JPH0232409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、コンクリート製品にクランプ等によ
る把持用として埋め込まれる筒状アンカーをコン
クリート塑造時に所定位置に保持するためのコン
クリートの筒状アンカー保持装置に関する。

（従来技術） 一般に、コンクリートブロツク、コンクリート
パネル等のコンクリート製品にはクレーンに取り
付けたクランプ等による把持用として筒状アンカ
ーが先端を該コンクリート製品の表面に露出させ
て埋め込まれている。

従来、このような筒状アンカーをコンクリート
製品中に埋め込むためにコンクリート塑造型枠内
に保持する装置としては、筒状アンカーを針金等
により塑造型枠内に配筋されたコンクリート製品
用補強鉄筋に結びつけるものがあるが、この装置
では、一回の塑造毎に針計等で筒状アンカーを補
強鉄筋に結びつけなければならず、作業に手数を
要し、面倒であるという問題があつた。

このような問題を解決し得るものとして、塑造
型枠にボルト嵌入用の孔を設け、その孔に整合す
るねじ孔を有するナツトを塑造型枠の外面に固着
し、そのナツトによりボルトを塑造型枠内に螺入
し、その螺入された部分に有底筒状の筒状アンカ
ーを嵌合するものがある。しかし、塑造型枠内に
コンクリートが充填される際にセメントのノロが
ボルトと筒状アンカー間に浸入して両者間を固着
してしまい脱型時にボルトが後退不能となる場合
があり、無理に回転させると筒状アンカーとコン
クリートの付着を弱め、場合によつては筒状アン
カー近傍のコンクリートを毀損してしまうと同時
にナツトに対するボルトの螺進が不能となり、ナ
ツトのねじを破損してしまうという問題があつ
た。

（考案の目的） 本考案は上述のような従来の問題にかんがみ、
コンクリートの注入圧や振動等によつて筒状アン
カーが外れることがなく、塑造型枠のいずれの面
にも取りつけ可能であり、しかも脱型の際に筒状
アンカーをコンクリート内に残した状態で容易に
除去し得る筒状アンカー保持装置の提供を目的と
したものである。

（考案の構成） 上述の目的を達成するため本考案は、塑造型枠
に螺進退自在に貫通させ先端を該型枠内面に突出
させたアンカー支持ボルトを備え、打ち上り後の
コンクリート製品表面に開口させた筒状アンカー
を塑造型枠内面に保持させるコンクリートの筒状
アンカー保持装置において、前記型枠に螺進退自
在に貫通させて先端を該型枠内面に突出させたア
ンカー支持ボルトを備え、該アンカー支持ボルト
の外周に両端を開口させた筒状アンカーを嵌め合
せるとともに該アンカー支持ボルトの先端にゴ
ム、合成樹脂等の弾性材からなる有底筒状のキヤ
ツプを弾性的に嵌着し、該キヤツプの開口縁と前
記塑造型枠内面間に前記筒状アンカーを挟持させ
ることにより、筒状アンカーを弾性材のキヤツプ
の嵌着力により強固に保持させ、かつ筒状アンカ
ーを型枠内面及びキヤツプに密着させてセメント
のノロが筒状アンカー内に侵入しないようにした
のである。

（実施例） 次に本考案の実施の一例を図面について説明す
る。

図において、符号１，２はコンクリートの塑造
型枠の側板である。この側板１，２のうち一方の
側板１に孔３が設けられており、側板１の外面に
は孔３と整合する大きさのねじ孔を有するナツト
４が固着されている。ナツト４にはアンカー支持
ボルト５が螺合され側板１の内面側に螺進退自在
とされている。アンカー支持ボルト５の突出端側
には両端が開口した筒状アンカー６が嵌合され、
その筒状アンカー６からの突出端に弾性材からな
るキヤツプ７が嵌着されるようにしている。筒状
アンカー６は金属材料をもつて成形され、外面に
埋込金具８が突設されている。一方キヤツプ７は
ゴム、合成樹脂等の素材をもつて有底筒状に形成
されアンカー支持ボルト５の先端部に嵌着されて
いる。このキヤツプ７はアンカー支持ボルト５の
先端部より内径が稍小さく形成され、アンカー支
持ボルト５を内部に圧入することにより、弾性的
に嵌着されるようにしており、このキヤツプ７の
開口端７ａをもつて筒状アンカー６を側板１側に
弾性的に押圧させ、筒状アンカー６を型枠の側板
１の内面とキヤツプ７との間に挟持させている。

