JPH0232830Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、２つのシリンダ列を有し、該各シリ
ンダ列のシリンダヘツドに吸気用および排気用カ
ム軸が設けられているいわゆるダブルオーバーヘ
ツドカムシヤフト（DOHC）方式のエンジンの
補機駆動装置に関する。

（従来の技術） 従来、Ｖ型エンジンにおいて、そのクランクシ
ヤフトによつて回転駆動されるエンジン補機を左
右両バンクの間に形成されるＶ形の空間部に配置
したり、特開昭55−114845号公報に示されるよう
に、一方のバンクを他方のバンクに対してクラン
クシヤフトの軸方向にずらせることにより、前記
一方のバンクの前方と他方のバンクの後方とに空
間部を形成し、この両空間部にクランクシヤフト
で駆動されるエンジン補機を振り分けて配設した
りすることによつて、エンジンの全体形状を小さ
くすることは知られている。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上述した構造のＶ型エンジンで
は、エンジン補機が駆動される駆動部を設けるた
めにクランクシヤフトおよびカムシヤフトをエン
ジンに対して前方および後方に延長する必要があ
るので、それだけエンジンの全長が長くなり、エ
ンジンの全体形状は実質的にはあまり小さくなつ
ていないという欠点がある。

ところで、このようなエンジンは、従来、１つ
のタイミングベルトでもつて、クランク軸のクラ
ンクプーリと吸気用および排気用カム軸の端部に
設けた２つのタイミングプーリとを連係している
が、クランク軸に対するカム軸の回転比（例えば
４サイクルエンジンの場合、クランク軸１回転に
対しカム軸２回転）が定まつており、また、タイ
ミングベルトに加わる面圧などの関係からクラン
クプーリの必要最小径が定まるので、それに応じ
てタイミングプーリの径も定まり、タイミングプ
ーリを小さくできず、スペース的に（特に幅方向
で）不利であつた。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、エ
ンジンの全長を長くすることなく、補機駆動部を
配設でき、コンパクト化に有利であるエンジンの
補機駆動装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案は、クランク軸に略平行な２つのシリン
ダ列を有し、該各シリンダ列のシリンダヘツドに
吸気用および排気用カム軸が設けられ、一方のシ
リンダ列のシリンダが他方のシリンダ列のシリン
ダに対しクランク軸方向にずれて配置され、一方
のシリンダ列の前方と他方のシリンダ列の後方に
空間部が形成されたエンジンの補機駆動装置を前
提とし、上記一方のシリンダ列の吸気用および排
気用カム軸のうちの一方のカム軸と、他方のシリ
ンダ列の吸気用および排気用カム軸のうちの一方
のカム軸とが各シリンダ列の前方側でクランク軸
に同時回転可能に連係され、上記シリンダ列の前
方および後方に形成される空間部に、各シリンダ
列の上記一方のカム軸の回転駆動力を各シリンダ
列の他方のカム軸にギヤを介して伝達する駆動力
伝達手段が配設され、さらに上記一方のシリンダ
列の前方の空間部で他方のカム軸の端部に補機駆
動部が設けられていることを特徴とする。

ここで、補機としては、カム軸により駆動され
るもので、デイストリビユータ、オイルポンプ、
燃料ポンプ、インジエクシヨンポンプ（デイーゼ
ルエンジン）などがある。

（作用） 一方のシリンダ列の吸気用および排気用カム軸
のうちの一方のカム軸と、他方のシリンダ列の吸
気用および排気用カム軸のうちの一方のカム軸と
を各シリンダ列の前方側でクランク軸に同時回転
可能に連係し、シリンダ列の前方および後方に形
成される空間部を利用して、各シリンダ列の一方
のカム軸の回転駆動力を各シリンダ列の他方のカ
ム軸にギヤを介して伝達する駆動力伝達手段を設
けたことにより生ずるデツドスペースである上記
一方のシリンダ列の空間部で他方のカム軸の端部
に補機駆動部を設けたことによつて、全長が延び
ることなく、補機駆動部が配設される。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図および第２図に示すDOHC方式のＶ型
エンジン１は、Ｖ字状に左右に配設された第１お
よび第２シリンダ列２，３を有し、しかしてその
シリンダブロツク４の下面にオイルパン５が取付
けられている。このオイルパン５とシリンダブロ
ツク４下部とで構成されたクランクケース６にク
ランク軸７で設けられている。

