JPH08276675A - 溶融型熱転写記録用受像紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱溶融インク型の熱転写記録方式を利用した
複写機、プリンター、ファクシミリ等で使用され、フル
カラーにおける記録画像が高画質の受像紙で、インクの
転写受理性、再現性、定着性、階調性、鮮鋭性（ドット
の滲み、ブリッジング）が良好な受像紙を提供する。 【構成】 基紙上に接着剤と顔料を主成分とし熱溶融性
インクを受容する受像層を設けた熱転写記録受像紙にお
いて、該顔料中に、アスペクト比〔長軸寸法（Ｌ）／短
軸寸法（Ｗ）〕が1.2 〜3.0 で、かつ平均粒子径が0.5
〜3.0 μｍの樽状軽質炭酸カルシウムを60〜100 重量％
含有せしめた溶融型熱転写記録受像紙。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱溶融インク型の熱転
写記録方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミ
リ等で使用される受像紙に関し、特にフルカラーにおけ
るインク受理性に優れ、記録画像が高画質である溶融型
熱転写記録用受像紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年ＯＡ化の進展に伴い、電子写真方式
や熱転写記録方式等の各種記録方式を利用した複写機や
プリンター、ファクシミリ等が、それぞれの用途に応じ
て広く用いられるようになっている。この画像形成には
有色の色材が用いられ、通常は色材を加熱により溶融、
蒸発、昇華させて紙やフィルムシート等の記録媒体の上
に転移させて粘着、吸着、染着作用により記録画像を得
ている。

【０００３】この種の記録方式の中で、熱溶融性インク
層を有するインクリボンやインクシートをサーマルヘッ
ドの発熱により溶融させ、色材を記録媒体に転移させて
記録像を得る熱溶融インク型の熱転写記録方式が最近注
目されている。そしてこの方式は、記録用受像紙として
普通紙を利用できることが特徴とされている。

【０００４】しかし、この熱転写記録方式にも、他の記
録方式と同様にフルカラー記録、高速記録、鮮明画像、
高解像度化等の要望が強くなり、普通紙では満足できな
くなってきた。例えばカラー熱転写プリンター等で多色
記録を行う場合にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラ
ック等の色材とワックス類や樹脂類等を有するインクリ
ボンと記録媒体を組合せ、サーマルヘッドで印加して記
録媒体上に転写像を形成する。フルカラーの多色記録の
場合は各色のインクが重なり合うために、記録用受像紙
として普通紙を用いると受像層表面の平滑性やインク受
理性に起因して、転写ムラやドット抜け等の欠点が生じ
易く難点となる。

【０００５】上記のような欠点を改良する方法として、
記録用受像紙表面のベック平滑度を特定したり、特定の
顔料やバインダーを含有する熱転写受像層を設けること
等が行われている。しかし、これら従来の方法は改良効
果がある程度認められるが、多色記録のカラーインクの
重なり部における転写ムラや色ズレ、あるいは転写イン
クドットの抜けやドット形状の再現性不良等による、画
像鮮明性の低下等は完全には解消されていない。従っ
て、単にキャレンダー処理等を強化して平滑性を高めた
り、熱転写受像層に顔料やバインダーを含有させるだけ
では不十分であり、上記欠点を解消してインクの転写性
やドット再現性に優れ、高画質の記録画像が得られる溶
融型熱転写記録用受像紙は未だに得られていないのが実
状である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶融型熱転
写記録方式に用いる受像紙に関し、特にインクの転写受
理性、再現性、定着性、階調性、鮮鋭性（ドットの滲
み、ブリッジング）に優れ、高品位で高画質な記録画像
が得られる溶融型熱転写記録用受像紙を提供する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の溶融型熱転写記
録受像紙は、基紙上に接着剤と顔料を主成分とし熱溶融
性インクを受容する受像層を設けた熱転写記録受像紙に
おいて、該顔料中に、アスペクト比〔長軸寸法（Ｌ）／
短軸寸法（Ｗ）〕が1.2 〜3.0 で、かつ平均粒子径が0.
5 〜3.0 μｍの樽状軽質炭酸カルシウムを60〜100 重量
％含有せしめたことを特徴とするものである。

