JPH0160643B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、オーバヘツドカム型式の動弁機構
を備えた内燃機関の動弁系支持装置の改良に関す
る。

一般に、自動車用内燃機関においては、吸、排
気バルブを開閉する動力はクランク軸からチエー
ン等を介してカムシヤフトに伝えられ、このカム
シヤフトの回転運動を往復運動に変えて吸、排気
バルブの開閉を行なつている。

このような動弁機構としては、その動力伝達方
式により種々の型式があるが、なかでもカムシヤ
フトがシリンダヘツドに配設されるオーバヘツド
カム型式のものは、カムシヤフトとバルブの中間
部品が少ないことから機関の高速回転域において
優位性を発揮することが知られている。

従来、このオーバヘツドカム型式の動弁機構と
して例えば第１図に示すようなものがある（特公
昭55−8647号公報など）。

これは、シリンダヘツド１の内部にカムシヤフ
ト２が長手方向に貫挿支持されると共に、このカ
ムシヤフト２のカムノーズ２Ａの上方に位置して
バルブリフタ（オイルタペツト）３が摺動自由に
保持され、その先端をシリンダヘツド１の上方に
突出している。

そして、一端が上記バルブリフタ３に接し他端
が同じくシリンダヘツド１にそのバルブステム部
において摺動自由に支持された吸、排気バルブ４
と接するロツカーアーム５が、その中間部に設け
たボールジヨイント部６において揺動自由にスタ
ツドボルト７を介してシリンダヘツド１上面に支
持される。

従つて、カムシヤフト２の回転によるカムノー
ズ２Ａの動きはバルブリフタ３を介してロツカー
アーム５に伝えられ、これによつてロツカーアー
ム５がボールジヨイント部６を揺動支点として揺
動することにより、吸、排気バルブ４が機関回転
に同期して開閉される。

この時、上記バルブリフタ３は機関の作動中常
に吸、排気バルブ４のバルブクリアランスを零に
保ち、各部の寸法特にバルブステム部の長さ方向
の熱による伸縮変化をそれ自体の伸縮作動により
自動的に吸収するように機能する。

ところが、このような従来の動弁機構にあつて
は、カムシヤフト２の上方にバルブリフタ３が配
設され、更にこの上方にロツカーアーム５が配設
される構造となつていたため、ロツカーアーム５
の支点位置が自ずと高くなり、これによつて支点
部として支持剛性の高いロツカーシヤフトをシリ
ンダヘツド１上に固定することが難かしく、つま
りロツカーシヤフトを固定する固着部をシリンダ
ヘツド１上に高く突設するなどのレイアウト上の
不利さや、わずらわしさがあり、結果として支持
剛性の弱いスタツドボルト７に支点部（ボールジ
ヨイント部６）を固定する方式を取らざるを得な
かつた。

そのため、機関の高速回転域などにおいて、上
記支点部６にガタ及びズレなどが生じて吸、排気
バルブ４が異常開閉し、円滑な作動が損なわれる
という問題点があつた。

また、上述したバルブリフタ３及びスタツドボ
ルト７の支持部分がシリンダヘツド１に一体的に
形成される構造であつたため、シリンダヘツド１
の内部には種々の穴加工（カムジヤーナル加工、
リフタ穴加工等）が必要となつて加工工程上やり
にくい面が生じると共に、駄肉（各穴間の連結部
位）が増大してシリンダヘツド１が重くなるとい
う欠点があつた。

