JP2594265B2 - 9Cr−Mo系鋼用TIG溶接用ワイヤ - Google Patents
9Cr−Mo系鋼用TIG溶接用ワイヤInfo
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- JP2594265B2 JP2594265B2 JP62019275A JP1927587A JP2594265B2 JP 2594265 B2 JP2594265 B2 JP 2594265B2 JP 62019275 A JP62019275 A JP 62019275A JP 1927587 A JP1927587 A JP 1927587A JP 2594265 B2 JP2594265 B2 JP 2594265B2
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K35/00—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting
- B23K35/22—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
- B23K35/24—Selection of soldering or welding materials proper
- B23K35/30—Selection of soldering or welding materials proper with the principal constituent melting at less than 1550 degrees C
- B23K35/3053—Fe as the principal constituent
- B23K35/308—Fe as the principal constituent with Cr as next major constituent
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Arc Welding In General (AREA)
- Nonmetallic Welding Materials (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は火力発電,原子力発電のボイラー等に使用さ
れる9Cr−Mo系鋼を溶接する溶接ワイヤに関するもので
あり、さらに詳しくは高温におけるクリープ特性、耐酸
化性、靭性および耐割れ性にすぐれた溶接金属を与える
TIG溶接用ワイヤに係るものである。
れる9Cr−Mo系鋼を溶接する溶接ワイヤに関するもので
あり、さらに詳しくは高温におけるクリープ特性、耐酸
化性、靭性および耐割れ性にすぐれた溶接金属を与える
TIG溶接用ワイヤに係るものである。
近年、火力発電所の大型化に伴ない、ボイラが高温、
高圧下で使用される傾向にあり、550℃を超すと、耐酸
化性、高温強度の点から通常の などの低合金鋼にかわって18Cr−8Niステンレス鋼など
のオーステナイト系の高級鋼が使用されてきた。
高圧下で使用される傾向にあり、550℃を超すと、耐酸
化性、高温強度の点から通常の などの低合金鋼にかわって18Cr−8Niステンレス鋼など
のオーステナイト系の高級鋼が使用されてきた。
しかしながら、高級鋼によるボイラの建造はコストが
上昇し、高価につくため、材料上の問題から操業温度が
制約されて、現在では566℃が上限となっている。従っ
て、ボイラの効率を高めるために圧力を高めた超臨界圧
ボイラーが使用されている。
上昇し、高価につくため、材料上の問題から操業温度が
制約されて、現在では566℃が上限となっている。従っ
て、ボイラの効率を高めるために圧力を高めた超臨界圧
ボイラーが使用されている。
この様な状況に対して、 鋼とオーステナイトステンレス鋼の間を埋めるための鋼
材開発研究がかなり行われてきており、高温でのクリー
プ特性にすぐれ、溶接性も良好である9%Cr−1〜2%
Mo系鋼が開発され実用化されつつある。
材開発研究がかなり行われてきており、高温でのクリー
プ特性にすぐれ、溶接性も良好である9%Cr−1〜2%
Mo系鋼が開発され実用化されつつある。
しかしながら今後蒸気温度の一層の上昇と電力需要の
変動に対応して、ボイラの起動停止が頻繁に行なわれる
ことが予想されており、その際熱応力を軽減するために
