JP3839536B2 - 新規な魚卵加工品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、グルコン酸のアルカリ金属塩を使用して製造した魚卵加工品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鱈子などの魚卵の塩蔵品は、生の魚卵に色素、調味料などを溶解した水や食塩を加え、樽に5〜10時間程度漬け込み脱水(身の引き締め)して製造されている。使用する魚卵によっていくら、鱈子、数の子、からすみ等の風味の異なる魚卵加工品が製造されているが、いずれも、一般的には生の魚卵に食塩を添加し、脱水・味つけして製造されている。
これらの魚卵加工品は、調味の目的に加えて、生の魚卵の身を引きしめ、かつ保存性を高める目的から、調味の目的よりもはるかに多くの食塩が使用されているのが現状であり、近年の塩辛い食品を好まない傾向や成人病予防等の観点から、減塩化が検討されている。しかし、食塩量を減らすと、保存性や外観が悪化し、低塩化には限度がある。また、例えば特開昭54−64665には食塩の一部をリンゴ酸ナトリウムに代替することによる減塩魚卵加工品の製造法が示されているが、リンゴ酸ナトリウムは添加量を増すと異味が生じ、魚卵に対しての使用量が制限されるという問題がある。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】
本発明者等は、上記課題を解決するために、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム等のグルコン酸のアルカリ金属塩が、食塩に比べて分子量が4倍程度と大きいにも関わらず、塩味の質が食塩に類似していることや、分子内に多くの水酸基を有するという特有の分子構造を有していることから、魚卵加工品の減塩化のみならず、魚卵の加工性にも新規な機能を発現することを期待して鋭意研究を重ねた結果、グルコン酸のアルカリ金属塩を生の魚卵に対して添加することにより、脱水効果を低下させることなく、しかも、食塩では得られない新規なテクスチャ−を付加できることを見出した。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は次の構成を有するものである。
(1)グルコン酸のナトリウム塩を生の魚卵100重量部に対し、5〜30重量部含有する魚卵加工品のテクスチャー改良剤。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するグルコン酸のアルカリ金属塩としては、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明で使用するグルコン酸のアルカリ金属塩は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0006】
本発明で使用するグルコン酸のアルカリ金属塩の使用量は、対象となる魚卵加工品の種類により変化するが、好ましくは生の魚卵100重量部に対し、グルコン酸のアルカリ金属塩を5重量部以上配合するのが良く、さらに好ましくは5〜30重量部配合するのが良い。
【0007】
また、グルコン酸のアルカリ金属塩を食塩の代替として用いる場合には、それぞれの魚卵加工品の従来原料として使用する食塩量を基準として、味つけ、減塩の程度に応じて、該食塩量の全量あるいは一部をそのままグルコン酸のアルカリ金属塩で代替し、さらに、望ましいテクスチャー、脱水の程度に応じてグルコン酸のアルカリ金属塩を増減できる。
この場合には、従来魚卵の加工品の原料として使用する食塩100重量%に対し、その40重量%以上をグルコン酸のアルカリ金属塩で代替するのが好ましい。そして、グルコン酸のアルカリ金属塩と食塩とを上記の割合で混合したものを、生の魚卵100重量部に対し、グルコン酸のアルカリ金属塩が5重量部以上となるよう配合することが好ましく、さらに好ましくは5〜30重量部となるよう配合するのが良い。
【0008】
本発明のテクスチャー改良剤、および本発明における魚卵加工品には、 グルコン酸のアルカリ金属塩と食塩以外の、例えば調味剤、色素、保存剤等の添加物が含有されていてもよい。
【0009】
本発明において、魚卵加工品とは、鮭、鱈、鱒、鰡、鰊等の生の魚卵を、脱水、塩見等の味つけをして、保存性を持たせたものを指し、一般には、イクラ、筋子、鱈子、からすみ、数の子等と呼ばれるものである 。
【0010】
本発明における魚卵加工品のグルコン酸のアルカリ金属塩を配合する工程以外の製造方法は常法により、対象の魚卵の種類によって適宜選択すれば良い。すなわち、生の魚卵を、調味料や色素等の添加物を溶解した水に浸漬するたて塩状態にする配合方法や、生の魚卵に前記添加物をふりかけるふり塩状態にする配合方法などが挙げられる。
