JPH0246295Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、魚釣り用両軸受リールの釣糸を巻き
付けるスプールと、これに回転を与えるハンドル
との間における回転力伝達の断、続を行なうクラ
ツチ機構に関する。

〔従来の技術〕

従来、この種クラツチとしては本願人の提案に
係る実公昭57−14605号が知られている。このク
ラツチは、プツシユレバーにてクラツチカムを回
転し、そのカム部によりピニオンを掛止したクラ
ツチバーを移動し、ピニオンをスプール軸の面取
部から釈放することによりクラツチOFFし、一
方、上記クラツチOFF状態でハンドルを正回転
すると、該ハンドルにより回転される主歯車と同
軸回転するラチエツトによる上記クラツチカムが
反転され、上記クラツチバーにてピニオンがスプ
ール軸の面取部と結合してクラツチONに自動的
に切換えられる構成である。

上述構成のクラツチは、クラツチOFFからク
ラツチON状態にハンドルの正回転によつて自動
的に、かつレバー操作無しで速かに切り換えでき
る点で効果的であるが、釣糸の送り出しを調整す
るには、クラツチをOFFして釣糸を送り出した
後、ハンドル回転によりクラツチをONして送り
出しを停止し、巻き上げ可能とするものであるか
ら、釣糸の放出長さを微妙に調節する必要がある
場合、プツシユレバーによるクラツチOFF操作
と、ハンドルの回転によるクラツチON操作を繰
り返し行なわなければならなくなつて操作が非常
に面倒であるにもかゝわらず釣糸の放出長さの微
妙な調節が困難である等の問題点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕 そこで本考案は上述問題点に鑑みて検討の結果
上記クラツチ機構を改良して、クラツチカムをク
ラツチOFF側とクラツチON側にデツドポイント
ラインを起えて切換え付勢されるようプツシユレ
バーに一端を掛止して介在付勢するデツドポイン
トバネの他端をフリツピングカムにより移動可能
に掛止し、該フリツピングカムの切換えによつ
て、上記デツドポイントバネのバネ力がクラツチ
カムに対してクラツチON側及びクラツチOFF側
の両方と、クラツチON側の一方のみ付勢される
よう構成し、ハンドル回転によりクラツチをON
する通常の状態と、プツシユレバーを押している
間だけクラツチがOFFし、該レバーの押圧を解
くとクラツチがONするフリツピング状態とに上
記フリツピングカムにより切換えできて、釣糸の
放出長さの微妙な調節を簡単、かつ容易にできる
ようにしたのが、その目的である。

〔問題点を解決するための手段〕

即ち本考案は、ハンドルにより回転される主歯
車と噛合され、スプール軸に回転、かつ軸方向へ
摺動自在に噛合されたピニオンが、リール本体に
支承したプツシユレバーにて回転されデツドポイ
ントバネにより正、逆転方向へ付勢されるクラツ
チカムにより軸方向に移動されることで上記スプ
ール軸の面取部に対する上記ピニオンの結合が解
かれてクラツチOFFし、一方、上記クラツチ
OFF状態で上記主歯車と同軸回転するラチエツ
トにより上記クラツチカムが反転され、クラツチ
ONに切換え可能に設けてなる魚釣用両軸受リー
ルのクラツチ機構であつて、上記リール本体の適
所には、フリツピングカムを切換え操作可能に軸
支して上記プツシユレバーへ一端を掛止して介在
した上記デツドポイントバネの他端を移動可能な
るよう掛止し、該デツドポイントバネの上記クラ
ツチカムに対するバネ力付勢が、クラツチカムを
クラツチON側及びクラツチOFF側の両方と、ク
ラツチON側の一方のみの二段階に上記フリツピ
ングカムにより切換え可能に設けて構成し、上述
問題点を解決したのである。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述すれ
ば、第１図ないし第５図に示したように、ハンド
ル１により回転される主歯車２は、リール本体３
の側板３ａに一端が支持された支え軸４に、内端
へラチエツト５ａを設けた中空のラチエツト軸５
を回転可能に嵌合してその外周へ回転自在に嵌合
させてある。

上記ラチエツト軸５の外周には面取部５ｂを主
歯車２の側面に接触させるワツシヤ６の位置まで
設けて、ワツシヤ６とラチエツト軸５は同軸回転
するようにしてあると共に、ワツシヤ６には、ス
プリング止め及びラチエツト軸外端部へねじ止め
したドラグスターハンドル７により圧縮スプリン
グ８を介在して押圧力を作用させ、ドラグスター
ハンドル７のねじ込み量によつて、ワツシヤ６と
主歯車２との摩擦力を調整し、回転伝達力を調整
する摩擦クラツチに形成してある。