もいっそう肉厚減少即ちクリープ強度の向上がのぞまれ
ている。このような状況から耐酸化性、クリープ特性を
含む高温強度特性、靭性、および耐割れ性にすぐれた溶
接ワイヤの開発が必要となり、例えば特開昭60−257991
号公報に開示されている9Cr−Mo系鋼用溶接ワイヤの如
く溶接ワイヤ中のC,Si,Mn,Cr,Mo,Ni添加量を限定し、さ
らにNb,Vの1種又は2種を添加して(Nb+V)で0.3%
以下とする溶接ワイヤが提案されている。また特開昭55
−30354号公報では9Cr−Mo系鋼の溶接用ワイヤ中のC,S
i,Mn,Cr,Mo,Ni添加量を限定し、強度および靭性を高め
た技術を示しているが、いずれも大幅なクリープ強度を
向上しようとするものではなく、クリープ強度や耐割れ
性にすぐれる9%Cr−Mo系鋼用溶接ワイヤを提供するに
至っていない。
変動に対応して、ボイラの起動停止が頻繁に行なわれる
ことが予想されており、その際熱応力を軽減するために
もいっそう肉厚減少即ちクリープ強度の向上がのぞまれ
ている。このような状況から耐酸化性、クリープ特性を
含む高温強度特性、靭性、および耐割れ性にすぐれた溶
接ワイヤの開発が必要となり、例えば特開昭60−257991
号公報に開示されている9Cr−Mo系鋼用溶接ワイヤの如
く溶接ワイヤ中のC,Si,Mn,Cr,Mo,Ni添加量を限定し、さ
らにNb,Vの1種又は2種を添加して(Nb+V)で0.3%
以下とする溶接ワイヤが提案されている。また特開昭55
−30354号公報では9Cr−Mo系鋼の溶接用ワイヤ中のC,S
i,Mn,Cr,Mo,Ni添加量を限定し、強度および靭性を高め
た技術を示しているが、いずれも大幅なクリープ強度を
向上しようとするものではなく、クリープ強度や耐割れ
性にすぐれる9%Cr−Mo系鋼用溶接ワイヤを提供するに
至っていない。
これらのことから高クリープ強度を有する溶接ワイヤ
の開発が望まれている。
の開発が望まれている。
本発明はこのような事情にかんがみ、9%Cr−Mo鋼の
溶接において、高いクリープ強度を有し、靭性のすぐれ
た溶接ワイヤを提供するものである。
溶接において、高いクリープ強度を有し、靭性のすぐれ
た溶接ワイヤを提供するものである。
本発明の要旨とするところは、重量%でC:0.03〜0.12
%、Si:0.2超〜0.3%、Mn:0.3〜1.5%、Cr:8〜13%、N
i:0.05〜0.8%、Mo:0.3〜1.6%、W:0.5〜2.5%、V:0.03
〜0.30%、Nb:0.02〜0.30%、N:0.01〜0.08%、残部:Fe
及び不可避的不純物の範囲で規定される成分を必須成分
として含有し、さらにMoとW量の関係が第1図のA点,B
点,C点,D点で囲まれる範囲内であることを特徴とする9C
r−Mo系鋼用TIG溶接用ワイヤにある。
%、Si:0.2超〜0.3%、Mn:0.3〜1.5%、Cr:8〜13%、N
i:0.05〜0.8%、Mo:0.3〜1.6%、W:0.5〜2.5%、V:0.03
〜0.30%、Nb:0.02〜0.30%、N:0.01〜0.08%、残部:Fe
及び不可避的不純物の範囲で規定される成分を必須成分
として含有し、さらにMoとW量の関係が第1図のA点,B
点,C点,D点で囲まれる範囲内であることを特徴とする9C
r−Mo系鋼用TIG溶接用ワイヤにある。
9Cr−Mo系鋼の溶接において、溶接金属のクリープ強
度の低下原因は、溶接金属が高温に長時間加熱される過
程において、初めに溶接金属中のCとFeが結合してFeC3
を析出し、次にこの炭化物がM23C6、M6C(Mは金属元素
を指す)に変化し、炭化物が粗大化することによるもの
とされている。そこで本発明者らは、鋭意研究の結果、
溶接ワイヤにMo,W,Nbの複合添加が有効であり、且つMo,
W,Nbには最適添加量であって、WをMo量との関係で限定
共存させることにより、基本的には、溶接金属に微細な
NbCおよびV4C3を析出させ、M23C6,M6Cの析出状態を長時
間にわたって粗大化しないようコントロールしながら、
さらにMo2C,W2Cを析出させることによって特に600〜650
℃の高温長時間側のクリープ破断強度の向上に有効であ
ることを見出した。
度の低下原因は、溶接金属が高温に長時間加熱される過
程において、初めに溶接金属中のCとFeが結合してFeC3
を析出し、次にこの炭化物がM23C6、M6C(Mは金属元素
を指す)に変化し、炭化物が粗大化することによるもの
