JPH0523416Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、リクライニング装置を装着した自動
車用シートに係り、特に自動車運転中においても
荷物を安定した状態で収容するのに好適な自動車
シートに関する。

（従来の技術） 近時、車室内空間を有効に利用することができ
るようにリクライニング装置を装着した自動車用
シートが普及している。このような自動車用シー
トにおいて、助手席が空いている場合、ドライバ
ーはシートバツクが着座状態にあるシートに荷物
等を置いて運転していた。

（考案が解決しようとする課題） しかし、上記のように助手席に荷物等を置いて
運転すると、自動車の急発進時又は急停止時に荷
物が助手席から落下して破壊したり、ずれたりす
ることがあつた。またドライバーが荷物の方に注
意をとられ運転に専念できないというおそれがあ
つた。

本考案の目的は、シートバツクに折畳み可能に
取付けたバスケツトをシートバツク前傾時に拡開
できるようにした自動車用シートを提供すること
にある。

［考案の構成］ （課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、シート
クツシヨンに対してシートバツクが前傾可能なリ
クライニング装置を備えた自動車用シートにおい
て、下部が前記シートバツクの下部に係脱可能に
枢着されたバスケツトフレームと、このバスケツ
トフレームと前記シートバツクとの間に折畳み可
能に張られたネツト状のバスケツトと、前記シー
トバツク着座状態時に前記バスケツトフレームを
係止し、前傾時に前記バスケツトフレームを離脱
可能とするバスケツトフレーム係脱手段とを設け
たものである。

（作用） 上述の構成によれば、シートバツクの着座状態
時にはバスケツトフレームはシートバツクに係止
されており、バスケツトは折畳まれている。そし
てシートバツク前傾時にはバスケツトフレームと
シートバツクとの係止を解き、バスケツトフレー
ムを下部を中心として回転させることができ、こ
れによりバスケツトが拡開し、このバスケツト内
に荷物を収納することができる。

（実施例） 以下、本考案を図面に示す実施例に基いて説明
する。

第１図はリクライニング装置を装着したシート
の斜視説明図、第２図はバスケツトフレーム係脱
手段近傍の拡大側面説明図、第３図はバスケツト
フレーム係脱手段の作用を示す説明図、第４図は
バスケツト拡開時のシートの斜視説明図である。

シート１はシートクツシヨン２と、シートバツ
ク３と、バスケツトフレーム５と、バスケツト６
と、バスケツトフレーム係脱手段８とを備えてい
る。シートクツシヨン２およびシートバツク３の
左右両側面には、それぞれベースプレート９およ
びリクライニングアーム１０（左側面側のみを示
す）が一体的に固定されている。左側のベースプ
レート９には操作レバー１１を設けたリクライニ
ング装置１２が装着されており、操作レバー１１
の基端部はベースプレート９に配置されたレバー
軸１３に回転可能に支持されている。

リクライニングアーム１０の基端部はベースプ
レート９にレバー軸１３より後方でかつ上方に配
置された支軸１５に回転可能に支持されている。
またリクライニングアーム１０の基端部近傍に植
設されたピン１６には、中心端部１８ａを支軸１
５に形成された切欠き溝１５ａに係止した渦巻き
バネ１８の外側端部１８ｂが係止されており、こ
の渦巻きバネ１８によりリクライニングアーム１
０は常に図示反時計方向に付勢されている。そし
て第１図において操作レバー１１を実線で示す位
置P₁から仮想線で示す位置P₂まで押し上げると、
リクライニングアーム１０とリクライニング装置
１２との係合が解かれシートバツク３が実線で示
す着座位置O₁から仮想線で示す前傾位置O₂まで
渦巻きバネ１８のバネ力により自動的に前傾でき
るように構成されている。また左側のリクライニ
ングアーム１０の後部側面には後方を開口したＵ
字形の係止溝１０ａが形成されている。

バスケツトフレーム５は、一対の側板５ａと、
この側板５ａの上部を連結する連結板５ｂからな
つている。側板５ａはシートバツク３後面左右端
線に沿つて直立して配置され、その下部はリクラ
イニングアーム１０の中間部に係止溝１０ａに近
接して上方に植設された支軸１９に回転可能に支
持されている。バスケツト６はネツト状に形成さ
れており、バスケツトフレーム５の一対の側板５
ａとシートバツク３および一対の側板５ａとの間
にそれぞれ張られている。

バスケツトフレーム係脱手段８は左側のベース
プレート９およびリクライニングアーム１０に装
着されており、支持部材２１と、リンクレバー２
２と、ロツクプレート２３とを備えている。支持
部材２１の基端部は支軸１５に回転可能に支持さ
れており、支持部材２１の上端部にはリクライニ
ングアーム１０の係止溝１０ａに嵌合係止される
ロツクピン２５が植設されている。また支持部材
２１の中間部とピン１６との間には引張バネ２６
が装架されており、この引張バネ２６によつて支
持部材２１は図示反時計方向に付勢され、常には
ロツクピン２５が係止溝１０ａに係止されてい
る。

リンクレバー２２の一端部は支持部材２１の下
端部にピン２８により枢支されている。リンクレ
バー２２の他端部には長孔２２ａが形成され、こ
の長孔２２ａ内には操作レバー１１に植設された
ピン２９が遊嵌されており、このピン２９はレバ
ー軸１３より上方に配置されている。

