窓の角度が設定される。

更に一方向（例えば正方向）にのみ、クツシヨ
ンゴム弾性部材を作用させる場合、好ましくは駆
動側の樹脂シートの外端部を金属製シートに固着
させる。この金属製シートはコイルスプリングの
受シートとしても兼用させればより安定性が増大
する。

［作用及び効果］ 本発明によれば、上記構成としたことにより、
コイルスプリングと樹脂シートとの間にはコイル
スプリングに対するシート部がないため、樹脂シ
ートはコイルスプリングの荷重を受けない。この
ためコイルスプリングの荷重を考慮して樹脂シー
トの強度、厚さを大きくする必要がなくなる。更
にクツシヨンスプリングの座部は全く不要となる
ので、スペースを有効的に活用でき、捩り特性、
およびクラツチハブの強度設計に極めて有利とな
る。更にクツシヨンゴム弾性スプリングを内側に
配置したことにより、コイルスプリングを二重に
設けたものに比して比較的簡単に小さなスペース
で大きな捩りトルクが得られる。更に、デイスク
の回転により遠心力が発生しても樹脂シートとコ
イルスプリングの内側部が接触するだけで、クツ
シヨンゴム弾性部材が接触することはない。従つ
てそれによるゴム弾性部材の損傷もなくなる。

実施例 以下添附図面を参照して実施例に基づき本発明
について説明する。第３図および第２図は本発明
に従つた捩り振動吸収装置を適用した一実施例を
示すものであり、自動車用クラツチのクラツチデ
イスクに適用した例を示すものである。

図示したクラツチデイスク１０はデイスクプレ
ート１１と、ハブ２０とから主として構成されて
いる。

クラツチデイスク１１は主クラツチプレート１
２と副プレート１３から成り、主・副プレート１
２，１３はピンにより一体化され、ハブに対して
相対回転自在にハブフランジ２１の側面に設けら
れた摩擦材１４、スラストプレート１５および皿
ばね１６を介してハブフランジ２１を挟圧してい
る。主クラツチプレート１２の外周部には、両面
にリベツト１７で摩擦板１８を固定したクツシヨ
ンプレートがリベツト１９で固定されている。こ
の摩擦板１８は、図示しない駆動源に連結された
フライホイール（図示せず）とクラツチ装置のプ
レツシヤープレート（図示せず）との間に適宜挟
圧され、これによりクラツチデイスク１１は駆動
源に連結されるドリブンプレートとして機能す
る。

ハブ２０の内孔には、図示しない被駆動部材と
なる変速機のシヤフト（図示せず）に係合するス
プライン２０ａが形成されており、ハブ２０の外
周部には、半径外方向に延長するフランジ２１が
一体的に設けられている。既述のようにフランジ
２１の両側には主・副プレート１２，１３が同心
状に配置され、これらプレート１２，１３を一体
的に固定するピン１４は、フランジの外周に設け
られた切欠２２を貫通しているので、主・副プレ
ート１２，１３とハブ２０とは、ピン１４が切欠
き２２の端面と当接しない限り自由に相対回転で
きる。

ハブフランジ２１および主・副プレート１２，
１３には第２図に示すように軸の中心に対して
45゜の角度ごとにほぼ矩形の窓３０，４０，５０，
６０が形成されている。第２図中下方および左側
の窓６０，５０は、主・副プレート１２，１３に
形成された窓であり、上方および右側の窓は、ハ
ブフランジ２１に形成された窓である。左右の窓
内には、第１コイルスプリングSP１と第２コイ
ルスプリングSP２から成る二重弾性部材が設け
られ、上下の窓内には本発明に従い第３コイルス
プリングSP３とクツシヨンゴム弾性部材２５が
配置され、クツシヨンゴム弾性部材２５はトーシ
ヨンゴム弾性部材圧縮時の外径よりも大径の樹脂
製シート２６がその両端に強接着により固着さ
れ、第３コイルスプリングSP３の内周部に接触
しないよう支持されている。

次にこのクラツチデイスクの作動について説明
すると、まず主・副プレート１２，１３がハブフ
ランジ２１に対して回転すると、角度ｏ〜θ₁にて
窓３０，５０内にてスプリングシート２７に支持
された第１スプリングSP１だけが収縮する。次
に角度θ₁〜θ₂でさらに第２スプリングSP２およ
び第３スプリングSP３も収縮する。次いで角度
θ₂〜θ₃にてクツシヨンゴム弾性部材２５も窓４
０，６０の側端面により圧縮され、θ₃でピン１４
はフランジ切欠き２２端面に当接するので、その
後主・副プレート１２，１３とハブ２０は一体的
に回転する。

