JPH02295433A - 常温で保存可能な加工生卵及びその加工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は生卵を卵黄又は卵白にそれぞれ分離した後で、
この卵黄又は卵白を生（なま）のまま常温で長期間保存
可能な加工生卵及びその加工法に関する。更に詳しくは
、繊維製品の染色時の防染糊、又は繊維製品の漂白時の
漂白抑制糊、或いは木工製品の下塗り剤等の工業製品の
糊剤又は下塗り剤に適するペースト状の加工生卵及びそ
の加工法に関するものである。

［従来の技術］ 生卵は、産まれてから常温で放置すると卵殻の気孔から
細菌が侵入し易く、侵入した細菌が卵の栄養によって繁
殖して１０日前後で変質し、腐敗が始まる。

従来、新鮮な殻付き卵を殺菌した、塩味、酒味、醤油味
等の味液の中へ２〜４昼夜程度浸漬して、卵殻の気孔か
ら味液を卵の内部に浸透させることにより、常温で長期
間保存可能な味付け卵及びその保存法が提案されている
（特開昭６０−１６４４３０）。

［発明が解決しようとする課題］ しかし上記保存法によって加工した卵をはじめとして、
一般的に殻付きのまま保存加工を施した生卵は、殻を割
った場合には、その直後に卵黄又は卵白を密封しても、
卵黄又は卵白に雑菌が混入して変質し易く、産みたての
品質を長期間維持することが極めて難しい。

本発明の目的は、殻を割って取り出した卵黄及び卵白を
それぞれ分離して生（なま）のまま、加熱又は冷凍せず
に、長期間常温で保存可能な加工生卵及びその加工法を
提供することにある。

また本発明の別の目的は、工業製品用の糊剤又は下塗り
剤に適するペースト状の加工生卵及びその加工法を提供
することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明の加工生卵は、卵黄
又は卵白いずれか１００重量部と防腐剤１〜１０重量部
と低級アルコール５〜２０重量部と糊剤１〜６重量部と
が均一に混練されたペースト状の加工生卵である。

またその第一の加工法は、卵黄又は卵白を１００重量部
とするとき、防腐剤１〜１０重量部と低級アルコール５
〜２０重量部と糊剤１〜６重量部とを常温常圧で均一に
混合してスラリーを調製し、このスラリーに前記卵黄又
は卵白いずれか１００重量部を常温常圧で均一に混練し
て前記卵黄又は卵白をペースト状態で常温で保存する方
法である。

またその第二の加工法は、卵黄１００重量部と防腐剤１
〜１０重量部と低級アルコール５〜２０重量部と糊剤１
〜６重量部とを常温常圧で均一に混練して前記卵黄をペ
ースト状にして常温で保存する方法である。

本発明の対象となる卵は、鳥類の卵であって、最大径３
０ｃｍ以上の巨大なものから最小径１ｃｍ程度の小型の
ものまで含む。その中で特に安価で入手し易く、量的に
加工しやすい鶏卵が本発明に好適である。

この卵は、産みたての生卵の殻を割って卵黄と卵白とに
それぞれ分離した状態で保存加工される。

卵黄と卵白との分離は公知の分離装置又は器具を用いて
工業的に行うことが好ましい。

本発明の防腐剤は、ソルビン酸、オルソフエニールフェ
ノール、安息香酸ナトリウム、食塩、砂糖、サリチル酸
、デヒドロ酢酸、バラヒドロキシ安息香酸エステル等の
食品防腐剤の中から１種又は２種以上選ばれる。特にソ
ルビン酸、オルソフェニールフェノール、安息香酸ナト
リウム、食塩又は砂糖が安価で入手し易いためより好ま
しい。

低級アルコールは卵黄又は卵白、防腐剤、及び糊剤との
親和力が高く、殺菌性能もあるメチルアルコール又はエ
チルアルコールが好ましい。

糊剤は小麦粉又はカルボキシルメチルセルロース、メチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ一ス等のセルロ
ース誘導体から選ばれるが、安価で入手し易いため小麦
粉又はカルボキシルメチルセルロースが好ましい。小麦
粉は加工生卵の用途に応じて薄力粉又は強力粉のいずれ
を用いてもよい。