上記ラチエツト５ａには、上記側板３ａに植設
したピン９にて枢着した逆転防止爪１０が噛合さ
せてあり、張設させたバネ１１にて噛合保持させ
てある。

一方、スプール１２を固定したスプール軸１３
は、その両端が上記リール本体３の左右の側板３
ａ，３ａに夫々固定したカバー３ｂ，３ｂに軸受
１４を介して回転自在に架設させてあり、その一
方端の外周には、上記主歯車２と噛合させたピニ
オン１５が軸方向へ摺動自在に嵌合させてあり、
該ピニオン１５は、スプール軸１３の基部外周に
形成した面取部１３ａに結合して同軸回転され、
ハンドル１により主歯車２からピニオン１５へ与
えられる回転をスプール軸１３、スプール１２に
伝達される。

又、ピニオン１５が軸上を第４図の位置から右
方向へ摺動されることで上記面取部１３ａとの結
合は解かれ、ハンドル１とスプール１２との回転
力伝達は断たれる。

上記ハンドル１とスプール１２との間の回転力
伝達断、続を行なうクラツチ機構は、クラツチバ
ー１６と、クラツチカム１７と、プツシユレバー
１８と、デツドポイントバネ１９と、フリツピン
グカム２０を主要部材として構成されている。

上記クラツチバー１６は、中央部の略半円状の
内周縁が係止部１６ａとなり、該係止部１６ａか
ら対称にアーム１６ｂ，１６ｂを突設してあり、
該アーム１６ｂ，１６ｂの端部を、上記側板３ａ
からスプール軸１３と並行に植設したピン２１，
２１により、側板３ａ方向へバネ２２により押圧
付勢されて摺動可能に保持されており、上記係止
部１６ａを上記ピニオン１５の環状段部１５ａに
回転可能に係止させてある。

上記クラツチカム１７は上記ピニオン外径より
も大きい内径とした筒状部１７ａと、該筒状部１
７ａの外周に設けたフランジ１７ｂと、該フラン
ジ１７ｂから同一円周上に突設して同一回転方向
に傾斜上昇して突出したカム部１７ｃ，１７ｃ
と、爪部１７ｄとで形成されている。このクラツ
チカム１７は、筒状部１７ａを側板３ａの窓孔３
ｃへブツシユ等を介在して嵌合することで上記ピ
ニオン１５の外周へ回転自在に、かつ上記側板３
ａとクラツチバー１６との間に配置されている。

又、上記クラツチカム１７の筒状部１７ａの一
側から突設したアーム１７ｅと、上記側板３ａの
内面にピン２３にて回転自在に枢着した連動レバ
ー２４の一端をピン２５にて枢着し、該連動レバ
ー２４の他端は、リール本体３にプツシユ操作可
能に一端をカバー３ｂから外側へ突出せしめて回
転可能に支承した上記プツシユレバー１８のプツ
シユレバー軸２６と当接により連結して上記クラ
ツチカム１７はプツシユレバー１８と連動させて
ある。

こゝで、上記プツシユレバー軸２６と、側板３
ａのバネ掛け２７に夫々端部を掛止して張設した
バネ２８によりプツシユレバー１８には復帰力が
付勢させてある。

又、上記クラツチカム１７におけるカム部１７
ｃの高さ、即ち変位置Ｓは、スプール軸１３の面
取部１３ａの軸方向長さより実質的に大きく形成
させてある。

更に上記プツシユレバー１８は上記デツドポイ
ントバネ１９により弾撥付勢されており、これに
より上記クラツチカム１７を第１図中実線で示し
たクラツチONの状態では図において反時計回り
方向（クラツチON側）へ弾撥付勢すると共に、
同図中二点破線で示したクラツチOFFの状態に
切換えた場合はクラツチカム１７を図において時
計回り方向（クラツチOFF側）へ弾撥付勢する
よう上記デツドポイントバネ１９を介在させてあ
る。

こゝで、上記デツドポイントバネ１９の一端１
９ａを上記連動レバー２４に掛止させてあるか
ら、図中実線で示すクラツチONの状態と、二点
破線で示すクラツチOFFの状態では、上記一端
１９ａが、他端１９ｂと連動レバー２４の枢着用
ピン２３の中心を結ぶ線上にあるデツドポイント
ラインａを中心として対称位置となるようにし、
これによつてデツドポイントバネ１９がクラツチ
カム１７をクラツチON側と、クラツチOFF側に
夫々弾撥付勢するよう設けてある。

又、上記フリツピングカム２０は、上記側板３
ａとカバー３ｂに回転可能にＥリング２９を係嵌
して離脱しないよう枢着させてあり、該フリツピ
ングカム２０が正、逆転操作可能に、上記カバー
３ｂから外側へ突出した端部にフリツピングレバ
ー３０をネジ３１にて固定してある。

