JPH0238253B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

発明の分野 本発明は、乳化組成物、さらに詳しくは、界面
活性剤を使用することなく得られた乳化組成物に
関する。 従来技術 従来より、化粧用の乳化組成物としては、各種
の油性および水性の原料を乳化したクリーム、乳
液などが広く用いられている。かかる乳化組成物
の製造にあたつては、原料を厳密に設定した各種
条件のもとに処理するだけでなく界面活性剤を使
用することが必須とされていた。 しかしながら、近年、化粧品についても安全性
に対する要求レベルは一段と厳しくなり、特に皮
膚障害の問題が大きく取り上げられるに至り、そ
の原因物質として界面活性剤の存在が問題とされ
ている。このため、界面活性剤を用いることなく
化粧用乳化物を得る方法も提案されている。例え
ば、特開昭55−11527号は、化粧料用油性原料、
水性原料、水溶性高分子化合物、およびサイクロ
デキストリンを必須成分とする乳化化粧料を提案
している。しかしながら、かかる化粧料を実際に
人間の皮膚に適用すると油性成分が浮いてくるよ
うな性状を呈し、界面活性剤を用いた従来の化粧
料に比べて使用感が格段に劣るという問題があつ
た。 発明の目的 そこで、本発明者らは、前記問題点を解決すべ
く検討を重ねた結果、特定エーテル化度のカルボ
キシメチルセルロースナトリウムを配合すること
により乳化性および使用感が向上することを見出
し本発明を完成するに至つた。 すなわち、本発明の目的は、界面活性剤を使用
せずに、乳化安定性の良好な乳化組成物を提供す
ることであり、さらに他の目的は、界面活性剤を
使用せずに、実際の皮膚への適用時に好ましい感
触を与える乳化安定性の良好な乳化組成物を提供
することにある。 発明の概要 すなわち、本発明は、サイクロデキストリン、
油性分、水性媒物およびエーテル化度0.60〜0.85
のカルボキシメチルセルロースナトリウム（以下
Na−CMCという）を配合した乳化組成物を提供
するものである。 発明の詳説 本発明では、Na−CMCを用いることが必須で
あり、就中特定のエーテル化度のNa−CMCが用
いられる。他の水溶性高分子、例えば、ローカス
トビーンガム、カラーナン、キサンタンガム、メ
チルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、
ベントナイトなどを用いた場合は、いずれも乳化
安定性に劣るか、あるいは、使用感が好ましくな
い。 本発明において用いられるNa−CMCのエーテ
ル化度は、0.60〜0.85の範囲であることが必要で
ある。エーテル化度が、この範囲外であると乳化
安定性あるいは使用感が低下する。 また、Na−CMCの配合量は、組成物全体に対
して、1.5〜3.3重量％であるのが好ましい。1.5重
量％未満であると乳化安定性が悪化し、一方、
3.3重量％を超えると化粧品として使用したとき
の使用感が好ましくない。 本発明で使用されるサイクロデキトスリンは、
特に限定されるものではない。サイクロデキトス
リンは、ｄ―グリコースがα―1.4結合により環
状に結合したものであり、６個結合したものがα
―サイクロデキトスリン、７個のものがβ―サイ
クロデキトスリン、８個のものがγ―サイクロデ
キトスリンである。本発明では、α，β，γ―サ
イクロデキトスリンのいずれをも使用することが
できる。 本発明において用いられる油性成分としては、
通常化粧料に用いられる極性及び非極性のいずれ
のものも使用でき、例えばラノリン、密ロウ、鯨
ロウ、オリーブ油、ヒマシ油、サフラワー油、ワ
セリン、イソプロピルラノレート、ミリスチン酸
オクチルドデシル、スクワラン、レシチン、ミリ
スチン酸イソプロピル、イソセチルステアレー
ト、ミンク油、セタノール、流動パラフイン等が
挙げられる。 水性媒質としては、一般に精製水が使用され
る。 さらに、本発明の乳化組成物には、必要に応じ
て適当な油脂類、高級アルコール類、防腐剤、香
料、色素等を乳化安定性、使用感を損なわない範
囲で添加してもよい。 本発明の乳化組成物を調製するには、例えば水
溶性原料を徐々に加熱し、これに、Na−CMCを
均一に分散させた後、β―サイクロデキトスリン
を添加溶解する。ついで、これに、油性原料を約
50〜80℃にて投入し、乳化を行なう。 実施例 つぎに、本発明を実施例および比較例によりさ
らに詳しく説明する。なお、％とあるのは、全て
重量％を意味する。 実施例 １〜12 つぎの配合組成により化粧用乳化物を製造し
た。 成 分 配合量（％） 流動パラフイン 15 β―サイクロデキトスリン ５ Na−CMC（増粘剤） 第１表に記載 グリセリン ５ 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 残部 該乳化物を製造するには、まず、精製水、グリ
セリンを徐々に50℃まで加熱し、これにNa−
CMCを分散させる。Na−CMCが均一に分散し
た後、β―サイクロデキトスリンを加え、溶解す
る。ついで、70±２℃にて流動パラフインを加
え、15分間かけて乳化を行なう。45℃まで冷却
後、防腐剤および香料を加え、さらに、28℃まで
冷却して乳化物を得る。 得られた乳化物について、乳化安定性（40℃、
２ケ月放置）および使用感の評価を行なつた。結
果を第１表に合わせて示す。 各評価基準は、つぎのとおりである。 乳化安定性（40℃、２ケ月） ○…問題なし、 ×…上層に油性成分が分離、または下層に水性
成分が分離 使用感 ○…化粧品として問題なし ×…化粧品として使用感に問題あり 比較例 １〜25 実施例１と同様にして、下記の配合組成により
化粧用乳化物を製造した。 成 分 配合量（％） 流動パラフイン 15 β―サイクロデキトスリン ５ 増粘剤 第１表に記載 グリセリン ５ 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 残部 結果を同様にして第１表に示す。

【表】

【表】 第１表より明らかなごとく、増粘剤としてエー
テル化度0.60〜0.85のNa−CMCを用いた場合は、
優れた乳化安定性および使用感を有する乳化組成
物が得られるが、増粘剤として他の水溶性高分子
を用いたり、あるいはエーテル化度が前記範囲を
はずれるものでは乳化安定性および使用感を共に
満足することはできない。また、Na−CMCの配
合量は1.5〜3.3％が好ましい。 実施例 ７ つぎの配合組成により、実施例１と同様の方法
を用いて化粧用乳化物を製造した。 成 分 配合量（％） スクワラン 20 α―サイクロデキトスリン ３ Na−CMC（エーテル化度0.85） ２ １―３，ブチレングリコール ８ 防腐剤 適量 香料 適量 精製水 残部 得られた乳化物は、乳化安定性に優れ、良好な
使用感を呈した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ サイクロデキストリン、油性成分、水性媒質
   およびエーテル化度0.60〜0.85のカルボキシメチ
   ルセルロースナトリウムを配合したことを特徴と
   する乳化組成物。 ２ 前記カルボキシメチルセルロースナトリウム
   の配合量が、組成物の全重量に対して1.5〜3.3重
   量％である前記第１項の乳化組成物。