JPH0240333Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は流体摩擦クラツチに関し、より詳しく
はクラツチ用流体の動作室と貯蔵室とを限定する
ハウジングと、互に相対的に回転するように設け
られかつ上記動作室内に夫々動作面を有する第１
及び第２の部分と、動作室と貯蔵室間に介在し
て、貯蔵室から動作室に流れるクラツチ用流体を
制御して第１及び第２の部分の動作面間の流体駆
動的接続を制御する弁手段と、温度変化に応じて
上記弁手段の開らきを制御する弁制御手段とを備
え、上記弁制御手段はハウジングのカバーに設け
られたバイメタルストリツプと、該カバーを貫通
してバイメタルストリツプから弁手段に向つて延
びて該弁手段を選択的に動かす機械的弁作動手段
とを含んだ流体摩擦クラツチに関する。

〔従来の技術〕

この種の既知の流体摩擦クラツチではクラツチ
流体の送入又は排出を制御する為に弁レバーがク
ラツチハウジング内の中間板の上に取付けられて
おり、この中間板がクラツチハウジング内に作ら
れたスペースを動作室と貯蔵室とに分割してい
る。この弁レバーの上に、ハウジングカバーの中
央に配置されている制御ピンが押し当てられてお
り、この制御ピンの上にバイメタルストリツプが
張られている。温度によつて変化するバイメタル
ストリツプの屈曲は制御ピンを介して弁レバーへ
伝達され、弁レバーはこれによつて貯蔵室を動作
室と連結している穴を開き又は閉じ、これによつ
てクラツチが入れられたり切られたりする。

この様な既知の構造の場合にはカバーの外側の
領域上に、直径方向に対向して半径方向に突き出
した複数の冷却フインが配置され、これらの冷却
フインはそれぞれカバーの中心の方を向いた側の
端部で、カバーの方を向いた下面をアンダーカツ
トされて、カバーと共に段階部の付いたスリツト
を形成している。これらのアンダーカツト部はバ
イメタルストリツプの端部を受入れる為に用いら
れ、バイメタルストリツプはこれによつて、直径
方向に向かい合つているフインとフインの間に張
られ、且つその中央部分で制御ピンを介して保持
されている。その際この配置は、制御ピンがバイ
メタルストリツプの上へ一定の圧力を加える為
に、バイメタルストリツプがフインの下辺のへり
に当てられ、これによつてハウジングのカバーに
対して或る間隔を置いて張られる様に考慮されて
いる。円周方向の固定は、それぞれバイメタルス
トリツプの端部に取付けられ且つ相隣接する２枚
のフインの間にかみ合う、上へ向つて曲げられた
舌片を介して行なわれる。

〔考案が解決しようとする問題点〕

この種の温度調節方式の場合には、一定のクラ
ツチ接続特性を実現する為にバイメタルストリツ
プが精確に挿入される事が重要である。何故なら
バイメタルストリツプのすわりがわずかに狂つた
だけでも特性の変化を引起こし得るからである。
今日では、例えば、クラツチが分解されねばなら
ない様な、クラツチに対する整備又は修理作業の
際に、或いは又単に例えば工具がバイメタルスト
リツプと不用意に接触しただけで、バイメタルス
トリツプの位置が変化してしまう事があるという
ことが明らかになつている。

本考案は、バイメタルストリツプの修理又は整
備作業或いは又不用意な接触の際にクラツチ特性
の変化を引き起こす事の無い流体摩擦クラツチを
提供することを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案ではバイメタルストリツプの両端の舌片
をカバーに形成された冷却フイン間に挿入するこ
とにより、カバー上の所定位置に横方向に回転し
ないように保持する。

さらに本考案では、バイメタルストリツプが外
れてしまわない様にカバーと結合するエラスチツ
クな固定用組成物をバイメタルストリツプの挿入
箇所の領域に配置する事によつて成り立つ。これ
によつてバイメタルストリツプは組成物のエラス
チツクな固定力によつてカバー上に弾発的に保持
され、その際このカバーはバイメタルストリツプ
のわずかな運動を許しながら、バイメタルストリ
ツプを常にその最初の位置へ向つて押し付けてい
る。工場組立てが行なわれた後のバイメタルスト
リツプは上記の固定用組成物を破壊しない限りカ
バーから取外す事は出来ない。固定用組成物によ
つて常に一定なクラツチ接続特性が保証される。
上記の固定用組成物は又有効な振動吸収部材とし
ても働き、これによつて金属と金属との直接の衝
突を避けると共に取付け箇所の破損が回避され
る。