とされている。そこで本発明者らは、鋭意研究の結果、
溶接ワイヤにMo,W,Nbの複合添加が有効であり、且つMo,
W,Nbには最適添加量であって、WをMo量との関係で限定
共存させることにより、基本的には、溶接金属に微細な
NbCおよびV4C3を析出させ、M23C6,M6Cの析出状態を長時
間にわたって粗大化しないようコントロールしながら、
さらにMo2C,W2Cを析出させることによって特に600〜650
℃の高温長時間側のクリープ破断強度の向上に有効であ
ることを見出した。
本発明はかかる知見に基いてなされたものであり、以
下に作用とともに本発明を詳細に説明する。
下に作用とともに本発明を詳細に説明する。
本発明の最大の特徴は溶接ワイヤ中にWを添加し、か
つMo量との関係で限定共存させたところにあり、溶接し
て得られる9%Cr−Mo系鋼溶接金属に析出する炭化物の
粗大化をNbC,V4C3の析出で長時間にわたり抑制するとと
もに、さらに、Mo2C,W2Cの析出を適正な範囲にコントロ
ールすることによって600〜650℃での長時間側のクリー
プ破断強度を格段に高めたことにある。
つMo量との関係で限定共存させたところにあり、溶接し
て得られる9%Cr−Mo系鋼溶接金属に析出する炭化物の
粗大化をNbC,V4C3の析出で長時間にわたり抑制するとと
もに、さらに、Mo2C,W2Cの析出を適正な範囲にコントロ
ールすることによって600〜650℃での長時間側のクリー
プ破断強度を格段に高めたことにある。
次に各成分の限定理由について述べる。
C:0.03〜0.12% Cは強度の保持に必要であるが、耐割れ性の点から上
限を0.12%とした。即ち、9%Cr−Mo系鋼の溶接金属
は、後述するCr,V量との関係で非常に焼入れ性が高く、
溶接部が硬化し、低温われの原因となる。従って、溶接
を健全に行うためにはかなり高温の予熱を必要とし、溶
接作業能率を低下させる。しかるにCを0.12%以下に保
てば溶接部のかたさが低下し、溶接割れの防止が容易に
行いうるので上限を0.12%とした。また下限については
C量を0.03%未満にするとクリープ破断強度の確保が困
難になるので下限を0.03%とした。
限を0.12%とした。即ち、9%Cr−Mo系鋼の溶接金属
は、後述するCr,V量との関係で非常に焼入れ性が高く、
溶接部が硬化し、低温われの原因となる。従って、溶接
を健全に行うためにはかなり高温の予熱を必要とし、溶
接作業能率を低下させる。しかるにCを0.12%以下に保
てば溶接部のかたさが低下し、溶接割れの防止が容易に
行いうるので上限を0.12%とした。また下限については
C量を0.03%未満にするとクリープ破断強度の確保が困
難になるので下限を0.03%とした。
Si:0.2超〜0.3% Siは脱酸剤として添加するものであるが、また耐酸化
性を向上させる元素である。しかし0.3%を超えると靭
性の低下を招くので上限を0.3%と定めた。
性を向上させる元素である。しかし0.3%を超えると靭
性の低下を招くので上限を0.3%と定めた。
また、Si量を0.2以下にすると溶接金属の酸素量が高
くなり脱酸不足となるので、下限を0.2%超とした。
くなり脱酸不足となるので、下限を0.2%超とした。
Mn:0.3〜1.5% Mnは脱酸のためのみでなく、強度保持上も必要な成分
である。上限を1.5%としたのはこれを超すと靭性の点
から好ましくないからであり、下限は脱酸に必要な量と
して0.3%と定めた。
である。上限を1.5%としたのはこれを超すと靭性の点
から好ましくないからであり、下限は脱酸に必要な量と
して0.3%と定めた。
Cr:8〜13.0% Crは耐酸化性に不可欠な元素であり、耐熱鋼には必ず
添加されているがその他に本発明ではM23C6,M6Cの微細
析出により高温強度を高めているので下限はM23C6の析
出限である8%とし、13%を超すと耐割れ性、および靭
性の劣化が著しくなるので、上限は13%とした。
添加されているがその他に本発明ではM23C6,M6Cの微細
析出により高温強度を高めているので下限はM23C6の析
出限である8%とし、13%を超すと耐割れ性、および靭
性の劣化が著しくなるので、上限は13%とした。
Ni:0.05〜0.8% Niは使用中の脆化軽減に有効な元素であり、高温高圧
下で長時間使用される本発明溶接材料のような用途に対
しては必須の元素であるが、0.05%未満ではその効果は
