JPH019572Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は保持具に関し、特に容器内に収納し
た芳香剤等の固形の薬剤を効率良く揮散させるこ
とのできる保持具に関するものである。

一般に、固形薬剤、特に固形の芳香剤を容器内
に収納し、この状態で使用した場合、芳香剤は容
器の開放面に位置する部分しか空気と接触せず、
たとえ時間が経過して芳香剤が減少して空気と接
触する面が増加したとしても容器の底面に位置す
る部分の芳香剤は空気と接触しないのでその部分
からの揮散は生じることがないものであり、芳香
剤の香りが短時間のうちに弱まつてしまつてい
た。さらに芳香剤の容器の開放面に位置する上面
部分は芳香剤の揮散につれて順次下方に下がり容
器の開放端よりの距離が大きくなつて行くが、芳
香剤が揮散した場合、その比重は空気の比重より
も大きいので容器内部の芳香剤の上の空間に滞留
してしまうので、揮散効率が著るしく低下し、前
述の欠点と相俟つて芳香剤の揮散すなわち香りが
短時間のうちに著るしく弱まつてしまうという欠
点を有していた。

この考案は前記のような従来のもののもつ欠点
を排除して、空気と接触せずに揮散していない部
分を順次空気と接触して揮散し得るようにして固
形の芳香剤の外周面全てを空気と接触させると共
に、容器の上部空所に芳香剤の揮散したものが滞
留しにくいようにして芳香剤の香りを長時間に渡
つてほぼ一定の強さで揮散させることのできる保
持具を提供することを目的とする。

以下、図面に示す実施例に基づいてこの考案を
説明する。

図面にはこの考案による保持具１が示されてお
り、この保持具１は環状をなすと共に、所定の高
さを有する基部２と、この基部２より小径をなす
と共に、上面中央部に台紙３を有し、この台部３
上に突片４が設けられた上面部５とを複数本（図
では６本）の帯状の連結片６で連結して、切頭円
錐台状に形成してある。そして前記各連結片６は
前記基部２との連結部から所定の距離の部分は前
記基部２から連続して起立しており、また前記上
面部５との連結部から所定の距離の部分は隣接す
る連結片６間に連結板７が設けられ、このような
ものがたとえばポリプロピレンなどで一体に成型
されている。

第２図には上記の保持具１および芳香剤８が収
納された容器が示されており、円筒形状をなす本
体部９の一部の端よりわずかに内方に位置して上
蓋１０が設けられて本体部９の一方の端を閉塞す
ると共に、この上蓋１０の本体部９と接する外周
縁よりわずかに内方に環状をなす切り込み線１１
が設けられている。そして前記切り込み線１１よ
り内方の上蓋１０の上面には一端が上蓋１０に固
定されると共に、他端に指が引掛け可能な孔１２
が設けられた指掛片１３が設けられていて、所謂
プルトツプ式の上蓋が形成されている。また前記
本体部９の他方の端には底面板１４が設けられ、
そして内部の保持具１はその基部２の外径は前記
容器の本体部９の内径とほぼ一致する大きさであ
ると共に、基部２の底面が前記底面板１４に接触
した状態で収納され、芳香剤８は保持具１の上面
部５に載置された状態で収納されている。

上記のものを使用するに際してはまず、前記指
掛片１３の孔１２に指を位置して上方に引き上げ
ると指掛片１３の一端に近い切り込み線１１の部
分の上蓋１０が本体部９から外れる。こののち指
掛片１３の孔１２内に指を挿入して引つぱれば上
蓋１０は環状の切り込み線１１に沿つて本体部９
から離脱するので内部に収納した芳香剤８を空気
に接触させて揮散させることができる（第３図）。

そして内部に保持具１の上部で保持されて収納
された芳香剤８の揮散の状態が第４図に示されて
おり、まず上蓋１０を取除いた状態は第４図ａに
示すように芳香剤８の上面が空気と接触して揮散
を行なうので、芳香剤８の上面が下降して前記保
持具１の突片４の先端部が露出すると共に、芳香
剤８の周縁部と本体部９との間には環状の空所１
６が形成される（第４図ｂ）。このように芳香剤
８の上面が下降すると芳香剤８の上方の空所１７
には空気の比重より大きい比重を有する芳香剤の
揮散したものが滞留するので芳香剤８が空気と接
触するのが妨げられ、これによつて芳香剤の揮散
が減少して香りが少しずつ減少して行く。