本考案の好ましい実施態様では上記のエラスチ
ツクな組成物としてシリコン組成物が用いられ、
この組成物が〔バイメタルストリツプの〕挿入箇
所の領域に注入されてそこで固化されるので、こ
の組成物がバイメタルストリツプの端部を包み又
一部は冷却フインと冷却フインの間に固着する。
既存の流体摩擦クラツチの場合でも、バイメタル
ストリツプの端部領域にシリコン組成物を注入す
る事によつてこのバイメタルストリツプをカバー
に対して弾発的に支持する事が出来る。

この為には、バイメタルストリツプの端部の舌
片と舌片の間に切欠き部を用意しておく事が有利
である。それによつてバイメタルストリツプの挿
入は従来と同様に行ないながら、エラスチツクな
シリコン組成物は〔バイメタルストリツプの〕挿
入の後でこの切欠き部を通してとりわけカバーの
上面とバイメタルストリツプの下側との間の領域
の区へより充分に送り込まれるので、バイメタル
ストリツプはその端部がエラスチツクなベツドの
上に載せられる事になる。

〔実施例〕

第１図に於いて、ハウジング２を持つ流体摩擦
クラツチが１で示されており、このクラツチに対
して第１の部分３の駆動板４が回転自在に取付け
られている。その際この駆動板４は、ハウジング
２の内部に形成された動作室６の中で回転する。
動作室６は中間板５によつて貯蔵室７から分離さ
れており、この貯蔵室７はクラツチ流体１８の貯
蔵用に用いられる。動作室６の中の流体の量は、
駆動板４の回転運動がどの程度ハウジング２（こ
のハウジングの上には詳しく図示されていないが
羽根車を取付ける事が出来る）の上へ伝達される
かによつて変つて来る。

動作室６の中へのクラツチ流体の送入は上記の
中間板５に開けられた穴１９を通じて行なわれ、
この穴は弁レバー８の位置に従つてこの弁レバー
によつて閉じられ或いは開かれる。ハウジング２
に対して通常取外し出来るハウジングカバー２ａ
の上には大抵中央に配置される制御ピン９があ
り、この制御ピン９に対してバイメタルストリツ
プ１０が働きかけてバイメタルストリツプ１０の
運動を弁レバー８へ伝達する。

カバーの表面１４の上には直径方向に互いに対
向して配置され、半径方向に突き出した冷却フイ
ン１１が備えられており、これらの冷却フインの
下にバイメタルストリツプ１０が張られている。
この為に上記の冷却フインは段階状のアンダーカ
ツト部１２を備えており、このアンダーカツト部
がカバーの表面１４と、クラツチの軸線Ａの方向
を向いた冷却フイン１１の端部との間にスリツト
を作つている。バイメタルストリツプ１０は、小
さい方の半径を持つ、クラツチの軸線Ａの方向に
延びる段階部（第１段階）に相当する間隔よりも
わずかに短い長さを有している。挿入の際にはバ
イメタルストリツプは、クラツチの中点Ａに対し
て大きい方の半径を持つ段階部（第２段階）の下
へ片方だけ押し込まれる。バイメタルストリツプ
は次いで制御ピンに対して押し当てられ、〔反対
側の〕自由端が下へ押し曲げられ、この第２の端
もフインの端部の下へはめ込まれる。その後でバ
イメタルストリツプは半径方向へ、両方の端が第
１段階の中に収まる様に、反対方向にスライドさ
せる事が出来る。バイメタルストリツプはこれに
よつて第１図に示されている位置の様になる。そ
の際制御ピン９は、第１の、小さい方の半径を持
つ段階部の内側の面１３にバイメタルストリツプ
１０を押している。

バイメタルストリツプが、最初に占めた調整さ
れた位置を変えてしまう事を防止する為に、装入
箇所に、バイメタルストリツプの端部を受け且つ
フイン１１に対して並びにカバーの表面１４に対
して固定を行なう詰め物即ち封ろう状の凝塊１０
ａ，１０ｂが付けられる。

