JPH0253145B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、ダイカストマシンにおいて金型に
注湯を行う場合の高速射出速度を自動計測する装
置に関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、ダイカストの鋳造条件を管理する目的
で、射出工程における高速射出速度の計測が行わ
れる。すなわち、ダイカスト製品の品質には、通
常鋳肌の緻密さ、平滑さの点において他の製品に
はない特徴を有している。これは、溶湯を金型の
キヤビテイに充填する際、ゲート部を通過する時
に絞られるため、溶湯の速度は一般的に約60ｍ／
secに相当し、鋳肌の状態を決定する射出速度は
このゲート部の速度に直接影響を与える。しかる
に、このゲート部の速度はプランジヤ速度の約20
倍であり、前記鋳肌の状態を決定する射出速度は
20倍に拡大され変化するので、ダイカスト製品の
品質を常に安定化するためには、前記高速射出速
度の管理が重要となる。

そこで、従来この種の高速射出速度の計測装置
としては、平均速度を自動計測するよう構成した
ものと、高速区間の一部を瞬間計測するよう構成
したものとが知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかるに、前者の平均速度を自動計測する方式
は、例えば第１図に示すように、区間Ａの平均速
度βを計測するものである。従つて、この種の計
測方式によれぱ、第１図に示すような射出速度特
性を有するものに対し、知りたい高速射出速度α
に比しかなり小さい計測値となる難点がある。

また、後者の高速区間の一部を瞬間計測する方
式は、例えば第２図に示すように、射出開始から
高速域に達する所定の位置l₁，l₂を定め、この設
定位置l₁からl₂区間の平均速度を計測するもので
ある。しかしながら、この種の計測方式によれ
ば、射出開始から所定の位置l₁は必ず高速域の安
定した領域に設定する必要があり、例えば第３図
ａ，ｂに示すように、射出速度特性が変化した場
合に計測値が大幅に変化する難点がある。

そこで、本発明の目的は、射出速度の移動状態
をパルスセンサで検出し、射出開始時から射出終
了時までにおける前記パルスセンサから出力され
るパルス信号より所定のタイミングで検出される
パルス幅データを記憶し、射出終了に際し記憶さ
れた全パルス幅データを演算照合することによ
り、簡単な構成で適正な高速射出速度の計測を達
成することができるダイカストにおける高速射出
速度計測装置を提供するにある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明に係るダイカストにおける高速射出速度
計測装置は、射出機構の移動状態を検出するパル
スセンサと、パルスセンサのパルス信号から所定
のタイミングでパルス幅を検出するパルス幅検出
回路と、パルス幅検出回路で得られる射出開始か
ら射出終了時までのパルス幅データを時系列的に
記憶する記憶回路と、記憶回路に記憶された全パ
ルス幅データから初期の高速区間の平均速度を演
算し、その平均速度以上の高速区間における平均
速度を順次複数段階に照合しながら演算する演算
回路と、演算回路で最終的に算出された平均速度
を高速射出速度として表示する表示回路とから構
成することを特徴とする。

前記の高速射出速度計測装置において、パルス
幅検出回路は、内部にクロツク発生器を備え、ク
ロツクのタイミングに合せてパルスセンサから供
給されるパルス信号の全パルス幅を検出するよう
構成することができる。

〔作用〕

本発明に係るダイカストにおける高速射出速度
計測装置によれば、射出機構の移動状態をパルス
センサで検出し、このパルスセンサで得られるパ
ルス信号から所定のタイミングでパルス幅を検出
し、このパルス幅データを射出開始時から射出終
了時まで記憶回路に時系列的に記憶し、射出終了
に際し記憶回路に記憶されたデータから高速区間
に平均速度を演算すると共にこの平均速度以上の
パルス幅データよりさらに平均速度を演算するこ
とにより、高速区間の高速射出速度を適正かつ簡
便に算出することができる。