上記防腐剤、低級アルコール及び糊剤の配合比率は、卵
黄又は卵白を１００重量部とするときに、防腐剤１〜１
０重量部、低級アルコール５〜２０重量部、糊剤１〜６
重量部の範囲からそれぞれ決められる。防腐剤は１重量
部未満であると、卵黄又は卵白が腐敗し易く、１０重量
部を越えると本発明の加工生卵がペースト化しにくくな
る。低級アルコールは５重量部未満であると、防腐剤及
び糊剤が均一に混合せずスラリーとなりにくく、２０重
量部を越えると加工生卵の粘度が低くなりすぎる。低級
アルコールの配合量は加工生卵の粘度を適切にするため
に防腐剤の配合量と糊剤の配合量とを加えた量以上にす
ることが好ましい。また糊剤は１重量部未満であると加
工生卵がペースト化しにくくなり、６重量部を越えると
粘度が高くなりすぎる。

卵白のみの卵成分を保存加工するときには、卵白のみの
攪拌による気泡の発生を防ぎ、かつ気泡により各成分粒
子を分離させないように、上記配合比率の防腐剤、低級
アルコール及び糊剤を最初に常温常圧下で攪拌し、各成
分粒子が均一に分散したスラリーを調製した後で、この
スラリーに卵白のみを入れて混練機によりこのスラリー
と卵白とを均一に混練する。

卵黄のみの卵成分を保存加工するときには、卵白と異な
り卵黄のみ攪拌しても気泡が生じる恐れがないため、卵
白と同様に防腐剤、低級アルコール及び糊剤のスラリー
を調製した後で、このスラリーの中に卵黄を混練しても
、或いは防腐剤と低級アルコールと糊剤と卵黄とを同時
に混練してもよい。

上記方法により加工された加工生卵は、卵黄を主成分と
するものも、卵白を主成分とするものもともに殻を割っ
て分離したときと同等の粘性を有するペースト状物質と
なる。

［作　用］ 防腐剤と低級アルコールと糊剤とともに均一に混練した
卵黄又は卵白は、防腐剤によって細菌の繁殖が防止され
る。この加工生卵は、糊剤によって適度の粘性が生じ、
低級アルコールが各成分粒子を互いに分離、沈降させる
ことなく均一に分散させて性状の安定なペーストを作り
出す。これにより本発明の加工生卵は１年以上常温で放
置しても変質もしくは腐敗することがなく、一定の品質
を維持する。

［発明の効果］ 以上述べたように、従来、殻を割った生卵を常温で長期
間保存する適切な方法がなかったため、卵に対しては栄
養価に富んだ食品としての機能しか追求しなかったもの
が、本発明の加工生卵は、卵黄又は卵白の品質を損なう
ことなく常温で長期間保存可能であって、冷凍及び解凍
が不要のため、手軽に利用でき、生産管理や在庫管理が
容易で、貯蔵コストが極めて廉価な利点がある。

この加工生卵は、その主成分である蛋白質が繊維製品や
木工製品のような工業製品に対して濡れ性、接着性、防
染性、防湿性等の優れた特性があるため、本発明で得ら
れるペースト状の加工生卵は繊維製品の染色時の防染糊
、又は繊維製品の漂白時の漂白抑制糊、或いは木工製品
の下塗り剤等の工業製品の糊剤又は下塗り剤に好適な優
れた効果がある。

［実施例］ 次に本発明の実施例を説明する。

く実施例１〉 ソルビン酸とオルソフェニールフェノールを主成分とす
る粉状の防腐剤（商品名ＳＰＰ，上野製薬＠）５００ｇ
と消毒用エチルアルコール５００ｇとカルボキシルメチ
ルセルロース（略称Ｃ　Ｍ　Ｃ，ダイセル化学■）２０
０ｇとを家庭用の大型ミキサーに入れ、大気圧下、２０
℃の室温で十分攪拌して均一に混合しスラリーを調製し
た。このスラリーにあらかじめ鶏卵の卵白卵黄分離装置
により卵白から分離した卵黄１０ｋｇを投入し、やはり
大気圧下、２０℃の室温で製菓用ミキサー（藤井菓機■
製）により十分に混練してペースト状の加工生卵を得た
。