このように構成される筒状アンカー支持装置の
使用に際しては、アンカー支持ボルト５を型枠の
側板１の内面側に長めに螺入し、その突出端にま
ず筒状アンカー６を嵌め付け、その外側にキヤツ
プ７を嵌め付け、その後アンカー支持ボルト５を
後退させて筒状アンカー６をキヤツプ７の開口縁
７ａで押圧させ、その開口部端面６ａを側板１の
内面に密着させる。

以上のようにして筒状アンカー６をアンカー支
持ボルト５に支持させた後、側板１，２間にコン
クリート９を注入する。コンクリート９の硬化
後、アンカー支持ボルト５を後退させるか又は側
板１とともにアンカー支持ボルト５を筒状アンカ
ー６内より取り外す。このとき、キヤツプ７はそ
のまま筒状アンカー６の奥部に残される。

なお上述の実施例ではアンカー支持ボルト５の
略全長にわたつてねじを設けているが筒状アンカ
ー６内に嵌入される部分にはねじを設けなくても
よいものである。

（考案の効果） 本考案のコンクリートの筒状アンカー保持装置
は上述のように構成され、塑造型枠に螺進退自在
に貫通させ先端を該型枠内面に突出させたアンカ
ー支持ボルトを備え、該アンカー支持ボルトの外
周に両端を開口させた筒状アンカーを嵌め合わせ
るとともに該アンカー支持ボルトの先端にゴム、
合成樹脂等の弾性材からなる有底筒状のキヤツプ
を弾性的に嵌着し、該キヤツプの開口縁と前記塑
造型枠内面間に前記筒状アンカーを挟持させたこ
とにより、アンカー支持ボルトと筒状アンカーと
の間へのセメントのノロの浸入が防止されコンク
リート硬化後、アンカー支持ボルトを容易に取り
外すことができ、その取り外し時に筒状アンカー
とコンクリートとの付着を弱めたり筒状アンカー
近傍のコンクリートを毀損することもなく更にナ
ツトのねじを破損することもなくなつたものであ
る。また筒状アンカーをアンカー支持ボルトに嵌
合しキヤツプを嵌着するという簡単な操作で筒状
アンカーを緊密に保持させることができ、従来の
ように筒状アンカーをアンカー支持ボルトに螺合
したり、筒状アンカーを補強鉄筋に結びかけたり
するような面倒な作業が不要となり、更に、弾性
材からなるキヤツプにより筒状アンカーをアンカ
ー支持ボルトに緊密に保持するから塑造型枠の立
上り面等にも筒状アンカーを緊密に保持させるこ
とができることとなつたものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施の一例を示す使用状態の縦
断面図である。 ４……ナツト、５……アンカー支持ボルト、６
……筒状アンカー、７……キヤツプ、８……埋込
金具。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 打ち上り後のコンクリート製品表面に開口させ
   た筒状アンカーを塑造型枠内面に保持させるコン
   クリートの筒状アンカー保持装置において、前記
   型枠に螺進退自在に貫通させて先端を該型枠内面
   に突出させたアンカー支持ボルトを備え、該アン
   カー支持ボルトの外周に両端を開口させた筒状ア
   ンカーを嵌め合せるとともに該アンカー支持ボル
   トの先端にゴム、合成樹脂等の弾性材からなる有
   底筒状のキヤツプを弾性的に嵌着し、該キヤツプ
   の開口縁と前記塑造型枠内面間に前記筒状アンカ
   ーを挟持させたことを特徴としてなるコンクリー
   トの筒状アンカー保持装置。