JP3365966B2 - ロッカアームの支軸装置 - Google Patents

ロッカアームの支軸装置

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ペントルーフ型燃
焼室を有する傾斜型頭上弁エンジンに適用されるロッカ
アームの支軸装置に関する。 【0002】 【従来の技術】傾斜型頭上弁エンジンの動弁機構とし
て、従来より例えば図4に示すもの(以下「従来例1」
という)、あるいは図5に示すもので特開平9−209
826号公報に開示されたもの(以下「従来例2」とい
う)が知られている。 【0003】従来例1は、図4に示すように、シリンダ
ヘッド14のロッカアーム室20a内に、シリンダヘッ
ド14と別体に形成した左右二組の軸受ボス部36・3
7を設け、各組の軸受ボス部36・37で左右のロッカ
アーム13の各枢支部13aをそれぞれロッカシャフト
38により枢支して構成されている。そして各ロッカア
ーム13の出力アーム13cは、各枢支部13aの傾斜
上手側よりそれぞれ左右外側に向けて突設し、入力アー
ム13bは、各枢支部13aよりロッカシャフト間の内
側に向けて左右対象に突設して構成されている。 【0004】従来例2は、図5に示すように、傾斜型頭
上弁エンジンのロッカアーム室20a内に、シリンダヘ
ッド14と一体に形成した支軸受座37a・37bを設
け、左右一対のロッカアーム13・13を単一のロッカ
シャフト38で枢支し、このロッカシャフト38の両端
に着座部38a・38bを形成し、この着座部38a・
38bを左右の支軸受座37a・37bに固定ボルト3
0で固定して構成されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記従来例1は、前後
左右の軸受ボス部36・37をシリンダヘッド14と別
体に形成していることから、部品点数が増えるうえ組み
付けとメンテナンスの利便性が低下する。また、各入力
アーム13b・13bが各枢支部13aより支軸間の内
側に向けて左右対象に突設されていることから、左右の
入力アーム13b・13bの干渉を回避するために、支
軸38・38相互間の距離を大きく設定する必要があ
り、動弁機構とそれを収容するロッカアーム室20a、
ひいてはシリンダヘッド14が大きくなる。 【0006】これに対して、従来例2は、左右一対のロ
ッカアーム13・13を単一のロッカシャフト38で枢
支し、ロッカシャフト38の両端に形成した着座部38
a・38bを左右の支軸受座37a・37bに固定ボル
ト30で固定していることから上記不都合を解消できる
が、ペントルーフ型燃焼室を有する頭上弁エンジンで
は、吸排気弁軸がV字状に設けられることとなるので、
この種のエンジンに適用することができない。 【0007】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たもので、各ロッカアームを個別のロッカシャフトで枢
支しつつも組み付けとメンテナンスの利便性を高め、ロ
ッカシャフト間隔を小さくして、シリンダヘッドやヘッ
ドカバーのコンパクト化を図ることを技術課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載した発明
は、以下の基本構成を備える。即ち、ペントルーフ型燃
焼室17を有する傾斜型頭上弁エンジンEのロッカアー
ム室20a内に2本のロッカシャフト38・38を並設
して各ロッカアーム13・13の枢支部13a・13a
を枢支するように構成する。 【0009】請求項1に記載した発明は、前記課題を解
決するために、上記基本構成を備えるロッカアームの支
軸装置において、以下の特徴構成を備える。即ち、上記
ロッカアーム室20a内にシリンダヘッド14と一体に
形成した支軸受座37a・37bを前後左右に設け、各
ロッカシャフト38の両端に着座部38a・38bを形
成し、この着座部38a・38bを上記支軸受座37a
・37bに固定ボルト30で固定する。そして上記支軸
受座37a・37b・37a・37bのうち、傾斜上手
側の左右一対の支軸受座37a・37aを各弁バネ受け
座33・33の内側に配置するとともに、各吸排気弁軸
15・16に沿う状態で略V字状に形成したことを特徴
