JPH0149391B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、筆記板用マーキングインキに関し、
その主な目的は、耐乾燥性に優れ、ペン先を長時
間大気に露出していても十分使用に堪えるという
特性を有すると共に、表面が平滑で、液状インキ
を不浸透性であるセラミツク表面板又はプラスチ
ツク板、焼付塗装板、金属板その他各種の材質よ
りなる筆記板に筆記した後、乾いた布又は軟質紙
で軽く擦過することにより容易に消去され得る性
能を有する、筆記板用マーキングインキを提供す
るにある。 従来、筆記板用マーキングインキについては、
筆記具中に保存中は元よりのこと、キヤツプを筆
記具本体からはずし、ペン先が大気中に長時間露
出されている場合でも、ペン先のインキ流通路を
詰らせる事なく、常に円滑に流出し、筆記を極め
て円滑に行わせしめることができるようなインキ
が強く要望されており、かかる要望に対応する
種々の方策も開示された。 即ち、エタノールの様な低沸点溶剤を主成分と
するマーキングペン用インキに関しては、耐乾燥
性を向上せしめるためのドライアツプ防止剤とし
て、特開昭54−72118号公報にはアルキルアミド、
特開昭56−166277号公報にはアミノ酸誘導体、特
開昭57−28177号公報にはグリセリンのエステル、
また特開昭58−79067号公報にはソルビタン脂肪
酸エステルがそれぞれ開示されているが、何れも
耐乾燥時間が短く、また、乾燥後キヤツプを閉め
て経時後の筆記が不能で、いわば、復元性がない
等の欠点があり、満足できるものでない。 また、筆跡に消去性を与えて筆記板用マーキン
グインキとしての機能を附与するには、インキ組
成物に剥離剤を含有させるが、該剥離剤は、既に
知られているように、インキ組成物の溶剤に溶解
し、且つ、この溶剤よりも蒸気圧が低く、難揮発
性又は不揮発性で液状又は半固体である。具体的
には高級脂肪酸エステル、フタル酸ジエステル、
高級アルコール、流動パラフイン、ワツクス類等
が用いられる。 しかしながら、溶媒和しないと思われる非極性
のものないし、ほとんど極性を有しないもの、た
とえばパラフイン類、ワツクス類等はインキ自体
の安定性に難点があり、インキの筆跡は筆記板に
対し数時間ないし数日で消去が極めて困難とな
る。また、高級脂肪酸エステルは経時による消去
性の低下が極めて著しく、特に湿度が高いときの
消去性の低下が著しく、実用に供し得ない。 本発明者らは、さきに耐ドライアツプ性の良い
マーキングペン用インキを提案した（特願昭58−
192241）。このマーキングペン用インキは、常態
（25℃、60％）では勿論、高温下での高湿及び低
湿、低温下での高湿及び低湿における耐ドライア
ツプ性並びに復元性が良好であるが、本発明者ら
はさらに研究を続行した結果、アルコール系溶剤
および／またはグリコール系溶剤、着色剤、樹脂
および添加剤から成る拭き消し可能な筆記板用マ
ーキングインキにおいて、添加剤として、 (A) 庶糖エステル (B) 高級脂肪酸エステル の２種を併用してなる筆記板用マーキングインキ
は、良好な耐ドライアツプ性並びに復元性に加え
て良好な経時消去性を有することを見いだし、本
発明を完成した。 本発明インキに使用される庶糖エステル類は、
庶糖とステアリン酸、オレイン酸、パルミチン
酸、ラウリン酸、ナフテン酸、酪酸、安息香酸な
どの１種または２種以上を混合した有機酸とのモ
ノ乃至トリエステル、あるいは、庶糖と牛脂硬化
油脂肪酸、トール油脂肪酸、カカオ脂肪酸、大豆
油脂肪酸とのモノ乃至トリエステルが好ましく、
またこれらのモノ乃至トリエステルの混合であつ
