JPH0246294Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 〔産業上の利用分野〕 本考案は、枠組み形成したリール本体の左右の
側枠に軸受を介在して釣糸を巻き付けるスプール
の軸の両端部を回転自在に支持してなる魚釣用両
軸受リールのスプールと、これに回転力を与える
ハンドルとの間における回転力伝達の断、続を行
なうと共に、回転力遮断状態から接続状態へ、ハ
ンドルの正回転（釣糸の巻き込み方向回転）によ
つて自動的に切り変えられるようにしたクラツチ
機構に関する。

〔従来の技術〕

従来上述クラツチ機構において、ハンドルによ
り回転されるマスターギヤと噛合させてスプール
軸に回転、かつ軸方向へスライド自在に嵌合さ
れ、スプール軸の欠円部と結合した時、同軸回転
するピニオンと、該ピニオンを軸方向へ移動可能
に係嵌するクラツチバーと、該クラツチバーとリ
ール本体の側板との間に操作レバーと連結して配
置されたクラツチカムとを備え、上記クラツチカ
ムによつてピニオンとスプール軸の結合を釈放す
ると共に、ラチエツトと連動させてピニオンとス
プール軸を結合するよう構成したものは知られて
いる。

しかし、上述従来のクラツチ機構は、回転力遮
断（クラツチOFF）を行なう際、ラチエツトの
各歯間にキツク爪先端が回転連動して強制的に噛
合させる構成である為、両者の噛合位置が一致し
ないと、ラチエツト歯部とキツク爪との突き当り
現象が生じ、両者が噛合できなくなることがあ
り、クラツチ操作にミス動作を生じることが屡々
ある。

又、上記ラチエツト歯部とキツク爪の酉い当り
現象は、ラチエツトの歯数に比例するので、かゝ
る現象を可及的少なくするよう従来はラチエツト
の歯数を少なくしているので、回転力の“断”か
ら“続”へ切換える為のハンドル回転角度は大き
くなり、為に上記断、続操作が緩慢となつて魚の
フアイトに素早く対応できない等の問題点があ
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

そこで本考案は上述従来の問題点に鑑みて検討
の結果、クラツチカムにスライダーを回転可能に
軸支し、該スライダーを上下方向にスライド自在
にして、所定位置でスライド規制可能に、かつバ
ネにより上方及び一方向へ回転力を付勢せしめる
と共に、該スライダーの下部にキツク爪を所定角
度だけ回転可能に、かつその先端がラチエツトと
噛合する方向へバネ力を付勢せしめて軸支して構
成したことによつて、回転力続から断へのクラツ
チOFF切換え時におけるミス動作を回避できる
ようにすると共に、構成部品数を極力少なくして
この種クラツチ機構の簡素化と小型化を図り得る
ようにしたのが、その目的である。

ロ 考案の構成 〔問題点を解決する為の手段〕 即ち本考案は、ピニオンが、クラツチカム及び
クラツチバーにより動作されることによつて、そ
の摺動軸となるスプール軸の欠円部と結合し、又
は釈放されてハンドルからスプール軸への回転力
を“続”“断”するようにしたクラツチ機構にお
いて、上記クラツチカムに、リール本体側板から
突設のガイド軸とスライド自在に嵌合するガイド
孔と、上記ガイド軸と係合してスライドを規制可
能に上記ガイド孔の上部一側に連設したフツク部
と、キツク爪の上方回転を規制するストツパーを
設けたスライダーを回転可能に軸支し、該スライ
ダーには上方及び上記ガイド軸に対し、ガイド孔
のフツク部側開口縁が押し付けられる方向へバネ
力を付勢すると共に、その下部に上記キツク爪を
所定角度だけ回転可能に、かつその先端部がラチ
エツトと噛合する方向へバネ力を付勢せしめて軸
支して構成し、上述問題点を解決したのである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述すれ
ば、先ずハンドルとスプール軸の回転力伝達機構
は第１図に示したように、スプール１を固定した
スプール軸２を、リール本体３における左右の側
枠４に軸受５を介して回転自在に支持させてあ
り、その一方の側枠４の側板４ａに支え軸６にて
支持したラチエツト軸７のラチエツト８と、該ラ
チエツト軸７に螺合したドラグスターハンドル９
との間にドラグ機構１０を介して配置したマスタ
ーギヤ１１と、上記スプール軸２に外装したピニ
オン１２を噛合させてある。