この加工生卵をプラスチックフィルムからなる袋に入れ
、１３箇月の間空調設備のない場所で、大気圧下常温で
放置したが、この加工生卵には腐敗又は変質は一切生じ
なかった。

１３箇月間常温で保存した上記加工生卵を袋から取り出
し、漂白抑制糊として使用した。すなわち絵筆にこの加
工生卵を十分つけ、この絵筆によりインジゴ染料で先染
されたデニム地の縫製品の表面に、花柄模様を描いた。

縫製品の表面に塗工した加工生卵を風乾した後、回転式
洗染機内にこの縫製品を投入し、更に有効塩素１２％の
次亜塩素酸カルシウム水に浸漬しておいた軽石を投入し
た。洗染機を３０ｒｐｍで１５分間正逆転させ、縫製品
を漂白した。漂白後、洗染機から漂白液を排出し、続い
て縫製品に付着残存する漂白剤及び加工生卵を水洗した
。水洗した縫製品を乾燥したところ、加工生卵を塗工し
た花柄模様以外のデニム地は漂白液を含浸させた軽石の
摩擦により霜降り状に脱色し、花柄部分だけが鮮やかな
藍色の模様を顕した。

く実施例２〉 防腐剤として安息香酸ナトリウム３００ｇとメチルアル
コール１０００ｇと薄力粉３００ｇとを家庭用の大型ミ
キサーに入れ、大気圧下、２０℃の室温で十分攪拌して
均一に混合しスラリーを調製した。このスラリーにあら
かじめ鶏卵の卵白卵黄分離装置により卵黄から分離した
卵白１０ｋｇを投入し、やはり大気圧下、２０℃の室温
で製菓用ミキサー（藤井菓機（掬製）により十分に混練
してペースト状の加工生卵を得た。

この加工生卵をプラスチックフィルムからなる袋に入れ
、１３箇月の間空調設備のない場所で、大気圧下常温で
放置したが、この加工生卵には腐敗又は変質は一切生じ
なかった。

１３箇月間常温で保存した上記加工生卵を袋から取り出
し、木工製品の下塗り剤として使用した。

すなわち刷毛にこの加工生卵を十分つけ、この刷毛で食
卓テーブル用に幅約７ｃｍ，長さ３０ｃｍに切断された
多数のラワン板片の全面に加工生卵を均一に塗工した。

塗工した加工生卵を風乾した後、ラワン板片の全面を目
の細かいサンドペーパーで研麿した。次いでこれらのラ
ワン板片を組合せてテーブル板を形成し、テーブル板の
全面にフェスを塗装した。この加工生卵を塗工したラワ
ン板片は、加工生卵を塗工しないラワン板片と比べて、
組合せ時の反りや狂いが極めて少なく、組合せ時の調整
作業が著しく軽減された。また加工生卵を下塗りするこ
とによりワニスの乗りが良く、品位のある塗装仕上げを
行うことができた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １）卵黄又は卵白いずれか１００重量部と防腐剤１〜１
   ０重量部と低級アルコール５〜２０重量部と糊剤１〜６
   重量部とが均一に混練されたペースト状の常温で保存可
   能な加工生卵。 ２）卵黄又は卵白を１００重量部とするとき、防腐剤１
   〜１０重量部と低級アルコール５〜２０重量部と糊剤１
   〜６重量部とを常温常圧で均一に混合してスラリーを調
   製し、このスラリーに前記卵黄又は卵白いずれか１００
   重量部を常温常圧で均一に混練して前記卵黄又は卵白を
   ペースト状にして常温で保存する加工法。 ３）卵黄１００重量部と防腐剤１〜１０重量部と低級ア
   ルコール５〜２０重量部と糊剤１〜６重量部とを常温常
   圧で均一に混練して前記卵黄をペースト状にして常温で
   保存する加工法。 ４）防腐剤はソルビン酸、オルソフェニールフェノール
   、安息香酸ナトリウム、食塩又は砂糖のいずれか１種又
   は２種以上である請求項２又は３記載の加工法。 ５）低級アルコールはメチルアルコール又はエチルアル
   コールである請求項２又は３記載の加工法。 ６）糊剤は小麦粉又はカルボキシルメチルセルロースで
   ある請求項２又は３記載の加工法。