【０００８】本発明の溶融型熱転写記録受像紙におい
て、前記基紙が下記式（１）及び（２）を同時に満足す
るパルプ繊維を50重量％以上含有し、かつ受像層が設け
られる側の基紙表面において、JIS-P-8119に基づくベッ
ク平滑度が50〜150 秒であることが好ましい。 （１） 0.3 ≦ Ｌ ≦1.0 （２） 0.3 ≦ｗ／Ｗ≦0.8 Ｌ；J.TAPPI No.52 に基づく長さ加重平均繊維長（ｍ
ｍ） ｗ；顕微鏡写真法で測定した平均ルーメン径（μｍ） Ｗ；顕微鏡写真法で測定した平均繊維径（μｍ） さらに本発明の溶融型熱転写記録受像紙は、前記受像層
表面において、JIS-P-8119に基づくベック平滑度が300
〜1000秒であることが好ましい。

【０００９】

【作用】本発明の溶融型熱転写記録用受像紙において
は、受像層の顔料成分としてアスペクト比が1.2 〜3.0
で、かつ平均粒子径が0.5 〜3.0 μｍの樽状軽質炭酸カ
ルシウムを60〜100 重量％用いることを特徴とし、公知
技術からは到底予測もできないような効果が得られ、特
にインクの受理性に優れ、転写ムラ、ドット抜け、ドッ
ト滲み、ドットのブリッジングなどがなく、高画質で高
品位な受像紙が得られることを見出した。ここで、アス
ペクト比〔長軸寸法（Ｌ）／短軸寸法（Ｗ）〕は、電子
顕微鏡による観察を基にパルプ繊維の長軸寸法（Ｌ）お
よび短軸寸法（Ｗ）を求めて算出したものである。また
平均粒子径は SK LASER MICRON SIZERPRO-7000S（セイ
シン企業社製) にて測定した値である。

【００１０】一般に、炭酸カルシウムは大きく分けて重
質炭酸カルシウムと、軽質（沈降性）炭酸カルシウムに
分けられる。重質炭酸カルシウムは天然に産出する石灰
石を乾式又は湿式で粉砕して得られ、粒径とその分布は
粉砕条件によって制御される。また軽質炭酸カルシウム
は生石灰を水に溶解し、その中に炭酸ガスを吹き込み反
応させて得ることができ、その粒子形状、粒径やその分
布、および結晶形などは、反応条件によって変化させる
ことができる。軽質炭酸カルシウムの結晶形には、カル
サイト（六方晶形）、アラゴナイト（斜方晶形）、バテ
ライト（六方晶形）の３種類がある。これらの中でバテ
ライトは、結晶が不安定なため工業的にはほとんど用い
られておらず、アラゴナイトは細長い柱状である。カル
サイト結晶には、各種の形状の１次粒子があり、さら
に、１次粒子が凝集あるいは融着して２次粒子の形状を
保つものもある。本発明で用いられる樽状軽質炭酸カル
シウムは、六方晶形のカルサイト結晶に属し、１次粒子
の形状が樽状であり、前記特定のアスペクト比および平
均粒子径を有するものである。

【００１１】インクの受理性は、主に受像層のインクの
吸収性並びに平滑性に依存するが、インクの吸収性の為
には、受像層の空隙が多い方が有利であり、アスペクト
比が1.2 未満或は3.0 を越えるような形状の顔料では、
空隙が少なく、インクの吸収性に劣る。また、インクの
転写性には、受像層表面の平滑性の高い方が有利であ
り、平均粒子径が3.0 μｍを越える顔料では、平滑性が
低くなり、インクの転写性が劣る。また、0.5 μｍ未満
では、受像層表面の平滑性は高くなるが、受像層の空隙
が小さくなり、インクの吸収性が劣る。樽状軽質炭酸カ
ルシウムの含有量は、受像層に含まれる顔料成分の60〜
100 重量％、好ましくは80〜100 重量％である。樽状軽
質炭酸カルシウム含有量は、60重量％より少ないとイン
クの受理性が十分でなくなり、本発明の所望とする画像
が得られない。

