JPH0242594B2 - - Google Patents
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- JPH0242594B2 JPH0242594B2 JP57026435A JP2643582A JPH0242594B2 JP H0242594 B2 JPH0242594 B2 JP H0242594B2 JP 57026435 A JP57026435 A JP 57026435A JP 2643582 A JP2643582 A JP 2643582A JP H0242594 B2 JPH0242594 B2 JP H0242594B2
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
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- B23K35/24—Selection of soldering or welding materials proper
- B23K35/30—Selection of soldering or welding materials proper with the principal constituent melting at less than 1550 degrees C
- B23K35/3053—Fe as the principal constituent
- B23K35/308—Fe as the principal constituent with Cr as next major constituent
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Arc Welding In General (AREA)
Description
この発明は、溶接部に優れた耐酸化性、高温強
度、耐割れ性、曲げ性および靭性を付与する9Cr
−2Mo鋼用溶接材料に関する。 9Cr−2Mo鋼は火力発電、原子力発電のボイラ
ー等に使用される。この鋼の主な特長は、9Cr−
1Mo鋼と同等以上の耐酸化性を有していること、
Moを2%含有することにより2 1/4Cr−1Mo鋼
以上の高温強度を有していること、およびC含有
量を0.15%以下にすることにより溶接熱影響部の
低温割れ感受性を低下させていること、の3点で
ある。 各種発電用ボイラーに代表される9Cr−2Mo鋼
の溶接構造物を溶接の側から見た場合、溶接金属
を母材と同一組成、すなわち9Cr−2Mo鋼組成
(共金系)としたときは、溶接部の耐酸化性およ
び高温強度は維持されるが、耐割れ性は悪化し、
更に曲げ性、靭性面でも問題を生じる。 すなわち、9Cr−2Mo鋼は、凝固過程で柱状品
粒界に沿つて粗大なδフエライトを析出し、その
界面よりγ相を析出するとともに、マルテンサイ
ト変態により常温ではフエライト+マルテンサイ
トの混合組織となる。このため、高温域において
δ−γ界面から凝固割れを生じたり、常温域にお
いてフエライトとマルテンサイトの硬度差による
曲げ性低下を生じたりするのである。また、粗大
なδフエライトの存在は、特開昭55−106698に見
るとおり靭性低下の原因となる。 本発明の目的は、9Cr−2Mo鋼の溶接構造物に
おいて、その溶接部の耐酸化性および高温強度を
共金系の場合と較べて悪化させることなく、耐割
れ性および曲げ性の向上を図り、更に、靭性面で
も特性向上を図るべく、溶接材料に組成改良を加
えることにある。 フエライトとマルテンサイトを比較した場合、
フエライトは軟らかく、マルテンサイトは硬いと
いうふうによく説明される。溶接部の耐割れ性お
よび曲げ性を向上させるには、溶接金属のC当量
を下げ、その軟化を図るのが有効とされている
が、軟化は他ならぬ組織のフエライト化を意味
し、この対策は9Cr−2Mo鋼では、不安定なフエ
ライト+マルテンサイトの2相組織の生成を促す
結果になる。したがつて、溶接部の耐割れ性およ
び曲げ性は逆に悪化する。 靭性向上に対しては、溶接金属中のフエライト
減少の有効なことが知られているが(特開昭55−
106698)、耐割れ性および曲げ性に対する影響に
ついて触れられていないばかりでなく、一般的に
はフエライト減少に伴う組織硬化に対して大きな
不安感がある。 本発明者らは、9Cr−2Mo鋼溶接部の耐割れ性
および曲げ性の低下要因が、上述したとおりフエ
ライト+マルテンサイトの2相組織にあることか