とする〔図1(A)(B)参照〕。 【0010】更に、クランク室(42a)内の傾斜上手
側にはクランク軸(23)を、傾斜下手側には動弁カム
軸(9)を、それぞれ平行をなすように架設し、駆動ギ
ヤ(34)に動弁カムギヤ(26)を噛合させ[図3参
照] 左右一対のタペット(10・10)及びプッシュロッド
(11・11)は、シリンダブロック(19)の傾斜下
手側に配置し、ロッカアーム(13・13)はロッカア
ーム室(20a)内に左右に並設し、[図1−3参照] ロッカシャフト(38・38)を平行に架設し、[図1
−3参照] 各ロッカアーム(13)は、胴長の枢支部(13a)
と、この枢支部(13a)の傾斜下手側よりロッカシャ
フト(38・38)間の内側に向けて前後にずらして突
設した入力アーム(13b)とを備えた、ことを特徴と
するものである。[図1(A)参照] 【0011】 【発明の作用及び効果】本発明によれば、以下の作用効
果を奏する。 (イ)請求項1に記載した発明では、前記基本構成を備
えるロッカアームの支軸装置において、ロッカアーム室
20a内にシリンダヘッド14と一体に形成した支軸受
座37a・37bを前後左右に設け、各ロッカシャフト
38の両端に着座部38a・38bを形成し、この着座
部38a・38bを上記支軸受座37a・37bに固定
ボルト30で固定したことから、従来例2と同様に部品
点数が減り、組み付けとメンテナンスの利便性を高める
ことができる。 【0012】(ロ)また、請求項1に記載した発明で
は、傾斜上手側の左右一対の支軸受座37a・37aを
各弁バネ受け座33・33の内側に配置するとともに、
各吸排気弁軸15・16に沿う状態で略V字状に形成し
たことから、各支軸受座37aが左右の弁バネ31と干
渉するのを回避し、各ロッカアーム13を個別のロッカ
シャフト38・38で枢支しつつも、ロッカシャフト間
隔を小さくして、動弁機構のコンパクト化とそれを収容
するロッカアーム室20a、ひいてはシリンダヘッドや
ヘッドカバーのコンパクト化を図ることができる。 【0013】(ハ)また、請求項に記載した発明で
は、左右のロッカアーム13の入力アーム13bを、各
枢支部13aよりロッカシャフト38・38間の内側に
向けて前後にずらしたことから、上記作用効果(イ)
(ロ)の他に、左右の入力アーム13b・13bの干渉
を回避しつつ、シャフト間隔を一層小さく設定すること
ができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1〜図3はいずれも本発明の実
施形態を示す。図1(A)はシリンダヘッドを傾斜側よ
り見た平面図、図1(B)は図1(A)中のB−B線矢
視縦断面図、図1(C)は図1(A)中のC−C線矢視
縦断面図である。図2は図3中のA−A線矢視断面図、
図3は本発明を適用した空冷単気筒の傾斜型頭上弁エン
ジンの縦断正面図である。 【0015】先ず、この傾斜型頭上弁エンジンの概要に
ついて簡単に説明する。この傾斜型頭上弁エンジンE
は、図3に示すように、クランクケース42とシリンダ
ブロック19とを一体に構成し、シリンダブロック19
の上にシリンダヘッド14を組み付け、シリンダヘッド
14にヘッドカバー20を組み付けて構成されている。
クランク室42a内の傾斜上手側にはクランク軸23
が、傾斜下手側には動弁カム軸9が、それぞれ平行をな
すように架設され、駆動ギヤ34に動弁カムギヤ26を
噛合させるとともに、駆動ギヤ34にアイドルギヤ27
を介してガバナギヤ28を噛合させ、クランク軸23で
動弁カム軸9とガバナ32とを駆動するように構成され
ている。 【0016】図1(A)、図2及び図3に示すように、
上記動弁カム軸9と左右一対のタペット10・10及び
プッシュロッド11・11は、シリンダブロック19の
傾斜下手側に配置され、ロッカアーム13・13はロッ
カアーム室20a内に左右に並設されている。また、図
3に示すように、ガバナ32はクランク室42a内の傾
斜上手側に配置され、クランクケース42の上側には燃
料タンク29が配置され、シリンダヘッド14の上側に
はエアクリーナ49と図示しない排気マフラとが配置さ
れている。 【0017】上記シリンダヘッド14には、図1(B)
及び図2に示すように、ペントルーフ型燃焼室17が凹