【００１２】本発明の受像層を形成する顔料としては、
上記の樽状軽質炭酸カルシウムが主体として用いられる
わけであるが、一般の塗工紙に用いられる様な各種の顔
料、例えばカオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、二酸化チタン、タルク、酸化亜鉛、
アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ、ベントナイト、
ゼオライト、セリサイト等の鉱物質顔料や、ポリスチレ
ン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂等の有
機顔料を併用することもできる。受像層中における全顔
料の配合割合は、60〜95重量％程度である。

【００１３】なお、受像層に使用される接着剤として
は、水溶性あるいは水分散性の高分子化合物が用いら
れ、例えばカチオン性澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素
変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エ−テル
化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチ
ン、カゼイン、大豆蛋白、天然ゴム等の天然あるいは半
合成高分子化合物、ポリビニルアルコール、イソプレ
ン、ネオプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポ
リブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリエ
チレン等のポリアルケン類、ビニルハライド、酢酸ビニ
ル、スチレン、（メタ）アクリル酸、（メタ）アクリル
酸エステル、（メタ）アクリルアミド、メチルビニルエ
ーテル等のビニル系重合体や共重合体類、スチレン−ブ
タジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系等の
合成ゴムラテックス、ポリウレタン樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリアミド樹脂、オレフィン−無水マレイン酸樹
脂、メラミン樹脂等の合成高分子化合物等が例示でき
る。そして、これらの中から溶融型熱転写受像紙の品質
目標に応じて１種あるいは２種以上が適宜選択して使用
される。

【００１４】上記接着剤の配合割合は、顔料100 重量％
に対して5 〜40重量％の範囲である。因に、5 重量％未
満では、受像層の表面強度が弱く、ドットの形状的な欠
損が発生するといった問題がある、一方、40重量％を越
えると、本発明で用いた樽状軽質炭酸カルシウムの空隙
が埋められてしまい、インクの受理性が著しく低下し、
本発明の所望とする画像を得ることができない。

【００１５】この塗被液中には、これらの他に各種助
剤、例えば界面活性剤、ｐＨ調節剤、粘度調節剤、柔軟
剤、光沢付与剤、ワックス類、分散剤、流動変性剤、導
電防止剤、安定化剤、帯電防止剤、架橋剤、サイズ剤、
蛍光増白剤、着色剤、紫外線吸収剤、消泡剤、耐水化
剤、可塑剤、滑剤、防腐剤、香料等が必要に応じて適宜
使用することも可能である。

【００１６】受像層用塗被液の塗布量については、本発
明の受像紙の使用目的に応じて選択されるものである
が、一般的には、原紙表面の繊維を完全に覆う程度が必
要であり、乾燥重量で片面当たり6 〜20g/ｍ² が適当で
ある。受像層を形成する塗被方法としては一般に公知の
塗被装置、例えばブレードコータ、エヤーナイフコー
タ、ロールコータ、リバースロールコータ、バーコー
タ、カーテンコータ、ダイスロットコータ、グラビアコ
ータ、チャンプレックスコータ、ブラシコータ、ツーロ
ールあるいはメータリングブレード式のサイズプレスコ
ータ、ビルブレードコータ、ショートドウェルコータ、
ゲートロールコータ等の装置が適宜用いられる。これら
の装置はオンマシンコータあるいはオフマシンコータと
して慣用の方法で用いられる。

【００１７】受像層を形成するに当たり、受像層を１
層、あるいは必要に応じて２層以上の多層構造にするこ
とも可能である。なお、多層構造にする場合、各々の塗
被液が同一である必要はなく、所要の品質レベルに応じ
て適宜調整して配合されればよく、特に限定されるもの
ではない。また、支持体の裏面に合成樹脂層や、顔料と
接着剤等からなる塗被層、帯電防止層等を設けてカール
防止、印刷適性付与、給配紙適性等を付与することも可
能である。さらに、支持体の裏面に種々の加工、例えば
粘着、磁性、難燃、耐熱、耐水、耐油、防滑等の後加工
を施すことにより、用途適性を付加して使用することも
勿論可能である。

