JPH0244648Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は乗用田植機に関する。

〔従来の技術〕

乗用田植機においては走行用の変速装置とし
て、静油圧式やベルト伝動式等のように無段変速
型式の変速装置を備えているものがある。そし
て、苗植付装置昇降用のリンク機構と前記変速装
置とをワイヤやロツド等（連動機構に相当）で連
係して、畦際での旋回時等のようにリンク機構に
より苗植付装置を上昇操作するとワイヤやロツド
等がリンク機構側に引き操作されて、前記変速装
置が自動的に減速操作されるように構成している
ものがある。

〔考案が解決しようとする課題〕 水田においては田面の状態や耕盤の深さ等のよ
うに条件が種々異なるので、この条件に応じて前
記ワイヤやロツド等が引き操作されるタイミング
を変更できるような調整部を設けることが提案さ
れている。

このような調整部を設けると、苗植付装置の上
昇操作に伴つて変速装置の減速操作が行われる場
合、減速操作が開始される苗植付装置の位置を変
更できて有用なものとなるのであるが、苗植付装
置を上限まで持ち上げた場合の前記ワイヤやロツ
ド等の引き量も変化する。これにより、調整部を
操作することにより最終減速速度も変化すること
になつてしまい、逆に畦際での旋回時等のステア
リング操作が行い難くなつてしまう。

本考案は減速操作が開始される苗植付装置の位
置を変更する調整部の有用性を残しながら、前述
のようなステアリング操作性の低下を防止するこ
とを目的としている。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は乗用田植機において、次のよう
に構成することにある。つまり、変速比の異なる
複数組のベルト伝動部を並列的に備えてこのベル
ト伝動部を択一的に伝動状態に切換える走行用の
変速装置を装備すると共に、苗植付装置の上昇に
伴つて前記変速装置を所定の低速位置に切換操作
する連動機構を設け、且つ、前記所定の低速位置
への切換操作が行われる苗植付装置の車体高さを
変更する調整部を備えてあることにあり、その作
用及び効果は次のとおりである。

〔作用〕

前述のように走行用として無段変速型式ではな
く、ベルト伝動式の有段変速型式の変速装置を用
いることにより、調整部を操作しても苗植付装置
を上段まで上昇操作した場合に、一定の速度に減
速操作されることになる。これにより、畦際にて
安定したステアリング操作が行えることになる。

〔考案の効果〕

以上のように、調整部の操作を行つても一定の
速度に減速操作されるようになり、安定したステ
アリング操作が行えるようになつて、旋回操作性
の向上を図ることができた。

又、苗植付装置を上昇操作する場合において、
減速操作が開始される苗植付装置の位置を変更す
ることもできるので、従来構造の利点を損なうも
のではない。

〔実施例〕

次に、本考案の実施例を図面に基づいて詳述す
る。

第１図に示すように、左右一対づつの推進用の
後車輪１及びステアリング兼推進用の前車輪２を
備えた機体フレーム３に、原動部４及び搭乗運転
部５を設けると共に、一定ストロークで横往復移
動する苗のせ台６、その苗のせ台６に左右に並べ
て載置した複数枚のマツト状苗Ｗの夫々の下端列
に沿つて順次一株分づつの苗を取出し田面に植付
ける苗植付爪７、及び、機体左右方向に並置した
複数の整地フロート８等の諸装置を備えた苗植付
装置１０を、機体フレーム３の後部に、リンク機
構１１を介して油圧シリンダ１２により駆動昇降
操作自在に連結し、もつて、走行に伴ない順次複
数条の苗を植付ける乗用田植機を構成してある。

苗植付装置１０の昇降操作構造を構成するに、
機体の左右中央に配置したセンサーフロート９
を、その後端側横向き軸芯回りで上下揺動自在
に、かつ、スプリング（図示せず）により下降付
勢した状態で苗植付装置１０に取付けている。そ
して、油圧シリンダ１２に対する制御弁（図示せ
ず）とセンサーフロート９とを連動連結し、もつ
て、耕盤深さの変化をそれに伴なうセンサーフロ
ート９の揺動により検出し、苗植付装置１０を対
地適切作業高さに維持するように油圧シリンダ１
２を自動操作するべく構成してある。

又、制御弁に手動操作レバー１３を連設し、そ
の手動操作レバー１３により前途の自動制御状
態、強制上昇状態、固定状態、及び、自重下降状
態を夫々現出するように構成してある。