ら、これら特性、更には靭性の向上を図るために
は、マルテンサイト単相化に伴う組織硬化を何ら
かの形で規制しながら、溶接金属をマルテンサイ
ト単相組織としてしまうのが最も得策であると考
えた。 すなわち、マルテンサイト単相化に伴う組織硬
化を何らかの形で規制しながら、溶接金属をマル
テンサイト単相組織とすることができれば、δ−
γ界面において生じる凝固割れや、フエライトと
マルテンサイトの硬度差による曲げ性低下を防止
できると同時に、マルテンサイト単相化に伴う組
織硬化(延性不足)による耐割れ性や曲げ性の低
下も阻止でき、全体として溶接部に高度の耐割れ
性および曲げ性を付与することが可能になるばか
りでなく、マルテンサイト単相化は結果的にフエ
ライトを消失させて特開昭55−106698に示す如き
靭性向上をも可能ならしめるのである。 そうして、本発明者らはこの考え方に沿つて、
鋭意実験研究を繰り返した結果、マルテンサイト
単相化に伴う組織硬化を規制しながら、溶接金属
をマルテンサイトの単相組織とするには、下記に
規定するCr当量式の導入が有効であることを知
見した。δフエライトに対するこのCr当量式は
従来、13Cr鋼に適用された事例を見ることがで
きるが、9Cr−2Mo鋼溶接部の耐割れ性、曲げ性
および靭性の総括的尺度として使われたことは全
くなく、9Cr鋼への適用例すら殆どないのが現状
である。 Cr当量=Cr+4Si+10Al+1.5Mo− (22C+0.5Mn+1.2Ni+30N) 本発明は上記知見に基づきなされたもので、重
量%でC0.03〜0.15%、Si0.05〜0.80%、Mn0.30〜
2.0%、Cr8〜10%、Mo1.5〜2.5%、Ni<2.0%、
Al≦0.03%、N≦0.05%、Ti≦0.10%、O≦0.03
%と、さらに必要に応じてNb≦0.5%と、V≦0.5
%の1種または2種を含有し、残部が実質的に
Feで、かつ、上式に規定するCr当量が7〜11で
あることを特徴とする溶接金属をマルテンサイト
単相組織にする9Cr−2Mo鋼用溶接材を要旨とす
る。 本発明によれば、個々の成分規制と合せて、
Cr当量による総括的組成規制を行うことにより、
溶接金属がマルテンサイト単相組織となるから、
フエライト+マルテンサイトの2相化が原因であ
る凝固割れや硬度差による曲げ性低下が根本から
確実に防止されるとともに、同じく上記Cr当量
による組成規制により、マルテンサイト単相化に
伴う組織硬化が制限されるから、延性不足による
耐割れ性や曲げ性の低下も阻止され、全体として
溶接部に高度の耐割れ性および曲げ性が付与され
るばかりでなく、マルテンサイト単相化によるフ
エライト組織の消失により、特開昭55−106698に
示す如き靭性向上効果も得られるのである。 以下、本発明を溶接材料の成分限定理由、比較
試験の順で詳しく説明する。 <溶接材料の成分限定理由> C:0.03%未満では強度が不足し、0.15%を超
えると耐割れ性が低下する。 Si:0.05%未満では脱酸が不十分であり、溶接
金属に気孔が発生する。0.80%を超える粗大なδ
フエライトが生じて靭性が低下する。 Mn:0.3%未満ではSi同様、脱酸が不足し、同
時に強度低下を招く。2.0%を超えると焼入れ効
果が増大して耐割れ性を低下させる。 Cr:9Cr−2Mo鋼の基本成分の1つであり、8
%未満では高温強度および耐酸化性が低下する。
10%を超えるとδフエライト量が増加して溶接金
属に不安定なフエライト+マルテンサイトの2相
組織を発生させる。 Mo:2%の含有が基本であり、1.5%未満では
高温強度が低下する。2.5%を超えると粗大なδ
フエライトを生じて靭性が低下する。 Ni:靭性の向上に有効であるが、2.0%以上で
は焼入効果が増大して耐割れ性を低下させ、また
クリープ強度も低下する。 Al:脱酸および組織の微細化に有効であるが、
0.03%を超えると溶接金属に気孔が発生する。 Ti:脱酸および強度の増大に有効であるが、
0.1%を超えると粗大なδフエライトが生じて靭
性を低下させる。 N:少量の含有によりδフエライトの生成を抑
制して靭性向上に効果があるが、0.05%を超える
と溶接時の大気からの混入も加わつて溶接金属中
に窒化物が生じ、硬度を増大させて曲げ性が低下
する。 O:0.03%を超えると溶接時の大気からの混入
も加わつて溶接金属の靭性が低下し、かつ溶接金
属に気孔を発生させる。 Nb:少量の含有により高温強度が増すが、0.5
%を超えると靭性が低下する。 V:Nbと同様に高温強度を高めるが、0.5%を