このような作用状態における相対回転角すなわ
ち捩り角に対するトルクの関係であるいわゆり捩
り角―トルク特性は第８図に示すようになる。コ
イルスプリングSP１〜SP３が圧縮される０〜θ₂
までの角度では線形特性となり、クツシヨンゴム
弾性部材２５が圧縮される角度θ₁〜θ₃では非線形
特性となる。図中で生じるヒステリシス特性は
主・副プレート１２，１３とハブフランジ２１と
の間に設けられた摩擦板１４と、スラストプレー
ト１５と、皿ばね１６から構成される摩擦式ダン
パー装置か生じるものである。

第１図は、第２図に示した第３スプリングSP
３およびその内胴に設けられたクツシヨンゴム弾
性部材２５およびこれを支持する樹脂製シート２
６およびこれらを収容するフランジ内の窓４０を
詳細に示す図であり、第４〜第６図は他の実施例
を示す図である。

第４図の実施例は、負方向にも捩り剛性Ｋ３に
相当する捩り剛性を加算（第７図では正方向にし
かゴム弾性部材２５が作用しない）できるように
したものであり、ハブフランジ２１の窓４０の正
方向及び負方向の内側端面４１，４１′は同じ形
状になつている。

第５図、および第６図の実施例では、正方向の
みにクツシヨンゴム弾性部材２５を作用させる場
合片側すなわち駆動面側の樹脂シート２６を金属
製シート２８に固定して樹脂シート２６の定位置
保持を確保し、ハブフランジの窓４０の被駆動面
４１に対する当接の角度（平行に当たること）を
確保している。

第７図はクツシヨンゴム弾性部材２５が圧縮さ
れ始めたとき、樹脂シート２６の被駆動側端面と
ハブフランジ２１の窓の側端面が面接触する状態
を示す。このようにすることにより第８図におけ
るθ₂でのカーブすなわちＫ２からＫ３に移行する
際の特性が設定通りのなだらかな所定の曲線を描
くようになる。この当接開始時に両部材当接面が
互いに平行でないと、クツシヨンゴム弾性部材の
均一な収縮でなく斜めの捩れ変形が頭初生ずるの
で所定の曲線が得られない。

【図面の簡単な説明】

第１図は第２図に示したハブフランジの窓内の
第３スプリングおよびトーシヨンゴム弾性部材を
示す拡大図、第２図はクラツチデイスクを示す一
部切欠き側面図、第３図は、第２図に示すクラツ
チデイスクの―線に沿つた断面図、第４〜６
図は別の実施例を示す第３図と同様な図、第７図
はトーシヨンゴム弾性部材圧縮時の樹脂シートと
窓の側端面の面接触を示す図、第８図は第１〜２
図のクラツチデイスクにより得られる捩れ特性図
である。 １０……クラツチデイスク、１２……主デイス
クプレート、１３……副デイスクプレート、２０
……ハブ、２１……ハブフランジ、SP１……第
３コイルスプリング、２５……トーシヨンゴム弾
性部材、２６……樹脂シート、４０……窓。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 駆動源に連結されるドライブプレートと、被
   駆動部材に連結されるドリブンプレートと、前記
   両プレート間に設けられた弾性手段とから成り、
   前記弾性手段を弾縮して前記両プレートが所定の
   相対回転を行う捩り振動吸収装置において、 前記弾性手段を相対回転方向に配置したコイル
   スプリングと、該コイルスプリングの内腔内に遊
   嵌したクツシヨンゴム弾性部材とから形成し、ク
   ツシヨンゴム弾性部材の両端に圧縮時のクツシヨ
   ンゴム弾性部材の外径よりも大径の樹脂製シート
   を強接着で固着すると共にコイルスプリング内腔
   に嵌合し、前記コイルスプリングの内周部とクツ
   シヨンゴム弾性部材が接触しないよう支持したこ
   とを特徴とする捩り振動吸収装置。 ２ 相対捩り運動時におけるクツシヨンゴム弾性
   部材の作用開始時に樹脂製シートの背面とドリブ
   ンプレートの窓部側端面とが面接触するようドラ
   イブプレート又はドリブンプレートの窓の角度を
   設定したことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載の装置。 ３ 一方向にのみクツシヨンゴム弾性部材を作用
   させる場合において、駆動側の樹脂シートの外端
   部を金属製コイルスプリング受シートに固着させ
   たことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   装置。