得られない。他方、0.8%を超すと高温クリープ特性を
劣化させるので上限を0.8%とした。
下で長時間使用される本発明溶接材料のような用途に対
しては必須の元素であるが、0.05%未満ではその効果は
得られない。他方、0.8%を超すと高温クリープ特性を
劣化させるので上限を0.8%とした。
Mo:0.3〜1.6% Moは固溶体強化により、高温強度を顕著に高める元素
であるので使用温度,圧力を上昇させる目的で添加する
が、高価であることと、多量に添加された場合溶接性を
損うので溶接性の低下の低い添加範囲として上限を1.6
%とした。一方Wとの共存において、高温強度、特に高
温長時間側でのクリープ破断強度の向上に効果があるの
は0.3%以上であるので下限を0.3%とした。
であるので使用温度,圧力を上昇させる目的で添加する
が、高価であることと、多量に添加された場合溶接性を
損うので溶接性の低下の低い添加範囲として上限を1.6
%とした。一方Wとの共存において、高温強度、特に高
温長時間側でのクリープ破断強度の向上に効果があるの
は0.3%以上であるので下限を0.3%とした。
W:0.5〜2.5% WもMoと同様に固溶化強度および炭化物中に固溶して
粗大化を抑制することにより、高温強度を高める元素で
ある。特に、高温長時間側でのクリープ破断強度向上の
効果は極めて大きい。しかしながら0.5%未満ではMoと
の共存において効果を発揮できないので下限を0.5%と
定めた。しかし2.5%を超えると溶接金属の靭性が低下
し、溶接作業性も劣化するので上限を2.5%とした。
粗大化を抑制することにより、高温強度を高める元素で
ある。特に、高温長時間側でのクリープ破断強度向上の
効果は極めて大きい。しかしながら0.5%未満ではMoと
の共存において効果を発揮できないので下限を0.5%と
定めた。しかし2.5%を超えると溶接金属の靭性が低下
し、溶接作業性も劣化するので上限を2.5%とした。
V:0.03〜0.30 VはMo同様溶接金属素地に固溶しても、析出物として
析出しても高温強度を著しく高める元素である。特に析
出の場合にはV4C3としての他M23C6,M6Cの一部に入り、
析出物の粗大化の抑制に著しい効果を発揮するが、0.03
%未満ではその効果が得られない。他方0.30%を超すと
かえって強度低下を生ずるので上限を0.30%とした。
析出しても高温強度を著しく高める元素である。特に析
出の場合にはV4C3としての他M23C6,M6Cの一部に入り、
析出物の粗大化の抑制に著しい効果を発揮するが、0.03
%未満ではその効果が得られない。他方0.30%を超すと
かえって強度低下を生ずるので上限を0.30%とした。
Nb:0.02〜0.12% NbはNbCの析出によって高温強度を高め、後続する微
細な分散析出物であるM23C6,M6C等の析出状態を微細に
コントロールするため、高温長時間側のクリープ破断強
度の向上に著しい効果がある。しかし0.02%未満ではそ
の効果がなく、0.12%を超すと凝集粗大化を招き、強度
を低下させるため、下限を0.02%,上限を0.12%とし
た。
細な分散析出物であるM23C6,M6C等の析出状態を微細に
コントロールするため、高温長時間側のクリープ破断強
度の向上に著しい効果がある。しかし0.02%未満ではそ
の効果がなく、0.12%を超すと凝集粗大化を招き、強度
を低下させるため、下限を0.02%,上限を0.12%とし
た。
N:0.01〜0.08% Nは強度保持上必要な元素であり、適宜含有すること
により結晶粒を微細化し、靭性を向上させる効果があ
る。0.01%未満ではその効果は小さく、0.08%を超える
と窒化物,炭化物が多量析出して、逆に靭性が劣化する
こと等の問題が生ずるので上限を0.08%、下限を0.01%
と定めた。
により結晶粒を微細化し、靭性を向上させる効果があ
る。0.01%未満ではその効果は小さく、0.08%を超える
と窒化物,炭化物が多量析出して、逆に靭性が劣化する
こと等の問題が生ずるので上限を0.08%、下限を0.01%
と定めた。
次にMoとW量との関係を示した第1図について述べ
る。MoとWは一定の割合で複合添加することによって、
高温長時間側のクリープ破断強度を著しく向上させるこ
とがわかった。しかし、強度,靭性,溶接性を考慮する
と、その添加量には最適な範囲があり、第1図のA点
(1.6%Mo,0.5%W),B点(0.3%Mo,0.5%W),C点(0.
