JPH023952Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用シート、特にワンボツクスカー
等の貨客兼用自動車に装着され、折り畳んだとき
に荷物室床面を平坦面とするように設定された車
両用シートに関するものである。

〔従来の技術〕

一般に、ワンボツクス型式の貨客兼用自動車に
あつては、セカンドシートまたはサードシートの
シートバツク部及びシートクツシヨン部を折り畳
んで床面を後部側から前部側にかけて平坦面を形
成して、荷物室としている。

従来、上記貨客兼用自動車等の後部座席は、第
４図に示すように、シートクツシヨン部１とシー
トバツク部２より成る車両用シート３の前方床面
に凹部４を形成し、シートクツシヨン部１の前方
床側に設けたヒンジ等よりなる回動軸部５を支点
としてシートクツシヨン部１を前方へ回動して前
記凹部４内に収納可能とするとともに、前記シー
トクツシヨン部１後端に設けたリクライニングデ
イバイス等の連結手段６を介してシートバツク部
２を前傾させてシートクツシヨン部１側に折り畳
んで前記凹部４に収納可能としている。前記シー
トクツシヨン部１の下面後端には車両用シート３
が車両の振動により取付面７上で上下動するのを
阻止するとともに、前記シート３を凹部４に収納
した際にシートクツシヨン部１の底面１ａを取付
面７と同一レベルの平坦面として維持するストツ
パ８が設けられている。前記ストツパ８は前記取
付面７とフロントシートＦの載置台９とにそれぞ
れ設けられた係止部７ａ，９ａに係止される。前
記シートバツク部２の側部上端には、バンド等よ
り成る固定部材１０が設けられており、この固定
部材１０はシートとして使用する場合には、図示
しない車室側壁に設けたフツクに固定され、凹部
４にシートバツク部２，シートクツシヨン部１を
収納する場合には、シートクツシヨン部１の側部
前方のフツク１ｆに固定されてシートクツシヨン
部１とシートバツク部との折り畳み状態を維持す
るように設定されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記のような従来の車両用シー
トによれば、次のような問題点を有していた。

まず、車両用シートの取付面７にヒンジの回動
軸部５や、ストツパ７ａ等が残つてしまい、荷物
室として利用する場合に、床面がゴツゴツして平
坦面を確保できず、荷物の積載方法が制約された
り、前記突起が荷物を破損したりするという問題
点があつた。

また、シートクツシヨン部１は反転させて凹部
４を塞ぐだけでなく、シートクツシヨン部１の底
面１ａ上には荷物を載置するために、この底面１
ａ内にパネル等の補強部材を埋設して、底面１ａ
を硬質化，平坦化処理する必要性があり、このた
め製造コストが上昇してしまうという問題点もあ
つた。

さらに、シートクツシヨン部１は前方に回動可
能に設けられており、このため車両の走行によつ
て上下の振動を受けると、取付面７より小刻みに
接離してガタガタしたり、急停車等に際して走行
慣性が働いて、前方へ回動したりするので、これ
を防止するためにストツパ８を設けなければなら
ず、この点でも製造コストの上昇と作業性の悪化
を招くという問題点があつた。

本考案は上記の問題点を解決するためになされ
たものであり、車両の床面のシート取付面に回動
軸部や係止部等が突出しないようにするととも
に、シートクツシヨン部底面に補強部材を埋設せ
ずに済むようにして、車両用シートを折り畳んで
荷物室として使用する場合に、荷物を良好に積載
可能とすることを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するための本考案に係る車両用
シートの特徴は、シートクツシヨン部の前方床面
に凹部を形成し、上記シートクツシヨン部の前方
下側に下方に突出する如く設けた舌片の下端の回
動ビンを介してシートクツシヨン部を上記凹部方
向に反転して上記凹部に収納可能とするととも
に、上記シートバツク部を床側を支点として前方
に回動してシートクツシヨン部を被う如く回動可
能に構成し、上記シートバツク部の背部が床面と
同一面となるように上記凹部の深さを設定したこ
とにある。

〔作用〕

上記のように構成したので、まず、シートクツ
シヨン部の前方下側に、該シートクツシヨン部の
前方床面に形成された凹部の下方に突出する如く
設けた舌片の下端の回動ビンを支点としてシート
クツシヨン部を反転して凹部に収納し、次いで、
シートバツク部を床側の支点を中心に前方に回転
するだけで、前記凹部はシートバツク部の硬質の
バツクガーニツシユ等の形状保持部材を上方に
し、しかも床面と同一面を形成して塞がれるの
で、シートクツシヨン部，シートバツク部が折り
畳まれた状態で凹部内に収納されて、係止手段等
を必要としない。