入形成され、シリンダヘッド14の燃焼室対向面には左
右一対の吸気弁口3と排気弁口4とが開口され、この吸
気弁口3と排気弁口4とからそれぞれ吸気ポート1と排
気ポート2が右左に導出されている。そして燃焼室17
に対向して吸気弁5と排気弁6とが左右に一個ずつ設け
られ、それらの各弁軸15・16はV字状をなすように
配置されている。また、左右の吸排気弁軸15・16の
上端部に左右のロッカアーム13の出力アーム13cが
接当され、左右のプッシュロッド11の各上端部に各ロ
ッカアーム13の入力アーム13bが接当されている。
また、各吸排気弁5・6は弁バネ31・31で閉弁側に
付勢されている。 【0018】図1(A)(C)及び図3に示すように、
上記吸気弁口3と排気弁口4の中間位置で、シリンダヘ
ッド14の傾斜上手側には点火プラグ21の挿入口21
aが開口されている。この挿入口21aには点火プラグ
21が挿入され、その電極部分は燃焼室17の中心部に
臨ませて配置されている。また、上記シリンダブロック
19とシリンダヘッド14には、図1(A)に示すよう
に、クランク室42aとロッカアーム室20aとを連通
するオイルミストの連通孔35があけられ、この連通孔
35はロッカアーム室20a内の吸気弁軸挿通孔15a
の近傍で傾斜上手側に位置している。これはクランク室
42aからロッカアーム室20aへ導入したオイルミス
トが動弁機構へ効果的に降り注ぐように意図したもので
ある。 【0019】図1(A)〜(C)に示すように、ロッカ
アーム室20a内にはシリンダヘッド14と一体で、ヘ
ッドカバー20の受け座46と面一に形成した支軸受座
37a・37b・37a・37bが前後左右に設けら
れ、それらのうち傾斜上手側の左右一対の支軸受座37
a・37aは、各弁バネ受け座33・33の内側に配置
され、各吸排気弁軸15・16に沿う状態で略V字状に
形成されている。これはロッカシャフト間隔を小さくし
て、動弁機構のコンパクト化とそれを収容するロッカア
ーム室20a、ひいてはシリンダヘッドやヘッドカバー
のコンパクト化を図ることを意図したものである。 【0020】ロッカシャフト38・38は、平行に架設
されている。各ロッカアーム13は、図1(A)に示す
ように、胴長の枢支部13aと、この枢支部13aの傾
斜下手側よりロッカシャフト38・38間の内側に向け
て前後にずらして突設した入力アーム13bと、当該枢
支部13aの傾斜上手側から入力アーム13bと反対方
向に向けて延出された出力アーム13cとから成り、並
設した左右のロッカシャフト38・38で各ロッカアー
ム13の枢支部13a・13aを枢支するように構成さ
れている。これは左右の入力アーム13b・13bの干
渉を回避しつつ、シャフト間隔を一層小さくすることを
意図したものである。 【0021】上記ロッカシャフト38・38の両端に
は、着座部38a・38bが形成され、これらの着座部
38a・38bは上記支軸受座37a・37bに固定ボ
ルト36で直接固定されている。かかる構成はベアリン
グによる軸支機構を省いてコストダウンを図りつつ、組
付けとメンテナンスの容易性を意図したものである。ま
た、上記受け座37a・37bは、ヘッドカバー20の
受け座46と面一の高さに形成されている。これは受け
座46・37a・37bの加工の容易性を考慮したもの
である。 【0022】各ロッカアーム13の枢支部13aの傾斜
上手側上端面には、図1(A)に示すように、潤滑油の
軸部導入孔43が形成されている。上記構成によれば、
ロッカアーム室20a内へ導入されたオイルミストが上
記枢支部13aの傾斜上手側に降り注ぎ、潤滑油が軸部
導入孔43より枢支部13a内へ導入され、当該枢支部
13aを効果的に潤滑する。これによりロッカアーム1
3の枢支部13aが胴長の形状でも潤滑性能を高く維持
できる。 【0023】上記各ロッカシャフト38は、図1(C)
に示すように、その軸心方向中間部の直径が細くしてあ
り、各ロッカアーム13の枢支部13a内にオイル溜め
38cを形成するように構成されている。これは軸部導
入孔43より枢支部13a内へ導入された潤滑油を、そ
のオイル溜め38c内に貯溜して当該枢支部13a内を
一層確実に潤滑させることを意図したものである。な
お、上記ロッカシャフト38の両端部には止め輪39が