超えると靭性が低下する。 Cr当量:9Cr−2Mo鋼溶接部の耐割れ性、曲げ
性および靭性の総括的尺度であり、11以下とする
ことにより溶接金属が事実上マルテンサイト単相
組織となり、共金系の溶接金属において生じてい
た凝固割れや、フエライトとマルテンサイトの硬
度差による曲げ性低下を防止するとともに、フエ
ライト消失に伴う靭性向上効果を発現させる。7
未満ではマルテンサイト単相化に伴う延性低下に
より耐割れ性および曲げ性が低下する。 <比較試験> 第1表に示す組成および厚みの9Cr−2Mo鋼に
2種類の開先を形成し、各開先に、第2表に示す
組成の9種類の心線を用いて被覆アーク溶接およ
びサブマージアーク溶接をそれぞれ実施した。被
覆アーク溶接棒には各心線に同一組成の低水素系
の被覆剤を塗布した。またサブマージアーク溶接
は各心線に同一組成の塩基性のフラツクスを組合
せて行つた。溶接後には715℃×5hrの焼なまし処
理を行つた。開先形状は被覆アーク溶接の場合が
第1図、サブマージアーク溶接の場合が第2図で
あり、溶接条件は第3表に示すとおりである。 得られた溶接金属の組成を第4表に、各溶接金
属のビツカース硬さ(荷重10Kg)を第5表に、
JIS Z3111に規定の衝撃試験結果、同じくJIS
Z2272に規定の引張クリープ破断試験結果および
ミクロ組織を第6表にそれぞれ示す。 また、第7表は、第1表に示す9Cr−2Mo鋼を
第2表に示す溶接材料にて溶接したときの溶接部
の耐割れ性および曲げ性を調査した結果を示した
ものである。耐割れ性は、被覆アーク溶接棒につ
いてJIS Z3157に規定するU形拘束割れ試験によ
つて調査した。開先形状を第3図に示す。サブマ
ージアーク溶接については第4図に示す拘束試験
板により断面割れ率を測定することにより調査し
た。また、曲げ性はJIS Z31223号に規定する側
曲げ試験により調査した。 第4表〜第7表に示すように、溶接材料組成が
本発明範囲内にあるものは、本発明範囲外(共金
系)のものと較べて、高温強度面で遜色ないばか
りか、靭性、耐割れ性および曲げ性に優れてい
る。更に、マルテンサイト化による組織硬化およ
びこれによる特性低下が効果的に抑制されている
ことも、本発明範囲外(Cr当量7未満)のもの
との比較から明らかである。また、本発明者らは
本発明範囲内のものが本発明範囲外のものと較べ
て耐酸化性の面でも遜色ないことも確認してい
る。
度、耐割れ性、曲げ性および靭性を付与する9Cr
−2Mo鋼用溶接材料に関する。 9Cr−2Mo鋼は火力発電、原子力発電のボイラ
ー等に使用される。この鋼の主な特長は、9Cr−
1Mo鋼と同等以上の耐酸化性を有していること、
Moを2%含有することにより2 1/4Cr−1Mo鋼
以上の高温強度を有していること、およびC含有
量を0.15%以下にすることにより溶接熱影響部の
低温割れ感受性を低下させていること、の3点で
ある。 各種発電用ボイラーに代表される9Cr−2Mo鋼
の溶接構造物を溶接の側から見た場合、溶接金属
を母材と同一組成、すなわち9Cr−2Mo鋼組成
(共金系)としたときは、溶接部の耐酸化性およ
び高温強度は維持されるが、耐割れ性は悪化し、
更に曲げ性、靭性面でも問題を生じる。 すなわち、9Cr−2Mo鋼は、凝固過程で柱状品
粒界に沿つて粗大なδフエライトを析出し、その
界面よりγ相を析出するとともに、マルテンサイ
ト変態により常温ではフエライト+マルテンサイ
トの混合組織となる。このため、高温域において
δ−γ界面から凝固割れを生じたり、常温域にお
いてフエライトとマルテンサイトの硬度差による
曲げ性低下を生じたりするのである。また、粗大
なδフエライトの存在は、特開昭55−106698に見
るとおり靭性低下の原因となる。 本発明の目的は、9Cr−2Mo鋼の溶接構造物に
おいて、その溶接部の耐酸化性および高温強度を
共金系の場合と較べて悪化させることなく、耐割
れ性および曲げ性の向上を図り、更に、靭性面で
も特性向上を図るべく、溶接材料に組成改良を加
えることにある。 フエライトとマルテンサイトを比較した場合、
フエライトは軟らかく、マルテンサイトは硬いと
いうふうによく説明される。溶接部の耐割れ性お
よび曲げ性を向上させるには、溶接金属のC当量
を下げ、その軟化を図るのが有効とされている
が、軟化は他ならぬ組織のフエライト化を意味
し、この対策は9Cr−2Mo鋼では、不安定なフエ
ライト+マルテンサイトの2相組織の生成を促す
結果になる。したがつて、溶接部の耐割れ性およ