【0011】
本発明で使用するグルコン酸のアルカリ金属塩の魚卵加工品への配合方法は、常法による。即ち、従来の食塩を使用する場合と同様に行い、グルコン酸のアルカリ金属塩を溶解した浸漬液に浸漬するたて塩状態にする配合方法を用いてもよいし、直接生の魚卵にグルコン酸のアルカリ金属塩を添加し、攪拌するふり塩状態にする配合方法を用いてもよい。たて塩状態にする配合方法においては、調味料や色素等の添加物を溶解した水にグルコン酸のアルカリ金属塩を溶解して用いてもよいし、魚卵を、調味料や色素等の添加物を溶解した水に浸漬した後、グルコン酸のアルカリ金属塩を添加し、攪拌してもよい。
【0012】
【発明の効果】
本発明の魚卵加工品のテクスチャー改良剤を用いることにより、新規な歯触り等のテクスチャーを持つ魚卵加工品を製造することができる。また、合わせて食塩の全量または一部がグルコン酸のアルカリ金属塩によって代替され、保存安定性に優れ、また、適度な塩味を有するにも関わらず、減塩されたあるいは食塩を全く含まない魚卵加工品を製造することができる。
【0013】
本発明の製造方法により製造された魚卵加工品は、グルコン酸のアルカリ金属塩が単独で、または食塩と併用して配合されることにより、食塩の全量または一部がグルコン酸のアルカリ金属塩によって代替される。従って、保存安定性に優れ、また、異味を感じさせず適度な塩味を有するにも関わらず、減塩されあるいは食塩を含んでおらず、該魚卵加工品を食した場合、従来に比較して食塩の摂取量を軽減することができる。またグルコン酸のアルカリ金属塩を用いることにより、新規なテクスチャーをもつ魚卵加工品を得ることができる。
【0014】
以下、試験例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
試験例
(1)試験方法
I)試験例の製造方法
スケソウダラの成卵の冷凍凍結卵20kgを低温で解凍したものを容器に入れ、これに下記の原料配合割合で作製した漬浸液を加え、密封して回転機により7時間回転して魚卵と漬浸液を攪拌混合した。その後、12時間低温下で静置し、魚卵を取り出して水洗し、充分に水切りしたものを低温下で一晩熟成して鱈子の加工品を製造した。
【0015】
II)配合割合
試験例に用いる原料の配合割合は下記の表1の通りである。
【表1】
原料の配合割合
【0016】
III)試験方法
前記試験例について、水分含有量、ナトリウム(Na)含有量、味を評価した。
水分含有量は、重量法を用い、105℃で2時間乾燥した後の重量減少を測定することによって算出した。ナトリウムの含有量は、イオンクラマトグラフ法による定量法を用いて測定した。
【0017】
(2)試験結果
表2に評価結果を示す。
【表2】
試験結果
【0018】
試験例1〜5のグルコン酸ナトリウムを添加して製造した鱈子加工品は、従来の比較例1の鱈子加工品に比較して、水分含有量に大きな変化はないまま、ナトリウム含有量が減少している。特に、試験例3の食塩を全量グルコン酸ナトリウムで代替したものについては、水分含有量は比較例1に比べ、やや少ないにも関わらず、ナトリウム含有量が比較例1の1/3に減少している。従って、グルコン酸ナトリウムは食塩と同等またはそれ以上の脱水能力を持ち、またグルコン酸ナトリウムによる食塩の代替により、血圧上昇等の成人病に関連のあるナトリウム含有量の軽減効果が得られることが分かる。
また、塩味は従来の比較例1の鱈子加工品に比較して、弱いものとなっている。
さらに、鱈子加工品のテクスチャーについては、グルコン酸ナトリウムを添加したものは、従来の比較例1の鱈子加工品と異なる「もちっぽく」、「からすみ様」のテクスチャーとなっている。
【0019】
【実施例】
実施例1〜5、比較例1
前出の試験例1〜8、比較例1と同一の組成となるよう魚卵、水、グルコン酸ナトリウム、食塩、添加剤を配合し、前出の製造方法により鱈子の加工品を製造した。
Claims (1)
- グルコン酸のナトリウム塩を生の魚卵100重量部に対し、5〜30重量部含有する魚卵加工品のテクスチャー改良剤。
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JP35704196A JP3839536B2 (ja) | 1996-12-25 | 1996-12-25 | 新規な魚卵加工品およびその製造方法 |
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JP35704196A Expired - Fee Related JP3839536B2 (ja) | 1996-12-25 | 1996-12-25 | 新規な魚卵加工品およびその製造方法 |
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