JPH0210859Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えばエンジンにおける補機類の駆
動等に用いられる複合プーリ、特に、回転軸に嵌
合される内周部とベルトが係合される外周部との
間に弾性部材が介在される軸方向に突出した環状
の突出部が形成されたダンパプーリと板金製プー
リとを結合してなる複合プーリに関する。

（従来技術） 例えば自動車用エンジンのクランク軸にはオル
タネータや水ポンプ等の補機類を駆動するための
プーリが取付けられるが、更に、エアコンデイシ
ヨナ用コンプレツサやパワーステアリング用オイ
ルポンプ等の所謂オプシヨン用の補機類が装備さ
れる場合には、これを駆動するプーリがクランク
軸に取付けられる。その場合に、例えば実開昭58
−18031号公報に示されているように、常設され
る補機類の駆動用プーリとしては剛性の高い鋳鉄
製プーリが使用され、またオプシヨン用補機類の
駆動用プーリとしては軽量化等のために板金製プ
ーリが使用されると共に、この板金製プーリには
必要に応じて容易に着脱できるように上記鋳鉄製
プーリに連結されるのが通例であるが、更に近年
においては、上記鋳鉄製プーリとして回転変動を
減衰させる機能を有するダンパプーリが使用され
ることが多くなつている。このダンパプーリは、
クランク軸等の回転軸に嵌合される内周部とベル
トが係合される外周部との間に回転変動を効果的
に抑制する弾性部材が介在され、且つ該弾性部材
の耐久性を向上させるためには、上記内周部と外
周部との対向部に所定量の面積を確保する必要が
あつて、通常、ベルト係合部より軸方向に突出す
る環状の突出部が生じ、このため、この種のダン
パプーリと板金製プーリとを結合させてなる複合
プーリは、全体としては必然的に軸方向寸法が長
くなり、これをいかにコンパクトに構成するかが
課題とされていた。

（考案の目的） 本考案は、複数のプーリを同心状に結合してな
る複合プーリ、特に、内周部と外周部との間に弾
性部材を介在させるための軸方向の突出する環状
の突出部が形成されて軸方向寸法を短縮すること
が困難なダンパプーリと板金製プーリとを結合し
てなる複合プーリとして軸方向寸法の短いプーリ
を実現することを目的とする。

（考案の構成） 即ち、本考案は、回転軸に嵌合される内周部と
ベルトが係合される外周部との間に弾性部材が介
在される軸方向に突出した環状の突出部が形成さ
れたダンパプーリと板金製プーリとが同心状に結
合されてなる複合プーリにおいて、上記板金製プ
ーリには、ダンパプーリに結合される内周部から
軸方向の一方側に向けて屈曲された屈曲部と、該
屈曲部に連続して外周側に延びる外周部と、該外
周部の外周縁を上記屈曲部と反対側に向けて屈曲
させたベルト係合部とでなる凹部を形成し、該凹
部に上記ダンパプーリにおける環状の突出部を収
納したことを特徴とする。

（考案の効果） このように本考案によれば、弾性部材を介在さ
せるためのダンパプーリにおける軸方向に突出す
る環状の突出部が、板金製プーリにおける凹部に
収納されることになつて、この種の複合プーリと
して軸方向寸法の短いプーリが得られることにな
り、これにより、例えばエンジンのクランク軸に
取付ける場合にはエンジン全長の短縮化が可能と
なり、特に限られたスペースのエンジンルーム内
に設置される自動車用エンジンにあつては、その
全長の短縮化によりレイアウトの自由度が増す等
の効果が得られる。

