JPH0217359B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、主としてモノクロ熱転写方式または
カラー熱転写方式等に使用して好適な熱転写記録
用紙に関するもので、詳しくは表面に固体インキ
層を備えた転写体（以下インキリボンという）を
受容体（記録用紙）上に重ね合わせ、インキリボ
ンの背面からサーマルプリントヘツド（以下サー
マルヘツドという）と加圧ロールとにより、サー
マルヘツドをインキリボンに加圧接触させて加熱
する時に、サーマルヘツドの接触する固体インキ
部分を局部的に活性化させ、該活性化インキの熱
溶融による粘着性の増大と、前記加圧ロールによ
る加圧との相乗作用によりインキを効果的に対応
する記録用紙に転写させ、リボン剥離後の転写画
像の固着化を可能ならしめた熱転写記録用紙に係
るものである。 ＜従来の技術＞ 従来知られたこの種の熱転写記録用紙（以下転
写記録用紙という）には、印刷用紙、普通紙（一
般紙）、顔料塗工紙等々各種のものがあるが、そ
れらは転写記録用紙の基本的物性であるベツク平
滑度だけをみてもまちまちで、その範囲は50〜
700秒にも及び多様品質のものが常用されており、
例えばベツク平滑度を、200秒以上とする転写記
録用紙（特開昭59−187892号公報）が知られてい
る。 しかしながらかかる平滑度を得る加工処理は、
通常抄紙工程において抄紙機ラインに組込まれた
いわゆるオンマシンキヤレンダーによる方式また
は抄紙機ラインとは別に設置されたオフマシンキ
ヤレンダー方式によつて行われるが、平滑処理時
におけるコストを経済的面から考慮すると、前者
（オンマシン方式）は、後者（オフマシン方式）
に比べ総合的に格安につくが、得られた平滑度面
からすると、前者は後者に比し遥かに劣り、後者
が優秀である。 このようなことから高度の表面平滑な転写記録
用紙を得るには、後者による方法が一般に利用さ
れているのが実状である。 ＜発明が解決しようとする問題点＞ 前記のようにして得られた転写記録用紙は、平
滑処理前の原紙自体が印刷用紙、普通紙（一般
紙）、顔料塗工紙等々多種多様の品質のものが多
いために、これに平滑処理後転写記録用紙として
使用する場合、該記録用紙自体が品質的に保証さ
れていないために、例えば転写記録用紙へのイン
キの転移固着を左右する流体の浸透条件である濡
れ性および毛細管分布で適合性に欠けるものとな
り易いことから、熱転写プリント時にインキの転
移不良や画像のエツジ部分の乱れおよび紙面での
インキのおよぎ等の現象が発生し易くいわゆる画
像品質を著しく悪化させる結果となる。 さらにまた紙面の平滑処理に際し強力なキヤレ
ンダー処理を行うと紙面光沢が著しく高くなるた
め、熱転写記録後における画像部分の光沢が空白
部紙面の強光沢と相乗的に反映しあいギラツキと
なつて目に映り視感性を悪化させることとなる。 さらには、前記転写記録用紙とは別に、熱転写
記録方式で使用されるインキリボンは通常一旦記
録転写に用いられると、その再生が不可能となる
場合が多く、従つて熱転写記録における直接的な
ランニングコストは、当然インキリボンと転写記
録用紙とのコストがそのまま主要部分を占めるこ
ととなる。このためインキリボンの経済性に難点
のあることは忌めないが、これにもましてまず使
用する転写記録用紙の低価格であることが強く要
請されている。 ＜問題点を解決するための手段＞ ここにおいて本発明者は、上記の諸点に鑑み、
インキ画像の熱転写をより均一に行うことにより
定着画像の良品質の記録を可能ならしめるととも
に、転写記録用紙の自然性は勿論、熱転写プリン
ター機上における転写記録用紙の走行性を損うこ
とのない普通紙（一般紙）近似の低価格の転写記
録用紙を一般に提供すべく熱溶融インキの受容要
件を備えた転写記録用紙の製造について鋭意研究
の結果、特定の成分を含有させた紙に対しその表
面性を特定の範囲に規制することにより紙の自然
性を損うことのない転写記録用紙として熱転写に
よる画像品質の極めてすぐれた前記記録用紙の得
られることを見出し本発明を完成した。 すなわち本発明は、固体インキ層を備えた転写