【００１８】本発明の溶融型熱転写記録用受像紙におい
て受像層表面は、通常の乾燥工程や表面処理工程等で平
滑化処理されて、水分が 3〜10重量％、より好ましくは
4〜8 重量％程度となるように調整して仕上げられる。
なお、受像層表面の平滑化処理を施す際に、JIS-P-8119
に基づくベック平滑度(10ml 換算) を300 〜1000秒に調
整することにより、より一層高品位な記録画像が得られ
る。ベック平滑度が300 秒未満では、ドットの欠けなど
を生じ易く、インクの転写性などの再現性が著しく低下
する。一方、1000秒を越えるような必要以上の平滑化処
理を行うと、本発明の樽状軽質炭酸カルシウムによって
形成された適度な空隙が減少し、インクの受容性が低下
する。

【００１９】また、溶融型熱転写記録用受像紙を平滑化
処理する際は、通常のスーパーキャレンダー、グロスキ
ャレンダー、ソフトキャレンダー等の平滑化処理装置が
使用される。適宜オンマシンやオフマシンで行われ、加
圧装置の形態、加圧ニップの数等も通常の平滑化処理装
置に準じて適宜選択される。

【００２０】本発明の所望のインク受理性に優れた受像
紙を得るためには、熱ヘッドと受像層とが接触し易いよ
うにクッション性に優れ、また熱ヘッドの熱を有効に活
用するために断熱性の高い基紙を選択することも重要で
ある。基紙のクッション性並びに断熱性は、紙の原料で
あるパルプの種類、その製造方法、叩解機の種類及び処
理条件、添加薬品、抄造方法等により変化する。この
内、原料パルプの種類と性質は特に重要である。例え
ば、受像層塗工後のスーパーカレンダー等による処理の
みでは、受像層表面の平滑化は成されるものの、原料パ
ルプの種類と性質によっては、いくらカレンダー処理を
強化しても、インクの転写性やドット再現性の良好な受
像紙が得られないという問題がある。

【００２１】基紙を構成する原料パルプ繊維の性質や配
合量が、基紙のクッション性並びに断熱性に関係し、こ
れが、インクの転写性並びにドット再現性に影響を及ぼ
す。具体的には、基紙が下記式（１）及び（２）を同時
に満たすパルプ繊維を50重量％以上含有し、かつ受像層
が設けられる側の基紙表面において、JIS-P-8119に基づ
くベック平滑度(10ml 換算) が50〜150 秒である基紙を
用いることが好ましい。 （１） 0.3 ≦ Ｌ ≦1.0 （２） 0.3 ≦ｗ／Ｗ≦0.8 Ｌ；J.TAPPI No.52 に定める方法で測定した長さ加重平
均繊維長（ｍｍ） ｗ；顕微鏡写真法にて測定した平均ルーメン径（μｍ） Ｗ；顕微鏡写真法にて測定した平均繊維径（μｍ）

【００２２】本発明の基紙において、50重量％以上を占
めるパルプ繊維は上記の条件を満たすことが望ましい
が、パルプ繊維の長さ加重平均繊維長（以下、Ｌ値）が
1.0 ｍｍを越えると、抄紙工程での紙料の分散性が不良
となり、良好な地合が得られず紙面の平滑性は低下す
る。一方、Ｌ値が0.3 ｍｍ未満になると、紙層間強度が
極端に弱くなってしまう。そのため、Ｌ値は好ましくは
0.3 〜1.0 ｍｍ、より好ましくは0.35〜0.85ｍｍであ
る。また上記条件のｗ／Ｗ比が0.8 を越える場合、繊維
が柔らかくなり過ぎて、基紙のクッション性は高いが繊
維が潰れてしまうため、空隙が少なくなり断熱性が失わ
れ、本発明の所望とするインク転写性並びにドット再現
性に優れた受像紙を得ることが出来ない。他方、ｗ／Ｗ
比が0.3 未満になると繊維が硬くなり過ぎて、基紙の空
隙が増加し、断熱性は高くなるが、クッション性が低下
してしまう。