てもよい。 庶糖エステル類は筆跡の所望する乾燥速度およ
び光沢への効果により0.1〜５重量％、好ましく
は0.2〜２重量％用いるのがよい。因に、庶糖エ
ステル類が0.1重量％以下であると、有効なドラ
イアツプ防止効果を期待し得ず、５重量％以上と
なると、樹脂の被膜形成能を阻害して、筆跡に光
沢が見られなくなるという欠点を生ずる。 本発明インキに消去剤として使用される高級脂
肪酸エステルは、炭素数12〜22の高級脂肪酸と炭
素数１〜８の低級脂肪族アルコールとのエステル
が好ましく、具体的にはステアリン酸ブチル、ス
テアリン酸ｎ―オクチル、ステアリン酸ｎ―ヘキ
シル、オレイン酸ｎ―ブチル、オレイン酸ｎ―ヘ
キシル、パルミチン酸ｎ―オクチル、パルミチン
酸ｎ―ヘキシル、パルミチン酸ｉ―ブチル、ミリ
スチン酸２―エチルヘキシル、ミリスチン酸ｎ―
ヘキシル等およびこれらの混合物を挙げることが
できる。 脂肪酸エステル類は１〜10重量％、好ましくは
３〜８重量％用いるのがよい。さらに、助消去剤
としてフタル酸エステル、トリメリツト酸エステ
ル、シリコン系活性剤等を添加する事が出来る。 筆記板用マーキングインキに添加剤として脂肪
酸エステルだけを使用する場合は、初期消去性は
比較的良好であるが、筆跡の経時での安定性が悪
く、消去剤をはじき出し、筆跡の中心部は消去出
来るが、筆跡の縁は消えにくくなる欠点がある
が、本発明インキは、庶糖エステルを併用するこ
とにより、耐乾燥性効果と併せて脂肪酸エステル
を効果的に働かせ、均質な筆跡が得られ、初期消
去性においても、経時消去性においても、さらに
高湿時においても、脂肪酸エステルのみよりもよ
り軽く消去出来る。また、従来筆記板用マーキン
グインキのマーカー容器において、フイルターの
材質（例えば、羊毛、ポリプロピレン、ポリエス
テル等）により、消去剤（例えば、脂肪酸エステ
ル等）だけが吸着されることがあり、これにより
マーカー容器にセツト後長時間を経過して筆記す
ると、消去性が著るしく低下することがあるが、
本発明インキは、かかる欠点をも改善するもので
ある。 本発明に係る筆記板用マーキングインキは、ア
ルコール系溶剤および／またはグリコール系溶
剤、着色剤、樹脂及び添加剤からなるが、必要に
応じて添加物等と混合して調整される。 本発明インキに用いられるアルコール系溶剤と
しては、エタノール、イソプロパノール、ノルマ
ルプロパノール、イソブタノール、ノルマルブタ
ノール等の脂肪族低級アルコール、ベンジルアル
コール等の芳香族アルコール等が挙げられる。 本発明インキに用いられるグリコール系溶剤と
しては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
如上の溶剤は、１種またい２種以上を混合し使用
することが出来る。また溶剤の性質上、少量の水
を含んでもよく、助溶剤として、アセトン、キシ
レン、酢酸エチル、Ｎ―メチルピロリドン等を用
いてもよい。 本発明インキに用いられる着色剤としては、公
知の顔料が使用出来る。例えば、カーボンブラツ
ク、酸化チタン、シアニンブルー、シアニングリ
ーン、レーキレツドＣ等の顔料、或はまた、マイ
クロリスカラー等の加工顔料が使用出来る。 本発明インキに用いられる樹脂としては、セル
ロース系、ポリビニルブチラール樹脂など前記溶
剤に可溶の天然または合成の樹脂が挙げられる。
また、必要に応じて用いられる添加物としては、
顔料分散剤、界面活性剤、アルカノールアミン等