〔実施例〕

次に、本発明に係る高速射出速度計測装置の実
施例につき、添付図面を参照しながら以下詳細に
説明する。

第４図は、本発明の高速射出速度計測装置の一
実施例を示すブロツク回路図である。すなわち、
第４図において、本発明計測装置は、射出機構の
射出速度を検出するパルスセンサ１０と、このパ
ルスセンサ１０で検出されたパルス信号のパルス
幅を内部発生クロツクによつて検出するパルス幅
検出回路１２と、このパルス幅検出回路１２によ
り検出されたパルス幅データを記憶するパルス幅
記憶回路１４と、このパルス幅記憶回路１４に記
憶されたデータから高速射出速度を演算する演算
回路１６と、この演算回路１６で算出された高速
射出速度を表示する表示回路１８とから構成され
ている。

なお、本実施例において使用するパルスセンサ
１０としては、例えば内部に磁器抵抗素子、永久
磁石、直流増幅器、電圧レギユレータを組込み、
磁束応答方式（磁束に応じて抵抗値が変化する）
としたもので、第５図に示すように、射出機構の
射出プランジヤの外側面に軸方向に微小間隔で刻
設した矩形溝に近接配置して、この矩形溝に対応
して磁束が変化する毎に一定振幅のパルスを出力
するよう構成した市販品を使用することができ
る。

そこで、本発明においては、前述した回路構成
からなる計測装置によつて、高速射出速度の計測
を次の手順に従つて行う。

まず、ダイカストマシンの射出機構に設けたパ
ルスセンサ１０により、射出動作に伴つて所要の
パルス出力を発生させる（第５図参照）。このパ
ルスセンサ１０のパルス出力は、第６図に示すよ
うに、射出機構がｎ（mm）移動する毎に１パルス
を発生するよう設定される。次いで、このように
パルスセンサ１０で得られたパルス信号は、パル
ス幅検出回路１２に供給する。パルス幅検出回路
１２は、内部にクロツク発生器２０を備え、この
クロツク発生器２０の発生するクロツクによつて
単位時間当りに発生するパルス信号の全パルス幅
をデイジタル的に検出する。このようにして、パ
ルス幅検出回路１２により時系列的に検出される
パルス幅データは、パルス幅記憶回路１４に順次
記憶される。一方、演算回路１６は、パルス幅検
出回路１２、パルス幅記憶回路１４および表示回
路１８をそれぞれ制御する機能を有し、これらを
制御するための制御信号をタイミングよく発生す
るために適宜外部信号（射出開始や射出終了の検
出信号）が供給される。

しかるに、演算回路１６は、外部信号の入力に
よつて射出開始状態を判断すると、前記パルス幅
検出回路１２より時系列的に検出されるパルス幅
データをパルス幅記憶回路１４に順次記憶させる
制御を行う。その後、演算回路１６は、外部信号
の入力によつて射出終了状態を判断すると、前記
パルス幅記憶回路１４に記憶されたパルス幅デー
タから、次のような演算処理により高速射出速度
を算出する。なお、説明の便宜上、前記パルス幅
記憶回路１４において、時間ｔの変化と共に記憶
された全パルス幅データを速度に変換し、グラフ
化して示せば第７図に示す通りである。すなわ
ち、低速射出速度から高速射出速度の切換時点
は、単位時間当りに発生するパルス信号の全パル
ス幅が増大し始める時点であり、この時点から射
出終了時点までが初期の高速区間となる。

初期の高速区間の平均速度を求める。

この場合、高速区間における全パルス幅デー
タ数を合計時間で割ることにより、第７図に示
すように一次平均値V₁〔ｍ／sec〕を求めるこ
とができる。

前記平均速度（一次平均値V₁）より、初期
の高速区間のパルス幅の平均値（平均周期）を
求める。

前記パルス幅の平均値に基づき、パルス幅記
憶回路１４に時系列的に順次記憶された全パル
ス幅データに対し、第８図に示すように、最終
記憶データ側よりデータの記憶順序とは逆向き
にサーチすると同時に記憶順序と同じ向きにも
サーチして、前記一次平均値V₁と同一かもし
くはそれ以上となる高速速度のパルス幅データ
la，lb（第７図の時点ａ，ｂに相当）を検出す
る。

