JPS633363Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、内燃機関の吸排気弁の開閉を行な
わせるロツカーアームを支持するロツカーアーム
支持装置に関するものである。

従来、頭上弁式の内燃機関においては、吸排気
用の弁を開閉させるロツカーアームはロツカーシ
ヤフトに揺動自在に支持されており、このロツカ
ーシヤフトはボルトによりシリンダヘツドの上面
部に締付固定された支持体の取付穴に挿通して保
持されている、そして、支持体は鋳造により形成
され、取付穴やボルト穴及びシリンダヘツドへの
接合面は切削加工により仕上げられている。この
ため、支持体の製作において、素材コストが高く
なるとともに切削加工に手間がかかつている。さ
らに、切削加工の加工精度を十分に高めて各支持
体の寸法を均一なものにしないと、ロツカーシヤ
フトを取付穴に挿通させた状態で支持体をボルト
によりシリンダヘツドに締付固定した際に、ロツ
カーシヤフトが取付穴の内周面に強く干渉して支
持体が破損する虞れがあり、また、ロツカーシヤ
フトを回り上めする回り上め機構を設けなければ
ならない。さらに、肉厚を厚く強固に形成された
重量物である支持体を内燃機関の最上部に取り付
けるために重心位置が高くなり、振動や騒音発生
の要因になるという欠点を有している。

この考案は、このような点に鑑みなされたもの
で、支持体の製作を容易にするとともにロツカー
シヤフトの回り止め機構を設ける手間を省き、さ
らに振動や騒音の発生を防止しうるロツカーアー
ム支持装置を得ることを目的とするものである。

この考案は、シリンダヘツドに固定されてロツ
カーシヤフトを支持する長環柱状の支持体を板状
部材により形成することにより素材コストの低減
及び加工コストの低減を図り、支持体が締付変形
に対して柔軟性を有しているため、支持体に形成
した取付穴にロツカーシヤフトを挿通して支持体
をボルトによつてシリンダヘツドに締付固定する
際に、ロツカーシヤフトと取付穴の内周面とが強
く干渉した場合でも支持体は破損する虞れがな
く、また、取付穴が締付変形されてロツカーシヤ
フトに圧接することによりロツカーシヤフトに回
り止め機構を設ける手間を省き、支持体の長環の
長手方向の端部に外側方向に張り出しつつ所定の
寸法で面接合する接合部を形成し、支持体をその
一方の端面をシリンダヘツドに接合させつつボル
トによつてシリンダヘツドに締付固定する際に、
この接合部をロツカーシヤフトに支持されたロツ
カーアームの揺動動作に連動して開閉する吸排気
用の弁方向に向けることにより、ロツカーアーム
が揺動する際にロツカーシヤフトを介して支持体
に伝わる支持体を回動させる向きの力を接合部と
シリンダヘツドとの接合箇所で受け止め、支持体
の回動やボルトの緩みを防止し、また支持体が軽
量化されるため、この支持体をシリンダヘツドに
固定した場合でも重心位置が高い位置に移動する
ことがなく、振動及び騒音の発生を防止しうるよ
うに構成したものである。

この考案の一実施例を図面に基づいて説明す
る。シリンダヘツド１の上面部には複数個の支持
体２がボルト３により締付固定されている。前記
支持体２は板状部材を湾曲させて長環柱状に形成
されたもので、長環の長手方向の一端側において
前記板状部材の両端部を外側方向に張り出して所
定の寸法で面接合する接合部４が形成されてい
る。また、前記長手方向と直交する向きの両側面
には後述するロツカーシヤフトを挿通する取付穴
５とこの取付穴５に連なる切欠部６とが形成され
ている。さらに、前記両側面の上下方向の一端側
の前記接合部４に近接する位置に、前記ボルト３
の位置決めをする案内部７が内側方向に向けて屈
曲形成されている。

