JPH0240441B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、円筒形内腔を有する本体と、これに
同心に配設され、軸方向に互いにずれた内側およ
び外側の環状旋削みぞを有する直径可変の円筒形
締付けスリーブと、向き合う側において軸方向に
支持された該締付けスリーブの前端に対して軸方
向に作用する締付けナツトまたは類似部材とを具
備した工作物または工具用締付け装置に関するも
のであり、棒又はパイプの固着等に利用されるも
のである。

（従来の技術） 締付けスリーブの直径の可変性が縦みぞにより
実現される（DBP1602749）様式の締付け装置の
ほかに、軸方向に互いにずれた内側および外側の
環状旋削みぞを具備した装置も存在している。

前記装置では、締付けナツトまたは類似部材を
用いて締付けスリーブを軸方向に圧縮することに
より、同時にその内径および外径における直径変
化が生じるため、締付けスリーブは円筒形本体の
内腔においては外側へ向かつて、また工作物また
は工具の円筒形外壁においては内側に向かつて
夫々支持されることになる。

しかし、簡単な短い締付け装置においては、締
着された工具の回転精度に関する困難が生じる恐
れがある。というのは、締付けねじの直接的締付
けは、ねじ山の精度不良のゆえに相応のねじれを
生じ得るからである。さらに、軸方向に互いにず
れた環状旋削みぞを有する締付けスリーブを具備
した短い簡単な締付け装置においては、実現でき
る締付け力、即ち伝達できるトルクが、特別な適
用例に対しては不十分だからである。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は、従来の締付け装置に於ける上述の如
き問題、即ち、締付けねじれによる被締付物の回
転精度の狂いや締付力の不足の問題を解決せんと
するものであり、本発明の目的は、冒頭に述べた
様式の締付け装置を、それが非常に簡単な構造お
よび小さな寸法を維持しつゝ、高い回転精度を有
すると共に高いトルクの伝達にも適合するように
構成することにある。

（問題点を解決するための手段） この課題を解決した本発明の工作物または工具
用締付け装置は、円筒形内腔２を有する本体１
と、これに同心に配設され、軸方向に互いにずれ
た内側および外側の環状旋削みぞ４，５，６，７
を有する直径可変の円筒形締付けスリーブ３と、
向き合う側において軸方向に支持された締付けス
リーブ３の前端に対して軸方向に作用する締付け
ナツト１０とを具備し、少なくとも前記締付けナ
ツト１０から離れた前記締付けスリーブ３の端部
が、相対円錐部材１４と共同作用を為す円錐スリ
ーブ８として構成されており、該円錐スリーブ８
には軸方向のスリツト８ａが形成されていて、締
付けナツト１０の締付けによる円錐スリーブ８の
縮径変形が、前記締付けスリーブ３の環状旋削み
ぞ形成部分に比してより容易に行われるように構
成されたものである。

かかる装置においては、相対円錐部材１４が、
ゆるんだ案内リング１１として構成されているこ
とが好ましい。

また、締付けナツト１０に面した締付けスリー
ブ３の端部がスリツトされていない円錐スリーブ
として構成され、このスリーブ９に対して、ゆる
んだ案内リング１２として構成されて締付けナツ
ト１０により加圧される相対円錐スリーブが配設
されることが好ましい。

さらに、両案内リング１１，１２がスリツトさ
れていることが好ましい。

（作用・効果） 締付けスリーブ３と相対円錐スリーブを本発明
にしたがつて組合わせて締付ける際に、円錐スリ
ーブ８を軸方向にスリツトすることにより、締付
け装置の内側には高められた、より容易な半径方
向への加圧性が生じ、それによつて著しく高いト
ルクが伝達できるのである。

又、環状旋削みぞを有して前記相対円錐部材１
４端に前置される締付けスリーブ３は、締着され
た工具の円錐締具に対するより正確な調整に従前
通り寄与している。すなわち、環状旋削みぞ４〜
７が形成されている締付けスリーブ３部分（以下
「環状旋削みぞ形成部分」という）による被締付
け物の締め付けは、これが軸線方向に縮小変形す
ることにより行われるもので、強力な締付け力を
期待できないものの、縮径変形精度したがつて被
締付け物の締付け精度が極めて高いものである。
したがつて、スリツト８ａが形成されている締付
けスリーブ３部分つまり円錐スリーブ８が、前記
環状旋削みぞ形成部分より縮径変形し易いもので
あり、該環状旋削みぞ形成部分による締付けに先
駆けて被締付け物を締め付け保持させることか
ら、締付けスリーブ３全体としての締付け精度が
大幅に向上する。換言すれば、円錐スリーブ８の
縮径変形により被締付け物を強力に締付け保持し
つつ、この円錐スリーブ８による締付け精度を環
状旋削みぞ形成部分の縮径変形により修正、調整
し、被締付け物を強力に且つ高精度に締付け保持
しうるのである。

構造を簡略にするために、相対円錐部材１４は
ゆるんだ案内リング１１として構成されるべきで
あるが、このことは、案内リング１１のスリツト
によつて、付加的により高い外側への拡張力なら
びに円筒形本体におけるより高い締付け力が実現
できるという、付加的な長所をもたらすのであ
る。