体を受容体と重ね合わせ、転写体の背面からの加
熱により受容体上に画像を転写形成させる記録方
式において、前記受容体が顔料塗工紙を除く記録
用紙であつて、該顔料塗工紙を除く記録用紙がカ
チオン性乳化剤使用に基く低分子量のポリエチレ
ンエマルジヨンまたはワツクスエマルジヨンを含
有し、かつ記録用紙の表面ベツク平滑度が80〜
200秒で光沢度が15％以下である熱転写記録用紙
に関するものである。 ここに使用する低分子量のポリエチレンまたは
ワツクスを乳化するために用いられるカチオン性
乳化剤としては、例えばカチオン化澱粉、カチオ
ン性ポリエチレン、カチオン性ワツクス等のほか
充分に乳化の目的を達し得るものであれば、前記
乳化剤に限ることなく使用し得る。 しかして上記低分子量のポリエチレンおよびワ
ツクスはその融点が50〜80℃の範囲にあることが
実用上最良の結果が得られる。カチオン性ポリエ
チレンエマルジヨンまたはカチオン性ワツクスエ
マルジヨンは紙料に内添しても、あるいは紙匹に
サイズプレス等の装置で外添するようにしても前
記エマルジヨンを紙中に含有させることができ
る。その添加量は内添または外添のいずれを選択
するかによつて異なるが、紙の重量に対して２％
（重量：以下同じ）以下の添加で所望効果が得ら
れるが、好ましくは0.01〜1.0％である。この添
加はサイズプレスによつて外添することがよい。 紙の外観（自然性）、汎用性等を改善するため、
一般に用いられるクレー、タルク、チタン、炭酸
カルシウム、ホワイトカーボン等の顔料や各種サ
イズ剤、紙力増強剤、蛍光染料等を使用してもよ
く、それらは前記カチオン性エマルジヨンの熱転
写に及ぼす作用効果に対して何等根本的な障害と
はならない。 またインキリボンは、該リボンの固体インキ材
料としてカルナウバワツクス、エステルワツク
ス、オイルのほか顔料および染料を適宜の割合い
で配合して用いられ、加熱により流動化し、放熱
によつて急激短時間に固化するために、インキリ
ボンと重ね合わされた記録用紙にサーマルヘツド
を介して画像が熱転写されると、該画像は紙面に
転移し短時間で固化して所望画像を得る。 しかして上記において、熱転写画像は常に均一
転移することが必須条件であることから、適用す
る転写記録用紙について次の点を考慮する必要が
ある。 すなわち顔料塗工紙を除く普通紙等の転写用紙
の構成は、通常直径10〜30μのパルプ繊維の絡み
あいからなるために、プラスチツクシート（含フ
イルム）のような表面構成と異なり、極めて複雑
な毛細管分布から生ずる不均一な表面を形成して
いるものである。このため転写インキの浸透が不
均一となり易いことから、不均一な転写画像とな
るうらみがある。ここで転写用紙のうちで、顔料
塗工紙を除いたのは、顔料塗工紙はバインダーと
白色顔料との混合塗料を塗布するような二次加工
や、あるいはオフマシンで平滑処理するといつた
必要が生じ、製造上大幅なコスト高となるため、
あくまでも普通紙近似の低価格の熱転写記録用紙
を得るようにしたものである。 上記する不均一な転写画像の欠点を解消する手
段として、あらかじめ紙面にバインダーと白色顔
料との混合塗料を塗布すること、あるいはキヤレ
ンダーによる強圧処理により紙面を均一化するこ
とも考えられるが、かかる二次加工によるコスト
アツプがかさむばかりか、特に後者処理による紙
の自然性のそう失によつて必ずしも良好な方法と
はいえない。 そこで本発明は上記の点に関し、液体の浸透は
主として用紙を構成する毛細管の管径と、液体と
の濡れ性に関与した現象であるとの見地に立脚し
て、さらに研究を進めた結果、紙の自然性を失う
ことなく極めて短時間なインキの流動変化に対応
して良好な熱転写可能な転写記録用紙の得られる
ことを見出した。 すなわち加熱流動インキによる紙表面の濡れ性
を改良することで適度のキヤレンダー処理により
得られる紙の毛細管作用によつて短時間にして上
記インキを紙表面に浸透捕捉せしめ得ること、お
よび固体インキにアニオン系もしくはノニオン系
の物質を含有させることで構成されていることに
着目し、イオン反応による固着促進効果を併わせ
加工することにより非常に良好な転写記録用紙の