原動部４を構成するに、第２図に示すように、
機体左右横向きに配置したエンジンＥと、ギア変
速機構（図示せず）を内装したミツシヨンケース
Ｍとを、お互いに減速比の異なる一対のベルト伝
動部１４ａ，１４ｂにより連動している。そし
て、一本の揺動レバー１５による反転部材１８の
反転操作で一対のベルト伝動部１４ａ，１４ｂを
択一的に伝動状態とし、かつ、ペダル１６による
操作で両ベルト伝動部１４ａ，１４ｂを一体的に
断続操作する一対のベルトテンシヨン装置１７
ａ，１７ｂを設けている。これにより両ベルトテ
ンシヨン装置１７ａ，１７ｂにより高低２段切換
式の変速装置１７を構成しているのであり、この
変速装置１７を主クラツチに兼用している。

両ベルトテンシヨン装置１７ａ，１７ｂの操作
構造について更に詳述すると、揺動レバー１５
と、リンク機構１１の昇降部分とをワイヤ１９
（連動機構に相当）を介して連動連結している。
これにより、作業中における旋回に際し苗植付装
置１０を強制上昇させると、ワイヤ１９がリンク
機構１１側に引き操作されて揺動レバー１５が高
速側から低速側に操作されるのである。このよう
にして、畦際での旋回のための減速操作を自動化
すべく構成してある。

更に、揺動レバー１５を、縦軸芯Ｐ周りで回転
自在に構成した運転座席５ａに、苗植付装置１０
との連動とは並列的にワイヤ２０により連動連結
し、もつて、走行作業中に操縦者が植付作業状態
を確認するために運転座席５ａを回転させて後方
を向くことに伴ない、安全走行のために自動減速
するように構成してある。

ワイヤ１９をリンク機構１１に連結するに、リ
ンク機構１１と一体揺動するように取付けたアー
ム２１にワイヤ１９を連結すると共に、そのアー
ム２１にロツド２２を介して連動連結したレバー
２３（調整部に相当）によりそのアーム２１のリ
ンク機構１１に対する相対姿勢を変更自在に、か
つ、レバー案内孔２４に形成した複数の切欠部２
４ａとレバー２３との係止作用によりアーム２１
を変更姿勢で固定自在に構成している。これによ
り、前述のような減速操作が行なわれるべき苗植
付装置１０の対車体高さをレバー２３で変更調節
できるように構成してある。

つまり、耕盤深さによつて対車体高さが変化す
る苗植付装置１０が、耕盤深さにかかわらず常に
設定対地高さに至つた時点で減速操作が行なわれ
るように調節可能に構成し、旋回に際しての減速
タイミングを水田状況によらずほぼ一定に維持す
るように構成してある。

又、減速操作される変速装置１７をダブルテン
シヨン変速型式に構成したことによつて、前述の
減速タイミングの変更操作にかかわらず常に一定
の減速状態を得ることができるようにして、旋回
操作を常に一定に速度条件下で安定的に行なえる
ように構成してある。

更に、前記レバー２３をレバー案内孔２４の端
部の連動解除位置Ｎに保持することにより、ワイ
ヤ１９を十分に緩め、路上走行時等において、前
述の如き、苗植付装置１０の上昇操作と減速操作
との連動を解除するようにも構成してある。

尚、苗植付装置１０の上昇に連動して減速操作
される変速装置１７は、高低２段のベルト伝動式
変速装置に代えて、２段以上の複数段のベルト伝
動式変速装置であつても良く、また、そのベルト
伝動部１４ａ，１４ｂを択一的に伝動状態に切換
えるためのベルトテンシヨン装置１７ａ，１７ｂ
の構造も各種の構成変更が可能である。

更に、前記ベルト伝動式の変速装置１７を苗植
付装置１０の上昇に伴ない減速操作する連動構
造、並びに、その減速操作が行なわれるべき苗植
付装置１０の対車体高さを変更するための調整構
造も各種の構成が可能であり、それらを総称して
連動機構１９、及び調整部２３と称する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る乗用田植機の実施例を示
し、第１図は乗用田植機の全体側面図、第２図は
変速操作構造を示す概略図である。 １０……苗植付装置、１４ａ，１４ｂ……ベル
ト伝動部、１７……変速装置、１９……連動機
構、２３……調整部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 変速比の異なる複数組のベルト伝動部１４ａ，
   １４ｂを並列的に備えてこのベルト伝動部１４
   ａ，１４ｂを択一的に伝動状態に切換える走行用
   の変速装置１７を装備すると共に、苗植付装置１
   ０の上昇に伴つて前記変速装置１７を所定の低速
   位置に切換操作する連動機構１９を設け、且つ、
   前記所定の低速位置への切換操作が行われる苗植
   付装置１０の車体高さを変更する調整部２３を備
   えてある乗用田植機。