3%Mo,2.5%W),D点(1.6%Mo,1.2%W)で囲まれる範
囲でなければならないことが判明した。即ち、直線ABは
W0.5%の線であり、これ未満ではクリープ強度を向上さ
せる効果が極めて弱い。直線BCはMoが0.3%の線であ
り、これ未満では同様にクリープ強度向上の効果が期待
できない。また直線CDおよび直線ADはいずれも溶接性,
靭性,耐酸化性等の観点からの限界線であって、直線CD
は(Mo+W)=2.8%の線であり、さらに直線ADはMoが
1.6%の線である。これらを超えると溶接性,靭性,耐
酸化性のいずれかまたはすべての劣化が現われる。
る。MoとWは一定の割合で複合添加することによって、
高温長時間側のクリープ破断強度を著しく向上させるこ
とがわかった。しかし、強度,靭性,溶接性を考慮する
と、その添加量には最適な範囲があり、第1図のA点
(1.6%Mo,0.5%W),B点(0.3%Mo,0.5%W),C点(0.
3%Mo,2.5%W),D点(1.6%Mo,1.2%W)で囲まれる範
囲でなければならないことが判明した。即ち、直線ABは
W0.5%の線であり、これ未満ではクリープ強度を向上さ
せる効果が極めて弱い。直線BCはMoが0.3%の線であ
り、これ未満では同様にクリープ強度向上の効果が期待
できない。また直線CDおよび直線ADはいずれも溶接性,
靭性,耐酸化性等の観点からの限界線であって、直線CD
は(Mo+W)=2.8%の線であり、さらに直線ADはMoが
1.6%の線である。これらを超えると溶接性,靭性,耐
酸化性のいずれかまたはすべての劣化が現われる。
以下に本発明ワイヤの効果を実施例により説明する。
厚さ20mmのASTM規格A387Gr22,9Cr−1Mo鋼,9Cr−1Mo−
Nb−V−W鋼,9Cr−0.5Mo−Nb−V−W鋼を第2図に示
すような開先(厚さT=20mm,開先角度θ=20゜,ルー
トギャップL=14mm)を形成、第1表に示す成分組成の
ワイヤ径1.6φmmの溶接ワイヤ、第2表に示す溶接条件
でTIG溶接を実施した。
Nb−V−W鋼,9Cr−0.5Mo−Nb−V−W鋼を第2図に示
すような開先(厚さT=20mm,開先角度θ=20゜,ルー
トギャップL=14mm)を形成、第1表に示す成分組成の
ワイヤ径1.6φmmの溶接ワイヤ、第2表に示す溶接条件
でTIG溶接を実施した。
得られた溶接金属を750℃×2時間の後熱処理をした
後、600℃,20kg f/mm2の応力でのクリープ破断試験及び
試験温度0℃での2mm Vノッチ衝撃試験を行った。
後、600℃,20kg f/mm2の応力でのクリープ破断試験及び
試験温度0℃での2mm Vノッチ衝撃試験を行った。
第1表に上記試験結果および溶接性の調査結果を示
す。ワイヤT1〜T3はいずれも本発明の要件をすべて満た
しており、後熱処理后の靭性およびクリープ破断特性が
良好で、かつ、溶接性のすぐれた溶接金属を得ることが
できた。
す。ワイヤT1〜T3はいずれも本発明の要件をすべて満た
しており、後熱処理后の靭性およびクリープ破断特性が
良好で、かつ、溶接性のすぐれた溶接金属を得ることが
できた。
ワイヤT10〜T20は比較例を示す。
ワイヤT10は通常の耐熱鋼用として使用される 系ワイヤの例であり、ワイヤT11は更に耐高温腐食性を
向上させたボイラ熱交換器用合金鋼用ワイヤであるが、
いずれも本発明ワイヤにくらべ、著しくクリープ破断強
度が低い。ワイヤT12は9Cr−1Mo−Nb−V−W系ワイヤ
の例であるがC量が本発明ワイヤにくらべ著しく高いの
で、溶接時に割れが発生し、耐割れ性および衝撃値が低
下している。ワイヤT13〜16はMoとW量との関係が第1
図に示すA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲内に入ってお
らずすなわち、AC線の上部に位置し、(Mo+W)量が多
すぎるため、良好な靭性,溶接性が得られていない。ワ
イヤT17はW量がその下限を切るものであって、充分な
クリープ破断強度が確保できない。
向上させたボイラ熱交換器用合金鋼用ワイヤであるが、
いずれも本発明ワイヤにくらべ、著しくクリープ破断強