前記パルス幅データla，lb間（第７図の時点
ａ，ｂ間）の平均速度（二次平均値V₂）を求
める。

前記平均速度（二次平均値V₂）に基づいて、
この高速区間（第７図の時点ａ，ｂ間）のパル
ス幅の平均値（平均周期）を求め、前記項と
同様の操作を繰返して前記二次平均値V₂と同
一かもしくはそれ以上となる高速速度のパルス
幅データ間（第７図の時点a′，b′間）の平均速
度（三次平均値V₃）を求める。

さらに、必要に応じて前記項と同様の操作
を段階的に繰返すことにより、適正な高速区間
の高速射出速度を自動計測することができる。

このようにして、演算回路１６で算出された高
速射出速度は、直ちに表示回路１８で表示するこ
とができる。

〔発明の効果〕

前述した実施例から明らかなように、本発明の
高速射出速度計測装置は、射出開始時点から射出
終了時点までの射出工程における射出機構の動作
をパルス信号として取出し、このパルス信号に基
づくパルス幅データを時系列的に記憶しておき、
射出終了時において記憶された全パルス幅データ
に対しサーチして前記演算結果との照合を行い、
演算平均値以上の全パルス幅データから適宜平均
速度を演算して適正な高速射出速度の計測を達成
することができる。

従つて、本発明の高速射出速度計測装置によれ
ば、高速区間の検出が常に適正かつ確実に行うこ
とができ、精度の高い高速射出速度の自動計測を
達成できる。また、本発明計測装置は、記憶機能
と演算機能と制御機能とを備えたマイクロコンピ
ユータ等を使用して簡単に構成することができる
と共に、従来のような射出速度特性の変化による
誤計測を防止することができ、この種計測装置の
性能の向上と共に信頼性の向上を図ることができ
る。

以上、本発明の好適な実施例について説明した
が、本発明は前記実施例に限定されることなく、
本発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の
設計変更をなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の高速射出速度計測装置の計測手
順の一例を示す説明図、第２図は従来の高速射出
速度計測装置の別の計測手順の一例を示す説明
図、第３図ａ，ｂは第２図に示す計測手順におい
て誤計測の生じる場合を比較して示した説明図、
第４図は本発明に係る高速射出速度計測装置の一
実施例を示すブロツク回路図、第５図は第４図に
示すパルスセンサの構成配置図、第６図は第５図
に示すパルスセンサが発生するパルス信号の波形
図、第７図は本発明に係る高速射出速度計測装置
の計測手順を示す高速射出速度特性線図、第８図
は第４図に示すパルス幅記憶回路に記憶されるパ
ルス幅データのメモリフオーマツト図である。 １０……パルスセンサ、１２……パルス幅検出
回路、１４……パルス幅記憶回路、１６……演算
回路、１８……表示回路、２０……クロツク発生
器。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 射出機構の移動状態を検出するパルスセンサ
   と、パルスセンサのパルス信号から所定のタイミ
   ングでパルス幅を検出するパルス幅検出回路と、
   パルス幅検出回路で得られる射出開始から射出終
   了時までのパルス幅データを時系列的に記憶する
   記憶回路と、記憶回路に記憶された全パルス幅デ
   ータから初期の高速区間の平均速度を演算し、そ
   の平均速度以上の高速区間における平均速度を順
   次複数段階に照合しながら演算する演算回路と、
   演算回路で最終的に算出された平均速度を高速射
   出速度として表示する表示回路とから構成するこ
   とを特徴とするダイカストにおける高速射出速度
   計測装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の高速射出速度計
   測装置において、パルス幅検出回路は、内部にク
   ロツク発生器を備え、クロツクのタイミングに合
   せてパルスセンサから供給されるパルス信号の全
   パルス幅を検出することからなるダイカストにお
   ける高速射出速度計測装置。