上記ピニオン２は上記スプール軸２に対して第
１図に矢印ｘ←→x′で示した軸方向へスライド可能
に嵌合させてあり、該ピニオン１２が上記スプー
ル軸２に設けた欠円部２ａと結合し、又は釈放さ
れた時、スプール軸２に対してハンドル１３の回
転力を“続”“断”するよう設けてある。

上述回転伝達機構を備えた両軸受リールにおい
て、本案のクラツチ機構は次のように構成されて
いる。

第１図ないし第３図に示したように、上記ピニ
オン１２の外周に設けた環状凹部１２ａに係嵌し
たクラツチバー１４を、上記側板４ａの内面にあ
つて、ピニオン１２を中間位置とする対称位置に
固定した２本のピン１５，１５に両アーム１４
ａ，１４ａを嵌装してスプール軸２の軸方向へ移
動可能に、かつ上記各ピン１５，１５に介在させ
たバネ１６により側板４ａ方向へ弾撥付勢させて
配置し、該クラツチバー１４と、側板４ａとの間
にはクラツチカム１７を、その中央部の筒状部１
７ａを、上記ピニオン１２と側板４ａの透孔４ｃ
間に嵌挿して回転可能に配置してある。

又、上記側板４ａの内面にあつて、上記クラツ
チカム１７の側方にはレバー１８をレバー軸１９
にて第２図の矢印Ａ←→A′方向へ回転可能に、か
つ一端２０ａを側板４ａに、他端２０ｂをレバー
１８に夫々掛止して取り付けたレバーバネ２０に
より第２図の矢印Ａ方向へ戻り力を付勢させて枢
着し、該レバー１８は、その枢支部側から突設し
た突部１８ａが側板４ａから突設したストツパー
２１に当接して上記レバーバネ２０のバネ力に抗
して第２図に示した位置に通常は保持されてお
り、当該レバー１８は上記側板４ａの外側に蓋板
４ｂを固定して形成されている側枠４の図示しな
い窓孔から外側へ操作可能に突出させてある。

又、上記レバー１８の突部１８ａに固定したピ
ン３０を、上記クラツチカム１７から側方へ突設
した突出部１７ｂの長孔１７ｃにスライド可能に
嵌合して当該レバー１８とクラツチカム１７を連
動させてあり、これにより上記レバーバネ２０の
バネ力をクラツチカム１７に第２図の反矢印Ｂ方
向へ戻り力として付勢させてある。

又、上記クラツチカム１７の円板部１７ｄに
は、上記スプール軸２の欠円部２ａに対するピニ
オン１２の結合長さよりも実質的に大きい変位量
Ｓを持つたカム１７ｅ，１７ｅを第５図に明示し
た如く軸方向へ傾斜突出して、かつ上記クラツチ
バー１４のアーム１４ａ，１４ａに対応させて２
箇設けてあり、該カム１７ｅ，１７ｅが、クラツ
チカム１７を第２図の矢印Ｂ方向へ回転すること
によつて、上記アーム１４ａ，１４ａの下に入り
込むことによりバネ力を抗しつつ上記クラツチバ
ー１４を第１図において右方向へ移動し、これに
よりピニオン１２は第１図の矢印Ｘ方向へ移動さ
れてスプール軸２の欠円部２ａから釈放されるよ
う形成されている。

そして更に、上記クラツチカム１７の円板部１
７ｄにあつて、上記ラチエツト８との間にはスラ
イダー２２の上端部をスライダー軸２３にて回転
可能に軸支してある。このスライダー２２は縦長
に形成されていて、その略中央部には縦長のガイ
ド孔２２ａが設けてあると共に、該ガイド孔２２
ａの上部一側（図において左側）にはフツク部２
２ｂを連設してあり、当該スライダー２２は上下
方向へスライド可能に上記ガイド孔２２ａに上記
側板４ａから突設したガイド軸２４を嵌合させて
あると共に、該ガイド軸２４が上記フツク部２２
ｂと係合してスライドが規制されるよう設けてあ
る。