そしてシートバツク３が着座位置O₁（操作レバ
ー１１の位置P₁）と前傾位置O₂（操作レバー１１
の位置P₂）との間でリンクレバー２２が支持部
材２１を介してシートバツク３に付随して移動し
ても、ピン２９がリンクレバー２２の長孔２２ａ
に干渉しないように、また操作レバー１１の位置
P₁においてピン２９は長孔２２ａの前端部２２
ｂ近傍に位置するように設定されている。

ロツクプレート２３は左側の側板５ａに一体的
に固定されており、その基端部は支軸１９に嵌挿
されている。またロツクプレート２３の下端面に
は下方を開口したＵ字形の係止溝２３ａが形成さ
れており、この係止溝２３ａはバスケツトフレー
ム５をシートバツク３に重ね合せたとき、リクラ
イニングアーム１０の係止溝１０ａとほぼ一致す
るように設定されている。このロツクプレート２
３の回転はリクライニングアーム１０に植設され
たストツパピン３１にロツクプレート２３の下部
前側面が当接することによつて規制されている。

つぎに、本考案の実施例の作用を説明する。

シートバツク３が着座位置O₁にあるときは、
第２図および第３図ａに示すようにロツクピン２
５がリクライニングアーム１０およびロツクプレ
ート２３の各係止溝１０ａ，２３ａに係止されて
おり、バスケツトフレーム５はシートバツク３に
重なり合つて配置されている。この状態で操作レ
バー１１を位置P₁からP₂に押し上げるとシート
バツク３は前傾位置O₂まで傾き前傾状態となる。
この場合、支持部材２１はリンクレバー２２を伴
つてリクライニングアーム１０およびロツクプレ
ート２３とともに図示反時計方向に支軸１５を中
心として回転する。そして第３図ｂに示すように
リンクレバー２２の長孔２２ａの前端部２２ｂが
操作レバー１１のピン２９に当接するようにな
る。この状態ではピン２９を長孔２２ａの前端部
２２ｂで引張つているので操作レバー１１を離し
ても操作レバー１１はP₂の位置に保持される。

このようにシートバツク３が前傾位置O₂にあ
るときに、位置P₂にある操作レバー１１を第３
図ｂに仮想線で示すように位置P₃（位置P₁とP₂と
の中間位置）まで押し下げると、ピン２９を介し
てリンクレバー２２が矢印Ａの方向に引張られ
る。すると支持部材２１が引張バネ２６のバネ力
に抗して図示時計方向に回転し、これによつて仮
想線で示すようにリクライニングアーム１０およ
びロツクプレート２３の各係止溝１０ａ，２３ａ
とロツクピン２５との係止が解かれるので、バス
ケツトフレーム５を支軸１９を中心としてロツク
プレート２３がストツパピン３１に当接するまで
図示時計方向に回転させると、バスケツト６が第
４図に示すように拡開状態となる。この状態にな
つたら操作レバー１１を離して位置P₂に復帰さ
せる。そして拡開したバスケツト６に荷物を収納
することにより荷物は自動車運転中においても外
部にとび出すことなく確実に収納される。

このバスケツト６拡開状態からシートバツク３
着座状態にするには、まずバスケツト６内の荷物
を外部に出す。つぎにバスケツトフレーム５を支
軸１９を中心として図示反時計方向に回転させシ
ートバツク３に重ね合わせる。ロツクピン２５が
リクライニングアーム１０およびロツクプレート
２３の各係止溝１０ａ，２３ａに係止され、バス
ケツトフレーム５はシートバツク３に係止され
て、バスケツト６は折畳んだ状態で収納される。
この状態でシートバツク３を渦巻きバネ１８のバ
ネ力に抗して着座位置O₁まで図示時計方向に回
転させると、リクライニング装置１２のロツク部
によりリクライニングアーム１０が係止され、シ
ートバツク３は着座位置O₁に保持される。

第５図はバスケツトフレームをベツドスペース
に適用した斜視説明図で、前傾状態にある前部シ
ート１Ａのバスケツトフレーム５を後部シート１
Ｂのシートクツシヨン２Ｂとほぼ一致するまで水
平方向に回転させる。これにより広いベツドスペ
ースを得ることができる。なお、この場合はバス
ケツトフレーム５の上面となる部分に柔軟な材料
で形成されたシート部材３２を取付けるとよい。

［考案の効果］ 上述のとおり、本考案によれば、シートバツク
前傾時にバスケツトフレームとシートバツクとの
係止を解いて、バスケツトを拡開させることがで
きる。これによりシートバツク前傾状態でバスケ
ツト内に荷物を収納することができるので、荷物
はバスケツト外にとび出すことなく確実に収納さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図はリクライニング装置を装着したシート
斜視説明図、第２図はバスケツトフレーム係脱手
段近傍の拡大側面説明図、第３図はバスケツトフ
レーム係脱手段の作用を示す説明図、第４図はバ
スケツト拡開時のシートの斜視説明図、第５図は
バスケツトフレームをベツドスペースに適用した
斜視説明図である。 １……シート、２……シートクツシヨン、３…
…シートバツク、５……バスケツトフレーム、６
……バスケツト、８……バスケツトフレーム係脱
手段。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンに対してシートバツクが前傾
   可能なリクライニング装置を備えた自動車用シー
   トにおいて、下部が前記シートバツクの下部に係
   脱可能に枢着されたバスケツトフレームと、この
   バスケツトフレームと前記シートバツクとの間に
   折畳み可能に張られたネツト状のバスケツトと、
   前記シートバツク着座状態時に前記バスケツトフ
   レームを係止し、前傾時に前記バスケツトフレー
   ムを離脱可能とするバスケツトフレーム係脱手段
   とを設けたことを特徴とする自動車用シート。