第１および第２シリンダ列２，３の、シリンダ
ブロツク４上面にはシリンダヘツド８，９が気密
接合され、該第１シリンダ列２側のシリンダヘツ
ド８には第１吸気用カム軸１０Ａおよび第１排気
用カム軸１０Ｂが、第２シリンダ列３側のシリン
ダヘツド９には第２吸気用カム軸１１Ａおよび第
２排気用カム軸１１Ｂがそれぞれ配設されてい
る。

しかして、上記第１および第２吸気用カム軸１
０Ａ，１１Ａならびに第１および第２排気用カム
軸１０Ｂ，１１Ｂがそれぞれクランク軸方向から
みて対称に設けられ、該４本のカム軸のうち２本
のカム軸すなわち第１排気用カム軸１０Ｂおよび
第２吸気用カム軸１１Ａがそれらの前端部で（各
シリンダ列２，３の前方側で）クランク軸７に連
係され、それによつて、第１排気用カム軸１０Ｂ
および第２吸気用カム軸１１Ａとクランク軸７と
が同時回転可能となつている。すなわち、第１排
気用カム軸１０Ｂおよび第２吸気用カム軸１１Ａ
の前端部に固定されているタイミングプーリ１
２，１３と、クランク軸７の前端部付近に固定さ
れているクランクプーリ１４とにタイミングベル
ト１５が巻き掛けられている。１６，１７，１８
はアイドラである。

また、シリンダブロツク４内において、第１シ
リンダ列２には奇数番目のシリンダ，，
が、第２シリンダ列３には偶数番目のシリンダ
，，がそれぞれ配置され、各シリンダ〜
のピストンがコンロツド（図示省略）でクラン
ク軸７に前側から順番に連結されている。しかし
て一方のシリンダ列の各シリンダはクランク軸７
の軸方向において他方のシリンダ列のシリンダの
間に位置しており、第２シリンダ列３のシリンダ
，，は、第１シリンダ列２のシリンダ，
，よりも前記タイミングプーリ１２，１３よ
り離隔するようにクランク軸７の軸方向にずれる
ように配置されている。

第２シリンダ列３において、第２吸気用カム軸
１１Ａのタイミングプーリ１３とそれに最も近い
軸受２０との間に第１ギヤ２１が取付けられ、そ
のギヤ２１と噛合する第２ギヤ２２が、第２排気
用カム軸１１Ｂの前端部に取付けられている。そ
れによつて第２吸気用カム軸１１Ａを介して第２
排気用カム軸１１Ｂが回転駆動される。

一方、第１シリンダ列２においては、第２シリ
ンダ列３とは反対側の第１吸気用カム軸１０Ａお
よび第１排気用カム軸１０Ｂの端部に互いに噛合
する第３および第４ギヤ２３，２４が固定され、
第１排気用カム軸１０Ｂを介して第１吸気用カム
軸１０Ａが回転駆動されるようになつている。

このように、上記第１および第２ギヤ２１，２
２ならびに第３および第４ギヤ２３，２４は、
DOHC方式のＶ型エンジンにおいて必然的に生
ずる、シリンダの配置されていない部分すなわち
第１シリンダ列２の後方および第２シリンダ列３
の前方の空間部を有効に活用して配置され、しか
して第１および第２ギヤ２１，２２ならびに第３
および第４ギヤ２３，２４は第１および第２ギヤ
カバー４１，４２にて覆われている。

また、第１および第２シリンダ列２，３のシリ
ンダヘツド８，９の上面には第１および第２ヘツ
ドカバー２５，２６がそれぞれ設けられ、しかし
て第２ヘツドカバー２６内部の第２排気用カム軸
１１Ｂ上方に対応する位置にオイルセパレータ２
７が形成されている。

２８はデイストリビユータ（エンジン補機）
で、その回転軸（図示せず）の下端部にウオーム
ホイール３０が固着され、このウオームホイール
３０が、第２シリンダ列３１における第２排気用
カム軸１１Ｂの端部に固定されたウオームギヤ３
１と噛合している。このウオームホイール３０
は、タイミングプーリ１３を設けた第２吸気用カ
ム軸１１Ａにて第11および第２ギヤ２１，２２を
介して第２排気用カム軸１１Ｂを駆動することに
よつてタイミングプーリ１３の側方に生ずるデツ
ドスペースである第２排気用カム軸１１Ｂの外側
方すなわち軸線よりも外側部位でかつ第２ギヤ２
２の前方の空所においてウオームギヤ３１と噛合
している。それによつて、第２排気用カム軸１１
Ｂの回転により、デイストリビユータ２８が駆動
されることになる。

