JPH0221562B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は光フアイバ心線接続部の補強方法に関
するものである。

従来、光フアイバ心線の接続部の補強法として
は、接続部に熱収縮チユーブを被せ、ヒータな
どの直火を用いて上記熱収縮チユーブを加熱し収
縮させる方法、樹脂が充分軟化流動する程度の
高温に保つた金型や小型の射出成形機によつて樹
脂を接続部にモールドする方法などが知られてい
る。ところで上記のような補強方法では、いずれ
も接続部の補強作業を行う場所の近くに高温の熱
源が配置されるため、安全対策上や防火対策上の
点で大きな問題があつた。また上記の補強方法に
おいては、接続部の補強作業に長時間を要すると
いう問題があつた。

本発明は上記の問題を解決するために、誘導加
熱を利用することにより加熱部を補強部分に限定
させるようにしたもので、その目的は安全対策、
防火対策の点で優れ、作業時間の短縮化を図り得
るようにした光フアイバ心線接続部の補強方法を
提供することにある。

すなわち、本発明は、光フアイバ心線の接続部
を補強するに際して、光フアイバ心線の接続部周
辺部に導体および／または磁性体を含む樹脂を配
置し、高周波磁界を印加し、上記導体および／ま
たは磁性体を誘導加熱して発熱させ、生じた熱に
より上記樹脂を溶融させこの溶融させた樹脂を上
記光フアイバ心線の接続部付近に付着させて固定
させる。これによつて光フアイバ心線の接続部周
辺部は、固化した樹脂によつて補強されるのであ
る。この場合、上記の樹脂としては熱溶融接着剤
となる樹脂が好ましく、例えばフエノール系樹
脂、エセルセルロース、酢酸ビニル系樹脂、ポリ
エチレン系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリブ
チルメタクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポ
リイソブチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、合成ゴム、フエノオキシ系樹
脂、エチレンを主体にしたアクリル酸、酢酸ビニ
ルなどの共重合物およびその変成物等である。ま
た上記の導体としては、うず電流損によつて発熱
する金属粉未、金属棒、合金粉末、合金製の棒等
である。また上記磁性体としてはヒステリシス損
によつて発熱する磁性体粉末または磁性体棒等で
ある。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明す
る。なお、第１図ないし第７図中同一構成要素に
は同一号を付してある。

第１図、第２図は本発明によつて得られた補強
構造の一例を示す図である。この補強構造を作る
には、光フアイバ心線１１，１１の端末部の被覆
部を所定長剥し、光フアイバ素線１２，１２を露
出させ、これら光フアイバ素線１２，１２の先端
部を熱溶着等によつて接続する。そして光フアイ
バ心線１１，１１の被覆部１３，１３の各端部と
光フアイバ素線１２，１２とのその接続部１４と
に亘つて導体粉末または導体棒を含有させた樹脂
１５を塗布する。そして上記の導体粉末または導
体棒を誘導加熱によつて加熱し、樹脂を溶融させ
てこれを光フアイバ心線１１，１１の周りに付着
させ、そしてこれを固化させる。

また第３図、第４図は本発明によつて得た補強
構造の別の例を示す図である。この図に示す補強
構造を得るには、予め光フアイバ心線１１，１１
の接続部に、内面に樹脂１５を塗布すると共に剛
性を有する細棒１６を挿入配置した熱収縮チユー
ブ１７を被せておく。そして上記の光フアイバ心
線１１，１１および熱収縮チユーブ１７を交番電
場中に置き、樹脂１５内に含有させてある導体を
誘導加熱によつて加熱して樹脂１５を溶融させ、
更に熱収縮チユーブ１７を収縮させる。これによ
つて熱収縮チユーブ１７と光フアイバ心線１，１
１との間には樹脂１５が充填され、樹脂１５が固
化した状態において同チユーブ１７と光フアイバ
心線１１，１１とは樹脂１５によつて接着され
る。このようにして得られた補強構造において光
フアイバ心線１１，１１の接続部は、直線状態に
保たれたまま熱収縮チユーブ１７、樹脂１５、細
棒１６によつて補強される。この場合細棒１６と
して、アラミド繊維、金属、ガラス繊維強化プラ
スチツクロツド、炭素繊維強化プラスチツクロツ
ド、誘導加熱延伸などによつて配向させたポリエ
チレン、ポリエステル、ナイロンなどのプラスチ
ツクロツド等である。またこの補強構造において
は、細棒１６の代りに炭素繊維等のチユーブを用
いることもできる。

