JP2523130Y2 - エンジンのシリンダヘッド構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （考案の属する技術分野） この考案は、カム軸間にカム軸間ギヤを設けたＶ型エ
ンジンやスラント搭載エンジン等のようなDOHC型のエン
ジンのシリンダヘッド構造に関する。

（従来の技術） 従来、上述例のカム軸間ギヤを備えたエンジンとして
は、例えば、実開昭63-150008号公報に記載のエンジン
がある。

すなわち、シリンダヘッド内に複数のカムシャフトを
併設し、第１のカムシャフトはエンジンの駆動力により
直接駆動され、第１のカムシャフトは第１および第２の
カムシャフトに各々固設した歯車つまりカム軸間ギヤを
介して駆動すべく構成したエンジンである。

上述のカム軸間ギヤとしては一般に大きな噛合い率を
得る目的ではすば歯車（ヘリカルギヤ）が用いられ、こ
のはすば歯車を用いる関係上、上述のカム軸間ギヤをシ
リンダヘッド内の端部寄りに配設した場合には、はすば
歯車の軸方向のスラスト力に起因してシリンダヘッドの
ギヤケース部が比較的振動しやすくなる問題点があり、
加えて、上述の一対のカム軸間ギヤを良好に潤滑するた
めには、その潤滑構造が複雑化する問題点があった。

（考案が解決しようとする課題） この考案の請求項１記載の考案は、第１縦壁と第２縦
壁と底壁とで形成されてカム軸間ギヤを収容するギヤケ
ースを設けると共に、両縦壁および底壁を互に連結して
潤滑油貯溜部を形成するところのリブを設けることで、
ギヤケースの防震とカム軸間ギヤの潤滑との両立を図る
ことができるエンジンのシリンダヘッド構造の提供を目
的とする。

この考案の請求項２記載の考案は、上記請求項１記載
の考案の目的と併せて、カム軸の軸心を結ぶ中心線が水
平面に対して傾斜するよう配置することで、上述のリブ
とギヤケースとの間に潤滑油を貯溜しやすくして、潤滑
性の向上をはかることができるエンジンのシリンダヘッ
ド構造の提供を目的する。

この考案の請求項３記載の考案は、上記請求項１記載
の考案の目的と併せて、上述のリブを底壁から両カム軸
間ギヤの噛み合い部へ向けて配設することで、カム軸間
ギヤが相互に噛合する部分のデッド空間を有効利用して
上記リブを配設することができ、リブ乃至ギヤケースの
剛性向上を図って、ギヤケース防震効果のより一層の向
上を図ることができるエンジンのシリンダヘッド構造の
提供を目的とする。

（課題を解決するための手段） この考案の請求項１記載の考案は、シリンダヘッドの
気筒列方向に沿って吸気カム軸と排気カム軸とを平行に
軸架し、両カム軸間に上記一方のカム軸を他方のカム軸
により反転駆動するカム軸間ギヤを設けたDOHCエンジン
において、上記カム軸間ギヤを収容し、かつカム軸間ギ
ヤに対してカム軸方向反対側へ配置された第１縦壁と第
２縦壁と底壁とで形成されたギヤケースを設け、上記両
縦壁および底壁を互に連結することによりカム軸間ギヤ
潤滑用の潤滑貯溜部を形成するリブを設けたエンジンの
シリンダヘッド構造であることを特徴とする。

この考案の請求項２記載の考案は、上記請求項１記載
の考案の構成と併せて、上記各カム軸の軸心を結ぶ中心
線が水平面に対して傾斜するよう配置されたエンジンの
シリンダヘッド構造であることを特徴とする。

この考案の請求項３記載の考案は、上記請求項１記載
の考案の構成と併せて、上記リブは底壁から両カム軸間
ギヤの噛み合い部へ向けて配設されたエンジンのシリン
ダヘッド構造であることを特徴とする。

（考案の作用及び効果） この考案の請求項１記載の考案によれば、上述のリブ
でギヤケースの両縦壁および底壁、なかんずく第１縦壁
と第２縦壁とを連結しているので、はすば歯車製のカム
軸間ギヤによるスラスト力に起因して生ずるギヤケース
の振動を上述のリブで抑制して、ギヤケースの防震を図
ることができる効果がある。