び曲げ性は逆に悪化する。 靭性向上に対しては、溶接金属中のフエライト
減少の有効なことが知られているが(特開昭55−
106698)、耐割れ性および曲げ性に対する影響に
ついて触れられていないばかりでなく、一般的に
はフエライト減少に伴う組織硬化に対して大きな
不安感がある。 本発明者らは、9Cr−2Mo鋼溶接部の耐割れ性
および曲げ性の低下要因が、上述したとおりフエ
ライト+マルテンサイトの2相組織にあることか
ら、これら特性、更には靭性の向上を図るために
は、マルテンサイト単相化に伴う組織硬化を何ら
かの形で規制しながら、溶接金属をマルテンサイ
ト単相組織としてしまうのが最も得策であると考
えた。 すなわち、マルテンサイト単相化に伴う組織硬
化を何らかの形で規制しながら、溶接金属をマル
テンサイト単相組織とすることができれば、δ−
γ界面において生じる凝固割れや、フエライトと
マルテンサイトの硬度差による曲げ性低下を防止
できると同時に、マルテンサイト単相化に伴う組
織硬化(延性不足)による耐割れ性や曲げ性の低
下も阻止でき、全体として溶接部に高度の耐割れ
性および曲げ性を付与することが可能になるばか
りでなく、マルテンサイト単相化は結果的にフエ
ライトを消失させて特開昭55−106698に示す如き
靭性向上をも可能ならしめるのである。 そうして、本発明者らはこの考え方に沿つて、
鋭意実験研究を繰り返した結果、マルテンサイト
単相化に伴う組織硬化を規制しながら、溶接金属
をマルテンサイトの単相組織とするには、下記に
規定するCr当量式の導入が有効であることを知
見した。δフエライトに対するこのCr当量式は
従来、13Cr鋼に適用された事例を見ることがで
きるが、9Cr−2Mo鋼溶接部の耐割れ性、曲げ性
および靭性の総括的尺度として使われたことは全
くなく、9Cr鋼への適用例すら殆どないのが現状
である。 Cr当量=Cr+4Si+10Al+1.5Mo− (22C+0.5Mn+1.2Ni+30N) 本発明は上記知見に基づきなされたもので、重
量%でC0.03〜0.15%、Si0.05〜0.80%、Mn0.30〜
2.0%、Cr8〜10%、Mo1.5〜2.5%、Ni<2.0%、
Al≦0.03%、N≦0.05%、Ti≦0.10%、O≦0.03
%と、さらに必要に応じてNb≦0.5%と、V≦0.5
%の1種または2種を含有し、残部が実質的に
Feで、かつ、上式に規定するCr当量が7〜11で
あることを特徴とする溶接金属をマルテンサイト
単相組織にする9Cr−2Mo鋼用溶接材を要旨とす
る。 本発明によれば、個々の成分規制と合せて、
Cr当量による総括的組成規制を行うことにより、
溶接金属がマルテンサイト単相組織となるから、
フエライト+マルテンサイトの2相化が原因であ
る凝固割れや硬度差による曲げ性低下が根本から
確実に防止されるとともに、同じく上記Cr当量
による組成規制により、マルテンサイト単相化に
伴う組織硬化が制限されるから、延性不足による
耐割れ性や曲げ性の低下も阻止され、全体として
溶接部に高度の耐割れ性および曲げ性が付与され
るばかりでなく、マルテンサイト単相化によるフ
エライト組織の消失により、特開昭55−106698に
示す如き靭性向上効果も得られるのである。 以下、本発明を溶接材料の成分限定理由、比較
試験の順で詳しく説明する。 <溶接材料の成分限定理由> C:0.03%未満では強度が不足し、0.15%を超
えると耐割れ性が低下する。 Si:0.05%未満では脱酸が不十分であり、溶接
金属に気孔が発生する。0.80%を超える粗大なδ
フエライトが生じて靭性が低下する。 Mn:0.3%未満ではSi同様、脱酸が不足し、同
時に強度低下を招く。2.0%を超えると焼入れ効
果が増大して耐割れ性を低下させる。 Cr:9Cr−2Mo鋼の基本成分の1つであり、8
%未満では高温強度および耐酸化性が低下する。
10%を超えるとδフエライト量が増加して溶接金
属に不安定なフエライト+マルテンサイトの2相
組織を発生させる。 Mo:2%の含有が基本であり、1.5%未満では
高温強度が低下する。2.5%を超えると粗大なδ
フエライトを生じて靭性が低下する。 Ni:靭性の向上に有効であるが、2.0%以上で
は焼入効果が増大して耐割れ性を低下させ、また
クリープ強度も低下する。 Al:脱酸および組織の微細化に有効であるが、
0.03%を超えると溶接金属に気孔が発生する。 Ti:脱酸および強度の増大に有効であるが、
0.1%を超えると粗大なδフエライトが生じて靭
性を低下させる。 N:少量の含有によりδフエライトの生成を抑