又、上記スライダー２２の下部一側に設けたバ
ネ掛け２２ｃと、上記側板４ａのバネ掛け２５に
夫々端部を掛止してスライダーバネ２６を張設し
てある。

このスライダーバネ２６は、バネ力Ｆがスライ
ダー２２を第２図において右方向（ラチエツト方
向）に引つ張り、上記ガイド軸２４にガイド孔２
２ａのフツク部２２ｂ側開口縁２２ｄを押し付け
ようとする力F₂と、スライダー２２を上方へス
ライドさせようとする力F₁とが両方生じるよう
に、かつ上記力F₂とF₁は、F₁＜F₂の関係を有す
るよう張設させてある。

又、上記スライダー２２の下端部における左側
にはキツク爪２７の基端部をキツク爪軸２８にて
所定角度だけ回転可能に、かつ横向きに軸支して
あつて、当該キツク爪２７に設けたバネ掛け２７
ａと、上記スライダー２２に設けたバネ掛け２２
ｅに夫々端部を掛止して張設したキツク爪バネ２
９によりキツク爪２７は、その先端部２７ｂが上
記ラチエツト８と噛合する一方向、つまり反時計
回り方向の回転力が付勢させてある。

又、上記キツク爪２７の基部一側（図において
上部）に設けた突部２７ｃが当接して上述ラチエ
ツト８方向への回転が規制されるよう、上記スラ
イダー２２にはストツパー２２ｆが突設してあ
る。

尚、上記レバー１８及びクラツチカム１７を回
転復帰させるべく設けた上記レバーバネ２０は、
レバー１８を、クラツチカム１７が第２図の矢印
Ｂ方向へ回転させるのに必要な角度だけ矢印
A′方向へ回転させても、デツトポイントを越え
ない位置にその一端２０ａは予め位置設定して側
板４ａに掛止させてある。

つまり上記レバー１８とクラツチカム１７を常
時矢印Ａ方向及び反矢印Ｂ方向へ夫々弾撥付勢す
るよう上記レバーバネ２０は取り付けてある。

而して上記構成において、第１図、第２図はク
ラツチONの状態を示しているから、このクラツ
チONの状態でレバー１８をレバーバネ２０のバ
ネ力に抗して矢印A′方向へ回転させると、これ
に連動されているクラツチカム１７は矢印Ｂ方向
に回転し、そのカム１７ｅ，１７ｅがクラツチバ
ー１４のアーム１４ａ，１４ａの下に入り込み、
該クラツチバー１４はバネ力に抗して第１図にお
いて右方向へピニオン１２を伴なつて移動される
ので、該ピニオン１２はスプール軸２における欠
円部２ａとの嵌合が解かれ、第４図のクラツチ
OFFの状態となる。

この時、スライダー２２はクラツチカム１７の
回転によりガイド軸２４に沿つて下方へスライド
し、一定量スライドするとスライダーバネ２６に
よつてフツク部２２ｂがガイド軸２４に係合し、
これによつてレバーバネ２０のバネ力によつてス
ライダー２２、クラツチカム１７、レバー１８が
逆転して元の位置に戻ろうとするのを規制する。

一方、キツク爪２７はキツク爪バネ２９によつ
て反時計回り方向に回転されるよう不勢されてい
るが、クラツチONの状態ではガイド軸２４がス
トツパーとなつて回転は規制されている。

よつて、スライダー２２が上述のようにスライ
ドすることによつてキツク爪２７はガイド軸２４
との当接が解かれるので、バネ力によつて反時計
回り方向に回転し、先端部２７ｂがラチエツト８
の凹部８ａに第４図に示した如く噛合すると同時
にキツク爪２７の突部２７ｃがスライダー２２の
ストツパー２２ｆに当接し、当該キツク爪２７の
回転は規制されるので、それ以上回転することは
なくなり、もつて先端部２７ｂはラチエツト８の
凹部８ａにほどよく噛合される。

又、ラチエツト８の凹部８ａとキツク爪２７の
先端部２７ｂとが一致せず、該先端部２７ｂが凹
部８ａと噛合しないで第６図に示した如く歯先８
ｂに乗り上げても、スライダー２２のフツク部２
２ｂはガイド軸２４に係合されているのでクラツ
チはOFFに切換えられる。