第２図及び第３図からわかる通り、バイメタル
ストリツプは、これらの図に示されている挿入箇
所の領域内に、端部でバイメタルストリツプの面
に対して或る角度を成している舌片１６を備えて
おり、この舌片はフイン１１とフイン１１との間
にかみ合わされて、バイメタルストリツプ１０を
円周方向に回転しないようにしている。これらの
舌片１６と舌片１６の間に（第３図参照）切欠き
部１７が残されており、この切欠き部を通して半
流動性のシリコン組成物が注入され、この組成物
は固化された後で、〔バイメタルストリツプの〕
挿入箇所の領域内に封ろう状の凝塊１０ａ，１０
ｂの形をしたエラスチツクなベツドを作り出す。
切欠き部１７を通つてシリコン組成物は容易にバ
イメタルストリツプの下面へも、従つてカバーの
表面１４とバイメタルストリツプのクラツチ側の
面との間の領域内へ、送り込まれる。これによつ
て、バイメタルストリツプが最早故意であるか否
かにかかわらず端部領域を押す事によつても取外
されないという事が保証される。これによつて、
バイメタルストリツプに対する不用意の接触又は
修理の後でも常に同じままのクラツチ特性が確保
される。エラスチツクな固定用組成物としては、
例えば、《ベール＝シユテイク》（Behr−stik）
と言う商品名で知られている、出願人のシール及
び接着用組成物を使用する事が出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による流体摩擦クラツチの基本
的構造の縦断面図、第２図は第３図の線−に
沿つた、本考案による挿入箇所の横断面図、第３
図は第２図に示されている挿入箇所の上面図、で
ある。 １……流体摩擦クラツチ、２……ハウジング、
２ａ……ハウジングのカバー、３……第１の部
分、４……駆動板、５……中間板、６……動作
室、７……ストツク室、８……弁レバー、９……
制御ピン、１０……バイメタルストリツプ、１０
ａ，１０ｂ……詰め物（封ろう状の凝塊）、１１
……冷却フイン、１２……段階状のアンダーカツ
ト部、１３……段階部の内側の面、１４……カバ
ーの表面、１６……舌片、１７……切欠き部、１
８……クラツチ流体、１９……穴。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ クラツチ用流体の動作室と貯蔵室とを限定す
   るハウジングと、 互に相対的に回転するように設けられかつ上
   記動作室内に夫々動作面を有する第１及び第２
   の部分と、 動作室と貯蔵室間に介在して、貯蔵室から動
   作室に流れるクラツチ用流体を制限して第１及
   び第２の部分の動作面間の流体駆動的接続を制
   御する弁手段と、 温度変化に応じて上記弁手段の開らきを制御
   する弁制御手段とを備え、 上記弁制御手段はハウジングのカバーに設け
   られたバイメタルストリツプと、該カバーを貫
   通してバイメタルストリツプから弁手段に向か
   つて延びて該弁手段を選択的に動かす機械的弁
   作動手段とを含んだ流体摩擦クラツチにおい
   て、 上記カバー２ａに形成された冷却フインに、
   カバーの表面１４から遠ざかる方向における、
   上記バイメタルストリツプ１０の移動を制限す
   るアンダーカツト部１２を設けて、該バイメタ
   ルストリツプ１０の両端部を挿入し、かつ上記
   バイメタルストリツプ１０の両端の舌片１６，
   １６を、上記冷却フイン１１間に挿入すること
   によつて、該カバー２ａ上の所定の位置に、横
   方向に略回転しないように保持し、 さらに上記バイメタルストリツプ１０が、舌
   片１６と冷却フイン１１との係合領域におい
   て、舌片１６，１６間に形成した切欠き部１７
   を通して供給されたエラストマー材料からなる
   詰め物１０ａ，１０ｂによつて上記カバー２ａ
   に強固に固着されて、該バイメタルストリツプ
   １０が冷却フイン１１に弾発的に支持されたこ
   とを特徴とする流体摩擦クラツチ。 ２ 上記詰め物１０ａ，１０ｂがシリコン組成物
   であつてバイメタルストリツプ１０の両端付近
   に流動状態で注入された後にバイメタルストリ
   ツプの両端及び冷却フイン１１の周りに係合し
   た詰め物を形成するように固化された実用新案
   登録請求の範囲第１項に記載の流体摩擦クラツ
   チ。