JPH021459Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、第１および第２バンクのシリンダヘ
ツドにそれぞれ２本のカムシヤフトが配設されて
いるＶ型エンジンの補機駆動装置に関する。

（従来の技術） 従来、Ｖ型エンジンにおいて、そのクランクシ
ヤフトによつて回転駆動されるエンジン補機を左
右両バンクの間に形成されるＶ形の空間部に配置
したり、特開昭55−114845号公報に示されるよう
に、一方のバンクを他方のバンクに対してクラン
クシヤフトの軸方向にずらせることにより、前記
一方のバンクの前方と他方のバンクの後方とに空
間部を形成し、この両空間部にクランクシヤフト
で駆動されるエンジン補機を振り分けて配設した
りすることによつて、エンジンの全体形状を小さ
くすることは知られている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述した構造のＶ型エンジンで
は、エンジン補機が駆動される駆動部を設けるた
めにクランクシヤフトおよびカムシヤフトをエン
ジンに対して前方および後方に延長する必要があ
り、それだけエンジンの全長が長くなるので、エ
ンジンの全体形状は実質的にはあまり小さくなつ
ていない。

本考案は、エンジンの全長を長くすることな
く、補機の駆動ができ、コンパクト化が図れるＶ
型エンジンの補機駆動装置を提供することを目的
とするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は、上記目的を達成するために、第１お
よび第２バンクのシリンダヘツドにそれぞれ２本
のカムシヤフトが配設され、該各カムシヤフトを
クランクシヤフトにそれらの端部付近においてタ
イミングベルトを介して連係するとともに、第２
バンクのシリンダを第１バンクのシリンダよりも
前記端部から離隔するようにクランクシヤフトの
軸方向にずらせて配置し、第２バンクのカムシヤ
フトに設けられたプーリと第２バンク端部との間
にデツドスペースを有するＶ型エンジンを前提と
し、第２バンクのカムシヤフトの端部に設けたタ
イミングプーリ内方のデツドスペース内の一方の
カムシヤフトに、クランクシヤフトの回転と同期
した回転を要する補機の駆動部が設けられ、か
つ、第２バンクの一方のカムシヤフトと他方のカ
ムシヤフトとの間に上記デツドスペース内に、一
方のカムシヤフトの駆動部で駆動される上記補機
の駆動部材が配設され、該一方のカムシヤフトの
タイミングプーリは第２バンクにおいてタイミン
グベルトが最も張る位置の端部に設けられたプー
リであることを特徴とするものである。

ここで、補機は、カム軸により駆動されるもの
で、デイストリビユータ、インジエクシヨンポン
プ（デイーゼルエンジン）などがある。

（作用） 第２バンクのカムシヤフトの端部に設けたタイ
ミングプーリ内方のデツドスペースである空間部
を利用して補機駆動部を配設しているので、補機
駆動部を設けるためにエンジンを大きくする必要
がない。

また、タイミングベルトの最も張るタイミング
プーリを端部に有するカムシヤフトにて駆動され
るので、タイミングベルトの弛みなどの影響を受
けることなく、補機駆動の応答性がよく、補機の
クランクシヤフトとの回転同期精度もよい。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図および第２図に示すDOHC方式のＶ型
エンジン１は、Ｖ字状に左右に配設された第１お
よび第２バンク２，３を有し、しかしてそのシリ
ンダブロツク４の下面にオイルパン５が取付けら
れている。このオイルパン５とシリンダブロツク
４下部とで構成されたクランクケース６にクラン
クシヤフト７が設けられている。

上記シリンダブロツク４上面に気密接合された
第１および第２バンク２，３のシリンダヘツド
８，９には吸気用カムシヤフト１０Ａ，１１Ａお
よび排気用カムシヤフト１０Ｂ，１１Ｂがそれぞ
れクランクシヤフト軸方向からみて対称に設けら
れ、該４本のカムシヤフトがクランクシヤフト７
にそれらの前端部で連係され、それによつて、カ
ムシヤフト１０Ａ，１０Ｂ，１１Ａ，１１Ｂとク
ランクシヤフト７とが同時回転するように駆動さ
れ、所定の吸排気弁を駆動するようになつてい
る。

すなわち、クランクシヤフト７に取付けられた
減速ギヤ１２と噛合する減速ギヤ１３，１４を有
する回転軸（図示せず）がクランクシヤフト軸方
向からみて対称に配設され、該回転軸の前端部に
回転プーリ１７，１８が取付けられている。しか
して、一方の回転プーリ１７がタイミングベルト
１８を介して、第１バンク２のカムシヤフト１０
Ａ，１０Ｂの前端部に固定されているタイミング
プーリ１９，２０に連係されている。また、第２
バンク３のカムシヤフト１１Ａ，１１Ｂの前端部
に固定されているタイミングプーリ２１，２２
も、別のタイミングベルト２３を介して、他方の
回転プーリ１８に連係されている。

なお、２５，２６はアイドラプーリである。

また、シリンダブロツク４内において、第１バ
ンク２には奇数番目のシリンダ，，が、第
２バンク３には偶数番目のシリンダ，，が
それぞれ配置され、各シリンダ〜のピストン
がコンロツド（図示省略）でクランクシヤフト７
に前側から順番に連結されている。しかして各一
方のバンクのシリンダはクランクシヤフト７の軸
方向において他方のバンクのシリンダの間に位置
しており、第２バンク３のシリンダ，，
は、第１バンク２のシリンダ，，よりも前
記タイミングプーリ１９，２０，２１，２２から
離隔するようにクランクシヤフト７の軸方向にず
れて配置されており、第２バンク３の前方にデツ
ドスペースとなる空間部が形成される。