のPH調整剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。 実施例 １ レツドミルベース 20部 ソルミツクス APー２ 74部 （日本化成品社製変性アルコール） オレイン酸ブチル ５部 DKエステル Ｆ−160 １部 （第一工業製薬社製庶糖エステル） 如上の配合物を混合溶解して、赤色筆記板用イ
ンキを得た。 なお、ミルベースは、下記配合物をボールミル
中で24時間分散処理して調整した。 ソルミツクス AP−２ 68.5部 デンカブチラール 3000−２ 15部 （電気化学工業社製） フアストレツド RC conc 15部 （山陽色素社製） 分散剤 1.5部 上述の如くして得られた赤色筆記板用インキ
は、マーカー容器にセツトしテストを行つたとこ
ろ、25℃、60％RHで８時間ドライアツプしなか
つた。筆跡は15秒で乾燥し、赤色の鮮明な筆跡を
得た。筆跡はイレーザーで汚染を残さず、軽く消
去できた。キヤツプをはずし９時間放置後、再び
キヤツプをして12時間放置したところ、再び筆記
できた。 実施例 ２ 以下の配合物を実施例１と同様に処理して、縁
色筆記板用インキを得た。 グリーンミルベース 30部 ソルミツクス AP−２ 58部 ｎ―ブタノール ５部 DKエステル Ｆ−140 ２部 ステアリン酸ｎ―オクチル ５部 上記グリーンミルベース組成 ソルミツクス AP−２ 79部 エスレツク BL−１ 10部 （積水化学社製ポリビニルブチラール） フタロシアニングリーン NY 10部 （東洋インキ社製） 分散剤 １部 マーカー容器にセツトしテストを行つたとこ
ろ、良好であつた。結果を後記表１に示す。 実施例 ３ 以下の配合物を実施例１と同様に処理して、黒
色筆記板用インキを得た。 ブラツクミルベース 30部 ソルミツクス AP−２ 64.5部 DKエステル Ｆ−140 0.5部 ステアリン酸イソブチル ４部 トリメリツト酸トリオクチル １部 上記ブラツクミルベース組成 ソルミツクス AP−２ 79部 エチルセルロース 10部 カーボンブラツク MA−100 10部 （三菱化成工業社製） 分散剤 １部 マーカー容器にセツトしテストを行つたとこ
ろ、良好であつた。結果を後記表１に示す。 比較例 １ 実施例１のインキの調整において、DKエステ
ル Ｆ−160 １部にかえて、ソルミツクス AP
−２ １部を使用して、爾余の点においては実施
例１の場合と同様にして、インキ組成物を得た。
テスト結果を後記表１に示す。 比較例 ２ 実施例１のインキの調整において、DKエステ
ル Ｆ−160 １部にかえて、ソルビタンモノラウ
レート １部を使用して、爾余の点においては実
施例１の場合と同様にして、インキ組成物を得
た。テスト結果を後記表１に示す。 比較例 ３ 実施例１のインキの調整において、オレイン酸
ブチル ５部にかえて、フタル酸ジオクチル５
部、DKエステル、Ｆ−160 １部にかえて、ソル
ビタンモノラウレート １部を使用して、爾余の
点においては実施例１の場合と同様にして、イン
キ組成物を得た。テスト結果を後記表１に示す。 【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アルコール系溶剤および／またはグリコール
   系溶剤、着色剤、樹脂および添加剤から成る拭き
   消し可能な筆記板用マーキングインキにおいて、
   添加剤として、庶糖エステルおよび高級脂肪酸エ
   ステルの２種を併用してなる、筆記板用マーキン
   グインキ。 ２ 庶糖エステルが0.2〜２重量％である、特許
   請求の範囲第１項記載の筆記板用マーキングイン
   キ。 ３ 高級脂肪酸エステルが３〜８重量％である、
   特許請求の範囲第１項記載の筆記板用マーキング
   インキ。