そして芳香剤８が揮散して減少して行くと、前
記環状の空所１６は下方に延びて保持具１によつ
て形成された下部の空所１８と連通するので芳香
剤８の下面も空気と接触し、揮散が行なわれる。
このように芳香剤８の周囲に空所が形成されると
空気の対流が生じて芳香剤８の揮散が効率良く行
なわれる（第４図ｃ）。

また芳香剤８の揮散過程で香りを強くしたい場
合、すなわち芳香剤８の揮散したものが空所１７
に滞留したことによつて芳香剤８が空気と接触す
るのが著るしく妨げられて芳香剤８の香りが弱く
なつた場合には、芳香剤８の上面から露出してい
る保持具１の突片４の先端部を摘んで上方へ引き
上げれば既述の如く保持具１の基部２の外径と、
本体部９の内径とはほぼ一致していると共に、保
持具１およびその上部の芳香剤８の重量もわずか
なので、保持具１はその基部２が本体部９との接
触によつて任意の高さ位置に、上部に芳香剤８を
位置した状態で保持し得るものである（第４図
ｃ）。

これによつて芳香剤８の上方の空所１７が減少
し、芳香剤８には新らしい空気が接触して初めと
ほぼ同様な揮散が行なわれる。このようにして揮
散が行なわれると本体部９と芳香剤８との間の環
状の空所１６は下方に延びて、保持具１によつて
形成された下部の空所１８と連通し、これによつ
て芳香剤８の下面も空気と接触して揮散を開始す
ることになる。

そして上記のように芳香剤８が保持具１のみで
保持された状態、すなわち芳香剤８の周囲に空所
ができると、前記と同様に芳香剤８の周囲には空
気の対流が生じ、これによつて常に新らしい空気
が芳香剤８と接触して揮散を行なわせると共に、
この対流は芳香剤８が揮散してなくなる迄行なわ
れるので揮散が効率良く行なわれるものである。

また、芳香剤８の香りを弱くしたい場合、すな
わち芳香剤８の揮散を減少したい場合には、突片
４を用いて保持具１を下降させて、芳香剤８の上
方の空所１７を大きくすればそこに芳香剤８の揮
散したものが滞留するので芳香剤８の揮散が減少
し香りが弱くなるものである。

なお、上記のこの考案による保持具を容器内に
芳香剤と共に収納する場合には上蓋を本体部に取
付けたのちにさかさにして芳香剤を充填し、この
のち保持具を挿入して底面板で本体部を閉塞する
ものである。また保持具で保持するものは揮散さ
せることを目的とした固形の薬剤であれば良く、
芳香剤に限定されるものではない。

この考案は前記のように構成したので固形の薬
剤を効率よく揮散させることができると共に、簡
単な構成なので安価に製造することができるなど
のすぐれた効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による保持具の概略斜視図、
第２図は第１図のものおよび固形薬剤を収納した
容器を示す概略斜視図、第３図は第２図のものの
上蓋を取除いた状態を示す概略斜視図、第４図
ａ，ｂ，ｃ，ｄは第３図の−線に沿つてみた
図で、経時変化ならびに動作を示す図である。 １……保持具、２……基部、３……台部、４…
…突片、５……上面部、６……連結片、７……連
結板、８……芳香剤、９……本体部、１０……上
蓋、１１……切り込み線、１２……孔、１３……
指掛片、１４……底面板、１６……環状の空所、
１７……上方の空所、１８……下部の空所。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 揮散性の固形薬剤を収納する容器の内部に配設
   されて前記固形薬剤を保持するための保持具であ
   つて、該保持具は、大径の基部と、該基部より小
   径の上面部とを所定の間隔をおいて連結片で連結
   したことを特徴とする保持具。