しかして、前記取付穴５を挿通してロツカーシ
ヤフト８が設けられている。このロツカーシヤフ
ト８にはスプリング９等により取付位置を固定さ
れた複数のロツカーアーム１０が揺動自在に支持
されている。このロツカーアーム１０の一端はク
ランクシヤフト（図示せず）の回転に連動して上
下方向に住復動するプロツシユロツド１１の上端
部に接合されており、ロツカーアーム１０の他端
は弁ばね１２により吸排気孔（図示せず）を閉じ
る方向である上方向に付勢された吸排気用の弁１
３の上端部に接合されている。なお、前記支持体
２を前記シリンダヘツド１の上面部に固定する際
に、前記接合部４は前記弁１３方向に向けられて
いる。

このような構成において、支持体２は板状部材
を変形加工して形成されているため、素材コスト
が低減し、製作も容易となる。また、支持体２が
ボルト３による締付変形に対して柔軟性を有する
ため、支持体２の固定時にロツカーシヤフト８と
取付穴５の内周面とが強く干渉した場合でも支持
体２がわずかに変形する状態となるだけで、支持
体２が破損する虞れがない。このため、取付穴５
やシリンダヘツド１との接合面の加工において高
い精度が要求されず、加工の容易化及び加工コス
トの低減化を図りうる。さらに、取付穴５が変形
してその内周面がロツカーシヤフト８に圧接する
ためロツカーシヤフト８が回り止めされ、別個に
ロツカーシヤフト８の回り止め装置を設ける手間
が省ける。また、ロツカーアーム１０がプツシユ
ロツド１１に押し上げられた際にはロツカーシヤ
フト８を介して支持体２を回動させる向きの力が
作用するが、この力は接合部４とシリンダヘツド
１の上面部その接合箇所において受け止められ、
支持体２の浮き上がりやボルト３のゆるみが防止
される。そして、支持体２が軽量物であるために
この支持体２をシリンダヘツド１の上面部に固定
しても重心位置が高い位置に移動することがな
く、重心位置が高くなるこをにより生ずる振動や
騒音を防止しうる。

なお、本実施例においては、支持体２を一個の
ボルト３により固定したが、長環の長手方向の両
端位置で二個のボルトにより固定すればさらに固
定状態が安定し、また、ボルト３の位置決めをす
る案内部７を支持体２の上下両端位置に形成して
もよく、さらに、接合部４を長環の長手方向両端
に形成してもよい。

この考案は、上述のように構成したので、素材
コストの低減及び軽量化を図りつつ支持体の製作
を容易に行なうことができ、仕上げ加工時に寸法
にばらつきが生じても支持体をボルトによつて締
付固定する際における支持体の破損を防止するこ
とができ、また、ロツカーシヤフトに回り止め機
構を設ける手間を省くことができ、支持体の浮き
上がりやボルトの緩みを防止することができ、さ
らに、内燃機関の重心位置が高い位置に移動する
ことを防止して振動や騒音の発生を防止すること
ができる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すもので、第１
図は平面図、第２図は第１図におけるＡ−Ａ線断
面図、第３図は支持体の斜視図である。 １……シリンダヘツド、２……支持体、３……
ボルト、４……接合部、５……取付穴、８……ロ
ツカーシヤフト、１０……ロツカーアーム、１３
……弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 板状部材により長環柱状の支持体を形成し、前
   記支持体の長環の長手方向の端部において外側方
   向に張り出しつつ所定の長さ寸法で面接合する接
   合部を形成するとともに、この支持体の前記長手
   方向と直交する向きの側面にロツカーアームを揺
   動自在に支持するロツカーシヤフトを挿通する取
   付穴を形成し、前記接合部を前記ロツカーアーム
   の揺動動作に連動して開閉する吸排気用の弁方向
   に向けるとともに前記支持体をその一方の端面を
   シリンダヘツドに接合させつつこのシリンダヘツ
   ドにボルトにより締付固定したことを特徴とする
   ロツカーアーム支持装置。