このフリツピングカム２０は、回転中心となる
軸部２０ａの一側からバネ掛け２０ｂを適当長さ
に突出して一体に形成してあり、そのバネ掛け２
０ｂに上記デツドポイントバネ１９の他端１９ｂ
を掛止させ、上記バネ掛け２０ｂが回転されるこ
とで、上記他端１９ｂを移動可能としてある。

又、上記側板３ａの内面からは２箇のストツパ
３２，３３が適当な間隔を保持してＡ位置とＢ位
置に、かつ上記バネ掛け２０ｂが当接されてフリ
ツピングカム２０の回転が規制されるよう夫々設
けてある。

こゝで、一方のストツパ３２のＡ位置は、該ス
トツパ３２に上記バネ掛け２０ｂを当接させた第
１図の状態では、クラツチONでクラツチカム１
７をクラツチON側へ、又クラツチOFFでクラツ
チカム１７をクラツチOFF側へ夫々デツドポイ
ントバネ１９が夫々付勢する通常状態となる位置
に設定してあり、又他のストツパ３３のＢ位置
は、該ストツパ３３にバネ掛け２０ｂを当接させ
た第３図の状態ではデツドポイントラインａが第
１図の位置から第３図の位置に変位して、クラツ
チをON，OFF何れに切換えた場合でも、デツド
ポイントバネ１９の一端１９ａがデツドポイント
ラインａの一側方位置にあるようにして、当該デ
ツドポイントバネ１９がクラツチカム１７をクラ
ツチON側へのみ弾撥付勢する位置に予め設定し
てある。

第６図は本案の他の実施例を示している。

前述した実施例ではデツドポイントバネ１９の
一端１９ａを、プツシユレバー１８の連動レバー
２４に掛止してあるのに対して、この実施例で
は、上記連動レバー２４を省き、上記デツドポイ
ントバネ１９の一端１９ａをプツシユレバー１８
に直接掛止したものであり、かゝる構成とした場
合も前述した実施例と同様の目的、作用効果を達
成できる。又その他の構成は前述した実施例と同
一である。

而して上記構成において、第１図に示したよう
にフリツピングカム２０が反時計回り方向に回転
されてバネ掛け２０ｂがストツパ３２と当接し、
デツドポイントバネ１９の他端１９ｂ、つまり支
点が図のＣ位置に保持された通常状態において、
同図中実線で示したクラツチON状態では、ピニ
オン１５は第４図に示した如くスプール軸１３の
面取部１３ａに結合され、ハンドルの回転力はス
プール１２に伝達される「続」の状態にあり、ハ
ンドル回転操作により釣糸はスプール１２に巻き
取られる。

上記クラツチON状態においてプツシユレバー
１８をプツシユし、連動レバー２４がピン２３を
支点として反時計回り方向へデツドポイントバネ
１９の弾撥力に抗して回転されるとクラツチカム
１７は時計回り方向へ回転されて二点破線で示し
た位置となり、デツドポイントバネ１９の一端１
９ａはデツドポイントラインａを越えるので、同
バネ１９により連動レバー２４を介してクラツチ
カム１７は図において時計回り方向、つまりクラ
ツチOFF側へ付勢される。

この時、図中実線で示した位置にあるカム部１
７ｃ，１７ｃがクラツチバー１６のアーム１６
ｂ，１６ｂの裏側まで移動してアーム１６ｂ，１
６ｂを押圧するから、クラツチバー１６はバネ２
２の弾撥力に抗してカム部１７ｃ，１７ｃの変位
量だけ第４図において右方向へ移動されるのでピ
ニオン１５はスプール軸１３の面取部１３ａから
釈放され、ハンドルの回転力はスプール１２へ伝
達されない「断」の状態、つまりクラツチOFF
となり、釣糸を自由に放出することができる。こ
の状態ではクラツチカム１７の爪部１７ｄはラチ
エツト５ａと係合する。

上記クラツチOFFの状態でハンドル１を強く
正回転（釣糸巻き取り方向）するとラチエツト５
ａにて爪部１７ｄが押されデツドポイントバネ１
９の一端１９ａがデツドポイントラインａを越え
るので、同バネ１９によりクラツチカム１７は図
において反時計回り方向に回転されるのでカム部
１７ｃ，１７ｃは再び実線で示した位置に戻りク
ラツチバー１６の押圧力は解かれる。

従つてクラツチバー１６はバネ２２によりピニ
オン１５を伴なつて軸上を移動し、該ピニオン１
５はスプール軸１３の面取部１３ａと結合し、ク
ラツチONとなる。

以上は通常状態でクラツチをON，OFFする場
合であるが、次に上記フリツピングカム２０を第
１図の位置から時計回り方向へ切換え、バネ掛け
２０ｂがストツパ３３に当接保持されると、第３
図に示した如くデツドポイントバネ１９の他端１
９ｂ、つまり同バネ１９の支点は上記Ｃ位置から
第３図に示すＣ位置に移動され、これによりデツ
ドポイントラインａは第１図の位置から第３図の
位置に変位された所謂フリツピング状態となる。