【００２３】基紙の平滑性は、受容層が設けられる側の
基紙の表面において、ベック平滑度が50〜150 秒である
ことが望ましく、50秒未満であると、表面の凹凸を被覆
するために受容層を余分に厚くする必要があり、また十
分に被覆しても断熱性が部分的に異なるため良好な画像
を得ることが出来ない。一方、150 秒を越える場合は、
基紙表面の平滑性が高すぎて、コーティング時にストリ
ーク等の操業面での問題が生じる。

【００２４】なお、紙料中にはパルプ繊維や填料の他
に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から
使用されている各種のアニオン性、ノニオン性、カチオ
ン性あるいは、両性の歩留向上剤、濾水性向上剤、紙力
増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤が必要に応じ
て適宣選択して使用される。なお、染料、蛍光増白剤、
ｐＨ調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライム
コントロール剤等の抄紙用内添助剤を紙の用途に応じて
適宣添加する。

【００２５】抄紙方法については特に限定されず、例え
ば抄紙ｐＨが4.5 付近である酸性抄紙法、炭酸カルシウ
ム等のアルカリ性填料を主成分として含み抄紙ｐＨを約
6 の弱酸性〜約9 の弱アルカリ性とする中性抄紙法等全
ての抄紙方法に適用することができ、抄紙機も長網抄紙
機、ツインワイヤー抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙
機を適宣使用できる。

【００２６】

【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが，勿論、それらの範囲に限定されるもので
ない。なお、例中の「部」及び「％」は特に断わらない
限り、「重量部」及び「重量％」を示す。

【００２７】実施例１ 〔基紙の調製〕原料パルプとしてＬＢＫＰ（L 値＝0.52
mm，w/W ＝0.57、フリーネス（ＣＳＦ）＝480ml)100 部
を用いたパルプスラリーに、填料としてタルク20部、ロ
ジンエマルジョンサイズ剤1.5 部、硫酸バンド2 部を添
加し、これらの混合物を白水で希釈してｐＨ 5.3、固形
分濃度1.1 ％の紙料を調製した。この紙料を長網抄紙機
を用いて抄紙し、次いで酸化澱粉（商品名：エースＡ、
王子コーンスターチ社製）と軽質炭酸カルシウム（商品
名：ＴＰ−１２１、奥多摩工業社製）を混合（混合比1
：2 ）して得たサイズプレス液を、塗布量が乾燥重量
で4.0 g/ｍ² となるようにサイズプレス装置で塗布し、
乾燥させてマシーンキャレンダーで表面側のベック平滑
度が８０秒となるように平滑化処理し、米坪が97g/ｍ²
の基紙を得た。 〔受像層塗被液の調製と塗布〕顔料として樽状軽質炭酸
カルシウム（平均粒子径1.6 μｍ、アスペクト比1.5、
商品名：ＰＰ−５００Ｄ、米庄石灰工業社製）100 部を
用い、分散剤としてポリアクリル酸ソーダ（商品名 :ア
ロンＡ−９、東亜合成社製）を0.5 部を加え、コーレス
分散機を使用して水分散し、顔料スラリーを調製した。
この顔料スラリーにポリビニルアルコール12部、スチレ
ンーブタジエン共重合体ラテックス１部を添加、撹拌
し、さらに水を加えて、固形分濃度が50重量％の塗被液
を調製した。 〔受像層の形成〕得られた塗被液を上記の基紙の表面側
に乾燥重量で15g/ｍ² となるようにバーコータを用いて
塗被し、乾燥後、金属ロールと弾性ロールで構成された
加圧ニップに通紙して受像層表面のベック平滑度が500
秒になるよう調製して、米坪が112 g/ｍ² の溶融型熱転
写記録用受像紙を得た。

【００２８】実施例２ 実施例１の受像層の塗被液の調製において、顔料として
樽状軽質炭酸カルシウム（平均粒子径0.5 μｍ、アスペ
クト比1.8 、商品名：ＰＥ−５００、米庄石灰工業社
製）100 部を用いた以外は、実施例１と同様にして溶融
型熱転写受像紙を得た。

