JPH0144782Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ≪産業上の利用分野≫ この考案は、自動車等の内燃機関に用いられる
エアクリーナの改良に関する。

≪考案の概要≫ 合成樹脂製ケースとカバーとをキヤブレターに
センターボルト式に固定するエアクリーナにおい
て、ケースの中央部に立設されたボルト挿通用の
ボス部の上面にフランジを設け、該フランジの頂
面にスプリングを配置し、ボルト締めにより前記
スプリングをケースとカバー間で圧縮させ、過度
の締付けによるケースまたはカバーの破損を防止
すると同時に、苛酷条件におけるケースとカバー
間のガタ付きを防止した。

≪従来の技術≫ 近年では自動車の軽量化や吸気騒音の低減を目
的として、エアクリーナのケースおよびカバーを
金属プレス成形体に代えて熱可塑性樹脂等の合成
樹脂成形体を用いることが試みられ、一部では実
用化されている。

≪考案が解決しようとする問題点≫ これらの合成樹脂製エアクリーナのうち、セン
ターボルト形式のエアクリーナにあつては、ケー
スとカバーの中心をキヤブレター上面に立設した
センターボルトに挿通し、カバー上に突出したボ
ルト先端にナツトをネジ込んで締結するようにな
つているため、応力がケースおよびカバーの中心
に集中し易く、また、エンジンルーム内の高・低
温条件などの熱サイクルを受ける結果、合成樹脂
材の強度低下が生じ、さらに、苛酷な振動条件を
繰返し受ける結果、センターボルトおよびナツト
による初期締結力が徐々に低下してしまい、シー
ル不良による空気漏れや、エアクリーナ全体のガ
タ付き等が発生する惧れがあつた。

また、通常の金属製ケースに比べて、ナツトを
締付ける際のトルクも難しく、過度に締付けると
ケース・カバーが変形したりひび割れ等の破損を
生じ易いなどの問題があつた。

≪問題点を解決するための手段≫ 前記問題点を解決するため、この考案は、合成
樹脂製のケースとカバー間に環状のフイルタエレ
メントを配置し、ケースとカバーの中心をキヤブ
レター上面に立設したセンターボルトに挿通し、
カバー上に突出したボルト先端にナツトをネジ込
んで締結するようにしたセンターボルト式の内燃
機関用エアクリーナにおいて、前記ケースの中央
部に立設された前記ボルト挿通用のボス部の上面
に設けられたフランジ部と、このフランジ部に外
周縁が係止された皿バネ状のスプリング材と、前
記カバーの貫通孔に配置され、前記ナツトの締付
けにより前記スプリング材の頂面を押圧するグロ
メツトとからことを特徴とする。

≪作 用≫ スプリング材がボルトの過度の締付力を吸収す
ると同時に、ボルトとナツト間に常時締結圧力を
加えているため、初期締結力を維持し、また応力
集中による合成樹脂材の強度低下を防止する。ま
た、センターボルトにナツトを締結したときに、
締結圧力を分散させ、応力の集中を防止すること
により、合成樹脂製のカバーとケースとの破損を
効果的に防止できる。

≪考案の実施例≫ 以下、この考案の一実施例を図面を用いて詳細
に説明する。

第１図はこの考案に係るエアクリーナの要部断
面図、第２図は一部を切り欠いて示す要部平面図
である。

図において、エアクリーナは、上面開口した浅
底円筒容器状のケース１と、ケース１の上面を閉
塞するカバー２と、両者間に収納された環状のエ
アクリーナエレメント３とから大略構成されてい
る。

ケース１およびカバー２は、比較的硬質で耐熱
剛性のある熱可塑性樹脂等の合成樹脂により成形
されている。そして、ケース１の外周には数個所
金属製のクランプ４が設けられ、このクランプ４
によつてカバー２の外周部をケース１に固定し、
かつカバー２の内面およびケース１の内底面に配
置されたシールゴム５をエアクリーナエレメント
３の頂面および底面に圧接し、エアクリーナエレ
メント３の上下内・外周を気密に区画している。

前記ケース１の底面中央にはキヤブレター６の
上部に嵌合する開口部７が形成されている。

開口部７の上部周縁には略十字形のブラケツト
８が架設され、このブラケツト８の中央に上下方
向にボス部９が一体に形成され、さらにボス部９
の上端にフランジ１０が一体化されている。

フランジ１０上には略円錐台形断面のスプリン
グ材、すなわち、皿バネ１１が設けられている。
この皿バネ１１は、第３図に示すように頂面中央
にボルト通孔１１ａを形成し、周縁フランジ部１
１ｂに複数の爪部１１ｃを折曲形成したもので、
爪部１１ｃをフランジ１０の周縁部に形成された
係止孔１０ａに嵌合することでフランジ１０上に
取付けられる。

一方、カバー２の中央部２ａは凹状に形成さ
れ、その中心に強度向上のためのボルト挿通用グ
ロメツト１２が締付けられており、中央部２ａの
底面を前記皿バネ１１の頂面に当接している。

従つて、前記ボス部９およびグロメツト１２を
キヤブレター６の上部中心に突設されたセンター
ボルト１３に挿通し、センターボルト１３のグロ
メツト１からの突出端に蝶ナツト１４をネジ込め
ば、ケース１はキヤブレター６上に固定され、同
時にカバー２の中央部は皿バネ１１の頂面を押圧
し、皿バネ１１を弾性圧縮する。

この結果、皿バネ１１はボルト１３の締付圧力
の一部を分担するとともに、その圧力を周辺に分
散させ、応力集中を防止する一方で、圧縮回復力
により常時ナツト１４とボルト１３間を緊結状態
に維持するのである。

≪考案の効果≫ 以上説明したように、この考案にあつては、セ
ンターボルトの締結圧力の一部をスプリング材で
分担するとともに、これを周縁に分散させるの
で、過度の締付けによるケースおよびカバー破壊
がない。

また、スプリング材のバネ性による圧縮回復力
により常時ボルトとナツト間を緊結状態に維持し
ているため、初期締結力を保持し、熱サイクルや
苛酷な振動条件下での合成樹脂製ケースおよびカ
バーの強度低下を防ぐ。またこれに伴い、ガタ付
き、空気漏れ等を未然に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るエアクリーナの要部断
面図、第２図は同エアクリーナの一部を切欠いて
示す要部平面図、第３図は皿バネの斜視図であ
る。 １……ケース、２……カバー、２ａ……中央
部、３……エアクリーナエレメント、４……クラ
ンプ、５……シールゴム、６……キヤブレター、
７……開口部、８……ブラケツト、９……ボス
部、１０……フランジ、１０ａ……係止孔、１１
……皿バネ、１１ａ……ボルト挿通孔、１１ｂ…
…フランジ部、１１ｃ……爪部、１２……グロメ
ツト、１３……センターボルト、１４……蝶ナツ
ト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製のケースとカバー間に環状のフイル
   タエレメントを配置し、前記ケースとカバーの中
   心をキヤブレター上面に立設したセンターボルト
   に挿通し、前記カバー上に突出した前記ボルトの
   先端にナツトをネジ込んで締結するようにしたセ
   ンターボルト式の内燃機関用エアクーナにおい
   て、前記ケースの中央部に立設された前記ボルト
   挿通用のボス部の上面に設けられたフランジ部
   と、このフランジ部に外周縁が係止された皿バネ
   状のスプリング材と、前記カバーの貫通孔に配置
   され、前記ナツトの締付けにより前記スプリング
   材の頂面を押圧するグロメツトとからなることを
   特徴とする内燃機関用エアクリーナ。