制して靭性向上に効果があるが、0.05%を超える
と溶接時の大気からの混入も加わつて溶接金属中
に窒化物が生じ、硬度を増大させて曲げ性が低下
する。 O:0.03%を超えると溶接時の大気からの混入
も加わつて溶接金属の靭性が低下し、かつ溶接金
属に気孔を発生させる。 Nb:少量の含有により高温強度が増すが、0.5
%を超えると靭性が低下する。 V:Nbと同様に高温強度を高めるが、0.5%を
超えると靭性が低下する。 Cr当量:9Cr−2Mo鋼溶接部の耐割れ性、曲げ
性および靭性の総括的尺度であり、11以下とする
ことにより溶接金属が事実上マルテンサイト単相
組織となり、共金系の溶接金属において生じてい
た凝固割れや、フエライトとマルテンサイトの硬
度差による曲げ性低下を防止するとともに、フエ
ライト消失に伴う靭性向上効果を発現させる。7
未満ではマルテンサイト単相化に伴う延性低下に
より耐割れ性および曲げ性が低下する。 <比較試験> 第1表に示す組成および厚みの9Cr−2Mo鋼に
2種類の開先を形成し、各開先に、第2表に示す
組成の9種類の心線を用いて被覆アーク溶接およ
びサブマージアーク溶接をそれぞれ実施した。被
覆アーク溶接棒には各心線に同一組成の低水素系
の被覆剤を塗布した。またサブマージアーク溶接
は各心線に同一組成の塩基性のフラツクスを組合
せて行つた。溶接後には715℃×5hrの焼なまし処
理を行つた。開先形状は被覆アーク溶接の場合が
第1図、サブマージアーク溶接の場合が第2図で
あり、溶接条件は第3表に示すとおりである。 得られた溶接金属の組成を第4表に、各溶接金
属のビツカース硬さ(荷重10Kg)を第5表に、
JIS Z3111に規定の衝撃試験結果、同じくJIS
Z2272に規定の引張クリープ破断試験結果および
ミクロ組織を第6表にそれぞれ示す。 また、第7表は、第1表に示す9Cr−2Mo鋼を
第2表に示す溶接材料にて溶接したときの溶接部
の耐割れ性および曲げ性を調査した結果を示した
ものである。耐割れ性は、被覆アーク溶接棒につ
いてJIS Z3157に規定するU形拘束割れ試験によ
つて調査した。開先形状を第3図に示す。サブマ
ージアーク溶接については第4図に示す拘束試験
板により断面割れ率を測定することにより調査し
た。また、曲げ性はJIS Z31223号に規定する側
曲げ試験により調査した。 第4表〜第7表に示すように、溶接材料組成が
本発明範囲内にあるものは、本発明範囲外(共金
系)のものと較べて、高温強度面で遜色ないばか
りか、靭性、耐割れ性および曲げ性に優れてい
る。更に、マルテンサイト化による組織硬化およ
びこれによる特性低下が効果的に抑制されている
ことも、本発明範囲外(Cr当量7未満)のもの
との比較から明らかである。また、本発明者らは
本発明範囲内のものが本発明範囲外のものと較べ
て耐酸化性の面でも遜色ないことも確認してい
る。
【表】
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【表】
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本発明が対象とする9Cr−2Mo鋼の溶接構造物
としては、前記した各種発電用ボイラーの他、例
えば石油化学用圧力容器、各種化学機械等があ
る。
としては、前記した各種発電用ボイラーの他、例
えば石油化学用圧力容器、各種化学機械等があ
る。
第1図〜第3図は比較試験に使用した開先の形
状説明図、第4図は同じく試験様式の説明図であ
る。
状説明図、第4図は同じく試験様式の説明図であ
る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 重量%でC0.03〜0.15%、Si0.05〜0.80%、
Mn0.30〜2.0%、Cr8〜10%、Mo1.5〜2.5%、Ni
<2.0%、Al≦0.03%、N≦0.05%、Ti≦0.10%、
O≦0.03%を含有し、残部が実質的にFeで、か
つ、下式に規定するCr当量が7〜11であること
を特徴とする溶接金属をマルテンサイト単相組織
にする9Cr−2Mo鋼用溶接材料。 Cr当量=Cr+4Si+10Al+1.5Mo− (22C+0.5Mn+1.2Ni+30N) 2 重量%でC0.03〜0.15%、Si0.05〜0.80%、
Mn0.30〜2.0%、Cr8〜10%、Mo1.5〜2.5%、Ni
<2.0%、Al≦0.03%、N≦0.05%、Ti≦0.10%、