このフリツピング状態では、図中実線で示した
クラツチON状態にあつては、デツドポイントバ
ネ１９の一端１９ａはデツドポイントラインａの
図において右側に位置していることによりクラツ
チカム１７を反時計回り方向、つまりクラツチ
ON側へ付勢している。

上記クラツチONの状態でプツシユレバー１８
をプツシユし、連動レバー２４が反時計回り方向
に回転されるとクラツチカム１７は時計回り方向
に回転されるので上述と同様にしてクラツチは
OFFとなる。

このクラツチOFFの状態では、デツドポイン
トバネ１９の一端１９ａは図の実線で示した位置
から二点破線で示した位置まで移動されるのであ
るが、その位置はデツドポイントラインａを起え
ることなく、上述のクラツチON状態の時と同
様、同ラインａの図において右側に位置されるの
で、同バネ１９はクラツチカム１７を図において
反時計回り方向、つまりクラツチON側へ付勢す
る。

従つて、プツシユレバー１８のプツシユを解く
と、クラツチカム１７は直ちに反転され、クラツ
チONとなる。

このようにフリツピング状態では、プツシユレ
バー１８をプツシユしている間だけクラツチは
OFFとなつてスプール１２はフリーになり釣糸
の放出が行なわれるが、プツシユレバー１８のプ
ツシユを解くとクラツチは直ちにONになるので
釣糸の放出は直ちに停止される。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る魚釣り用両軸
受リールのクラツチ機構は構成したものであるか
ら、フリツピングカム２０を切換え操作してデツ
ドポイントバネ１９の支点を移動し、デツドポイ
ントラインａを変位することによつて、プツシユ
レバー１８のプツシユ操作によるクラツチOFF
と、ハンドル１の正回転によつてクラツチがON
されるようにした通常状態と、プツシユレバー１
８をプツシユしている間だけクラツチがOFFし、
そのプツシユを解くことでハンドル操作に関係な
く直ちにクラツチONするフリツピング状態との
二段階に切換えできるので、上記プツシユレバー
１８の操作のみでクラツチON，OFFの切換えが
素早くできるようになり、従つて、釣糸の放出長
さの微妙な調節を容易な操作によつて簡単、かつ
正確に行なうことができる効果は甚大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る魚釣り用両軸受リールの
クラツチ機構の実施例を示した通常状態での正面
図、第２図は同実施例における主要部の拡大縦断
側面図、第３図は同実施例における主要部のフリ
ツピング状態を示す正面図、第４図は同実施例の
縦断側面図、第５図は同実施例におけるクラツチ
バーとクラツチカムを分解して示し、クラツチカ
ムの一部のみ側面で示した正面図、第６図は同ク
ラツチ機構の他の実施例を示した通常状態での正
面図である。 １……ハンドル、２……主歯車、３……リール
本体、５ａ……ラチエツト、１３……スプール
軸、１３ａ……面取部、１５……ピニオン、１７
……クラツチカム、１８……プツシユレバー、１
９……デツドポイントバネ、１９ａ……一端、１
９ｂ……他端、２０……フリツピングカム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンドル１により回転される主歯車２と噛合さ
   れ、スプール軸１３に回転、かつ軸方向へ摺動自
   在に嵌合されたピニオン１５が、リール本体３に
   支承したプツシユレバー１８にて回転されデツド
   ポイントバネ１９により正、逆転方向へ付勢され
   るクラツチカム１７により軸方向に移動されるこ
   とで上記スプール軸の面取部１３ａに対する上記
   ピニオンの結合が解かれてクラツチOFFし、一
   方、上記クラツチOFF状態で上記主歯車と同軸
   回転するラチエツト５ａにより上記クラツチカム
   が反転され、クラツチONに切換え可能に設けて
   なる魚釣り用両軸受リールのクラツチ機構であつ
   て、上記リール本体の適所にはフリツピングカム
   ２０を切換え操作可能に軸支して上記プツシユレ
   バーへ一端１９ａを掛止して介在した上記デツド
   ポイントバネの他端１９ｂを移動可能なるよう掛
   止し、該デツドポイントバネの上記クラツチカム
   に対するバネ力付勢が、クラツチON側及びクラ
   ツチOFF側の両方と、クラツチON側の一方のみ
   の二段階に上記フリツピングカムにより切換え可
   能に設けてなることを特徴とする魚釣り用両軸受
   リールのクラツチ機構。