加えて、上述のリブの形成により、このリブとギヤケ
ース内壁との間には潤滑油貯溜部が形成され、この潤滑
油貯溜部に貯溜した潤滑油によりカム軸間ギヤの潤滑を
良好に行うことができる。

つまり、上述のリブを形成することで、簡単な構造で
ありながら、ギヤケースの防震とカム軸間ギヤの潤滑と
の両立を図ることができる効果がある。

この考案の請求項２記載の考案によれば、上記請求項
１記載の考案の効果と併せて、上述の各カム軸の軸心を
結ぶ中心線が水平面に対して傾斜するように配置したの
で、上述のリブとギヤケースとの間に潤滑油が貯溜しや
すくなり、この結果、カム軸間ギヤに対する潤滑性の向
上を図ることができる効果がある。

この考案の請求項３記載の考案によれば、上記請求項
１記載の考案の効果と併せて、上述のリブを底壁から両
カム軸間ギヤの噛み合い部へ向けて配設したので、カム
軸間ギヤが相互に噛合する部分のデッド空間を有効利用
して上述のリブを配設することができて、リブ乃至ギヤ
ケースの剛性向上を図り、このためギヤケース防震効果
のより一層の向上を図ることができる効果がある。

（実施例） この考案の一実施例を以下図面に基づいて詳述する 図面はＶ型６気筒DOHCエンジンのシリンダヘッド構造
を示し、第１図において、シリンダブロック１には複数
のシリンダヘッドボルト2,2…を用いて一方側のバンク
用のシリンダヘッド３を取付け、このシリンダヘッド３
のトップデッキ４にガスケット５を介してシリンダヘッ
ドカバー６を取付けている。

上述のシリンダヘッド３には気筒列方向に沿って吸気
カム軸７と排気カム軸８とを平行に軸架すると共に、シ
リンダヘッド３内の端部寄りの位置で、上述の吸気カム
軸７と排気カム軸８との対応部には、一方のカム軸を他
方のカム軸により反転駆動するはすば歯車（ヘリカルギ
ヤ）製のカム軸間ギヤ9,10を嵌合して、バルブ挾み角の
狭角化を図っている。

上述の吸気カム軸７と排気カム軸８との軸芯を結ぶ中
心線は第１図に示す如くカム軸方向からみて水平面に対
して所定角度傾斜している。

そして、カム軸方向からみて、傾斜上方側サイドに吸
気ポート11および吸気マニホルド取付け座12を形成し、
傾斜下方側サイドに排気ポート13および排気マニホルド
取付け座14を形成している。

上述のシリンダヘッド３は第２図にも示す如く、その
長手方向の一側の外端部にEGRバルブ取付け座15を突設
形成する一方、長手方向の他側には上述の一対のカム軸
間ギヤ9,10を配設するための凹部16およびギヤケース17
を一体形成している。

また、第２図に示すように、１気筒当り２つの吸気ポ
ート11,11との２つ排気ポート13,13とをクロスフロー配
置し、各ポート11,13に対してバルブガイド孔18…と直
動HLA配設用のタペットホール19…とを連通形成してい
る。

すなわち、カム軸間ギヤ9,10を収容し、かつカム軸間
ギヤ9,10に対してカム軸方向反対側へ配設された第１縦
壁（内壁17a参照）と、第２縦壁（シリンダヘッド側の
縦壁28参照）と、底壁（ミドルデッキ25参照）とで形成
されたギヤケース17を設けている。

さらに、上述の各気筒の略中央部には点火プラグを配
設するためのプラグホール20を燃焼室21と連通するよう
に形成している。

一方、第１図に示すように、シリンダヘッド３のボト
ムデッキ22と、上述のシリンダヘッドボルト２を挿通さ
せるボルト孔23周辺のボルトボス部24と、ミドルデッキ
25とで囲繞したウォータジャケット26を形成している。

そして、上述のミドルデッキ25から垂直方向へ上方へ
延びるリブ27を設け、このリブ27でギヤケース17の内壁
17aと、シリンダヘッド側の縦壁28とを連結すると共
に、このリブ27と、ギヤケース内壁17aと、縦壁28と、
ミドルデッキ25上面との四者で潤滑油貯留部29を形成し
ている。