O≦0.03%と、さらにNb≦0.5%、V≦0.5%の1
種または2種を含有し、残部が実質的にFeで、
かつ、下式に規定するCr当量が7〜11であるこ
とを特徴とする溶接金属をマルテンサイト単相組
織にする9Cr−2Mo鋼用溶接材料。 Cr当量=Cr+4Si+10Al+1.5Mo− (22C+0.5Mn+1.2Ni+30N)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2643582A JPS58141892A (ja) | 1982-02-19 | 1982-02-19 | 9Cr―2Mo鋼用溶接材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2643582A JPS58141892A (ja) | 1982-02-19 | 1982-02-19 | 9Cr―2Mo鋼用溶接材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58141892A JPS58141892A (ja) | 1983-08-23 |
JPH0242594B2 true JPH0242594B2 (ja) | 1990-09-25 |
Family
ID=12193427
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2643582A Granted JPS58141892A (ja) | 1982-02-19 | 1982-02-19 | 9Cr―2Mo鋼用溶接材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58141892A (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60230964A (ja) * | 1984-05-01 | 1985-11-16 | Hitachi Ltd | 高靭性マルテンサイト鋼 |
JPS62224493A (ja) * | 1986-03-24 | 1987-10-02 | Kobe Steel Ltd | 9Cr−2Mo鋼溶接用ワイヤ |
JP2594265B2 (ja) * | 1987-01-29 | 1997-03-26 | 新日本製鐵株式会社 | 9Cr−Mo系鋼用TIG溶接用ワイヤ |
JP2668530B2 (ja) * | 1987-03-18 | 1997-10-27 | 新日本製鐵株式会社 | 9Cr−Mo鋼用溶接ワイヤ |
JP2631228B2 (ja) * | 1988-07-29 | 1997-07-16 | 新日本製鐵株式会社 | 9Cr−Mo系鋼用TIG溶接用ワイヤ |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5530354A (en) * | 1978-08-23 | 1980-03-04 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Welding material of 9cr-mo base steel |
JPS55110758A (en) * | 1979-02-20 | 1980-08-26 | Sumitomo Metal Ind Ltd | High temperature use chromium steel |
-
1982
- 1982-02-19 JP JP2643582A patent/JPS58141892A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5530354A (en) * | 1978-08-23 | 1980-03-04 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Welding material of 9cr-mo base steel |
JPS55110758A (en) * | 1979-02-20 | 1980-08-26 | Sumitomo Metal Ind Ltd | High temperature use chromium steel |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58141892A (ja) | 1983-08-23 |
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