付設されており脱落を防止している。 【0024】図1(C)に示すように、傾斜戻し溝25
の下端は、ロッカアーム室20a内に段落状に形成され
た下段底壁部分45と連なっており、この下段底壁部分
45には、プッシュロッド11の挿通孔11bが開口さ
れている。これによりロッカアーム室20a内の潤滑オ
イルは、傾斜戻し溝25からプッシュロッド11の挿通
孔11bを経由して、クランク室42a内に戻る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施形態に係るシリンダヘッドを示
し、図1(A)はそのシリンダヘッドを傾斜側より見た
平面図、図1(B)は図1(A)中のB−B線矢視縦断
面図、図1(C)は図1(A)中のC−C線矢視縦断面
図である。 【図2】図3中のA−A線矢視断面図である。 【図3】本発明を適用した空冷単気筒の傾斜型頭上弁エ
ンジンの縦断正面図である。 【図4】従来例1に係るシリンダヘッドの図1(A)相
当図である。 【図5】従来例2に係るシリンダヘッドを示し、図5
(A)は図1(A)相当図、図5(B)は図5(A)中
のB−B線矢視縦断面図である。 【符号の説明】 13…ロッカアーム、13a…ロッカアームの枢支部、
13b…入力アーム、14…シリンダヘッド、15・1
6…吸排気弁軸、17…ペントルーフ形燃焼室、20a
…ロッカアーム室、30…固定ボルト、33…弁バネ受
け座、37a・37b…支軸受座、38…ロッカシャフ
ト、38a・38b…ロッカシャフトの着座部、E…傾
斜型頭上弁エンジン。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−141209(JP,A) 特開 昭58−210307(JP,A) 特開 昭61−138862(JP,A) 特開 平9−209826(JP,A) 実開 昭55−9869(JP,U) 実開 昭58−64804(JP,U) 実開 平1−83114(JP,U) 実公 昭37−5901(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/18 F01L 1/02 F02F 1/24

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ペントルーフ型燃焼室(17)を有する
    傾斜型頭上弁エンジン(E)のロッカアーム室(20
    a)内に2本のロッカシャフト(38・38)を並設し
    て各ロッカアーム(13・13)の枢支部(13a・1
    3a)を枢支するように構成したロッカアームの支軸装
    置において、 上記ロッカアーム室(20a)内にシリンダヘッド(1
    4)と一体に形成した支軸受座(37a・37b)を前
    後左右に設け、上記ロッカシャフト(38)の両端に着
    座部(38a・38b)を形成し、これらの着座部(3
    8a・38b)を上記支軸受座(37a・37b)に固
    定ボルト(30)で固定し、 上記支軸受座(37a・37b)(37a・37b)の
    うち、傾斜上手側の左右一対の支軸受座(37a・37
    a)を各弁バネ受け座(33・33)の内側に配置する
    とともに、各吸排気弁軸(15・16)に沿う状態で略
    V字状に形成し、クランク室(42a)内の傾斜上手側
    にはクランク軸(23)を、傾斜下手側には動弁カム軸
    (9)を、それぞれ平行をなすように架設し、駆動ギヤ
    (34)に動弁カムギヤ(26)を噛合させ 左右一対の
    タペット(10・10)及びプッシュロッド(11・1
    1)は、シリンダブロック(19)の傾斜下手側に配置
    し、ロッカアーム(13・13)はロッカアーム室(2
    0a)内に左右に並設し ロッカシャフト(38・38)
    を平行に架設し、 各ロッカアーム(13)は、胴長の枢支部(13a)
    と、この枢支部(13a)の傾斜下手側よりロッカシャ
    フト(38・38)間の内側に向けて前後にずらして突
    設した入力アーム(13b)とを備えた 、ことを特徴と
    するロッカアームの支軸装置。
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