上記のように作用するので、車両用シートを折
り畳んで荷物室とした場合、荷物載置面にヒンジ
やストツパ等の突出物がないので、荷物を破損し
たり、積載方法が制約されたりすることがない。
また、シートバツク部背面側のバツクガーニツシ
ユ等の形状保持部材を荷物載置面を維持する補強
部材として利用できるので、従来のようにシート
クツシヨン部底面に補強部材を設ける必要もな
く、製造コストの低減と作業性の改善を実現でき
る。

〔実施例〕

以下、本考案に係る車両用シートの実施例につ
いて、図面を用いて詳細に説明する。

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す
側面図及び部分斜視図である。なお、第４図と同
一符号は同一部材を示している。

各図において、リヤシート１１はシートクツシ
ヨン部１２とシートバツク部１３とより成り、こ
のシートクツシヨン部１２は車両の床面７に設け
られている。。前記シートクツシヨン部１２の床
面７前方には凹部１４が形成されており、この凹
部１４に立設された支持部１５の上端には回動ピ
ン１６により前記シートクツシヨン部１２の下端
前方の舌片１２ａが回動自在に取付けられてい
る。

上記シートクツシヨン部１２の後端１２ｂの上
方と、上記シートバツク部１３の下端が接するよ
うに位置しており、このシートバツク部１３の下
端には緩やかな角度で折曲されたアーム１７の上
端１７ａが固定され、このアーム１７の下端１７
ｂは床面７の側部のステツプ１８の側壁１８ａに
固定された回動機構１９に回動自在に取付けられ
ている。また、シートバツク部１３の背面側には
バツクガーニツシユ等の形状保持部材１３ａが設
けられている。

上記のような構成において、本実施例の動作に
ついて説明する。

まず、リヤシート１１に乗員を乗せて使用する
場合には、第１図に示すような状態で通常のリク
ライニングシートとして使用することができる。
このとき、フロントシートＦの後方の凹部１４に
リヤシート１１の乗員の脚部が位置することにな
る。

次に、リヤシート１１を折り畳んで荷台を拡張
して使用する場合には、第３図矢印Ａのようにシ
ートクツシヨン部１２を前方へ回動させて凹部１
４内に収納し、次いでシートバツク部１３を矢印
Ｂ方向に回動させると、リヤシート１１は第２図
に示すようにシートクツシヨン部１２の底面とシ
ートバツク部１３の背当面とを当接した状態で凹
部１４内に収納され、シートバツク部１３の背面
側の形状保持部材１３ａが荷物載置面として利用
されることになる。

〔考案の効果〕

以上詳細に説明したように、本考案に係る車両
用シートによれば、次のような効果を奏する。

まず、シートクツシヨン部の前方床面に凹部を
形成し、シートクツシヨン部の前方下側に、上記
凹部の下方に突出する如く設けた舌片の下端の回
動ピンによりシートクツシヨン部を凹部内に回動
して収納するとともに、シートバツク部を床側を
支点にして回動して前記凹部内に収納するように
したので、床面のシート取付面に回動機構や係止
部材が突出することがなく荷台として良好な使用
状態を確保できる。また、シートクツシヨン部下
面を荷物載置面として使用することなくシートバ
ツク部のバツクガーニツシユ等をそのまま補強部
材として使用できるので製造コストを抑えるとと
もに無駄な取付部材の取付作業を必要としないの
で作業性の向上も図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案に係る車両用シー
トの一実施例を説明するものであり、第１図は車
両用シートのシート使用時の側面図、第２図は同
じく収納時の側面図、第３図は同じく回動機構を
示す拡大斜視図である。また、第４図は従来の車
両用シートの一例を示す側面図である。なお、図
中同一符号は同一部材を示している。 ７……床面、１１……（車両用）リヤシート、
１２……シートクツシヨン部、１２ａ……舌片
（回動部）、１３……シートバツク部、１４……凹
部、１６……回動ビン、１７……アーム、１９…
…回動機構（支点）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨン部とシートバツク部とから成
   る車両用シートにおいて、シートクツシヨン部の
   前方床面に凹部を形成し、上記シートクツシヨン
   部の前方下側に下方に突出する如く設けた舌片の
   下端の回動ビンを介してシートクツシヨン部を上
   記凹部方向に反転して上記凹部に収納可能とする
   とともに、上記シートバツク部を床側を支点とし
   て前方に回動してシートクツシヨン部を被う如く
   回動可能に構成し、上記シートバツク部の背部が
   床面と同一面となるように上記凹部の深さを設定
   したことを特徴とする車両用シート。