即ち、クラツチOFF時のミス動作は生じない。

次に、クラツチをOFFからONに戻すには、ハ
ンドル１３を正回転（釣糸巻き取り方向）させる
ことにより、ラチエツト８は第４図の矢印Ｃ方向
へ回転されるので、その凹部８ａに噛合している
キツク爪２７の先端部２７ｂは歯部８ｂにより外
周方向へ押圧されるので、当該キツク爪２７はそ
の長さ方向へ押し下げられ、これによつてスライ
ダー２２もバネ力に抗して斜め下方へ押圧される
ので、当該スライダー２２は時計回り方向へ回動
し、そのフツク部２２ｂはガイド軸２４から外さ
れるので、レバー１８はレバーバネ２０によつて
矢印Ａ方向へ回転復帰され、該レバー１８と連動
するクラツチカム１７も反矢印Ｂ方向へ回転復帰
し、クラツチバー１４の押圧を解くので、該クラ
ツチバー１４はバネ１６によつて側板４ａ側へ押
圧移動され、これによつてピニオン１２はスプー
ル軸２上を移動してその欠円部２ａと嵌合し、第
１図、第２図のクラツチONの状態に戻る。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る両軸受リール
のクラツチ機構は構成したものであるから、クラ
ツチをONからOFFに切換え時、キツク爪２７の
先端部２７ｂが、ラチエツト８の凹８ａの位置が
悪く、該凹部８ａと噛合せず、歯先８ｂ上に乗り
上がつた場合でも、スライダー２２は、そのフツ
ク部２２ｂがガイド軸２４と係合して下降位置に
保持されることによりクラツチのOFF切換えが
可能となつて、クラツチOFF時のミス動作（デ
ツトポイント）を回避できるばかりでなく、構造
的には、スライダー２２とキツク爪２７と、２本
のバネ２６，２９との数少ない部材にて、従来の
この種クラツチ機構に比べて簡単化できるから小
型化を図れ、かつ故障し難く、しかも安価に製作
できる等の実用的効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る両軸受リールのクラツチ
機構の実施例を示した縦断側面図、第２図は同実
施例のクラツチON状態を示した正面図、第３図
は第２図における−線矢視図、第４図は同実
施例のクラツチOFF状態を示した正面図、第５
図は同実施例におけるクラツチカムのカムを示し
た縦断側面図、第６図は同実施例において、キツ
ク爪の先端部がラチエツトの歯部に乗り上げた状
態の説明図である。 ２……スプール軸、２ａ……欠円部、４ａ……
側板、８……ラチエツト、１２……ピニオン、１
３……ハンドル、１４……クラツチバー、１７…
…クラツチカム、２２……スライダー、２２ａ…
…ガイド孔、２２ｂ……フツク部、２２ｄ……ガ
イド孔のフツク部側開口縁、２４……ガイド軸、
２７……キツク爪、２７ｂ……キツク爪の先端
部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピニオン１２が、クラツチカム１７及びクラツ
   チバー１４により動作されることによつて、その
   摺動軸となるスプール軸２の欠円部２ａと結合
   し、又は釈放されてハンドル１３からスプール軸
   への回転力を“続”“断”するようにしたクラツ
   チ機構において、上記クラツチカムに、リール本
   体側板４ａから突設のガイド軸２４とスライド自
   在に嵌合する縦長のガイド孔２２ａと、上記ガイ
   ド軸に係合してスライドを規制可能に上記ガイド
   孔の上部一側に連設したフツク部２２ｂと、キツ
   ク爪２７の上方回転を規制するストツパー２２ｆ
   を設けたスライダー２２を回転可能に軸支し、該
   スライダーには上方及び上記ガイド軸に対し、ガ
   イド孔のフツク部側開口縁２２ｄが押し付けられ
   る方向へバネ力を付勢すると共に、その下部に上
   記キツク爪を所定角度だけ回転可能に、かつその
   先端部２７ｂがラチエツト８と噛合する方向へバ
   ネ力を付勢せしめて軸支してなることを特徴とす
   る両軸受リールのクラツチ機構。