また第５図は本発明によつて得た補強構造の別
の例を示す図である。この図に示す補強構造を得
るには、まず第６図に示す補強容器を準備する。
第６図に示す補強容器は、本体２１と蓋体２２と
からなるものである。本体２１は断面コ字状の主
壁部２３の内部に保持壁部２４を形成し、保持壁
部２４の上面に断面Ｖ字形の浅溝２５を形成して
なるものである。また蓋体２２は、本体２１の上
端開口部を覆い得る大きさの板体２６の下面に保
持壁部２７を形成してなるものである。この補強
容器は、ガラス繊維で強化したポリカーボネート
で作られたものである。

上記の補強容器を用いて光フアイバ心線の接続
部を補強するには、上記の容器の本体２１と蓋体
２２との内面に金属粉末を含むエチレンとアクリ
ル酸エステルの共重合物のアクリル酸グラフト物
を塗布しておく。次に、第５図に示すように光フ
アイバ心線１１，１１の被覆部１３，１３を補強
容器の本体２１の空間部２８，２８内に挿入し、
接続された光フアイバ素線１２，１２を浅溝２５
内に挿入する。そして本体２１に蓋体２２を被
せ、これら本体２１と蓋体２２と適宜手段により
固定する。この状態で補強容器の内部の金属粉末
を誘導加熱して上記の樹脂を溶融し、この樹脂を
上記の容器と光フアイバ心線１１，１１との間に
充填する。そして上記の樹脂を固化させることに
より補強構造が完成する。このようにして得られ
た補強構造によれば、光フアイバ心線の接続部に
ついて長期間の伝送損失の変動を抑えることがで
き、ねじりや引張り等の外力に対して優れた機械
的強度を得ることができる。

また第７図はこの発明によつて得た補強構造の
別の例を示す図である。この図に示す補強構造
は、ポリオレフイン系の樹脂によつて作られた熱
収縮チユーブ１７内に金属製の細棒３１を複数本
挿入すると共にアクリル酸系の熱溶融接着剤１５
を塗布したものを準備し、その内部に光フアイバ
心線１１の接続部を挿入配置し、そして上記の金
属製の細棒３１を誘導加熱することにより熱溶融
接着剤１５を溶融し、以下上記の各例と同様にし
て作られたものである。この補強構造によれば、
−30℃と＋60℃とのヒートサイクル（６時間を１
サイクルとする）を１年間続けても何らの伝送損
失の変化がなかつた。

以上説明したように、本発明によれば導体ある
いは磁性体を含む樹脂を誘導加熱し、上記樹脂を
光フアイバ心線に付着させて同光フアイバ心線の
接続部を補強するようにしたから、接続部の補強
時間を短縮化でき、さらに加熱部が補強部材の内
部に限定されるため、防火対策や安全対策上優れ
ているという利点がある。また、接続部のねじ
り、曲げ、引張りなどの外力に対して高い安定性
を示す光フアイバ接続部を実現できる利点があ
る。特に、本願発明にあつては、樹脂を付着させ
固化させる部分は、接続点を含み、その周辺の双
方の光フアイバ被覆部から光フアイバ素線に至る
全体的な部分とからなる、光フアイバの被覆を除
去した素線部分及び接続点の補強を同時に図るこ
とができる。しかも、樹脂中に導体および／また
は磁性体を配置するため、それらの導体や磁性体
それ自体も構造的強度を発揮する結果、この点か
らも補強効果が高くなる、といつた優れた効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によつて得られた光フアイバ心
線接続部の補強構造の正面図、第２図は第１図
−線視断面図、第３図は本発明によつて得られ
た光フアイバ心線接続部の補強構造の別の例を示
す正面断面図、第４図は第３図−線視断面
図、第５図は本発明によつて得られた光フアイバ
心線接続部の補強構造の別の例を示す正面断面
図、第６図は第５図の補強構造に使用する補強容
器の斜視図、第７図は本発明によつて得られた光
フアイバ心線接続部の補強構造の別の例を示す側
断面図である。 １１…光フアイバ心線、１２…光フアイバ素
線、１４…接続部、１５…樹脂。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 光フアイバ素線どうしを互いに接続した光フ
   アイバ心線の接続部を補強する方法において、光
   フアイバ心線の接続部周辺部に導体および／また
   は磁性体を含む樹脂を配置し、高周波磁界を印加
   し、上記導体および／または磁性体を誘導加熱し
   て発熱させ、生じた熱により上記樹脂を溶融さ
   せ、この溶融させた樹脂を、上記光フアイバ心線
   どうしの接続部付近に位置する光フアイバ心線の
   それぞれの被覆部から光フアイバ素線の接続部を
   も含む形態で連続状に付着させて固化させるよう
   にしたことを特徴とする光フアイバ心線接続部の
   補強方法。 ２ 上記樹脂として熱溶融接着剤を用いることを
   特徴とする特許請求の範囲第１項記載の光フアイ
   バ心線接続部の補強方法。