JPH021872B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、プラスチツク板に表面保護用マスキ
ング紙を貼着してプラスチツク板の表面保護を行
なう方法に関し、更に詳述すれば、表面保護用マ
スキング紙を剥離除去した後も、貼着されたプラ
スチツク板に帯電防止能を持続させることのでき
るプラスチツク板の表面保護方法に関する。

従来の技術及び発明が解決しようとする問題点 従来より、一般にアクリル樹脂、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート等の合成
樹脂よりなるプラスチツク板は、輸送時や切断、
折曲等の加工取扱時にその表面に傷が付くのを防
止するため、紙基材の片面にポリビニルアルコー
ル等の水溶性接着剤を塗布した表面保護用のマス
キング紙を貼着してプラスチツク板の表面保護を
行なつている。

しかしながら、上記したような表面保護用マス
キング紙は、通常帯電防止処理がされておらず、
このため、表面保護用のマスキング紙をプラスチ
ツク板から剥離する際にプラスチツク板に静電気
が発生し、切削等の加工時に切削屑を吸着した
り、また周囲の塵埃を吸着したりして、プラスチ
ツク板の表面に損傷を与えることが多かった。

このため、マスキング紙製造時に水溶性糊剤等
の接着剤中に界面活性剤を添加配合することが提
案されており（特開昭58−191777号公報）、これ
によつてマスキング紙への帯電防止効果を与える
ことは知られているが、従来のこの種のマスキン
グ紙を用いたプラスチツク板の表面保護方法は、
マスキング紙を剥離除去したあとのプラスチツク
板に対する帯電防止効果が希薄なものであり、切
削等の加工時には依然として切削屑、塵埃等を吸
着し、これら吸着した切削屑や塵埃等によりプラ
スチツク板が損傷したり汚染されたりするなどの
欠点を有し、マスキング紙を剥離除去したあとの
プラスチツク板の表面保護が不十分であつた。

本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、
マスキング紙を剥離、除去した後もプラスチツク
板に帯電防止能を付与し持続させることのできる
表面保護用マスキング紙を用いたプラスチツク板
の表面保護方法を提供することを目的とする。

問題点を解決するための手段及び作用 即ち、本発明は上記目的を達成するため、鋭意
検討を行なった結果、マスキング紙のプラスチツ
ク板に貼着される接着剤層中に特定量、即ち接着
剤100重量部に対して100〜300重量部の帯電防止
剤を配合すると、このマスキング紙の接着剤層に
よりマスキング紙がプラスチツク板に貼着してプ
ラスチツク板の表面保護が行なえると共に、マス
キング紙を剥離、除去した時に接着剤層中に含ま
れる少なくとも一部の帯電防止剤がプラスチツク
板の表面に転着、残存して、マスキング紙を剥
離、除去した後もプラスチツク板に帯電防止能を
付与し持続させることができることを知見し、本
発明を完成するに至つたものである。

従つて、本発明はプラスチツク板の表面にマス
キング紙の接着剤層を貼着してプラスチツク板の
表面保護を行なう方法において、マスキング紙の
プラスチツク板に貼着される接着剤層中に帯電防
止剤を接着剤100重量部に対して100〜300重量部
の範囲で配合して、このマスキング紙の接着剤層
をプラスチツク板に貼着することによりプラスチ
ツク板の表面保護を行なうと共に、マスキング紙
を剥離、除去した時に接着剤層中に含まれる少な
くとも一部の帯電防止剤をプラスチツク板の表面
に転着、残存せしめてプラスチツク板の帯電防止
を行なうようにしたプラスチツク板の表面保護方
法を提供するものである。

以下、本発明のプラスチツク板の表面保護方法
につき更に詳しく説明する。

本発明のプラスチツク板の表面保護方法に用い
られる表面保護用マスキング紙は、紙基材の片面
に接着剤層を形成したものである。

ここで紙基材としては、重量20〜150g/m²程度
の未晒の両更クラフト紙、片艶クラフト紙、伸張
性クラフト紙、半晒や晒したクラフト紙、クレー
プ紙、上質紙等が利用できるが、米坪重量30〜50
g/m²程度の片艶クラフト紙を利用するのが、柔
柔性、平滑性等のマスキング紙としての性能面お
よび価格の点から見て最も好ましい。

また、接着剤層を形成する接着剤としてはポリ
酢酸ビニル部分けん化物、ポリビニルエーテル、
ポリビニルピロリドン等のビニル樹脂系接着剤、
メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等のセルロース
系接着剤、でんぷん、デキストリン等の天然の水
溶性接着剤、にかわ、ゼラチン、カゼイン等のた
ん白質系接着剤などが使用できるが、中でもポリ
酢酸ビニルけん化物、でんぷん、デキストリン、
カルボキシメチルセルロース等の水溶性糊剤がプ
ラスチツク板の表面に表面保護用マスキング紙を
貼着、剥離した後のマスキング紙の剥離性、プラ
スチツク板の表面性に優れているなどの点から好
ましい。

更に、接着剤層中に配合される帯電防止剤とし
ては、アニオン系、カチオン系、非イオン系等の
いずれのタイプの帯電防止剤をも使用できるが、
中でも上記接着剤として好適な水溶性糊剤との組
合せにおいて溶解性などに優れ、水溶性糊剤と適
合したアニオン系又はカチオン系の帯電防止剤が
好ましい。