【００２９】実施例３ 実施例１の受像層の塗被液の調製において、顔料として
樽状軽質炭酸カルシウム（平均粒子径1.6 μｍ、アスペ
クト比1.5 、商品名：ＰＰ−５００Ｄ、米庄石灰工業社
製）８５部と焼成カオリン（商品名：アンシレックス、
エンゲルハード社製）１５部を併用した以外は、実施例
１と同様にして溶融型熱転写受像紙を得た。

【００３０】実施例４ 実施例１の受像層の塗被液の調製において、顔料として
樽状軽質炭酸カルシウム（平均粒子径1.6 μｍ、アスペ
クト比1.5 、商品名：ＰＰ−５００Ｄ、米庄石灰工業社
製）６５部と焼成カオリン（商品名：アンシレックス、
エンゲルハード社製）３５部を併用した以外は、実施例
１と同様にして溶融型熱転写受像紙を得た。

【００３１】実施例５及び６ 実施例１の受像層の形成において、受像層表面のベック
平滑度を各々、350 秒（実施例５）、および900 秒（実
施例６）に調整した以外は、実施例１と同様にして溶融
型熱転写受像紙を得た。

【００３２】実施例７及び８ 実施例１の受像層の形成において、受像層表面のベック
平滑度を各々、200 秒（実施例７）、および1200秒（実
施例８）に調整した以外は、実施例１と同様にして溶融
型熱転写受像紙を得た。

【００３３】実施例９ 実施例１の基紙の調製において、原料パルプとしてＬＢ
ＫＰ（L 値＝0.40ｍｍ、w/W ＝0.70） 100部を用いて調
製した以外は、実施例１と同様にして溶融型熱転写記録
用受像紙を得た。

【００３４】実施例１０ 実施例１の基紙の調製において、原料パルプとしてＬＢ
ＫＰ（L 値＝0.85ｍｍ、w/W ＝0.35） 100部を用いて調
製した以外は、実施例１と同様にして溶融型熱転写記録
用受像紙を得た。

【００３５】実施例１１及び１２ 実施例１の基紙の調製において、マシーンキャレンダー
での平滑化処理を基紙の表面側のベック平滑度が、それ
ぞれ、３０秒（実施例１１）、および１３０秒（実施例
１２）となるように調整した以外は、実施例１と同様に
して溶融型熱転写記録用受像紙を得た。

【００３６】実施例１３ 実施例１の基紙の調製において、原料パルプとしてＬＢ
ＫＰ（L 値＝1.20ｍｍ、w/W ＝0.61）100 部を用いて調
製した以外は、実施例１と同様にして溶融型熱転写記録
用受像紙を得た。

【００３７】実施例１４ 実施例１の基紙の調製において、原料パルプとしてＬＢ
ＫＰ（L 値＝0.55ｍｍ、w/W ＝0.20）100 部を用いて調
製した以外は、実施例１と同様にして溶融型熱転写記録
用受像紙を得た。

【００３８】実施例１５ 実施例１の基紙の調製において、原料パルプとしてＬＢ
ＫＰ（L 値＝0.58ｍｍ、w/W ＝1.00）100 部を用いて調
製した以外は、実施例１と同様にして溶融型熱転写記録
用受像紙を得た。

【００３９】比較例１〜３ 実施例１の受像層の塗被液の調製において、顔料として
それぞれ、角状軽質炭酸カルシウム（平均粒子径0.5 μ
ｍ、アスペクト比1.0 、商品名：ＴＰ−２２２ＨＳ、奥
多摩工業社製）（比較例１）、柱状軽質炭酸カルシウム
（平均粒子径0.5 μｍ、アスペクト 比6 、商品名：Ｔ
Ｐ−１２３ｃｓ、奥多摩工業社製）（比較例２）、紡錘
状軽質炭酸カルシウム（平均粒子径1.5 μｍ、アスペク
ト比3.3、商品名：ＴＰ−１２１、奥多摩工業社製）
（比較例３）を用いた以外は、実施例１と同様にして溶
融型熱転写受像紙を得た。

【００４０】比較例４ 実施例１の受像層の塗被液の調製において、顔料として
樽状軽質炭酸カルシウム（平均粒子径1.6 μｍ、アスペ
クト比1.5 、商品名：ＰＰ−５００Ｄ、米庄石灰工業社
製）５０部と焼成カオリン（商品名：アンシレックス、
エンゲルハード社製）５０部を併用した以外は、実施例
１と同様にして溶融型熱転写受像紙を得た。