度が低い。ワイヤT12は9Cr−1Mo−Nb−V−W系ワイヤ
の例であるがC量が本発明ワイヤにくらべ著しく高いの
で、溶接時に割れが発生し、耐割れ性および衝撃値が低
下している。ワイヤT13〜16はMoとW量との関係が第1
図に示すA点,B点,C点,D点で囲まれる範囲内に入ってお
らずすなわち、AC線の上部に位置し、(Mo+W)量が多
すぎるため、良好な靭性,溶接性が得られていない。ワ
イヤT17はW量がその下限を切るものであって、充分な
クリープ破断強度が確保できない。
ワイヤT18はMo量がその下限を切るものであって、充
分なクリープ破断強度が得られていない。
分なクリープ破断強度が得られていない。
ワイヤT19はN量がその上限を超えるものであって、
溶接金属にブロホールが発生するとともに靭性に乏しか
った。
溶接金属にブロホールが発生するとともに靭性に乏しか
った。
ワイヤT20はC,N量が不足しているため、溶接金属のク
リープ破断強度が充分でない。
リープ破断強度が充分でない。
本発明ワイヤは従来の9%Cr−1〜2%Mo鋼用溶接ワ
イヤと比較して、高温でのクリープ強度を著しく高めた
ものであり、靭性および溶接性等の特性にもすぐれてい
る。第2表に示したように溶接ワイヤ組成が本発明の要
件を満すものは、本発明の要件を満さないもの(比較
例)と較べて高温クリープ特性だけでなく、靭性およ
び、溶接性にすぐれていることは明らかである。各種発
電ボイラ,化学圧力容器等に使用される9%Cr−Mo系鋼
をTIG溶接する場合に本発明に係るワイヤを使用するこ
とにより、溶接継手の信頼性を大幅に向上させることが
できる。
イヤと比較して、高温でのクリープ強度を著しく高めた
ものであり、靭性および溶接性等の特性にもすぐれてい
る。第2表に示したように溶接ワイヤ組成が本発明の要
件を満すものは、本発明の要件を満さないもの(比較
例)と較べて高温クリープ特性だけでなく、靭性およ
び、溶接性にすぐれていることは明らかである。各種発
電ボイラ,化学圧力容器等に使用される9%Cr−Mo系鋼
をTIG溶接する場合に本発明に係るワイヤを使用するこ
とにより、溶接継手の信頼性を大幅に向上させることが
できる。
第1図は本発明におけるMoとW量との関係を示す線図、
第2図は実施例に用いた溶接部の開先形状を示す断面図
である。 1……被溶接材、2……裏当材。
第2図は実施例に用いた溶接部の開先形状を示す断面図
である。 1……被溶接材、2……裏当材。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−69948(JP,A) 特開 昭60−165359(JP,A) 特開 昭60−257991(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】重量%で、 C:0.03〜0.12%、 Si:0.2超〜0.3%、 Mn:0.3〜1.5%、 Cr:8〜13%、 Ni:0.05〜0.8%、 Mo:0.3〜1.6%、 W:0.5〜2.5%、 V:0.03〜0.30%、 Nb:0.02〜0.12% N:0.01〜0.08% 残部:Fe及び不可避的不純物 の範囲に規定される成分を必須成分として含有し、さら
にMoとW量の関係が第1図のA点,B点,C点,D点で囲まれ
る範囲内にあることを特徴とする9Cr−Mo系鋼用TIG溶接
用ワイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62019275A JP2594265B2 (ja) | 1987-01-29 | 1987-01-29 | 9Cr−Mo系鋼用TIG溶接用ワイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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- 1987-01-29 JP JP62019275A patent/JP2594265B2/ja not_active Expired - Lifetime
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