この発明は、このような従来の問題点を解消す
ることを目的としている。

上記目的を達成するためにこの発明では、シリ
ンダヘツドにカムシヤフトが収装され、その上方
にカムノーズと接するバルブリフタが配設され、
更にその上方には一端がバルブリフタに他端が
吸、排気バルブと接し、摺動自由に支持されたロ
ツカーアームを有するオーバヘツドカム型式の動
弁機構を備えた内燃機関において、シリンダヘツ
ドの上方に、上記バルブリフタが複数気筒分摺動
保持される本体部及び本体部から両側に延びる脚
部とを有し、かつシリンダヘツドの気筒配列方向
に沿つて複数気筒にまたがる支持部材をシリンダ
ヘツドとは別体に設け、ロツカーアームを嵌装す
るロツカーシヤフトを前記本体部の両側に位置す
るように脚部に固定すると共に、この支持部材を
前記脚部を介してシリンダヘツドに固着するよう
にした。

上記構成に基づき、ロツカアーム及びバルブリ
フタの支持剛性を向上して、即ち支持部材の変形
を防止することにより、吸、排気バルブの異常開
閉を防止できる。また、シリンダヘツドの加工性
が向上するほか、支持部材として一体構造で軽量
なものが得られ、しかもシリンダヘツドへの組付
け精度及び組付け等にあたつての作業性が向上す
る。

以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

第２図Ａ，Ｂに示すように、シリンダヘツド１
の上面には、所定の大きさでかつ上部開放の凹状
の穴部８が長手方向に沿つて形成され、この穴部
８にカムシヤフト２が収装支持されている。

そして、この穴部８の上部開放部を閉塞するよ
うにして支持部材９が配設される。

この支持部材９は、上記カムシヤフト２に沿つ
て長い柱状の本体部１０Ａと、この本体部１０Ａ
から第２図Ａ中左右方向（つまり、シリンダヘツ
ド１の巾方向）に突出した複数の脚部１０Ｂを有
している。

上記本体部１０Ａには、カムシヤフト２のカム
ノーズ２Ａと対応した位置に、複数（つまり、後
述するロツカーアーム５と対応した数）の摺動孔
１０ａが上下方向に貫通して形成され、この摺動
孔１０ａにバルブリフタ３が、その下端突出部を
上記カムノーズ２Ａと接し上端突出部を後述する
ロツカーアーム５と接するようにして、上下方向
に摺動自由に保持されるようになつている。

一方、脚部１０Ｂにはそれぞれボルト挿入孔１
０ｂが上下方向に貫通して形成され、この挿入孔
１０ｂに挿入されるボルト１１によつて、各脚部
１０Ｂの上面にはシリンダヘツド１の長手方向に
横架されるロツカーシヤフト１２，１２がその平
座面１２Ａ，１２Ａを介して固着されると共に、
支持部材９がシリンダヘツド１に共締めされるよ
うになつている。

勿論、上記ロツカーシヤフト１２，１２の所定
位置には、一端が上記バルブリフタ３に接し他端
が吸、排気バルブ４と接する複数のロツカーアー
ム５がその中間部において揺動自由に嵌合支持さ
れる。

このような構成のため、カムシヤフト２が回転
されると、そのカムノーズ２Ａの動きがバルブリ
フタ３を介してロツカーアーム５に伝えられ、こ
れによつてロツカーアーム５がロツカーシヤフト
１２，１２を支点部として揺動し吸、排気バルブ
４を開閉する。

この際、ロツカーアーム５は支持剛性の高いロ
ツカーシヤフト１２，１２によつて揺動支持され
るので、スタツドボルト７によつて支持される従
来例に見られたような機関の高速域における吸、
排気バルブ４等の異常運動は発生しにくく、吸、
排気バルブ４は機関の回転に同期して円滑に開閉
駆動される。

つまり、この実施例ではシリンダヘツド１にお
いてバルブリフタ３等を摺動自由に保持する支持
部分を、支持部材９として、シリンダヘツド１と
は別体に形成するようにしたので、この支持部材
９に上述したようにロツカーシヤフト１２，１２
を固着するようにすれば、シリンダヘツド１上に
容易にロツカーシヤフト１２，１２を横架するこ
とが可能となり、上述したような機能が得られる
のである。