得られることを実験的に確認できた。 その結果としてカチオン性ポリエチレンエマル
ジヨンまたはワツクスエマルジヨンのもつ特性を
効果的に出現させることができ、インキの熱転写
に深く関与した紙加工が可能となり、所期する本
発明の目的達成に寄与できることが明確となつ
た。 しかし上記に関する因果関係は未だ究明の段階
に至つていないが、実験の経過および結果から考
察して次の如く推測される。 熱溶融性の物質を紙表面に含有させることで
紙表面層では加熱時共融現象が生じいわゆる表
面濡れ性を改善する効果がある。また、紙層内
部の熱伝導が比較的低い部分は共融現象が弱く
（少なく）従つて濡れ性の改良効果は少なく、
このためインキの浸透をはばむ結果となり、あ
る程度の均一性をもつた転写作用効果が得られ
る。 カチオン性の物質で処理することにより、イ
ンキ成分物質とイオン反応が生起し、より強い
固着現象が出現する。画像パターンの明瞭化お
よび、転写インキ濃度をより高くし、かつイン
キ層支持体からのインキ層剥離性を助長せしめ
る。 熱可塑性および滑り性があることにより、ベ
ツク平滑度80〜200秒の範囲と表面光沢度15％
以下での比較的軽いキヤレンダー処理条件にお
いて、過度に紙層を潰すことなく表面平滑性を
向上せしめ得る。このため印字に好適な表面性
と毛細管分布が得られ、さらには紙層のクツシ
ヨン性等の自然性が保たれて効果的に熱転移が
行われる。 本発明で選択する紙面光沢とは、光学的な物理
的特性である表面光沢が、原理的に一定面積への
入射光量に対して入射光軸に正反射する光量の比
を表わすものであり、従つて反射光は、その反射
面のミクロ粗さとマクロ粗さの両方をあわせて計
量する特性をいう。 このため熱転写記録における解像度が４〜10ド
ツト／mmであれば、そのドツトピツチは100〜
250μｍ程度となりいわゆるマクロ的な平滑領域
を問題とすることになる。 表面状態の平滑性を数値化する測定機器には、
例えばベツク平滑度計、スムースター平滑度計お
よび触針型表面あらさ計等があるが、マクロ的な
平滑部分の多大さを析出する手段として光沢計の
使用も合理性がある。 また、さらに熱転写記録の欠点となる記録紙面
の「ギラツキ」を改善するため、紙面光沢を極力
抑え、目の疲れない視感性の良い転写記録用紙に
ついて検討すると、JIS−P8142による表面光沢
度が15％以下であれば改善の効果が認められるこ
とおよびベツク平滑度と紙面光沢度とを併用評価
することにより転写記録用紙のインキ受容性およ
び事務用紙としての品質に関して熱転写に関連し
た基本的な物性部分を適性に評価し得るものであ
る。 ＜発明の効果＞ 本発明は、顔料塗工紙を除く記録用紙を対象と
し、これにカチオン性乳化剤使用に基く低分子量
のポリエチレンエマルジヨンまたはワツクスエマ
ルジヨンを含有せしめる点と、表面ベツク平滑度
が80〜200秒で、光沢度が15％以下とした点の組
み合わせに特徴を有するものであつて、このよう
な構成によつて、後記する表に示す転写性、画質
及び視感的ギラツキ度の各点において良好なもの
が同時に満足されるものであり、さらに具体的に
は、次の効果を遺憾なく発揮し、これが関係産業
分野に及ぼす実益は高く評価される。 (1) 転写記録用紙は前記の如く、ベツク平滑度80
〜200秒、紙面光沢度15％以下となるように加
工処理されているので、転写記録用紙として最
も望ましい特性すなわち、カチオン性エマルジ
ヨンの熱転写に及ぼす作用を理想的（効果的）
ならしめることができる。 (2) 熱溶融インキの熱転写が均一となり定着画像
品質のすぐれた画像（記録）が得られる。 (3) 転写記録用紙自体に所望する自然性を保持さ
せることができるので、熱転写時における視感
的障害も殆んどない。このため該用紙の取扱い
上は勿論、保管上からも有利である。 (4) 従つて紙面に所望平滑度を付与するために、
特別に高平滑処理するオフマシンキヤレンダー
を使用する必要もないので、製造コストの大巾
な低減が期待でき、しかも普通紙近似の低価格
の転写記録用紙として提供することができる。 (5) このため要多量情報処理分野における熱転写
記録方式に要した総合コストの節減ができるの