この場合、マスキング紙剥離後のプラスチツク
板の被貼着面には10¹⁰〜10¹²Ω／cm²程度の表面抵
抗値を付与すれば良好な帯電防止性能を有するも
のであるが、プラスチツク板の表面からマスキン
グ紙を剥離した後も被貼着面に上記表面抵抗値を
与え、かつ接着剤層による合成樹脂等のプラスチ
ツク板へのマスキング紙の貼着を阻害せず、確実
にマスキング紙を貼着し、プラスチツク板を保護
するためには、帯電防止剤を接着剤100重量部に
対して100〜300重量部、好ましくは150〜250重量
部の範囲で配合する必要がある。帯電防止剤の前
記配合割合が100重量部未満であると、マスキン
グ紙の剥離後に被貼着面に帯電防止剤が十分転
着、残存せず、表面抵抗値も10¹³Ω／cm²以上とな
るので帯電防止性能の十分発揮されない場合があ
り、また300重量部を越えると表面抵抗値が10⁹
Ω／cm²以下となり、帯電防止性能は十分である
が、逆に転着した帯電防止剤が影響して塵埃を吸
着し、問題となる場合が生じるので、いずれの場
合においても本発明の目的に対して不適である。

これら接着剤、帯電防止剤を含む接着剤層の厚
さは必ずしも制限されないが、２〜20μｍ、特に
４〜10μｍとすることが好ましい。

本発明のプラスチツク板の表面保護方法は、上
述した表面保護用マスキング紙を用いて、これを
プラスチツク板に貼着、剥離することにより、マ
スキング紙を剥離、除去した時に接着剤層中に含
まれる少なくとも一部の帯電防止剤をプラスチツ
ク板の表面に転着、残存せしめて、マスキング紙
を剥離、除去した後もプラスチツク板に帯電防止
能を付与し接続させるものであるが、マスキング
紙の剥離、除去等の取扱い方法に関し特別な制限
はなく、通常のマスキング紙と同様にして取扱う
ことができる。

発明の効果 以上説明したように、本発明は表面保護用マス
キング紙のプラスチツク板に貼着される接着剤層
中に従来に比して大量の特定範囲の帯電防止剤を
配合して、このマスキング紙の接着剤層をプラス
チツク板に貼着してプラスチツク板の表面保護を
行ない、次いでマスキング紙の剥離、除去時に接
着剤層中に含まれる少なくとも一部の帯電防止剤
をプラスチツク板の表面に転着、残存させること
により、マスキング紙を剥離、除去した後のプラ
スチツク板の帯電が防止され、二次加工時などに
おいてもプラスチツク板に切削層、塵埃を吸着す
ることがなく、各種合成樹脂板、化粧板等の保護
に好適に採用される。

以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に制限されるもの
ではない。

〔実施例、比較例〕

紙基材として、米坪重量40ｇ／m²の片艶クラフ
ト紙の艶面に、接着剤として水溶液糊剤であるポ
リ酢酸ビニル部分けん化物（重合度1700、けん化
度88.0％）の10％水溶液300重量部を用い、これ
に帯電防止剤としてアニオン系の帯電防止剤（日
本油脂社製バーソフトＥＫ）を70重量部配合した
ものを約6.0g/ｍ^２の付着量となるようにロール
コーターで塗布して表面保護用マスキング紙を製
造した。

このマスキング紙を厚さ2.0mmのアクリル板に
蒸気を吹き付けながら貼着し、常温で７日間放置
したのち、マスキング紙を剥離、除去し、アクリ
ル板の表面抵抗値を測定したところ、その表面抵
抗値は、８×10¹⁰Ω／cm²程度であり、しばらく放
置しても塵埃を吸着することもなく、またこのア
クリル板を切削しても、切削屑を吸着することも
なかつた。

一方、比較のために帯電防止剤の配合量を接着
剤100重量部に対し30重量部及び400重量部とした
以外は上記マスキング紙と同様にして２種類のマ
スキング紙を製造し、同様の方法にして表面抵抗
値を測定し、また、塵埃及び切削屑の吸着性を評
価した。

その結果、比較例のマスキング紙剥離後の表面
抵抗値は、帯電防止剤の配合量が30重量部のもの
は３×10¹¹Ω／cm²程度、400重量部のものは５×
10⁸Ω／cm²程度であり、いずれも塵埃、切削等の
吸着等が認められた。

以上の結果から、本発明の方法によりプラスチ
ツク板の表面保護を行なつた場合には、マスキン
グ紙を剥離、除去した後も塵埃、切削屑を吸着す
ることなく表面保護性能が優れているのに対し、
比較例のプラスチツク板の表面保護方法は、マス
キング紙の接着剤層中の帯電防止剤の量が本発明
の範囲を外れている以外は本発明のプラスチツク
板の表面保護方法と同様であるにもかかわらず、
マスキング紙を剥離、除去した後に塵埃、切削層
が吸着しており、従つてマスキング紙を剥離、除
去した後の表面保護性能が劣っていることが知見
された。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ プラスチツク板の表面に表面保護用マスキン
   グ紙の接着剤層を貼着してプラスチツク板の表面
   保護を行なう方法において、マスキング板のプラ
   スチック板に貼着される接着剤層中に帯電防止剤
   を接着剤100重量部に対して100〜300重量部の範
   囲で配合して、このマスキング紙の接着剤層をプ
   ラスチツク板に貼着することによりプラスチツク
   板の表面保護を行なうと共に、マスキング紙を剥
   離除去した時に接着剤層中に含まれる少なくとも
   一部の帯電防止剤をプラスチツク板の表面に転
   着、残存せしめてプラスチツク板の帯電防止を行
   なうようにしたことを特徴とするプラスチツク板
   の表面保護方法。 ２ 接着剤が水溶性糊剤である特許請求の範囲第
   １項記載の表面保護方法。 ３ 帯電防止剤がアニオン系又はカチオン系の帯
   電防止剤である特許請求の範囲第１項又は第２項
   に記載の表面保護方法。