また、支持部分を別体に形成することにより、
シリンダヘツド１の穴加工等の工数が大幅に削減
されて生産性が向上すると共に駄肉が減少するの
で、コストの低減及びエンジンの軽量化がはから
れるという利点もある。一方、支持部材９は気筒
配列方向に沿つて複数気筒にまたがる一体構造で
あり、即ちバルブリフタ３を各気筒分について同
時に支持する構成であるから、各気筒毎にバルブ
リフタ３の支持手段を設ける場合に比較して組付
け精度が高く、また取り扱いや組付け・脱着作業
時の作業性も改善される。

更に、シリンダヘツド１の上面に突起物がなく
なるので、ロツカカバーの取付面などの加工がし
易くなり、シリンダヘツド上面の加工精度が高め
られるという利点もある。

次に、第３図はこの発明の他の実施例を示すも
ので、レイアウト上の制約から支持部材９をロツ
カーシヤフト１２，１２の取付用ボルト１１でシ
リンダヘツド１に共締めできない場合に、支持部
材９に追加形成された脚部１０Ｃにおいて支持部
材９専用の固定ボルト１３でシリンダヘツド１に
固着するようにした例である。

この実施例においても、第２図Ａ，Ｂと同様の
作用効果が得られる。

以上説明したようにこの発明によれば、ロツカ
ーアームとカムシヤフトとの間にバルブリフタを
介在させるようにしたオーバヘツドカム型式の動
弁機構において、バルブリフタが複数気筒分摺動
保持される本体部及び本体部から両側に延びる脚
部とを有し、かつシリンダヘツドの気筒配列方向
に沿つて複数気筒にまたがる支持部材をシリンダ
ヘツドとは別体に設けるようにしたので、支持部
材のシリンダヘツドへの組付け精度が向上すると
共に、支持部材の取扱い及び組付け・脱着作業性
が改善されるという効果が得られる。加えてこの
発明では、ロツカーアームを嵌装するロツカーシ
ヤフトを前記本体部の両側に位置するように脚部
に固定すると共に、この支持部材を前記脚部を介
してシリンダヘツドに固着するようにしたので、
バルブリフタの支持剛性を高めて、特に機関高速
域において吸、排気バルブの異常開閉等の不具合
を未然に防止して円滑に作動させられるという効
果が得られる。

また、支持部材を別体に形成したことによつ
て、シリンダヘツドの加工工数削減により生産性
が高められると共に、駄肉削減されてエンジンの
軽量化がはかれるという利点もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例の断面図、第２図Ａ，Ｂはこの
発明の実施例の断面及び平面図、第３図はこの発
明の他の実施例の平面図である。 １……シリンダヘツド、２……カムシヤフト、
２Ａ……カムノーズ、３……バルブリフタ、４…
…吸、排気バルブ、５……ロツカーアーム、９…
…支持部材、１０Ａ……本体部、１０ａ……摺動
孔、１０Ｂ……脚部、１０ｂ……ボルト挿入孔、
１１……ボルト、１２，１２……ロツカーシヤフ
ト。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダヘツドにカムシヤフトが収装され、
   その上方にカムノーズと接するバルブリフタが配
   設され、更にその上方には一端がバルブリフタに
   他端が吸、排気バルブと接し、摺動自由に支持さ
   れたロツカーアームを有するオーバヘツドカム型
   式の動弁機構を備えた内燃機関において、シリン
   ダヘツドの上方に、上記バルブリフタが複数気筒
   分摺動保持される本体部及び本体部から両側に延
   びる脚部とを有し、かつシリンダヘツドの気筒配
   列方向に沿つて複数気筒にまたがる支持部材をシ
   リンダヘツドとは別体に設け、ロツカーアームを
   嵌装するロツカーシヤフトを前記本体部の両側に
   位置するように脚部に固定すると共に、この支持
   部材を前記脚部を介してシリンダヘツドに固着す
   るようにしたことを特徴とする内燃機関の動弁系
   支持装置。