（実施例） 以下、本考案に実施例について説明する。

図に示すように、エンジンのクランク軸等の回
転軸１の端部にキー２を介して嵌合され且つボル
ト３によつて固着された複合プーリ１０は、ベル
ト４を介して例えばエンジンのオルタネータや水
ポンプ等を駆動するダンパプーリ１１と、ベルト
５を介して例えばエアコンデイシヨナ用コンプレ
ツサやパワーステアリング用オイルポンプ等を駆
動する板金製プーリ１２とを同心状に結合した構
成とされている。上記ダンパプーリ１１は、外周
囲に上記ベルト４が係合されるベルト係合溝１３
ａが形成された外側部材１３と、内周部のボス部
１４ａにおいて上記回転軸１に嵌合固着される内
側部材１４と、両部材１３，１４間に挾持された
ゴム等の弾性部材１５とで構成されているが、こ
の弾性部材１５は、回転変動を効果的に抑制し、
しかも耐久性を向上させるために所要の幅寸法を
確保する必要があり、このため、上記ダンパプー
リ１１における外側部材１３と内側部材１４との
間には、弾性部材１５を介在させるための軸方向
に突出した環状の突出部１１ａが形成されてい
る。

一方、上記板金製プーリ１２は、内周部１２ａ
において上記ダンパプーリ１１における内側部材
１４の前面に複数のボルト１６……１６を用いて
結合されていると共に、該プーリ１２には、上記
内周部１２ａから回転軸１の一方側（図において
左側）に向けて屈曲された屈曲部１２ｂと、該屈
曲部１２ｂに連続して外周側に延びる外周部１２
ｃと、該外周部１２ｃの外周縁を上記屈曲部１２
ｂと反対側（図において右側）に向けて屈曲させ
たベルト係合部１２ｄとが形成され、該ベルト係
合部１２ｄに上記ベルト５が係合されるベルト係
合溝１２ｅが設けられている。そして、上記内周
部１２ａから回転軸１の一方側に向けて屈曲され
た屈曲部１２ｂと、該屈曲部１２ｂに連続して外
周側に延びる外周部１２ｃと、該外周部１２ｃの
外周縁を上記屈曲部１２ｂと反対側に向けて屈曲
させたベルト係合部１２ｄとでなる凹部１２ｆが
形成されており、この凹部１２ｆに、上記ダンパ
プーリ１１の軸方向に突出する環状の突出部１１
ａが収納されている。

上記の構成によれば、ダンパプーリ１１と板金
製プーリ１２とを同心状に結合してなる複合プー
リ１において、上記弾性部材１５を介在させるた
めのダンパプーリ１１における軸方向に突出する
環状の突出部１１ａが、板金製プーリ１２におけ
る凹部１２ｆに収納されることになつて、ベルト
係合溝１３ａより軸方向に突出する環状の突出部
１１ａが形成されて軸方向寸法を短縮することが
困難なダンパプーリ１１と、板金製プーリ１２と
を組み合わせて複合プーリ１０を構成する場合に
おける該複合プーリ１０の全体の軸方向寸法が短
くなる。これにより、例えば自動車用エンジンの
クランク軸に取付けられるプーリ等として適した
複合プーリが得られることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示す複合プーリの縦断
側面図である。 １……回転軸、１０……複合プーリ、１１……
ダンパプーリ、１２……板金製プーリ、１２ａ…
…内周部、１２ｂ……屈曲部、１２ｃ……外周
部、１２ｄ……ベルト係合部、１３……外周部
（外側部材）、１４……内周部（内側部材）、１５
……弾性部材、１１ａ……突出部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸に嵌合される内周部とベルトが係合され
   る外周部との間に弾性部材が介在される軸方向に
   突出した環状の突出部が形成されたダンパプーリ
   と板金製プーリとが同心状に結合されてなる複合
   プーリであつて、上記板金製プーリには、ダンパ
   プーリに結合される内周部から軸方向の一方側に
   向けて屈曲された屈曲部と、該屈曲部に連続して
   外周側に延びる外周部と、該外周部の外周縁を上
   記屈曲部と反対側に向けて屈曲させたベルト係合
   部とでなる凹部が形成され、該凹部に上記ダンパ
   プーリにおける環状の突出部が収納されているこ
   とを特徴とする複合プーリ。