で本転写記録用紙の実用性と相俟つてその拡販
が期待できる。 ＜実施例＞ 以下、本発明の実施例および比較例について説
明する。 実施例 １ LBKP：NBKP＝９：１に配合した混合パル
プを常法により叩解処理（レフアイナー使用：以
下同じ）してC.S.F400mlに調成した紙料に硫酸バ
ンドを対パルプ2.0％（絶乾重量：以下同じ）、サ
イズ剤（コロパールＳ−20、星光化学工業社製）
を対パルプ0.2％およびタルク（大平タルク社製）
を対パルプ15％をそれぞれ添加混合した後長網抄
紙機によつて光坪量80ｇ／m²の紙を抄造するとと
もに、機内に配設したサイズプレスを介してカチ
オン性ポリエチレンエマルジヨン（メイカテツク
スPEC−10、明成化学社製）0.5％とカチオン化
デンプン（cato485、王子ナシヨナル社製）２％
とを含有する塗液を塗布し、オンマシンキヤレン
ダーにより表面ベツク平滑度が150秒、表面光沢
度が14％となるように仕上げ所望する転写記録用
紙を得た。 実施例 ２ 実施例１においてサイズプレス処理における塗
液組成中のカチオン性ポリエチレンエマルジヨン
に代えカチオン性ワツクスエマルジヨン（パラジ
ツトASP、明成化学社製）を同量用いた以外は
実施例１と同様にして転写記録用紙を得た。 実施例 ３ 実施例１においてオンマシンキヤレンダー処理
における塗工紙面のベツク平滑度を100秒、表面
光沢度を10％とした以外は実施例１と同様にして
転写記録用紙を得た。 比較例 １ 実施例１においてサイズレス処理における塗液
組成を酸化澱粉３％、PVA1％を含有する塗液に
変更しオンマシンキヤレンダー処理して表面ベツ
ク平滑度が50秒となるように仕上げた以外は実施
例１と同様にして転写記録用紙を得た。 比較例 ２ 比較例１においてオンマシンキヤレンダー処理
による表面平滑度をベツク平滑度が120秒となる
ように仕上げた以外は比較例１と同様にして転写
記録用紙を得た。 比較例 ３ 一般上質紙を原紙としてカオリンクレー40部
（重量：以下同じ）、ろう石クレー10部、炭酸カル
シウム10部、酸化澱粉20部およびSBRラテツク
ス10部からなる塗液をエア・ナイフコーターを介
して乾燥後の塗布量が５ｇ／m²となるように塗布
し、次いてスーパーキヤレンダーにより表面ベツ
ク平滑度が400秒となるように仕上げ転写記録用
紙を得た。 比較例 ４ 比較例３においてスーパーキヤレンダー処理条
件を変更し、表面ベツク平滑度が100秒となるよ
うに仕上げた以外は比較例３と同様にして転写記
録用紙を得た。 比較例 ５ 実施例においてサイズプレス処理における塗液
組成中のカチオン性ポリエチレンエマルジヨンに
代えノニオン性ポリエチレンエマルジヨン（メイ
カテツクスPEN−Ｏ、明成化学社製）を同量用
いた以外は実施例１と同様にして転写記録用紙を
得た。 次いで上記実施例および比較例で得られた転写
記録用紙のそれぞれから複数枚の供試体（300mm
×300mm程度）を作成し、該供試体について熱転
写後の品質評価を次の方法で行ない次表に示すよ
うな満足すべき結果を得た。 顔料20％、カルナウバワツクス20％、エステル
ワツクス20％、オイル20％を含むインキ成分を塗
布したインキリボンを用いた熱転写記録装置を介
して供試体に転写記録し、記録後の転写性、画像
のシヤープ性、色調（単色、重ね色（混合色）部
の濃度および視感的色相）並びにギラツキ度合い
を視感的に評価した。 【表】

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 固体インキ層を備えた転写体を受容体と重ね
   合わせ、転写体の背面からの加熱により受容体上
   に画像を転写形成させる記録方式において、前記
   受容体が顔料塗工紙を除く記録用紙であつて、該
   顔料塗工紙を除く記録用紙がカチオン性乳化剤使
   用に基く低分子量のポリエチレンエマルジヨンま
   たはワツクスエマルジヨンを含有し、かつ顔料塗
   工紙を除く記録用紙の表面ベツク平滑度（JIS−
   P8119による）が80〜200秒で光沢度（JIS−
   P8142による）が15％以下であることを特徴とす
   る熱転写記録用紙。