JPH0155117B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は、加熱転写シートに関し、昇華性、気
化性、若しくは熔融移行性等の熱転移性染料を使
用した加熱転写シートに関し、特に、白色防染又
は着色防染用の加熱転写シートに関するものであ
る。

＜従来技術＞ 従来、布、プラスチツクシート、容器等の被転
写体に絵柄を施す方法として、昇華性、気化性、
若しくは熔融移行性等の熱転移性染料を使用した
加熱転写シートを使用する方法が知られている。
この方法は、昇華性、気化性、若しくは熔融移行
性等の熱転移性染料を含有するインキにより、適
宜基体シート上にインキ層を形成し、かかる転写
シートのインキ層を、前記した被転写体に密着
し、加熱し、必要に応じ加圧して、インキ層中の
熱転写移性染料のみを転写して、絵柄を形成する
方法である。

またこの方法の改良として、すなわち白色防染
又は着色防染を行なう方法として、特公昭50−
55412号公報に開示されているように、前記した
転写シートのインキ層上に前記した熱転移性染料
の熱転写性を物理的に抑制するデンンプン糊、
PVA、カルボキシメチルセルローズ等の染料透
過防止層を施した白色防染用転写シートが知られ
ている。しかしこの方法の欠点として、単に物理
的に、熱転移性染料の熱転移性を抑圧するだけの
ものであるため防染効果が不充分であり、また防
染効果を増加させる為に染料透過防止層を厚くし
たりすると、一般のスクリーン捺染方法等ではメ
ツシユの目詰まりを起こす問題があり、その改良
が望まれていた。

一方、同様の白色防染又は着色防染を行う別の
方法として、特公昭53−40310号公報に開示され
ているように、前記した転写シートのインキ層上
に、前記した熱転移性染料の熱転移性を化学的に
抑制すく酢酸銅、蟻酸銅、燐酸銅若しくは硫酸銅
等の金属キレート化合物を含有する化学的防染層
を施した白色防染用転写シート、あるいは、化学
的防染層内に、金属キレート化合物により熱転移
性が抑制されない熱転移性染料を添加した着色防
染用転写シートが知られている。この方法は化学
的に熱転移性染料の熱転移性を抑制している為、
防止染効果は著しいが、反面、加熱転写処理によ
り化学的防染層内の金属キレート化合物が被転写
体に転写されてしまい、例えば酢酸銅が、被転写
体に転写されると、被転写体が黄ばんでしまい完
成品の品位を著しく低下させる欠点を有するもの
であつた。

＜発明が解決しようとする課題＞ 本発明は、後者の化学的に熱転移性染料の熱転
移性を抑制する転写シートに関し、従来の前記し
た欠点を解消した加熱転写シートに関するもので
ある。すなわち本発明者等は、特殊な有機酸が高
温下において酢酸銅、蟻酸銅、燐酸銅若しくは硫
酸銅等の金属キレート化合物を溶解吸収し、該金
属キレート化合物の熱転移性を抑制する性質を有
することを発見し、かかる発見に基づき本発明を
完成したものである。

＜課題を解決するための手段＞ すなわち本発明は、基体シート上に昇華性、気
化性、若しくは熔融移行性等の熱転移性染料を含
有するインキ層を形成し、該インキ層上の任意部
分に、前記熱転移性染料の熱転移性を抑制する酢
酸銅、蟻酸銅、燐酸銅若しくは硫酸銅等の金属キ
レート化合物と、該金属キレート化合物の熱転移
性を抑制する特定の有機酸とを含有する防染層を
形成した加熱転写シートである。

尚、前記防染層内に、金属キレート化合物によ
り、熱転移性が抑制されない熱転移性染料を添加
することにより、着色防染用加熱転写シートとす
ることができる。

ここで、本発明に使用し得る有機酸としては、
安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸があ
り、特に以下の構造を示す芳香族カルボン酸が好
ましい。

（Ｘは、−Ｈ、又は−COOHを示し、Ｙも−又は
−COOHを示す） 更にまた、ベンゼンスルホン酸、トルエンスル
ホン酸、エチルベンゼンスルホン酸等の芳香族ス
ルボン酸も有効であり、一般的に示すと、以下の
構造を示す芳香族スルホン酸がある。

（Ｒは、−Ｈ又は、ｎ＝１〜６までの−CnH_2N+1
を示す） また本発明に使用し得る金属キレート化合物と
しては、酢酸銅、蟻酸銅、燐酸銅若しくは硫酸銅
等がある。