換言すれば、上述の内壁17a（第１縦壁）、縦壁28
（第２縦壁）、ミドルデッキ25（底壁）を互に連結する
ことによりカム軸間ギヤ９潤滑用の潤滑貯溜部29を形成
するリブ27を設けたものであって、このリブ27は第１図
に示すようにミドルデッキ25から上記両カム軸間ギヤ9,
10の噛み合い部へ向けて配設されてるいる。

このように、上述のリブ27でカム軸間ギヤ9,10を覆う
ギヤケース17の、内壁17a、縦壁28および底壁としての
ミドルデッキ25、なかんずく内壁17aと縦壁28とを連結
しているので、はすば歯車製の上述のカム軸間ギヤ9,10
によるスラスト力に起因して生ずる同ギヤケース17の振
動をこのリブ27にて抑制することができて、ギヤケース
17の防震を図ることができる効果がある。

加えて、上述のリブ27の形成により、このリブ27とギ
ヤケース内壁17aとの間には上述の如き潤滑油貯留部29
が形成されるので、こ潤滑油貯留部29に貯留した潤滑油
により、第１図の矢印方向へ回転するカム軸間ギヤ9,10
の潤滑を良好に行うことができる。

要するに、上述のリブ27を形成することで、簡単な構
造でありながら、ギヤケース17の防震とカム軸間ギヤ9,
10の潤滑との両立を図ることができる効果がある。

また、上述の各カム軸7,8の軸心を結ぶ中心線が水平
面に対して傾斜するように配置したので、上述のリブ27
とギヤケース17との間に潤滑油が貯溜しやすくなり、こ
の結果、カム軸間ギヤ9,10に対する潤滑性の向上を図る
ことができる効果がある。

さらに、上述のリブ27を底壁（ミドルデッキ25参照）
から両カム軸間ギヤ9,10の噛み合い部へ向けて配設した
ので、カム軸間ギヤ9,10が相互に噛合する部分のデッド
空間を有効利用して上述のリブ27を配設することができ
て、リブ27乃至ギヤケース17の剛性向上を図り、このた
めギヤケース防震効果のより一層の向上を図ることがで
きる効果がある。

なお、上記実施例において、Ｖ型６気筒DOHCエンジン
を例示したが、スラント搭載型横置きの直列多気筒DOHC
エンジンに上述のシリンダヘッド構造を適用してもよ
い。

この考案の構成と、上述の実施例との対応において、 この考案の第１縦壁は、実施例のギヤケース17の内壁
17aに対応し、 以下同様に、 第２縦壁は、シリンダヘッド側の縦壁28に対応し、 底壁は、ミドルデッキ25に対応するも、 この考案は、上述の構成のみに限定されるものではな
い。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、 第１図はＶ型６気筒DOHCエンジンのシリンダヘッド構造
を示す断面図、 第２図は第１図のシリンダヘッドの要部平面図である。 ３……シリンダヘッド ７……吸気カム軸 ８……排気カム軸 9,10……カム軸間ギヤ 17……ギヤケース 17a……ギヤケース内壁（第１縦壁） 25……ミドルデッキ（底壁） 27……リブ 28……縦壁（第２縦壁） 29……潤滑油貯留部

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッド（３）の気筒列方向に沿っ
   て吸気カム軸（７）と排気カム軸（８）とを平行に軸架
   し、 両カム軸（７）（８）間に上記一方のカム軸を他方のカ
   ム軸により反転駆動するカム軸間ギヤ（９）（10）を設
   けたDOHCエンジンにおいて、上記カム軸間ギヤ（９）
   （10）を収容し、かつカム軸間ギヤ（９）（10）に対し
   てカム軸方向反対側へ配置された第１縦壁（17a）と第
   ２縦壁（28）と底壁（25）とで形成されたギヤケース
   （17）を設け、上記両縦壁（17a）（28）および底壁（2
   5）を互に連結することによりカム軸間ギヤ（９）潤滑
   用の潤滑貯溜部（29）を形成するリブ（27）を設けた エンジンのシリンダヘッド構造。
2. 【請求項２】上記各カム軸（７）（８）の軸心を結ぶ中
   心線が水平面に対して傾斜するよう配置された 請求項１記載の エンジンのシリンダヘッド構造。
3. 【請求項３】上記リブ（27）は底壁（25）から両カム軸
   間ギヤ（９）（10）の噛み合い部へ向けて配設された 請求項１記載の エンジンのシリンダヘッド構造。