【００４１】上記、得られた熱転写記録用受像紙につい
て、市販の熱転写カラープリンターCH-4104 （セイコー
電子工業社製）を用いて画像記録テストを行い、それぞ
れ下記の方法により測定および品質評価を行い、それら
の結果を表１に示した。

【００４２】記録画像面のドット再現性の評価 記録画像面の１色（シアン）網点部をドットアナライザ
ー（DA−3000）により30倍に拡大し、ドットの抜けやシ
ャープ性（太りまたは細り）の程度を下記の基準で目視
評価した。 ◎：ドットの抜けや太りまたは細りは全くなく、実用上
極めて優れている。 ○：ドットの抜けや太りまたは細りは殆どなく、実用上
問題ない。 △：ドットの抜けや太りまたは細りがかなりあり、実用
には不十分。 ×：ドットの抜けや太りまたは細りが多く、実用には適
さない。

【００４３】２色重ね印字画像の評価 重ね印字記録適性の評価として、１色目にシアンを網点
印字し、その上に重ねて２色目にマゼンタの網点印字を
行い、得られた印字画像の２色重ね部をドットアナライ
ザー（DA−3000）により30倍に拡大し、１色目シアンの
ドット形状変化について、太りまたは細りの程度を下記
の基準で目視評価した。 ◎：１色目のドットの太りまたは細りは全くなく、実用
上極めて優れている。 ○：１色目のドットの太りまたは細りが僅かにあるが、
実用上問題ない。 △：１色目のドットの太りまたは細りがかなりあり、実
用には不十分。 ×：１色目のドットの太りまたは細りが著しく、実用に
は適さない。

【００４４】記録画像の画像品位の評価 フルカラー記録画像について、色重ね（３色）部分の記
録画像の品位を下記の基準で目視にて総合評価した。 ◎：色ズレや濃淡ムラがなく非常に鮮明な画像で画像品
位が優れている。 ○：色ズレや濃淡ムラが殆どなく鮮明な画像で画像品位
が良好である。 △：色ズレや濃淡ムラが認められ画像にやや冴えがなく
画像品位が僅かに劣る。 ×：色ズレや濃淡ムラが認められ画像に冴えがなく画像
品位が劣る。

【００４５】

【表１】

【００４６】

【発明の効果】本発明により、記録画像のドットの滲み
や抜けがなく、ドットの再現性に優れ、フルカラー用途
として転写濃度が高くかつ高品位な画像を受容すること
ができる新規な溶融型熱転写受像紙を得ることが可能と
なった。このような性能を有する受像紙は、実用上極め
て有用なものである。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基紙上に接着剤と顔料を主成分とし熱溶
   融性インクを受容する受像層を設けた熱転写記録受像紙
   において、該顔料中に、アスペクト比〔長軸寸法（Ｌ）
   ／短軸寸法（Ｗ）〕が1.2 〜3.0 で、かつ平均粒子径が
   0.5 〜3.0 μｍの樽状軽質炭酸カルシウムを60〜100 重
   量％含有せしめたことを特徴とする溶融型熱転写記録受
   像紙。
2. 【請求項２】 前記基紙が下記式（１）及び（２）を同
   時に満足するパルプ繊維を50重量％以上含有し、かつ受
   像層が設けられる側の基紙表面において、JIS-P-8119に
   基づくベック平滑度が50〜150 秒である請求項１記載の
   溶融型熱転写記録受像紙。 （１） 0.3 ≦ Ｌ ≦1.0 （２） 0.3 ≦ｗ／Ｗ≦0.8 Ｌ；J.TAPPI No.52 に基づく長さ加重平均繊維長（ｍ
   ｍ） ｗ；顕微鏡写真法で測定した平均ルーメン径（μｍ） Ｗ；顕微鏡写真法で測定した平均繊維径（μｍ）
3. 【請求項３】 前記受像層表面において、JIS-P-8119に
   基づくベック平滑度が300 〜1000秒である請求項１また
   は２記載の溶融型熱転写記録受像紙。