また本発明に使用し得る昇華性、気化性、若し
くは熔融移行性等の熱転移性染料としては、分散
染料、塩基性染料、酸性染料、油溶性染料等があ
り、金属キレート化合物により熱転移性が抑制さ
れる染料としては、C.I.Disperse Yellow １、同
じく３、同じく51、同じく119、C.I.Disperse
Red ４、同じく11、同じく55、同じく60、C.I.
Solvent Violet 31、同じく32、C.I.Solvent
Blue 90、C.I.Disperse Violet 56、C.I.Disperse
Blue 19、同じく26等があり、一方、金属キレー
ト化合物により熱転移性が抑制されない染料とし
ては、C.I.Disperese Yellow 51、同じく54、同
じく71、同じく141、C.I.Disperse Red １、同じ
く240、C.I.Disperse Blue 26、同じく60、C.I.
Solvent Blue 92等がある。

また本発明に使用し得る基体シートとしては、
紙、不織布、フイルム、及び金属箔等がある。

＜効果＞ 本発明は以上の構成である為、従来法の欠点、
すなわち、物理的に熱転移性染料の熱転移性を抑
制する方法では防染効果が充分でなく、また、化
学的に熱転移性染料の熱転移性を抑制する方法で
は、被転写体が黄ばんだり、汚れてしまう欠点を
解決することができ、しかも防染効果は充分であ
り、本発明の実用上の効果は多大である。以下実
施例を示す。

＜実施例 １＞ (1) 防染層組成物（防染液） ヒドロキシプロピルセルロース ９ｇ 酢 酸 銅 17〃 エタノール 70〃 パラトルエンスルホン酸 ４〃 合 計 100ｇ (2) 染料インキ組成物（インキ） C.I.Disperse Red 60 ７ｇ エチルセルロース 13〃 エタノール 35〃 イソプロピルアルコール 45〃 合 計 100ｇ 上記の処方のインキを版深30μの全ベタのグラ
ビアシリンダーで57ｇ／m²スターチコート紙上に
印刷、上記の処方の防染液を版深60μの柄版のグ
ラビアシリンダでその上から印刷した転写紙を作
成した。

又、同時にパラトルエスルホン酸添加の防染液
にても同様の方法で転写紙を作成した。

これらを比較する為、直本工業アリロツパー
FV−２型減圧転写機にて、転写温度200℃、押え
圧力57ｇ／cm²、減圧条件100torr、転写時間35″に
てこれらをポリエステル布上に転写、防染結果を
比較した。

それより、パラトルエンスホルン酸が添加され
た防染液の方がはるかに、防染部の白度も良く、
地色染料の洩れもないものが得られた。

＜実施例＞ （防染液） エチルセルロース ８ｇ 蟻 酸 銅 15〃 リンゴ酸 ２〃 トルエン 40〃 イソプロピルアルコール 35〃 合 計 100ｇ 上記の処方の防染液を予めC.I.Disperse Blue
26を含む前述の処方とし同じ染料インキで印刷さ
れたグラビア印刷紙上から実施例１と同様の方法
で印刷、転写、同様の結果が得られた。

＜実施例 ２＞ （着色防染液） ヒドロエチルセルロース ８ｇ 酢 酸 銅 17〃 テレフタル酸 ４〃 キシレン 35″ ブタノール 25〃 C.I.Disperse Blue 60 11〃 合 計 100ｇ 上記の処方のキレート反応を生じない染料の１
つであるC.I.Disperse Blue 60を含む着色防染液
をアセチルサリチル酸を添加したものとしないも
のの二種類用意し、C.I.Disperse Red ４を含む
インキで予めベタ印刷された上から実施例１と同
様な方法で印刷、転写、その結果を比較したとこ
ろ、従来のものより着色の部分について良好な発
色性が得られた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 基体シート上に、昇華性、気化性若しくは熔
   融移行性等の熱転写性染料を含有するインキ層を
   形成し、該インキ層上の任意部分に、前記熱転移
   性染料の熱転移性を抑制する酢酸銅、蟻酸銅、燐
   酸銅若しくは、硫酸銅等の金属キレート化合物
   と、下式の芳香族スルホン酸とを含有する防染層
   を形成した加熱転写シート。 （Ｒは−Ｈ又はｎ＝１〜６までの−CnH_2o＋１
   を示す） ２ ２基体シート上に、昇華性、気化性、若しく
   は熔融移行性等の熱転移性染料を含有するインキ
   層を形成し、該インキ層上の任意部分に、前記熱
   転移性染料の熱転移性を抑制する酢酸銅、蟻酸
   銅、隣酸銅若しくは、硫酸銅等の金属キレート化
   合物と下式の芳香族カルボン酸とを含有する防染
   層を形成した加熱転写シート。 （Ｘは−Ｈ又は−COOHを示し、Ｙも−Ｈ又
   は−COOHを示す）