また、第１および第２バンク２，３のシリンダ
ヘツド８，９の上面にはヘツドカバー２７，２８
がそれぞれ設けられ、しかして一方のヘツドカバ
ー２８内部の排気用カムシヤフト１１Ｂ上方に対
応する位置にオイルセパレータ２９が形成されて
いる。

３０はクランクシヤフト７の回転と同期した回
転を要するデイストリビユータ（エンジン補機）
で、その回転軸３０ａの下端部に駆動部材として
のウオームホイール３１が固着されている。この
ウオームホイール３１は、回転プーリ１８による
牽引力が強く第２バンク３においてタイミングベ
ルト２３が最も張る位置の端部に設けられたタイ
ミングプーリ２１内方の部分で、かつカムシヤフ
ト１１Ａ，１１Ｂの間のデツドスペース内におい
て、第２バンク３における吸気用カムシヤフト１
１Ａの端部付近に固定された駆動部としてのウオ
ームギヤ３２と噛合している。

このように、デイストリビユータ３０のウオー
ムホイール３１とデイストリビユータ３０の駆動
部を構成するウオームギヤ３２とは、２本のカム
シヤフト１１Ａ，１１Ｂを有するDOHC方式の
Ｖ型エンジンの第２バンク３において必然的に生
ずる、シリンダの配置されていない部分具体的に
は第２バンク３の前方で、かつ両カムシヤフト１
１Ａ，１１Ｂの間のデツドスペースを有効に活用
して配置されている。それによつて、吸気用カム
シヤフト１１Ａのウオームギヤ３２の回転によ
り、デイストリビユータ３０（ウオームホイール
３１）が駆動されることになる。

なお、上記両バンク２，３間には、エアクリー
ナ（図示せず）より吸入された空気をサージタン
ク４１より複数の吸気管４２を介して各シリンダ
に供給する吸気装置４３が介設されている。これ
に対応して、各バンク２，３で、内方側に吸気用
カムシヤフト１０Ａ，１１Ａが、外方側に排気用
カムシヤフト１０Ｂ，１１Ｂがそれぞれ配設され
ている。

上記のように構成すれば、減速ギヤ１２，１
３，１４を介してカムシヤフト１０Ａ，１０Ｂ，
１１Ａ，１１Ｂを回転駆動するようにしているの
で、タイミングプーリ１９，２０，２１，２２を
大きくする必要がなく、エンジン幅を縮小するこ
とができる。

また、デツドスペースである第２バンク３の前
方でかつ両カムシヤフト１１Ａ，１１Ｂの間に位
置する空間部（デツドスペース）を利用してデイ
ストリビユータ３０を駆動するウオームホイール
３１、ウオームギヤ３２を配設しているので、デ
イストリビユータ３０の駆動部を設けるためにエ
ンジンを大きくする必要がない。つまり、デイス
トリビユータ３０の駆動部がエンジン幅方向に張
り出さず、かつ、両バンク２，３間に位置する吸
気装置４３と干渉しない配置とすることが可能と
なり、エンジン全体（長さ、幅等）をコンパクト
にすることができる。

また、デイストリビユータ３０は、タイミング
ベルト２３の最も張るタイミングプーリ２１を端
部に有するカムシヤフト１１Ａにて駆動され、タ
イミングベルト２３の弛みなどの影響を受けるこ
とがないので、応答性よく、クランクシヤフト７
斗との回転同期精度よく、デイストリビユータ３
０を駆動することができる。

（考案の効果） 本考案は、上記のように、第２バンクの前方で
両カムシヤフトの間のデツドスペースを有効に利
用して補機を駆動するようにしたから、コンパク
ト化が図れる。それとともに、タイミングベルト
が最も張るタイミングプーリを端部に有するカム
シヤフトを利用しているので、補機の応答性、補
機のクランクシヤフトとの回転同期精度を高める
ことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は
DOHC方式のＶ型エンジンの正面図、第２図は
一部を断面にして示す同平面図である。 １……Ｖ型エンジン、２，３……バンク、８，
９……シリンダヘツド、１０Ａ，１１Ａ……吸気
用カムシヤフト、１０Ｂ，１１Ｂ……排気用カム
シヤフト、２１……タイミングプーリ、２３……
タイミングベルト、３０……デイストリビユー
タ、３１……ウオームホイール、３２……ウオー
ムギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 第１および第２バンクのシリンダヘツドにそれ
   ぞれ２本のカムシヤフトが配設され、該各カムシ
   ヤフトをクランクシヤフトにそれらの端部付近に
   おいてタイミングベルトを介して連係するととも
   に、第２バンクのシリンダを第１バンクのシリン
   ダよりも前記端部から離隔するようにクランクシ
   ヤフトの軸方向にずらせて配置し、第２バンクの
   カムシヤフトに設けられたプーリと第２バンク端
   部との間にデツドスペースを有するＶ型エンジン
   において、第２バンクのカムシヤフトの端部に設
   けたタイミングプーリ内方のデツドスペース内の
   一方のカムシヤフトに、クランクシヤフトの回転
   と同期した回転を要する補機の駆動部が設けら
   れ、かつ、第２バンクの一方のカムシヤフトと他
   方のカムシヤフトとの間に上記デツドスペース内
   に、一方のカムシヤフトの駆動部で駆動される上
   記補機の駆動部材が配設され、該一方のカムシヤ
   フトのタイミングプーリは第２バンクにおいてタ
   イミングベルトが最も張る位置の端部に設けられ
   たプーリであることを特徴とするＶ型エンジンの
   補機駆動装置。