極めて有利なことが実証されたのは、締付けナ
ツト１０または類似部材に面した締付けスリーブ
３の端部が−この場合には、むろんスリツトされ
ていない−円錐スリーブ９として構成され、さら
に該スリーブ９に対して、ゆるんだ案内リング１
２として構成されて締付けナツト１０により加圧
される相対円錐スリーブが係合することである。

その際の構成は、締付け力が締付けナツト１０
または類似部材を介して導入される際に、まず後
方の、スリツト８ａが形成されているが故により
柔軟な円錐スリーブ８が閉じるように行われてい
る。次いで、締付けスリーブ３の中央部分が強く
軸方向に緊張することにより、締着された工具の
正確な調整が達成されるが、これは前側のスリツ
トされていない円錐スリーブ９によりさらに付加
的に修正される。

締付けナツト１０とスリツトされていない円錐
スリーブ９との間に案内リング１２を配設するこ
とにより、締付けナツト１０のゆがみをもたらす
ようなねじ山の精度不良がスリツトされていない
円錐スリーブ９の均一な緊張に影響を及ぼすこと
が阻止される。というのは、そのような公差およ
びゆがみは該案内リング１２によつて受容される
からである。

（実施例） 本発明のその他の長所、特徴および詳細は、ひ
とつの実施例に関する以下の説明から、また本発
明に基づくひとつの締付け装置の縦断面図にした
がつて明らかとなる。

図面には、円筒形の内腔２を有する本体１が示
されており、この本体１の中に、軸方向に互いに
ずらされた内側及び外側の環状旋削みぞ４，６お
よび５，７を有する円筒形の締付けスリーブ３が
同心的に配設されている。

締付けスリーブ３の両端は円錐スリーブ８およ
び９として構成されており、締付けナツト１０か
ら離れた円錐スリーブ８には周方向に等間隔を隔
てて軸方向に延びる複数のスリツト８ａが形成さ
れているが、円錐スリーブ９はスリツトなしの仕
様であるのが好ましい。円錐スリーブ８，９のそ
れぞれに、ゆるんだ案内リング１１および１２と
して構成された相対円錐スリーブが配設される
が、これらの相対円錐スリーブは、スリツトされ
ていても、あるいはスリツトされていなくてもよ
い。案内リング１１は、本体１の肩部１３におい
て支持される。

締付け力を締付けねじ１０を介して導入する際
に、案内リング１２は、締付けねじ１０のねじ山
不良およびそれから生じるゆがみが、締付けスリ
ーブ３およびそれらの円錐スリーブ８，９へ影響
を及ぼすことのないように機能する。

本発明は、図示された実施例に限定されるもの
ではない。締付けナツト１０の代わりにばね座金
を用いた締付け力導入の他の方法と共に−これら
の場合には、案内リング１２による本発明に基づ
くゆがみ調整はもはや必要とされない−内側にの
み環状旋削みぞが設けられ且つスリツトされた円
錐スリーブ８を備えた締付けスリーブ３と、案内
リング１１とが配置される簡略化された仕様を選
択することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明の一実施例に係る締付け装置の
縦断面図である。 １……本体、２……内腔、３……締付けスリー
ブ、４，６……内側環状旋削溝、５，７……外側
環状旋削溝、８，９……円錐スリーブ、８ａ……
スリツト、１０……締付けナツト、１１，１２…
…案内リング、１３……肩部、１４……相対円錐
部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 円筒形内腔２を有する本体１と、これに同心
   に配設され、軸方向に互いにずれた内側および外
   側の環状旋削みぞ４，５，６，７を有する直径可
   変の円筒形締付けスリーブ３と、向き合う側にお
   いて軸方向に支持された締付けスリーブ３の前端
   に対して軸方向に作用する締付けナツト１０とを
   具備し、少なくとも前記締付けナツト１０から離
   れた前記締付けスリーブ３の端部が、相対円錐部
   材１４と共同作用を為す円錐スリーブ８として構
   成されており、該円錐スリーブ８には軸方向のス
   リツト８ａが形成されていて、締付けナツト１０
   の締付けによる円錐スリーブ８の縮径変形が、前
   記締付けスリーブ３の環状旋削みぞ形成部分に比
   してより容易に行われるように構成されているこ
   とを特徴とする外周可変の締付けスリーブを具備
   した工作物または工具用締付け装置。 ２ 相対円錐部材１４が、ゆるんだ案内リング１
   １として構成されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項に記載の外周可変の締付けスリー
   ブを具備した工作物または工具用締付け装置。 ３ 締付けナツト１０に面した締付けスリーブ３
   の端部がスリツトされていない円錐スリーブとし
   て構成され、このスリーブ９に対して、ゆるんだ
   案内リング１２として構成されて締付けナツト１
   ０により加圧される相対円錐スリーブが配設され
   ることを特徴とする特許請求の範囲第１項又は第
   ２項に記載の外周可変の締付けスリーブを具備し
   た工作物または工具用締付け装置。 ４ 両案内リング１１，１２が、スリツトされて
   いることを特徴とする特許請求の範囲第１項、第
   ２項又は第３項に記載の外周可変の締付けスリー
   ブを具備した工作物または工具用締付け装置。