なお、上記シリンダ列２，３間には、エアクリ
ーナ（図示せず）より吸入された空気をサージタ
ンク３２より複数の吸気管３３を介して各シリン
ダに距給する吸気装置３４が介設されている。こ
れに対応して、各シリンダ列２，３で、内方側に
第１および第２吸気用カム軸１０Ａ，１１Ａが、
外方側に第１および第２排気用カム軸１０Ｂ，１
１Ｂがそれぞれ配設されている。

上記のように構成すれば、クランク軸７の回転
駆動によりそれと同一方向に第１シリンダ列２の
第１排気用カム軸１０Ｂおよび第２シリンダ列３
の第２吸気用カム軸１１Ａが回転される。しかし
て、該第１排気用カム軸１０Ｂおよび第２吸気用
カム軸１１Ａの回転駆動力は、第１および第２ギ
ヤ２１，２２または第３および第４ギヤ２３，２
４を介して、第１シリンダ列２の第１吸気用カム
軸１０Ａおよび第２シリンダ列３の第２排気用カ
ム軸１１Ｂに伝達されるので、該第１吸気用カム
軸１０Ａおよび第２排気用カム軸１１Ｂはクラン
ク軸７（第１排気用カム軸１０Ｂおよび第２吸気
用カム軸１１Ａ）とは逆方向に回転することとな
る。

したがつて、第１および第２吸気用カム軸１０
Ａ，１１Ａ同士、第１および第２排気用カム軸１
０Ｂ，１１Ｂ同士は、クランク軸７の軸方向から
みて逆方向に回転するように駆動され、所定の吸
排気弁を駆動することになる。それとともに、第
２排気用カム軸１１Ｂの回転によりウオームホイ
ール３０とウオームギヤ３１との噛合でデイスト
リビユータ２８が駆動される。

上記実施例では、本考案をＶ型エンジンに適用
した例について説明したが、そのほか、水平対向
型エンジンに適用することができるし、また、ス
ペース的により有利となるように、タイミングベ
ルトを２本として各吸気用カム軸に巻き掛けるよ
うにしてタイミングプーリを全て内方側に配置す
ることもできる。

（考案の効果） 本考案は、上記のように、一方のシリンダ列の
吸気用および排気用カム軸のうちの一方のカム軸
と、他方のシリンダ列の吸気用および排気用カム
軸のうちの一方のカム軸とが各シリンダ列の前方
側でクランク軸に同時回転可能に連係され、シリ
ンダ列の前方および後方に形成される空間部を利
用して、各シリンダ列の一方のカム軸の回転駆動
力を各シリンダ列の他方のカム軸にギヤを介して
伝達する駆動力伝達手段を設け、それによつて生
ずるデツドスペースである上記一方のシリンダ列
の前方の空間部で他方のカム軸の端部に補機駆動
部を設けたので、全長を延ばすことなく、補機駆
動部を配設することができ、コンパクト化が図れ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は
DOHC方式のＶ型エンジンの正面図、第２図は
一部を断面にして示す同平面図である。 １……Ｖ型エンジン、２，３……シリンダ列、
８，９……シリンダヘツド、１０Ａ……第１吸気
用カム軸、１０Ｂ……第１排気用カム軸、１１Ａ
……第２吸気用カム軸、１１Ｂ……第２排気用カ
ム軸、２１……第１ギヤ、２２……第２ギヤ、２
３……第３ギヤ、２４……第４ギヤ、２８……デ
イストリビユータ、３０……ウオームホイール、
３１……ウオームギヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸に略平行な２つのシリンダ列を有
   し、該各シリンダ列のシリンダヘツドに吸気用お
   よび排気用カム軸が設けられ、一方のシリンダ列
   のシリンダが他方のシリンダ列のシリンダに対し
   クランク軸方向にずれて配置され、一方のシリン
   ダ列の前方と他方のシリンダ列の後方に空間部が
   形成されたエンジンにおいて、上記一方のシリン
   ダ列の吸気用および排気用カム軸のうちの一方の
   カム軸と、他方のシリンダ列の吸気用および排気
   用カム軸のうちの一方のカム軸とが各シリンダ列
   の前方側でクランク軸に同時回転可能に連係さ
   れ、上記シリンダ列の前方および後方に形成され
   る空間部に、各シリンダ列の上記一方のカム軸の
   回転駆動力を各シリンダ列の他方のカム軸にギヤ
   を介して伝達する駆動力伝達手段が配設され、さ
   らに上記一方のシリンダ列の前方の空間部で他方
   のカム軸の端部に補機駆動部が設けられているこ
   とを特徴とするエンジンの補機駆動装置。